この記事では、アプリ開発におけるUI/UXの概要や抑えるべきポイントを解説します。
また、優れたUI/UXのアプリを成功事例として挙げて説明するので、UI/UXの重要性について理解を深めて自社のアプリを開発する際の参考にしてください。
アプリ開発におけるUI/UXとは
UIとは「User Interface(ユーザー・インターフェース)」、UXとは「User Experience(ユーザー・エクスペリエンス)」の略です。アプリにおけるUIとは、ユーザーの目に直接触れる部分、UXとはユーザーを利用することで得られる体験を指します。
UIデザインは、見た目の美しさだけでなく操作性を重視して、フォントや配色、レイアウトといったアプリ画面のビジュアルデザインを行います。
一方、UXデザインは、ユーザーがアプリを快適に利用できるよう体験を設計し、ユーザビリティを向上させることが求められます。
関連記事:アプリ開発デザインを依頼する前に知っておくべきポイント|外注を検討している担当者向け
UIとUXの意味と違い
ユーザーに受け入れられるアプリを開発するためには、デザイナーやエンジニアだけでなく開発に関わるメンバー全員が、UIとUXに関する基礎的な知識を理解しておくことが重要です。
UIとUXの読み方や意味、デザイン要素、デザイナー役割については以下の通りです。
英語表記(読み方) |
User Interface
|
User Experience
|
略語(読み方) |
UI(ユーアイ) | UX(ユーエックス) |
意味 | ユーザーとプロダクトの接点 | ユーザーがプロダクトを利用することで得られる体験 |
デザイン要素 | ボタン、アイコン、テキスト、画面など | 操作性や機能、仕様など |
デザイナーの役割 | わかりやすく使いやすいUIの設計 | プロダクトを利用するユーザーの体験全体を設計 |
さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:UIデザインとは? 優れたデザインや事例をわかりやすく解説
UXデザインとは? 基礎解説や具体的な事例を解説
ユーザビリティとは
ここで、UI/UXと混同されがちなユーザビリティについて説明します。
ユーザビリティは「使い勝手」や「使いやすさ」を意味する言葉です。
Webユーザビリティの父として知られるヤコブ・ニールセン博士は、ユーザビリティを決定する5つの要素について以下のように提唱しています。
学習しやすさ | システムは、ユーザーがそれを使って作業をすぐ始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない。 |
効率性 | システムは、一度ユーザーがそれについて学習すれば、後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである。 |
記憶しやすさ | ユーザーがしばらく使わなくても、また使うときにすぐ使えるよう覚えやすくしなければならない。 |
エラー発生率 | システムはエラー発生率を低くし、ユーザーがシステム試用中にエラーを起こしにくく、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また、致命的なエラーが起こってはいけない。 |
主観的満足度 | システムは、ユーザーが個人的に満足できるよう、また好きになるよう、楽しく利用できるようにしなければならない。 |
(引用:ヤコブ・ニールセン著「ユーザビリティエンジニアリング原論」)
以下の本はヤコブ・ニールセン博士らが、モバイルデバイスを対象に研究を行い、その成果から得られた考察を1冊にまとめたものです。アプリ開発におけるユーザビリティの重要性や、画面設計の考え方が集約されており、必読の書となっています。
UI/UXとユーザビリティの関係性は近く、互いに影響し合っています。
アプリ開発においてはUIを改善することでユーザビリティが向上し、ユーザビリティが充分に考慮されたアプリであればユーザーに優れたUXを提供できるでしょう。
ユーザビリティについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:ユーザビリティとは?効果的な改善を行うための5つのポイントとサイト事例を紹介!
