サービスデザイナーとは、実際にビジュアルデザインを制作するのではなく、顧客が抱える問題や課題を洞察し、解決するサービスをデザインする仕事です。
サービスデザイナーは、近年のDXやデジタル化が進むビジネス界に欠かせない職務として、採用市場でも注目を浴びています。
しかし「サービスデザイナーって具体的に何をするのか」や「どうやって採用したらよいのか」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、サービスデザイナーの主な役割と仕事内容、必要なスキルや採用のポイントなどを徹底解説します。年収相場や他社の求人事例もご紹介しますので、ぜひ貴社の採用活動にお役立てください。
サービスデザイナーとは?役割や仕事内容を解説
サービスデザイナーとは、プロダクトを作るデザイナーではなく、プロダクトを使う人の体験を作るのが仕事です。
業務のDX化が推進されていますが、日本ではDXスキルをもつ人材の確保が遅れています。ビジネスパーソンに必要なリテラシーやスキルをもつ人材の定義として「DX推進スキル標準」が定められました。
▲出典:IPA独立行政法人情報処理推進機構「DX推進スキル標準(DSS-P)概要」
サービスデザイナーは、企業のDX化に欠かせない5つの人材類型に含まれています。同じデザイナーにはUX/UIデザイナーやグラフィックデザイナーも含まれます。
関連記事:サービスデザインとは?目的や重要性、手法と事例も解説
サービスデザイナーの役割
サービスデザイナーの役割について、仕事の流れをベースに解説します。
顧客・ユーザー視点でのアプローチ
経済産業省『デザイン政策ハンドブック2020』によると、デザイナーの役割は人を起点とする問題解決の手段へと変化しています。
サービスデザイナーも顧客・ユーザー視点でのアプローチが重視されています。
ユーザーニーズを深堀りするために、データサイエンティストの調査結果をもとにビジネスアーキテクトと協働して、アイデアを検討します。
プロダクトが企業視点になっていないかを検討し、ユーザー視点で進められるように導いていく役割を担っています。
関連記事:カスタマージャーニーマップの作り方4ステップ|作成するメリットや注意点、成功事例も紹介
ビジネスモデルの策定
サービスデザイナーはプロダクトのビジネスモデルやコンセプトを策定し、事業戦略とずれがないように整合させていく役割を担っています。
ずれがないかを確認する際に役立つのがビジネスモデルキャンバスです。コスト構造や収益モデルなどを1枚のキャンバスにまとめることで、ビジネスモデルのアイデアを出しやすくなります。
たくさんのアイデアから、バリュープロポジションを定義します。バリュープロポジションとは、自社だけが提供できる顧客が求めている価値のことです。
独自性が高く、他社との明確な差別化ポイントとなるため、今後のアプローチ方法に影響します。
この価値が持続可能なものなのか、事業戦略と整合させてから、プロジェクトの方向性を定めます。
ユーザー体験の設計
サービスデザイナーは、ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップを作成してユーザー体験を設計する役割があります。ペルソナとは、ターゲットユーザーを具体的な人物像に描写したものです。
ペルソナがプロダクトとどのように関わるのか、カスタマージャーニーマップを作成します。ユーザーのサービスとの接点を把握したら、つぎはサービスブループリントを作成して、企業側とユーザーの双方の動きを時系列で表現します。
ここで企業側は、ユーザーが満足するサービスを提供しているかどうかがわかるのです。サービスの改善点や課題を発見し、より良い体験を提供できるようにユーザー体験を設計しなおします。
関連記事:UXデザインに欠かせないペルソナ設計の方法は?注意点や活用方法も解説
プロトタイピングと評価
サービスデザイナーはプロトタイプを作成して、ユーザーからのフィードバックをもとに改善を図ります。
最初から本格的なプロトタイプを作成すると修正や改善に時間がかかるため、まずは紙などかんたんなもので作成します。
ユーザーに実際に使ってもらう方法もあれば、A/Bテストを通して課題を見つける方法もあります。サービスにあわせて、より良いフィードバックが得られる方法を見極めて評価するのです。
このようにサービスデザイナーは、新しいユーザー体験の提供や改善のためにさまざまな役割を持っています。
