サービスデザインとUXデザインの違いをわかりやすく解説 | フリーランスデザイナー・業務委託採用|クロスデザイナー

サービスデザインとUXデザインの違いをわかりやすく解説

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商品開発や既存事業の改善に取り組む多くの方が、以下のような思いを抱えているのではないでしょうか?

 「顧客のニーズを反映した商品・サービスを創りたい」
「サービスデザインやUXデザインなど似た言葉があり、違いがわからない」

顧客ニーズを反映した商品・サービスを設計するためには、目的に応じてサービスデザインとUXデザインを使い分ける必要があります。

本記事では、サービスデザインとUXデザインの違いや目的に応じた活用方法を紹介します。

サービスデザインとは?

サービスデザインとは、商品やサービスの新たな価値をデザイン思考をもとに顧客視点で創造し、継続して提供できる仕組みを構築することです。

顧客のニーズや期待を理解し、組織が提供する価値を最大化することが目的となります。

そのため、顧客の体験だけでなく、サービスを提供する側のオペレーションや仕組みもデザインの対象となります。

関連記事:デザイン思考とは?概要から活用方法をわかりやすく解説|導入するメリットやフレームワークも紹介

サービスデザイン思考の6原則

サービスデザインには6つの原則があり、これをもとにサービスを設計することでより良い顧客体験の設計が可能です。

経済産業省の資料では書籍『THIS IS SERVICE DESIGN DOING』をもとにサービスデザイン思考の6原則としてあげています。

1. 人間中心
サービスの影響を受けるすべての人のエクスペリエンスを考慮する。

2. 共働敵であること
サービスデザインのプロセスには多様な背景や役割をもつステークホルダーが積極的に関与しなければならない。

3. 反復的であること
サービスデザインは、実装に向けた探索、改善、事件の反復的アプローチである。

4. 連続的であること
サービスは相互に関連する行動の連続として可視化され、統合されなければならない。

5. リアルであること
現実にあるニーズを調査し、現実に根差したアイデアのプロトタイプを作り、形のない価値は物理的またはデジタル的実体をもつものとしてその存在を明らかにする必要がある。

6. ホリスティック(全体的)な視点
サービスはサービス全体、企業全体のすべてのステークホルダーのニーズに持続的に対応するものではなければならない

(引用:経済産業省「我が国におけるサービスデザインの効果的な導入及び実践の在り方に関する調査研究報告書[詳細版]」)

関連記事:サービスデザインとは?目的や重要性、手法と事例も解説

求められている背景・重要性

サービスデザインが求められている背景には、モノ消費からコト消費への消費者行動の変化が影響しています。

  
消費者行動

内容

具体例

モノ消費

所有を重要視する消費者行動

自動車やブランド品の購入

コト消費

体験や経験を重要視する消費者行動

旅行
伝統文化の体験

以前は、所有を価値基準とする「モノ消費」であり、製品の機能や品質を重視した商品開発やマーケティングが主流でした。

しかし近年、商品やサービスの大衆化が進み、必要なモノが手に入るようになった結果、商品の購入だけでは得られない体験や経験に対する消費意欲が高まっています。

結果として、「モノ消費」から「コト消費」に変化し、顧客体験の良し悪しに力点が置かれるようになりました。

 こうした消費者行動の変化により、商品やサービスの顧客体験を含めて一貫した商品開発を行うサービスデザインの重要性が増しているといえるでしょう。

(参考:我が国におけるサービスデザインの効果的な導⼊及び実践の在り⽅に関する調査研究報告書[詳細版]

UXデザインとは?

UXデザインのUXとは、「ユーザーエクスペリエンス」の略であり、商品やサービスを利用することで得られる体験を指します。

サービスデザインと同じように、UXデザインの需要も高まっています。

その理由は、コト消費広がりにより、顧客体験が競争優位の構築につながるからです。

実際以下の図のように、世界レベルでUXデザインの市場は拡大傾向にあります。

UXデザインサービス市場が広がりを見せていることを示すグラフ▲出典:ユーザー エクスペリエンス (UX) サービス市場レポートの概要

こうした背景には、スマホの普及があります。

 スマホが普及したことにより、いつでもオンラインで商品やサービスを購入できるようになりました。その結果、顧客から高い評価を得るために、使い勝手など優れたUXの提供を各企業が目指すようになっているのです。

関連記事:UXデザインとは? 基礎解説や具体的な事例を解説

CXデザインとは?

