動画制作を初めて依頼するときには、何をどう準備すればいいかわからないものです。依頼先はどこにあるのかやその選定基準、費用の目安など不安なことも多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、動画制作を依頼するうえで必要なことや流れをわかりやすく解説。依頼先の種類や費用を抑えて効率的にクオリティの高い納品をしてもらうポイントについてもご紹介します。
動画制作を初めて依頼する方が安心して依頼できるよう、ぜひご参考にしてください。
動画制作の基本的な流れ
動画制作の基本的な流れは次の4つです。
- 企画
- シナリオ作成
- 撮影もしくはアニメ制作
- 編集
企画
依頼を受けた制作会社やクリエイターが依頼内容をもとにどんな動画を制作するのか企画を立てます。「なぜ動画を作るのか」「誰に向けた動画なのか」「動画はどこに発信するか」について、入念に話し合い、次のようなことを決めていきます。
- 動画の目的(問い合わせ数を増やす、認知してもらうなど)
- 表現方法は実写にするか、アニメーションにするか
- 尺はどのくらいが適切か(10秒・30秒・1分・5分など…)
- ターゲットはどんな人か(年代・性別などの属性)
- ターゲットに届きやすいシナリオや入れたい要素は何か
- 動画のコンセプト
- 動画で伝えたいこと・メッセージ
- どの媒体に配信するか
企画は、動画を制作するうえで最も重要な制作過程となります。企画は発注者・制作者間のフィードバックを含め、3週間程度以上掛かるのがおおよその目安です。
シナリオ作成
企画内容が決まったら、せりふや出演者の動き、ナレーションなどが書かれたシナリオを作成します。どんな内容で、どんな流れの動画にするのか具体的なストーリーです。
基本的には「起承転結」の流れでストーリーを構成し、最初の3秒で離脱しないような映像や途中の「見せ場」を作って視聴者を飽きさせないような内容にしましょう。
撮影もしくはアニメ制作
撮影までに必要なものが準備できたら、撮影もしくはアニメ制作です。撮影前には機材の準備や撮影場所の確保などは万全にして、撮影者・出演者がスムーズに動けるようにしておきましょう。
アニメ制作では、イラスト制作やアニメーション工程に入ります。
撮影日数は1日で完了できるようにスケジュールを調整することをおすすめしますが、天候や想定外の出来事を踏まえ、数日程度を見込んでおくといいでしょう。
編集
編集では、BGMや文字のテロップを入れたり、ナレーションを入れたりします。また、無駄な部分を省いたり、撮影した動画同士をつなぎ合わせたりして、動画を見た人がわかりやすいものにします。
工数の目安として、フィードバックを含め3週間程度以上掛かると想定しておくといいでしょう。
動画制作を依頼する流れ5ステップ
動画制作を依頼する流れは次のようになっています。
- 依頼したい内容を決めておく
- 依頼先の候補を選定する
- 依頼先候補と打合せする
- 見積をとってもらう
- 発注する
依頼したい内容を決めておく
まず依頼したい動画の内容を決めておきます。どんな動画をイメージしていて、表現方法は実写なのかアニメなのかなど先に挙げた企画内容にもとづいて、次の3点を明確にしておくと良いでしょう。
- なぜ動画を制作したいのか・動画の目的
- 誰に動画を届けたいのか・ターゲットの設定
- 動画をどこに発信したいか・動画の配信媒体
今回制作したい動画を通じて、「認知を増やしたい」「会員登録者を増やしたい」「お問い合わせを増やしたい」「購入者を増やしたい」などの目的があるはずです。
動画制作の着地点を社内共有してから依頼したほうが、社内認識のズレがなくなり、依頼先への共有もよりしやすくなります。目的を決めておくと、伝えたい内容もある程度決まってくるため、打合せから企画までのフェーズがよりスムーズになるでしょう。
また、誰に動画を届けたいのかターゲットを決めておくと、動画のテイストもある程度固まってくるため、打合せや制作時のコミュニケーションコストを減らせます。
そのうえで、制作した動画はYouTube広告に配信したい・セミナーで使用したいなど配信媒体を決めておくと良いでしょう。制作者は媒体に合わせた戦略を立てやすく、より効果的な制作を期待できます。
動画の配信媒体は次の4つがあります。
- YouTube・InstagramなどのSNS
- Web広告
- 自社サイト
- セミナー・イベント
どの媒体に配信するのかを決めておきましょう。
依頼先の候補を選定する
依頼したい内容に見合った依頼先をいくつかピックアップし、候補としておきます。
実写で若者向けの動画であれば、この依頼先が良さそう、テイストに合ったものを制作してくれそうなど依頼したい理由を明確にしておくと、選定するうえで迷ったときの基準にもなります。
依頼者の希望する納期と依頼先のスケジュールが合わないこともあるため、候補は複数あると安心です。
依頼先候補と打合せする
候補先として選定した依頼先の会社・個人と打合せをして、依頼が可能かどうかを確認します。
依頼したい動画制作の内容・スケジュール(納期)を共有するとともに、大体いくらくらいで請け負ってくれるのか、費用感も確認しておきましょう。