アプリ開発で抑えるべきUI/UXのポイント
ここからは、アプリ開発で抑えるべきUIデザインとUXデザインのポイントについて、詳しく解説していきます。
UIデザインのポイント
アプリ開発におけるUIデザインのポイントは、主に以下の4点です。
- アプリの情報に合わせた適切な配色になっているか
- テキストは正しく認識しやすいサイズやレイアウトになっているか
- アイコンやボタンを適切に使用してわかりやすくメリハリのあるデザインになっているか
- 統一性と一貫性のあるデザインでプロダクトやブランドの魅力を引き立てるものになっているか
上記のポイントを抑えて、UIデザインでは、いかにわかりやすく操作でき、直感的な操作によってユーザーがアプリ上での目的を達成できるかを追求することが重要です。
関連記事:成果を上げる優れたUIデザインのポイントと参考事例4選
UXデザインのポイント
アプリ開発におけるUXデザインのポイントは、主に以下の3点です。
- アイコンやフォントなどの大きさが見やすく操作しやすいか
- ユーザーに使ってもらいたい機能がわかりやすく配置されているか
- ユーザーは直感的に操作でき目的を達成できるか
アプリを通して目的を達成するまでの操作をUIとするなら、上記のポイントを抑えて、目的を達成するまでの体験をより良いものにしていくことがUXデザインの役割です。
アプリ開発におけるUI/UXデザインの設計方法
続いて、アプリ開発におけるUI/UXデザインの設計方法を、以下の11のステップに分けて解説していきます。
- 開発目的や目標の明確化
- ユーザーリサーチ
- ペルソナ設定
- カスタマージャーニーマップ作成
- ストーリーボード作成
- 要件定義
- UIデザイン
- プロダクト開発
- プロトタイピング作成
- ユーザビリティテスト
- フィードバック・改善
それぞれ詳しく説明します。
1.開発目的や目標の明確化
まず、アプリの目的を明確にします。また、開発過程に進むと、デザインや開発の方向性がぶれてしまうことがあるため、準備段階で指標を設定し戦略を策定します。
2.ユーザーリサーチ
現状を分析し、ユーザーのニーズを把握するためにリサーチを行います。UI/UX最適化のために、主に以下のような定性調査や定量調査を実施します。
調査目的 | 調査手法 | |
---|---|---|
マーケティングリサーチ | 現状分析を主目的として、既存の製品やサービスをどう改善すべきか、消費者に受け入れられるものを探る。 |
定量調査を中心とする。
|
デザインリサーチ | 顕在ニーズを明らかにすることを主目的として、収集した情報を分析し、プロダクトの改善やイノベーションの創出につながる新たな課題を発見する。 |
定性調査を中心とする。
|
関連記事:UXリサーチとは? 具体的な手法7つや実施のポイントを解説
デザインリサーチとは?ユーザーの潜在的ニーズを探る革新的な手法や目的、活用事例などを紹介
3.ペルソナ設定
リサーチによりユーザーから得たインサイトを元にターゲットを設定します。さらにペルソナ像を具体化していき、ペルソナにどんなことが必要なのか、ユーザーの視点に立って洗い出していきます。
関連記事:UXデザインに欠かせないペルソナ設計の方法は? 注意点や活用方法も解説
4.カスタマージャーニーマップ作成
カスタマージャーニーマップとは、適切なタイミングで企業がユーザーにアプローチするために、ユーザーが顧客になるまでの道筋を、図や言葉で表したものです。自社のアプリを認識し利用するまでのプロセスを、行動パターンだけでなく思考や感情も踏まえて分析して可視化します。
関連記事:カスタマージャーニーマップの作り方4ステップ|作成するメリットや注意点、成功事例も紹介
5.ストーリーボード作成
ユーザーがアプリを通じて得られる体験を、ストーリーとしてイラストや画像で可視化する手法が、UXデザインおけるストーリーボードです。抽象的なアイデアを具体化し、ユーザーシナリオを端的に伝えるために役立ちます。
関連記事:UXデザインで欠かせないストーリーボードとは? 設計方法も解説
6.要件定義
これまでの段階で行ったリサーチや分析から仮説を立てて、コンセプトや改善策を立案します。また、目的を達成するために必要なコンテンツや機能などを決定し、開発にかかるスケジュールや費用を策定します。
7.UIデザイン
アプリの構造を設計し、骨格となるワイヤーフレームを作成したら、以下に挙げたような具体的なデザインを行います。
- 文字や写真などのビジュアルデザイン
- キャラクター
- アプリで使う素材の作成
- アプリ全体画面のデザイン
アプリデザインにおいては操作性やわかりやすさが優先されます。構造に過不足はないか、誘導のしかたは最適かなどについて確認しながらデザインすることが重要です。
8.プロダクト開発
ここまでの手順を経てようやく開発段階に入ります。エンジニアやプログラマーが、システム設計やプログラムの開発を行います。
9.プロトタイピング作成
プロトタイプは、モックアップに操作性や機能面など動的な部分を追加した完成品を想定したものです。試作品の時点で、使いにくい部分やイメージと違う部分を検証することで、完成後の修正を減らすことを目的にしています。
関連記事:Webデザインのプロトタイプとは? 作成方法やおすすめツールを紹介
10.ユーザビリティテスト
アプリ開発におけるテストにはいくつかのフェーズがあり、ユーザーテストやABテストの結果といったユーザーも交えたテストも実施します。UI/UXデザイナーはそれらの結果を反映し、アプリデザインのブラッシュアップを行います。
関連記事:UXデザインで必須のユーザーテストとは? やり方とメリットを解説!