サービスデザイナーを採用したいなら、ジョブディスクリプションを作成して求める役割の明確化が必要です。募集時に求めるスキルや経歴などを提示することで、ターゲットへの訴求力がアップします。
以下よりジョブディスクリプションの作成ガイドを無料でダウンロードいただけます。サービスデザイナーの採用にぜひお役立てください。
サービスデザイナーの仕事内容
サービスデザイナーは、サービスを利用するユーザーの体験を作るため、新規事業の開拓と既存事業の改善でアプローチが異なります。具体的なアプローチについて解説します。
新規事業のアイデアを提案
サービスデザイナーは新規事業を立ち上げるために、ユーザーリサーチをもとに具体的なサービスモデルを検討します。
プロトタイプで検証をして、具体的なサービスモデルを構築していきます。
ブレインストーミングやビジネスモデルキャンバスを活用して、アイデアを創出してプロトタイプを作成。ユーザーテストで得たフィードバックを反映して改良を重ね、ビジネスプランを策定し経営層に提案を行います。
既存事業の課題解決に向けた提案
既存事業はすでに利用しているユーザーがいるため、ユーザーインタビューなど具体的なフィードバックを得ることができます。
サービスデザイナーは既存事業の課題を解決するため、ユーザーインタビューやカスタマージャーニーマップなどでユーザーの潜在ニーズを深堀します。
この調査・分析で既存事業の課題を特定し、調査結果をクライアントと共有。
ワークショップなどで具体化した解決策をもとにプロトタイプを作成し、検証と改善を通して実際にリリースするための計画を立てます。
サービスデザイナーに必要なスキル7つ
サービスデザイナーは、ユーザー体験を検討するためにさまざまなスキルが求められます。具体的に必要とされるスキルについて解説します。
1.デザイン思考力
デザイン思考力とは、デザイナーのもつ考え方を活用し、課題解決を図るための思考法を指します。
新しい価値の発見につながるこの思考法は、ユーザーの潜在的なニーズから既存事業の課題を発見し、解決するのに役立ちます。
デザイン思考力を測るものとして『デザイン思考検定』と『デザイン思考テスト』があります。多くの企業で評価基準として採用されており、デザイン思考のスキルを証明します。
関連記事:デザイン思考がDXの現場で重要視される理由|推進させるコツも
2.UXデザインの知識
サービスデザイナーは、ユーザーの体験を作るのが仕事のため、UXの知識は欠かせません。
人間中心設計(HCD)が重視されており、人間の行動原理と心理を理解することでUXの向上に寄与できると考えられています。
UXデザインに関する知識やスキルは、『人間中心設計(HCD)専門家・スペシャリスト』の取得過程で身につけることが可能です。採用時の評価基準として検討してみてください。
3.デザインスキル
デザインスキルをもつサービスデザイナーは、高い表現力とクライアントを引きつける提案力を備えています。
デザインスキルの評価にはポートフォリオが使われることが多いです。作品集以外にも、職務経歴書やプレゼン資料としてとらえることができます。
多角的な視点でとらえることで、デザイン思考力やUI/UXデザインのスキルなど、サービスデザイナーに必要なスキルを評価することが可能です。
関連記事:ポートフォリオの採用基準とは?効率的に採用するための6つの評価ポイント
4.ITデジタルスキル
サービスデザイナーは、国が策定した指針「DX推進スキル標準(DSS-P)」の中心的な役割を担っています。
サービスをデザインするときは、ユーザーニーズ以外に開発の意図も理解したうえでデザインしなければなりません。そのために必要なのがデジタルスキルというわけです。
『Googleアナリティクス』などマーケティングツールや、『figma』などのプロトタイピングツールなど、デジタルツールの操作も、採用時の評価ポイントとなります。
こうしたデジタルスキルの習得に役立つのが『エンベデッドシステムスペシャリスト試験』や『ITストラテジスト試験』、『応用情報技術者試験』です。あくまで目安とはなりますが、取得しているかを確認するのも一つの選択肢でしょう。
5.マネジメントスキル
サービスデザイナーはプロジェクト全体を率いるため、マネジメントスキルは必須です。
スケジュールを管理しつつ、チームメンバーとコミュニケーションを取りながら、プロジェクトを成功に導く能力が求められます。
マネジメントスキルは面接時の質問で見抜くことが可能です。
- 部下の士気を高めるためにどう対応しますか
- チームで意見が割れたときにどう調整しますか?
