この記事では、UIデザイナーの仕事内容や業務の流れ、必要なスキル、使用する主なツールなど、採用する企業側が理解しておきたいポイントを解説します。
また、UIデザイナーを雇用する場合と外注する場合のメリット・デメリットを比較しているので、デザイナー採用や契約形態でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
UIデザイナーとは
UIとは「User Interface(ユーザー・インターフェース)」の略で、プロダクトやサービスと利用者の接点を意味します。
代表的なUIには主に以下のような種類があります。
種類 | 特徴 | 具体例 |
---|---|---|
CUI(キャラクター・ユーザー・インターフェース) | ・ユーザーがキーボードからコマンドを入力し、画像やアイコンを使用せず文字のみで操作する。 ・シンプルな操作性や、メモリなどのリソースの消費が少ないといった点がメリット。 | ・Windowsのコマンドプロンプト ・macOSのターミナル |
GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース) | ・画像やアイコン、ボタンなど、グラフィカルな要素を活用して操作する。 ・視覚的にわかりやすく、直感的な操作が可能な点がメリット。 | ・スマートフォンやパソコンのホーム画面 |
WUI(ウェブ・ユーザー・インターフェース) | ソフトウェアのインターフェースとして、既存のWebブラウザを用いること。または既存のアプリケーションのWeb版のインターフェースを指す。Webブラウザがあれば利用可能な点がメリット。 | ・Webアプリケーションの操作画面 |
このほか、SiriやAmazon Alexaなどの音声で操作できる「VUI(ボイス・ユーザー・インターフェース)」や、Kinectなどのタッチ操作やジェスチャー入力による「NUI(ナチュラル・ユーザー・インターフェース)」をはじめ、IT技術の進歩と共にUIの種類も増えています。
UIデザイナーとは、ユーザーがプロダクトやサービスに触れる際の見やすさ・わかりやすさ・使いやすさを意識して、UI要素をデザインしUIを設計する仕事です。
UI要素とはWebサービスやアプリを構成するオブジェクトのことです。以下に基本的なUI要素から一部を例としてご紹介します。
名前 | 特徴 |
---|---|
Accordion(アコーディオン) | クリックすることでコンテンツを開閉できるパネル。 |
Bento Menu(ベントウメニュー) | クリックすることでコンテンツを開閉できるパネル。 |
Breadcrumb(パンくずリスト) | サイト内におけるユーザーの位置を示すナビゲーション要素。 |
Button(ボタン) | クリックすると特定のアクションを実行することを伝えるラベル付きのパーツ。 |
Card(カード) | 視覚的一貫性を保つのに適した、小さな長方形のモジュールで異なる情報を表示するインターフェース。 |
Carousel(カルーセル) | 画像やカードを左右にスライド表示させるコンポーネント。 |
Checkbox(チェックボックス) | ユーザーがオプションを選択するための小さなボックス。 |
Comment(コメント) | ユーザーが入力した内容を表示する要素。 |
Döner Menu (ドネルメニュー) | 異なる長さの線が積み重ねられた、ハンバーガーメニューの変形。 |
Dropdown(ドロップダウン) | クリックすると複数の選択肢が表示されるコンポーネント。 |
Form Field(フォームフィールド) | ユーザーがテキスト入力、選択、アップロードなどを行うための領域。 |
Radio Button(ラジオボタン) | 複数の選択肢の中から1つを選択するための円形のボタン。 |
Progress Bar(プログレスバー ) | タスクの進捗状況を視覚的に示すバー。 |