11.フィードバック・改善
アプリはユーザーニーズやデザイントレンドの変化が激しい市場です。リリースしたアプリを良い状態に保つためには、フィードバックを受けて改善を繰り返し、機能の追加やデザインの変更を行うなど定期的なアップデートが欠かせません。
成功事例から学ぶアプリ開発におけるUIUXの重要性
続いて、優れたUI/UXのアプリを成功事例としてご紹介します。UI/UXの重要性について理解を深めて自社のアプリを開発する際の参考にしてください。
日立 冷蔵庫コンシェルジュアプリ
「日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ」は、スマホや冷蔵庫カメラで撮影した冷蔵庫内の写真を記録でき、スマホで冷蔵庫内の食材管理をサポートするものです。
買い物中にアプリで冷蔵庫内の食材をチェックすることで、買い忘れや二重購入の防止につながります。スマホ間で共有もできるので、買い物を分担する際にも役立ちます。画像を拡大したり、過去履歴を確認したりすることもできます。そのほか、冷蔵庫のドアの閉め忘れや、賞味期限や消費期限が近づいたことを知らせてくれる機能もあります。
多機能でありながらシンプルでわかりやすいUIと、食材管理をサポートするだけでなくフードロス削減の観点からも優れたUXを提供している点が高く評価されています。
以下のリンクからアプリのデモ体験が可能です。
日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ デモ体験
SHARP スマートコンソールアプリ
SHARPの集中管理システム「SMART CONSOLE」は、複数台のエアコンや空気清浄機の動作状況などを一括で管理可能なクラウドシステムです。
アプリの管理画面は、部屋と機器の状態をひとめで把握し、必要に応じて機器を操作できるよう、わかりやすさと使いやすさを重視したデザインになっています。IT管理者が不在であることを理由に、IoT化対応が課題となっている施設でも活用できるよう配慮されたUIが高く評価されています。
以下のリンクから管理画面や操作画面の一部を閲覧可能です。
参考:SHARP 集中管理システム 「SMART CONSOLE」
長岡花火公式アプリ
「長岡まつり大花火大会」は、毎年8月に新潟県長岡市で信濃川の両岸を観覧席として開催される日本屈指の花火大会です。「長岡花火公式アプリ」は、この花火大会に参加するユーザーをメインターゲットに、来場者へのおもてなし向上や情報発信力の強化などを目的として開発されました。
具体的には、花火のプログラムやトイレの場所などの情報発信をアナログからデジタルへシフト。花火大会特有のイベント連動性のほか、会場の暗さやネットワーク環境の不安定さといった利用シーンなども考慮したUI/UX設計になっている点も特徴です。また、花火会場と一体感を醸成する七色に変化するライトなど、来場者により彩りある思い出を作ってもらうための機能も設計されています。
このような優れたUI/UXデザインにより、大会当日の利用率90%超えの快挙を遂げています。
参考:長岡花火 公式アプリ
au PAY アプリ
「au PAY アプリ」は、ポイントや電子マネーの残高や利用の管理のほか、銀行、クレジットカード、投資信託、保険へのアクセスもこのアプリひとつで行える点が特徴です。また、au PAY残高にアプリでチャージして、コード決済やネット支払い、請求書払い、QUICPay、プリペイドカードなど、さまざまな決済方法で支払うこともできます。
このように多機能でありながら、利用ログやユーザーからのフィードバックをもとに情報設計を行い、直感的に操作できるUIデザインとUXの設計が高く評価されています。
参考:au PAY アプリ
さとふるアプリdeワンストップ申請
「さとふるアプリdeワンストップ申請」は、アプリとマイナンバーカードを活用してワンストップ特例制度の申請をオンライン上で行えるサービスです。ふるさと納税ワンストップ特例の申請にかかる寄付者と自治体の両方の手間を削減できるとあって、2022年にサービスを開始し850以上の自治体が導入、同年には163万件以上の申請に利用されました。