こうした質問に対する回答から、チームを率いるスキルがあるかを判断できます。
6.マーケティングスキル
サービスデザイナーにおけるマーケティングスキルとは、顧客や市場のニーズを把握し、課題解決のための戦略を立てるためのスキルです。
情報技術を活用して収集したデータを分析し、市場の動向やユーザーの潜在ニーズをもとにマーケティング戦略を立てる必要があります。
こうした深いマーケティングにより、持続可能なサービスのアイデアが生まれるのです。
Webマーケティング関連の資格は多く、資格証明書でもっているスキルや知識を判断できます。
関連記事:マーケティング視点を持つWebデザイナーにサイトデザインを依頼すべき理由とは?メリットを合わせて紹介
7.ビジネススキル
サービスデザインにおけるビジネススキルとは、ユーザー体験の設計とビジネスの目標を達成するために必要なスキルを指します。
そのためには経営視点が欠かせません。経営者は、事業全体の成長を考えて戦略を立てる必要があります。
サービスデザイナーは企業の経営戦略を理解し、企業の戦略目標に沿ったサービスを設計します。ビジネス視点を評価するには、ポートフォリオや面接時の質問に対する回答で判断が可能です。
関連記事:事業成長にデザイナーは必要?経営視点で考えるデザインの役割とは
フリーランスデザイナー専門のエージェントサービスのクロスデザイナーは、マーケティング戦略にもとづいたサービスデザインに対応するデザイナーのご提案が可能です。
マーケティング戦略にもとづいたサービスデザインに対応できるデザイナーが多く登録しています。
以下の無料でダウンロードいただける資料は、クロスデザイナーをご利用いただいた企業の事例集です。サービスデザインの事例を知りたい方はぜひダウンロードしてご利用ください。
サービスデザイナーを採用する際の注意点7つ
サービスデザイナーを採用する際には、以下の注意点を考慮することが重要です。
- コミュニケーション能力の高さ
- 過去の転職理由を確認する
- 自社への貢献ができる能力があるか
- ポートフォリオを評価する
- 社内で合意が得られているか
- 判断基準の優先付けができているか
- 採用体制が整備されているか
それぞれ解説します。
1.コミュニケーション能力の高さ
前述したように、サービスデザイナーは、さまざまな顧客の悩みを解決するためのサービスをデザインする仕事です。
そこでサービスデザイナーには、チームメンバーやクライアント、ステークホルダーと効果的にコミュニケーションを取る能力が求められます。
また、サービスデザイナーは、プロジェクトのビジョンを共有し、アイデアを明確に伝え、フィードバックを受け入れるといった柔軟な思考能力も必要です。
2.過去の転職理由を確認する
サービスデザイナーの候補者となる人材の過去の転職理由を理解することは、その人材が将来的に自社で長く働く可能性を見極める上で重要な要素です。
また、前職での経験が自社の職務にどのように役立つかを評価することもできるため、しっかりと確認する必要があります。
3.自社への貢献ができる能力があるか
サービスデザイナーの採用では、その人材が自社の文化やビジョンに合致し、具体的な価値を提供できるかを見極める必要があります。
これには、候補者の過去の実績やスキルセットを評価することも含まれます。
4.ポートフォリオを評価する
ポートフォリオは、サービスデザイナーの技術力や創造性、問題解決能力を測る上で重要な資料です。
過去の作品を通じて、候補者のデザインプロセスや思考の流れを理解することができるため、必ずポートフォリオの確認と説明を受けるようにしましょう。
5.社内で合意が得られているか
採用プロセスにおいては、社内の関係者全員が求める人材像について合意を形成しておくことが重要です。これにより、採用後のミスマッチや期待のズレを防ぐことができます。
サービスデザイナーは、さまざまな部署で活躍できる可能性があるため、より幅広い関係者からのコンセンサスを得るように心がけましょう。
6.判断基準の優先付けができているか
サービスデザイナーの採用基準には多くの要素がありますが、それら全てが同時に満たされることは稀であり、ほぼないと考えて良いでしょう。
そこで、どの基準を最も重視するかを事前に決定し、優先順位をつけておくことで、効率的な採用決定が可能となります。
7.採用体制が整備されているか
サービスデザイナーの採用プロセスは複雑であるため、専門的な知識が必要なる場合はほとんどです。
そこで、適切な評価基準を設け、必要に応じて外部の専門家の意見を取り入れることで、より良い採用決定が行えるようになるでしょう。