CXデザインとは、顧客がプロダクトと出会う前後からの体験をデザインし、信頼関係を構築することを目的としたデザインのことです。

わかりやすくいうと、広告などで製品を知り、購入・利用、カスタマーサポートに至るまでの体験が含まれます。

顧客のエンゲージメントを高め、企業のファンを育成するためのデザインというわけです。

サービスデザインとUXデザインの違い

サービスデザインとUXデザインはCXを向上させるための役割があり、考え方や対象範囲、プロセスが異なります。

対象範囲

サービスデザインとUXデザインの対象範囲をわかりやすくいうと以下の通りです。

サービスデザイン

UXデザイン

・組織体制づくり
・サービス設計

・サービスを通して得られる体験


サービスデザインでは、顧客体験だけでなく、商品やサービスを提供する企業側の体制も含めた事業全体を設計します。

具体的には、以下のような業務が挙げられます。

  • 各タッチポイントの顧客体験の詳細設計
  • 従業員のオペレーション整備
  • 業務プロセスの可視化
  • 企業風土の醸成

サービスデザインに取り組むことで、組織の生産性向上や効率的な事業運営を期待できるでしょう。

一方、UXデザインは、商品やサービスを通して得られる顧客体験を中心に全体を設計します。

以下のようなものが身近な例として挙げられます。

  • 手軽に24時間モノの売り買いができるメルカリ
  • メールと異なり、会話しているような感覚で使えるLINE
  • 3D技術を活用し、自宅で高精度な体型計測ができるZOZOSUIT

UXデザインは、顧客満足度を向上させたり、競争優位の構築に貢献できることが特徴です。

関連記事:UIUXとは?両者の違いやデザインとの関連をわかりやすく解説

プロセス

サービスデザインとUXデザインのプロセスは、リサーチ、アイディエーション、プロトタイピング、そして実装の4段階に分かれています。

これらのプロセスは、デザイン思考の共感・発見・創造のフレームワークにもとづいて進められます。

プロセス

サービスデザイン

UXデザイン

リサーチ

顧客ニーズ調査
ペルソナ作成

ユーザー調査
ペルソナ作成

アイディエーション

カスタマージャーニーマップを作成

ワイヤーフレームで画面設計

プロトタイピング

試作品を作成・テスト

プロトタイプのテスト

実装

サービスの運用と改善

インターフェースの実装と改善

サービスデザインでは、顧客体験や従業員体験など事業全体に向けた施策を行います。

一方、UXデザインでは、顧客体験に関する施策が中心です。

具体的には、顧客体験に必要である商品・サービスの視覚的要素や操作性のデザイン、機能や仕様などの設計をします。

ストーリーボードやUXハニカムなどといったフレームワークが使われることも多いです。

関連記事:カスタマージャーニーマップの作り方4ステップ|作成するメリットや注意点、成功事例も紹介

サービスデザインの成功事例6選

サービスデザインを活用した成功事例は、以下の6つです。

  1. スターバックス
  2. ライザップ
  3. 日商エレクトロニクス
  4. クックパッド
  5. 千葉銀行
  6. Spotify

事例1. スターバックス

スターバックスのサービスデザインの成功事例▲出典:Our Mission, Promises and Values

サービスデザインを活用した一つ目の成功事例は、スターバックスです。

スターバックスでは、従業員に向けたサービスデザインを行うことで、自律とチームワークによる相互依存性を高める工夫をしています。

具体的には、接客マニュアルを用いず、「ミッション」、「スタースキル」、「カスタマービジョン」の3つの判断軸を設置。さらに、ブランドや店舗への帰属意識を高めたり、従業員同士の水平的管理を導入しました。