見積をとってもらう
打合せ後、見積を提示してもらいます。このとき、金額だけでなく、費用の内訳項目や提案内容があれば、確認しましょう。
逆に見積内容が「一式」など不明確な項目が多い場合は、発注後の進捗管理が見えにくいため、不安要素が残ります。選定基準の一つとして、見積内容の内訳が細かく明確に記載されているかどうかも意識しておくと良いでしょう。
発注する
実際に発注し、依頼確定です。依頼前の打合せや見積提示の時点では、企画内容は決定していません。
発注後に企画内容を綿密に打ち合わせし、納期までの制作スケジュールも共有しておきましょう。
動画制作を依頼する前に準備しておきたいこと
動画制作を依頼する前に、まず社内で次の2つは必ず決めておきましょう。
- 予算
- 納期
そのうえで、次の3つを依頼先に共有しておくと依頼~制作・納品までがスムーズになり、より効果的な動画制作を期待できます。
- 参考となる動画
- 動画の長さはどのくらいか
- 動画で目指したい目標値(KPI)
予算
予算は必ず決めておきましょう。動画はたとえ1分という短い尺であっても、そのための企画・準備・撮影に多くの時間・コストを要します。
そのため、予算を決めないでクオリティを求めると、費用はどんどん膨らみます。どのくらいの費用感でどのくらいのクオリティを求めているのかを明確にしておけば、発注者の期待と制作者の認識のズレも防ぐことができ、よりスムーズです。
関連記事:動画制作にかかる費用の相場は?費用を抑えて依頼するためのコツも解説
納期
納期についても、フィードバックに想定以上に時間がかかるなどして、延期してしまうことはしばしばあります。
必要な工数にもとづいて、一定程度のバッファを設けたうえで余裕を持った制作スケジュールを組んでおくと、想定外の出来事にも対応しやすくなります。
参考となる動画
参考となる動画を用意しておくと、制作者はどんな動画を求めているのか、打合せで一つひとつ言語化せずとも理解しやすくなります。発注側のコミュニケーションコストも減らせるためおすすめです。
同業の競合他社でも、異業種でも構いません。こんな動画を作りたいと思うような参考のものを2~3点程度要しておくと良いでしょう。
動画の長さはどのくらいにしたいか
動画の尺をあらかじめ決めておくと、工数や費用感の把握がしやすくなります。
ただ、発注者側の都合で長さを決めるのではなく、あくまで動画制作の目的やターゲットにもとづいて効果的な長さを決めることが重要です。制作者側からマーケティング的な視点で、別の長さを提案されることもあります。
動画で目指したい目標値(KPI)
動画制作を依頼することで、どのような効果を期待したいのかを伝えておくと、戦略的な動画制作につなげやすくなります。
- 視聴者数
- 動画再生数
- 広告のクリック数
たとえば「Web広告の動画から1,000人を集客し、100クリック数を得て、10件の問い合わせを獲得したい」といったように具体的な数値があると、制作者は目標値を踏まえたうえでの戦略を立てやすくなります。
このほか、動画で何を伝えたいかも重要なポイントです。企業の事業内容や製品・サービス内容についても理解してもらえるような資料を共有しておくと、より効果的でスムーズな動画制作につなげることができるでしょう。
動画制作の依頼先3つ
動画制作の依頼先として、次の3つがあります。
- 自社で製作する(内製)
- 制作会社・広告代理店
- フリーランス(個人)
自社で制作する(内製)
自社で内製できるなら、外注費が掛からず、依頼後のコミュニケーションも取りやすいため、おすすめです。自社で運営しているSNSの動画配信など、新鮮な情報発信やリアルタイムで対応が求められる動画については、内製したほうが良いでしょう。
最近は動画制作が簡単にできるアプリも多く、趣味で動画を配信する人も増えています。自社で動画制作が可能なスタッフがいるなら、本業との兼ね合いやバランスに注意したうえで、依頼しましょう。
内製するかどうかの判断ポイントは次の3点です。
- 求める動画のクオリティが高すぎない
- できるだけ早い対応が必要
- 動画の目的はCVよりも認知の度合いが高い
制作会社・広告代理店
動画制作に高いクオリティを求めるなら、制作会社・広告代理店に依頼するのがおすすめです。ただし、費用がかさみやすい・制作期間がかかりやすいというデメリットもあります。
また、制作会社などでは制作後の運用サポートまで対応してくれることもあります。広告運用やマーケティング視点を踏まえた戦略設計もお願いしたい場合には、制作会社・広告代理店に依頼しましょう。
次の場合、制作会社・広告代理店に依頼することをおすすめします。
- 一定以上のクオリティを求めている
- 予算・制作期間にある程度余裕がある
- 広告運用など付随する業務までお願いしたい
フリーランス(個人)
フリーランス(個人)に依頼するという選択肢もあります。最近では、クオリティの高い動画を配信しているYouTuberなどに動画制作を依頼する企業も増えており、スキルの高い外部クリエイターに依頼するのも一つです。