Search Field(サーチフィールド) | 検索したい情報を入力するフィールド。 |
UXデザイナーやWebデザイナーとの違い
ここで、違いのわかりにくいUIデザイナーとUXデザイナー、Webデザイナーについて以下の表にまとめました。
職種 | 仕事内容 | 目的 |
---|---|---|
UIデザイナー | ユーザーとプロダクト・サービスの接点となるUI要素をデザインしUIを設計する。 | ユーザーの見やすさ・分かりやすさ |
UXデザイナー | ユーザーがプロダクト・サービスを使用して得られる体験をデザインする。 | ユーザーの利便性や快適性 |
Webデザイナー | WebサイトやWebサービスのビジュアルをデザインする。 | クライアントの課題解決や目標達成 |
このようにUIデザイナーとUXデザイナー、Webデザイナーは、デザイン制作においてそれぞれ仕事内容と目的が異なります。UIデザイナーを含めてこれらの職種の採用を成功させるには、まずは3つの職種の違いを理解したうえで、自社のニーズに合った採用要件を設定することが重要です。
関連記事:UXデザイナーとは? 仕事内容やスキルについても解説
UXデザイナーに必要なスキルとは?主な仕事内容や作業環境を解説
UIデザイナーの仕事内容と業務の流れ
ここからは、UIデザイナーについて理解を深めるために、仕事内容と業務の流れをさらに詳しく見ていきましょう。
以下は、アメリカのUXデザイナーであるジェシー・ジェイムス・ギャレット氏が提唱した「UXデザインの基本プロセス」を示す図です。UXに関わる要素は「Strategy(戦略)」「Scope(要件)」「Structure(構造)」「Skeleton(骨格)」「Surface(表層)」の5段階に分類され、各段階での作業が明確に定義されています。
「UXデザインの基本プロセス」では、「Strategy(戦略)」「Scope(要件)」で検討し、「Structure(構造)」で行った情報設計を主軸に、「Skeleton(骨格)」でさらに深堀りし、「Surface(表層)」につなげます。UIデザイナーの主な仕事内容は、最後のフェーズである「Surface(表層)」の部分です。この「Surface(表層)」の段階に至って初めてUIデザインを設計します。
続いて、UIデザイナーの業務の流れをご説明します。一般的には以下の5つのプロセスで行われます。
- クライアントやプロジェクトチームとミーティングを行い、プロダクトやサービスへの理解を深めて、UIの方向性を決定する。
- 情報を収集してリサーチやテストのデータを分析し、ユーザーニーズを把握する。
- ユーザーの操作性や成果を意識して効果的なUIを設計する。
- テスト運用を実施して完成。
- リリース後は定期的に見直し・修正を行う。
以下の記事では、効果的なUIデザインを設計するためのポイントやUIデザインのトレンドなど、事例を交えて詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事:UIデザインを設計するポイントは?重要性や考え方を実例とともに解説
UIデザイナーに求められるスキルと知識
UIデザインに必要な知識とスキルは以下の通りです。
- デザイン全般に関する知識
- デザインツールを活用するスキル
- マーケティング全般に関する知識
- 情報収集力・データ分析力・論理的思考力
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーション能力
それぞれ詳しく解説します。
1.デザイン全般に関する知識
UIのビジュアルデザインを制作するためには、基礎的なグラフィックデザインを含むデザイン全般に関する知識とスキルが求められます。加えて、ユーザーが直感的に操作できるUIを構築するためには、ユーザビリティに関する知識も必要です。
関連記事:ユーザビリティとは?効果的な改善を行うための5つのポイントとサイト事例を紹介!