こうした取り組みによって、顧客に応じたサービス提供が可能となり、持続的な成長につながっています。

参考:スターバックスの対人サービス・デザイン研究─第四の消費社会を生きる人々のサードプレイスとは─

事例2. ライザップ

ライザップのサービスデザインの成功事例▲出典:プログラム

サービスデザインを活用した二つ目の成功事例は、ライザップです。

 従来型のスポーツジムでは、個人が黙々と筋トレやランニングを行うことが多いため、挫折してしまうユーザーも多くいました。

ライザップでは、顧客の欲求や目標に応えるため、トレーナーと協力して目標達成をサポートするサービスを提供しています。

さらに、専用アプリと連動して生活習慣を見える化することにより、リバウンドしにくい環境も実現。

 顧客体験に焦点を当てながら、アプリ利用とトレーナー指導を組み合わせ、現代のニーズに合致した新たな価値を生み出せたことが、サービスデザインの成功事例といえるでしょう。

参考:ライザップ公式サイト

事例3. 日商エレクトロニクス

日商エレクトロニクスのサービスデザインの成功事例▲出典:8つの事業をワンブランドに統合し、サービスが持つ魅力を最大化

サービスデザインを活用した三つ目の成功事例は、日商エレクトロニクスです。

日商エレクトロニクスでは、事業が8つに分かれていたことで、顧客・従業員の両方に対して、自社のサービスが持つ価値や魅力を伝えきれていませんでした。

そこで、8つの事業を『Natic(ネイティック)』という一つのソリューションに統合。

8つのサービスをひとまとめにデザインすることで、サービスの内容が理解しやすくなりました。結果として顧客への訴求力や、従業員の帰属意識も高まりました。

事例4. クックパッド

クックパッドのUXデザインを活用したサービスデザインの成功事例▲出典:つくれぽの「作者コメント」とは?

UXデザインを活用したサービスデザインの成功事例です。

 クックパッドでは、「毎日の料理を楽しみにする」というミッションのもと、UXデザインを活用した顧客体験の強化に力を入れています。

通常であれば、レシピ検索しかできないアプリの中に、「つくれぽ機能」を搭載。

ユーザー同士で写真やコメントを付けて料理の共有ができることで、ユーザーがレシピを投稿するモチベーションが向上。さらに、レシピを探している方にとっては、つくれぽの数がレシピ決定の参考になっています。

 こうした取り組みによって、クックパッド内にユーザー同士の交流が生まれ、利用率の向上につながっています。

参考:13年続いた「つくれぽ」をリニューアルした話

事例5. 千葉銀行

千葉銀行のUXデザインを活用したサービスデザインの成功事例▲出典:ちばぎんアプリ

千葉銀行では、シンプルなユーザーフローを使ったアプリを活用し、新たな顧客接点作りや「制約が多くて堅苦しいイメージ」を払しょくすることに成功。

 具体的には、リアルタイムで入金を確認できる仕組みや通帳代わりに利用できる機能を搭載し、ユーザーの利便性を高めました。

 その結果、2024年5月時点で100万口座を突破し、顧客満足度も80%と高い評価を受けています。

 参考:「ちばぎんアプリ」累計口座登録数 100 万口座達成について

事例6. Spotify

SpotifyのUXデザインを活用したサービスデザインの成功事例▲出典:Spotifyのリニューアルされたホーム画面を使いこなそう プレビュー機能で「好き」がすぐ見つかる

 音楽ストリーミングサービスである『Spotify』は、UXデザインを活用し、顧客に合わせた最適な音楽体験を提供しています。

 Spotifyのホーム画面には好みや聴き方に合わせたプレイリストが表示。さらに曲の基本情報や歌詞、背景のストーリーを表示させることで、音楽への没入感が高まる工夫もあります。

こうした機能により聴覚だけでなく、視覚からも楽曲やプレイリストの世界観に浸れるようになりました。

サービスデザインの設計ならフリーランスデザイナーを活用しよう

サービスデザインとUXデザインの違いは、顧客体験のみでなく、サービス全体もデザインの対象となるかどうかです。

 顧客や従業員体験を向上させ、、継続的に自社の商品・サービスが選ばれるようにするためにも、サービスデザインに取り組むことがおすすめです。

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クロスデザイナー編集部
記事を書いた人
クロスデザイナー編集部

日本最大級のデザイナー専門エージェントサービス『クロスデザイナー』の編集チーム。複数の現役デザイナーや編集者で構成されている。