UXデザインでは欠かせないと言われるストーリーボードですが、どのように活用したら良いのか分からないといった人も多いでしょう。
この記事では、ストーリーボードの活用方法やメリットから作成手順まで詳細に解説します。ぜひ参考にしてください。
UXデザインにおけるストーリーボードとは
ストーリーボードは、ウォルト・ディズニー・スタジオのストーリー会議で、アニメーターが描いた膨大な数のデッサンを、大きなコルクボードにストーリー順にして画鋲で留めたことに始まると言われています。
以来アニメーションの世界では、ストーリーだけでなく、さまざまなアイデアや要素を整理し、チームメンバーが映画の世界観を共有するための設計図として、重要な役割を担っています。
この手法を取り入れて、対象となるWebサービスや製品を通じたユーザー体験を、ストーリーとしてイラストや画像で可視化する手法が、UXデザインおけるストーリーボードです。
ストーリーボードの活用方法とメリット
UXデザインでストーリーボードを活用するタイミングと、利用することで得られるメリットは以下の3つです。
- 抽象的なアイデアを具体化してメンバーと共有できる
- プレゼンでユーザーシナリオを端的に伝えられる
- ユーザーテストで被験者にわかりやすく説明できる
それぞれについて説明します。
1. 抽象的なアイデアを具体化してメンバーと共有できる
初期段階の抽象的なアイデアをストーリーボードの手法を用いて整理し、可視化することで、チームメンバーに具体的なイメージを共有することができます。
これにより、チーム内でアイデアを評価しやすくなる点がメリットです。
また、改善後に課題が解決しているか検証する際に、チーム内で誤解や解釈のばらつきによるブレが生じるリスクを減らせます。
2. プレゼンでユーザーシナリオを端的に伝えられる
抽象的な言葉より具体例を用いて説明した方が理解を得られやすいように、プレゼンで説明が冗長になるのを防ぎ、ユーザーシナリオを端的に伝えられます。
ユーザーシナリオとは、ユーザーが対象のプロダクトを知り、目的を達成するまでの仮説を表現したものを指します。
関係者がストーリーボードでユーザーシナリオを明確にイメージできれば、支持を得やすくなるでしょう。
また、プロジェクトの進行後に、社内外で認識に齟齬が生じるといったリスクを減らすためにも有効です。
3. ユーザーテストで被験者にわかりやすく説明できる
社内外の関係者だけでなく、ユーザーテストなどで被験者に対象となるプロダクトを通じたユーザー体験を説明する際にも役立ちます。
想定する利用シーンが具体的にイメージできるストーリーボードや資料があれば、プロトタイプを作成する前でもユーザーテストを実施できます。
関連記事:UXデザインで必須のユーザーテストとは? やり方とメリットを解説!
ストーリーボードの作成手順5ステップ
ストーリーボードを作成する際の基本の手順は、以下の5ステップです。
- ステップ1. 現状を分析する
- ステップ2. 解決すべき課題を定義する
- ステップ3. ユーザーにとって最高の体験を発想する
- ステップ4. ストーリーの構成を決める
- ステップ5. ストーリーの構成要素を書く
それぞれについて説明します。
ステップ1. 現状を分析する
アイデア段階でも推測ではなく、明確な事実に基づいていることが重要です。
アンケートやインタビューといったリサーチを実施し、課題の根拠として信頼度の高いデータを収集しましょう。
関連記事:UXリサーチとは? 具体的な手法やポイント、事例を解説
ステップ2.解決すべき課題を定義する
リサーチ結果に基づいてデータを分析し、ユーザーの現状と課題を整理して、解決すべき課題を定義します。
この解決すべき課題が、ユーザーシナリオの起点となります。
ステップ3. ユーザーにとって最高の体験を発想する
ユーザーシナリオを明確にイメージできるようにするために、ペルソナは実在するかのようなリアルな人物像を設定することが重要です。
そのうえで、ステップ2で定義した課題に対して、ユーザーにとって最高の体験とはどういったものかを検討しましょう。
ステップ4. ストーリーの構成を決める
ストーリーボードでは、1つのボードに1つのユースケースとユーザージャーニーを表現します。
ユースケースとは対象のプロダクトの使用例で、ユーザージャーニーとはユーザーが対象のプロダクトを知り、目的を達成するまでの一連の流れを表したものです。
1つのボードに対して、多くの場合4~6コマ形式で構成されています。
例えば、4コマ形式のストーリーボードの場合、以下のような構成で展開します。
ステップ5. ストーリーの構成要素を書く
ストーリーの構成を決めたら、各コマのストーリーの構成要素をテキストで書き起こしましょう。
ストーリーの構成要素とは、主に以下の3つです。
- ナレーション
- セリフ
- イラスト
このとき、対象となるプロダクトではなくあくまでもペルソナの体験にフォーカスして、具体的なエピソードやユーザー心理の変化を、ナレーションやセリフといった形でテキスト化することがポイントです。
次に、書き起こしたテキストに基づいて、各コマをイラスト化しましょう。
イラストは上手く描く必要はありませんが、ペルソナの心の動きを読み取れる表情となっているかがポイントです。
イラストを仕上げてナレーションやセリフを入れたら、最後に全体を通して違和感のあるところはないかをチェックすれば完成です。
ストーリーボードを作成する際の注意点
ストーリーボードを作成する際に注意すべき点は、主に以下の2つです。
- アイデア段階で具体的なUIや解決方法は入れない
- シナリオを吟味しテキストが冗長にならないようにする
それぞれについて詳しく説明します。
1. アイデア段階で具体的なUIや解決方法は入れない
ストーリーボードは初期段階の抽象的なアイデアを整理し、可視化することを目的としています。
そのため、この段階で対象となるプロダクトの具体的なUIや解決方法に触れる必要はありません。
あくまでもペルソナの体験にフォーカスして、ユーザーの視点で考え表現するよう心掛けましょう。
2. シナリオを吟味しテキストが冗長にならないようにする
ストーリーの構成要素を書き出す際は、シナリオを吟味し、テキストが冗長にならないよう注意が必要です。
ストーリーが長くなったり、1コマに入れるナレーションやセリフが多すぎたりすると、ユーザーシナリオを端的に伝えられません。
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本記事では、ストーリーボードの活用方法やメリットから作成手順について、詳細に解説しました。
ストーリーボードを作成することで、開発初期の抽象的なアイデアを具体化してメンバーと共有できたり、プレゼンでユーザーシナリオを端的に伝えられたりといったメリットがあります。
また、ユーザーテストなどのリサーチで、被験者をはじめとする第三者にアイデアを説明する際にも役立ちます。
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