2.デザインツールを活用するスキル
UI要素をデザインするためにツールを活用するスキルは必要不可欠です。Adobe IllustratorやPhotoshopといった定番のデザインツールのほか、FigmaやAdobe XD、SketchといったUIデザインツールを使いこなせるデザイナーを採用すれば、作業効率の向上が期待できるでしょう。
関連記事:デザインツールの種類とは?最新トレンドや案件獲得におすすめのツールを紹介
3.マーケティング全般に関する知識
UIデザイナーは、ワイヤーフレームをもとにユーザビリティを重視したUIを設計します。そのため、マーケティング戦略や競合分析、ユーザー行動の理解など、マーケティング全般に関する知識も求められます。
4.情報収集力・データ分析力・論理的思考力
進化のスピードが速いIT・デザイン業界では、デザインのトレンドや新しい手法などキャッチアップする情報収集力が求められます。また、ユーザーの行動データを分析し、改善点を特定するための論理的思考力も重要です。
5.コミュニケーション能力
UIデザインにはプロジェクトチームとのコミュニケーションが欠かせません。要件の理解やデザインの説明のほか、フィードバックを受け入れる際も、思いや考えを言語化し、相互理解を深められるスキルがあれば、認識齟齬を生むことなく、スムーズな進行が可能です。
6.プレゼンテーション能力
プレゼンテーション能力に秀でたデザイナーであれば、ビジネスとユーザーのニーズを理解し、デザインの意図や価値を的確に伝えることができます。それによりクライアントやチームの信頼を獲得でき、ひいてはプロジェクトの成功につながることが期待できます。
関連記事:UIデザイナーに必要なスキルとは?UXデザイナーとの違いも紹介
上述の通り、UIデザイナーにはさまざまなスキルや知識、能力が求められます。そのため採用にあたっては、職務内容・責任範囲・必要スキル・求める成果などを定義したジョブディスクリプションを作成して活用することをおすすめします。採用時のミスマッチの防止につながり、人事評価もスムーズになります。
以下の資料では、ジョブディスクリプションの作成方法をテンプレート付きで解説しています。無料でダウンロードできますので、ジョブ型の採用活動にぜひお役立てください。
UIデザイナーが使用する主なツール
UIデザインに特化したツールは、従来のIllustratorやPhotoshopなどを使用するよりも効率的に作業を進められるよう設計されています。ここで、多くのUIデザイナーに使用されている人気のUIツールを4つご紹介します。
- Figma
- Adobe XD
- Sketch
- Framer
それぞれ詳しく解説します。
1.Figma
Figmaはチームでの共同作業に優れており、場所を選ばずにブラウザ上でいつでも作業でき、動作が軽く、複数名で同時に共同編集が可能といった多くの特長を備えています。そのうえ基本的な機能が無料で使えるため、コスト抑制と作業効率化の料率が可能です。また、FigmaはAdobe製品との親和性が高いだけでなく、SlackやMicrosoft Teamsなどのツールとも接続してコラボレーションすることが可能です。
参考:Figma
2.Adobe XD
単体プランの販売を終了しメンテナンスモードに移行していますが、ほかのAdobe製品との親和性が高く、連携して作業を進められます。豊富なUIキットにより工数を削減できる点や、コメント機能によりフィードバックを確認しやすい点が特長です。
3.Sketch
コラボレーション機能によりデザインの共有が簡単に行えるほか、デバイス上でデザインがどのように表示されるか迅速に実機で確認できる点が特長です。ただし、Windowsに対応しておらず、Adobe製品との互換性が限定的な点がデメリットとして挙げられます。
参考:Sketch
4.Framer
コードベースでデザインを作成するツールで、他のUIデザインツールより表現の幅が広い点と、作成したデザインをそのままWebサイトとして公開できる機能が特長です。ブラウザ上で動作するweb版もあり、リアルタイムに共同編集ができます。
参考:Framer
UIデザイナーのスキルを証明する資格
UIデザイナーになるために必要な資格はありません。しかし、採用側がデザイナーのスキルを見極める際に役立つ資格があります。ここからは、UIデザイナーのスキルの証明となる5つの資格をご紹介していきます。
- ウェブデザイン技能検定
- Webクリエイター能力認定試験
- アドビ認定プロフェッショナル
- 人間中心設計専門家 資格認定試験
- ユニバーサルデザインコーディネーター認定試験
それぞれ詳しく解説します。
1.ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、国家検定制度である技能検定制度の一つです。試験は実技および学科試験で実施され、関連国際標準規格等に基づきウェブデザインに関する知識・技能、実務能力などが問われます。
参考:ウェブデザイン技能検定
2.Webクリエイター能力認定試験