アプリのデザインは「寄付者が迷わないUI」を目標に掲げ、ユーザーへのインタビューなども実施して情報設計を行い、外部サイトへ画面が切り替わらず、申請完了までの画面遷移数を可能な限り抑えてユーザビリティを向上。その結果、サービスに関するアンケートでは、利用者の99%以上が「今後も利用したい」と回答する良いUXを提供しています。
アプリ開発のUI/UXデザインを外注するメリット・デメリットと費用相場
アプリ開発のUI/UXデザインを外注する場合の依頼先は、主に以下の2つです。
- 制作会社
- フリーランス
それぞれに依頼するメリット・デメリット・費用相場をまとめると以下の通りです。
|
制作会社 | フリーランス |
---|---|---|
メリット |
・一定のクオリティが担保される ・サポートがしっかりしている ・納期遅延や廃業のリスクが比較的低い |
・費用が抑えられる ・稼働が早い ・業務を絞って依頼できる |
デメリット |
・フリーランスと比較して費用が高額となる ・開発期間がかかる場合がある |
・フリーランスによってスキルが異なる ・依頼できる業務内容が限られる ・廃業や納期遅延のおそれがある |
費用相場 | 150~600万円
|
・40万円~/月(フルリモート・週2日稼働) ・80万円~/月(客先常駐・週5日稼働) |
続いて、依頼先を検討する際の考え方や選定ポイントについて、制作会社とフリーランスに分けて説明します。
制作会社
制作会社選びは、アプリ開発の成功を左右するといっても過言ではありません。費用面だけでなく、過去の実績やサポート範囲などを十分に考慮し、信頼できる制作会社を選ぶことが重要です。上流工程からデザイナーが関わる開発会社であれば、よりUI/UXに優れたアプリの開発が期待できます。
UI/UXデザインのみを外注するなら、デザイン制作会社も選択肢に加えると良いでしょう。デザイン会社は知識と経験が豊富なプロのデザイナー集団です。デザイナーだけでなくエンジニアやイラストレーターが在籍しているケースも多く、高い技術と成果が期待できる点はメリットですが、比較的費用が高めな点はデメリットと言えるかもしれません。
フリーランス
規模の小さいアプリなら、フリーランスに依頼するのも一つの手です。クラウドソーシングやSNS、ブログなどを通してフリーランスに依頼することも可能ですが、いずれの方法もスキルと実績のある優秀な人材を見つけるには、結果的に時間とコストがかかる可能性があります。
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関連記事:UI/UXデザインを外注・依頼する方法10ステップ! 費用相場や注意点も解説
UI/UXデザインの依頼におすすめの会社12選!特徴や依頼のコツも含めて解説
アプリ開発のUI/UXデザインをフリーランスに依頼するならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、アプリ開発におけるUI/UXの概要や抑えるべきポイントを詳細に解説しました。また、優れたUI/UXのアプリを成功事例として挙げて説明しているので、UI/UXの重要性について理解を深めて自社のアプリを開発する際の参考にしてください。
アプリ開発におけるUI/UXデザインの主な外注先としては、制作会社とフリーランスの2つが挙げられますが、コストを抑えて効率良く優れたUI/UXのアプリを開発したい場合はフリーランスに依頼するのも一つの手です。
その際、クラウドソーシングやSNS、ブログなどを通してフリーランスへ依頼することも可能ですが、いずれの方法もスキルと実績のある優秀な人材を見つけるには、結果的に時間とコストがかかる可能性があります。
特にアプリのUI/UXデザインは、専門的な知識とスキルを持ったデザイナーでなければ、優れたUI/UXデザインを実現するのは難しいでしょう。
そのため、フリーランスへの依頼を検討している場合は、フリーランス専門のエージェントサービスを利用するのがおすすめです。デザインの知識やスキル、費用相場について熟知した、実績と信頼のあるエージェントサービスに依頼すれば、業界に詳しく安心して任せられるでしょう。
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