もし初めてサービスデザイナーを採用する場合には、クロスデザイナーをはじめとする、デジタル人材に特化したエージェントを活用して、社内に採用ノウハウを構築するのもおすすめです。
これらの点を踏まえ、サービスデザイナーの採用プロセスを進める際には、候補者のスキルだけでなく、自社の文化や事業戦略に合致するかどうかを慎重に評価することが求められます。また、採用後のオンボーディングやチームへの統合もスムーズに行えるように、適切なサポート体制を整えることも重要です。
サービスデザイナーの年収相場
サービスデザイナーは必ずしもデザイナーからだけキャリアアップしているとは限りません。UI/UXデザイナーやアートディレクターからサービスデザイナーへ転身しているケースもあります。
そのため、年収相場は業界や調査機関で異なるのが特徴です。厚生労働省『jobtag』でサービスデザインと関連の深いUI/UXデザイナーの年収相場を見てみると約550万円とありました。
UI/UXデザイナーは割と新しい職種のため、フリーランスより正規雇用者が多い傾向がありますが、デザイナー全体でみるとフリーランスで活躍している人が多いのです。
スキルアップ目的の転職やフリーランスという職業柄、分野を問わずたくさんの案件に携わっているデザイナーも少なくありません。しかし、さまざまな知識とスキルを持ち合わせた人材を採用するには、それなりにコストがかかります。
以下の資料では、採用コストを削減する方法について解説しています。コストを抑えてハイスキル人材へ業務を委託する方法もまとめました。無料でダウンロードできますので、ぜひお役立てください。
サービスデザイナーの求人事例
サービスデザイナーは採用市場に少ないこともあるため、応募を集めるにはスキルセットに該当する人材をターゲットにする方法があります。他社の求人事例をご紹介しましょう。
コンサルティング会社の求人事例
大手コンサルティング会社でサービスデザイナーの求人がありました。
必須スキル | ・デザインプロセスの実務経験や広範な知識 |
尚可スキル | ・ビジネスレベルの英語コミュニケーションスキル |
制作/開発環境 | Miro、Mural、Microsoft Office、figma、Sketch、Adobe Creative Cloudなど |
製造業や金融業、エンタメなど幅広い業界をリードする大企業をクライアントにもつコンサルティングファームです。サービスデザイナーとして多くの事業に携わることができます。
UI/UXデザイナーでの求人事例
サービスデザインに携わるUI/UXデザイナーの求人がありました。
必須スキル | ・BtoB向けSaaSのデザイン経験 |
尚可スキル | ・コミュニケーション良好な方 |
制作/開発環境 | Adobe XD、Illustrator、Photoshop、Slack |
サービスデザイナーではなく、UI/UXデザイナーで募集をかけることでより幅広い層から応募を集められる可能性があります。求めるスキルを明示しておくことで、サービスデザイナーのスキルセットに該当するデザイナーを採用できるでしょう。
デザイナーは採用市場に少なく、採用が難しいといわれる職種です。専門スキルで活躍しているフリーランスや副業人材を採用することで、貴社の課題が解決する可能性があります。
以下の資料は、クロスデザイナーを利用いただいた企業事例集です。フリーランスデザイナーの採用を検討されている方は、ぜひご覧ください。ダウンロードは無料です。
サービスデザイナーを採用するならクロスデザイナーにおまかせください
サービスデザイナーは事業の成長に欠かせない職種です。国のDX推進に必要な人材として掲げており、これから需要が高まる職種だといえます。
新規事業や既存事業の改善のため、サービスデザイナーを採用したいなら、フリーランスデザイナー専門のエージェントサービスクロスデザイナーにご相談ください。
クロスデザイナーには、通過率5%の審査をクリアした約7,000名のデザイナーが在籍しています。サービスデザイナーやUI/UXデザイナーなど、貴社のご要望に応じた人材のご提案が可能です。
スポット採用や長期契約などご要望にあわせて契約を結ぶことができます。人材のご提案から契約締結後もしっかりとサポートいたしますのでご安心ください。
以下よりクロスデザイナーの【サービス資料】を無料でダウンロードいただけます。即戦力デザイナーをお探しの方は【お問い合わせ】ください。平均1営業日以内にご提案します。
- クロスデザイナーの特徴
- クロスデザイナーに登録しているデザイナー参考例
- 各サービスプラン概要
- 支援実績・お客様の声
Documents