WWWで利用される技術の世界的な標準化を図るW3Cに完全準拠したスキルを測定する認定試験です。CSSによるレイアウト指定を重視した試験や、デザインカンプを用いた出題により、現場の実情に即した実践的スキルを証明することができます。
3.アドビ認定プロフェッショナル
Adobe Creative Cloud 2021/2022/2023に対応する資格試験です。試験科目はアプリケーションごとに独立しており、資格は科目ごとに認定されます。アイデアを具体的に作りこんでいくときに必要なアドビ製品に関する知識とスキルを証明できます。
4.人間中心設計専門家 資格認定試験
人間中心設計推進機構による人間中心設計に関する専門家認定制度です。「人間中心設計専門家(認定HCD専門家)」「人間中心設計スペシャリスト(認定HCDスペシャリスト)」の2つの資格があり、共通して人間中心設計専門家としての能力を実証するために携わったプロジェクトが3件以上あることが要件となっています。また、「人間中心設計専門家(認定HCD専門家)」は5年以上、「人間中心設計スペシャリスト(認定HCDスペシャリスト)」は3年以上の実務経験年数が必要です。
5.ユニバーサルデザインコーディネーター認定試験
ユニバーサルデザインの視点で、商品づくりや印刷物、施設、サービス、接客などを効果的に改善する知識・スキルを証明する資格です。ユニバーサルデザインコーディネーター教育プログラムを修了した上で、検定試験ではプログラムで習得した知識やスキルを業務に取り入れ、活用する能力が求められます。
参考:ユニバーサルデザインコーディネーターコーディネーター教育&試験
UIデザイナーの年収は?雇用する場合と外注する場合のメリット・デメリット比較
求人ボックスの2024年のデータでは、UIデザイナーの平均年収は約594万円とされています。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均給与は523万円であり、UIデザイナーの年収は平均より高いことがわかります。雇用すると給与のほかに社会保険料や福利厚生費などもかかるため、UIデザイナー1人当たりにかかる人件費はさらにふくらみ、他の職種の社員と比較して高額になるでしょう。
そのため、コストを抑えて効率良く優れたUIのサービスを開発したい場合は、フリーランスに外注することをおすすめします。理由は、外注費であれば経費に算入でき、仕入税額控除の適用を受けられるためと、人件費を抑制でき社会保険料の負担がないためです。
ただし、雇用契約の社員と比較するとコミュニケーションが少ない傾向にあり、社内にノウハウを蓄積しにくい点や、成果物の質がコントロールしにくい点がデメリットです。
これらの点を含めて、UIデザイナーを雇用する場合と外注する場合のメリット・デメリットを表にまとめると以下のようになります。
雇用 | 外注 | |
雇用形態 | 雇用契約 | 業務委託契約 |
メリット | ・成果物のコントロールがしやすい。 ・社内にノウハウを蓄積できる。 | ・社内の状況に応じて専門家のリソースを柔軟に借りられ、優れたUIのサービスを効率良く開発できる。 ・人件費が発生せず外注費として計上できる。 |
デメリット | ・人件費がかかる。 ・繁閑差や雇用ミスマッチが発生した場合でも一方的に解雇することは難しい。 ・スキルやノウハウがない場合は対応できない。 | ・外注先や依頼の仕方によって質が左右される。 ・社内にノウハウが蓄積されにくい。 |
出典:求人ボックス
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
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関連記事:UI/UXデザインを外注・依頼する方法10ステップ! 費用相場や注意点も解説
UI/UXデザインの依頼におすすめの会社12選!特徴や依頼のコツも含めて解説
スキルと実績のあるUIデザイナーを採用するならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、UIデザイナーの仕事内容や業務の流れ、必要なスキルや知識、使用する主なツールなど、採用する企業側が理解しておきたいポイントを詳細に解説しました。UIデザイナーの採用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
UIデザイナーを雇用する場合と外注する場合は双方にメリット・デメリットがありますが、コストを抑えて効率良く優れたUIを開発したいなら、フリーランスへの外注するのも一つの手です。その際、クラウドソーシングやSNS、ブログなどを通してフリーランスへ依頼することも可能ですが、いずれの方法もスキルと実績のある優秀な人材を見つけるには、結果的に時間とコストがかかる可能性があります。
そのため、フリーランスへの依頼を検討している場合は、フリーランス専門のエージェントサービスを利用するのがおすすめです。デザインの知識やスキル、費用相場について熟知した、実績と信頼のあるエージェントサービスに依頼すれば、業界に詳しく安心して任せられるでしょう。
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