基本的には、個人に依頼するほうが圧倒的に費用を抑えられ、スケジュール調整もしやすいです。また、クリエイターに直接依頼するため、依頼したい動画内容に対して得意なクリエイターを選ぶことができ、コミュニケーションもとりやすいでしょう。
このほか、編集のみなど部分的な依頼もできます。ただし、クリエイターによってスキルには大きくバラツキがあるため、選定の際は注意が必要です。フリーランスは遅延・廃業のリスクがあること、納期を守ってくれる信用できる人かどうかの見極めも重要です。
次の場合、フリーランスのクリエイターに依頼することをおすすめします。
- 動画制作の目的がはっきりしている
- 編集だけ・撮影だけなど部分的な依頼をしたい
- 依頼したいクリエイターが明確である
- 費用を抑えたい
動画制作の依頼先の選び方
内製か制作会社、フリーランスのいずれかに依頼するかを決めたうえで、動画制作をどこに依頼するか依頼先を選ぶ際のポイントとして、次の3つを参考にするといいでしょう。
- 実績
- 提案内容
- 担当者との相性
まず依頼先の候補を選定する際に、実績を確認します。これまでどんな動画を制作してきたのか、自社のホームページなどで公開しているものを見て、どの程度のクオリティが期待できるのか、今回の依頼内容が可能かどうかをチェックしましょう。
そのうえで、依頼を打診後の提案内容やコミュニケーションの取りやすさなどを踏まえて、依頼先を選定するのが良いです。動画制作がある程度形になるまではイメージやテイストを伝えるなど言語化できない部分も多く、綿密なコミュニケーションが求められます。
自社の想いをくみ取って、形にしてくれる制作者を選びましょう。
動画制作の費用相場一覧
動画制作の費用相場は、フリーランス(個人)と制作会社別に次のようになっています。
フリーランス(個人) | 制作会社 | |
制作費 | 1万円~20万円程度 | 数十万円以上 |
制作者 | 1人 | 2人以上 |
対応可能範囲 | 企画・撮影・編集 | 企画~広告運用まで |
個人のクリエイターに依頼すれば、1本あたりの動画制作は20万円程度に抑えることができますが、制作会社では数十万円以上掛かるのが一般的です。
動画の目的・種類・長さの別においても費用相場を解説します。
目的別の制作費用相場
動画の目的別に制作費用相場は次のようになっています。
動画の種類 | 費用相場 |
CM | 30万円~500万円 |
YouTube | 1万円~50万円 |
商品・サービス紹介 | 30万円~200万円 |
会社・店舗・学校紹介(採用動画) | 10万円~200万円 |
セミナー・イベント | 10万円~60万円 |
インタビュー動画 | 30万円~50万円 |
SNS投稿・広告 | 1万円~70万円 |
最も費用が掛かりがちなのは、テレビCMやWebCMです。YouTubeチャンネル用の動画やSNS投稿などでは、内容によっては費用を低く抑えることもできます。
種類別の費用相場
動画の種類 | 費用相場 |
実写 | 10万円~300万円 |
アニメーション | 10万円~300万円 |
3DCG | 30万円~200万円 |
実写、アニメーションともに費用相場は大きく変わりません。ただし3DCGは「モデリング」という型を作る作業と「テクスチャリング」という質感を付ける作業があり、リアリティを求めるほどに作業工数が増え、制作費が高くなります。
実写ではキャスティングや撮影のための機材、演出などに追加で費用が掛かってきます。アニメーションの場合は、イラスト制作や複雑な動きを加えるほどに費用が高くなります。
長さ別の費用相場
動画の長さ | 費用相場 |
15~30秒 | 1万円~50万円 |
1~3分 | 1万円~200万円 |
3~5分 | 10万円~150万円 |
5~10分 | 10万円~200万円 |
動画の尺は3分程度までに抑えることで、費用も抑えやすくなります。尺が長くなるほど、最後まで飽きさせない演出が必要となるため、そのために費用が掛かります。
SNS動画では15〜30秒程度で十分であり、また紹介動画なども基本的には1分程度に抑えることで効果的な演出があまり必要とならないため、費用を抑えやすくなるでしょう。
関連記事:動画編集を依頼する場合の料金相場は?内訳や動画の長さ、依頼先別に紹介
費用を抑えて動画制作を依頼するならクロスデザイナーにご相談ください
本記事では、動画制作の基本的な流れや依頼するうえで必要なこと、依頼先などについて解説してきました。
動画制作の費用相場として、目的別・種類別・長さ別にも紹介しましたが、費用を抑えながら質の高い動画を制作する方法として有効なのは、フリーランスに依頼することです。個人のクリエイターに外注すれば、編集のみといった部分依頼も可能で、制作期間をより早く時間コストも節約でき、柔軟に対応してもらいやすくなります。
ただ、個人の有能な動画クリエイターを自力で見つけ出すのは非常に難しいでしょう。周囲にクリエイターがいない場合や初めてフリーランスに依頼する場合、専門のエージェントサービスを活用するのがおすすめです。
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