サービスデザインの成功事例8選!リリースまでのプロセスとポイントも解説 | フリーランスデザイナー・業務委託採用|クロスデザイナー

サービスデザインの成功事例8選!リリースまでのプロセスとポイントも解説

INDEX

新規事業や既存事業の改善に取り組んでいる方の多くは、サービスデザインという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

とはいえ、サービスデザインに対して、以下のような思いを抱えていませんか?

「サービスデザインを取り入れた企業の事例が知りたい」
「サービスデザインを取り入れたいけれど、具体的な流れがわからない」

 本記事では、サービスデザインを取り入れた8つの事例やサービス開始までの具体的なプロセスを紹介します。

サービスデザインとは

サービスデザインとは商品やサービスの新たな価値を顧客視点で創造し、継続して提供できる仕組みを構築することです。

つまり、使い手の立場に立って、顧客体験とそれを運営する従業員や企業など、サービス全体の設計が求められます。顧客のニーズや期待を理解し組織が提供する価値を最大化することが、サービスデザインの目的となります。

そのため顧客視点だけでなく、サービスを運営・管理する視点にも立ち、商品・サービスを開発する必要があるでしょう。

より詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:サービスデザインとは?目的や重要性、手法と事例も解説

サービスのリリースまでのプロセス

サービスデザインを取り入れた商品・サービスの公開までのプロセスは、以下の表の通りです。

概要

具体的な施策・フレームワーク

1.リサーチ

ユーザーの声や行動データを収集し、顧客の価値観や潜在ニーズを把握する

・ユーザーリサーチ
・カスタマージャーニーマップ作成

2.アイディエーション

リサーチの結果を踏まえ、ユーザーの課題解決や新しい価値を生むために意見を出し合う

・ブレインストーミング

・クレイジー8
・SCAMPER法

3.プロトタイピング

試作品として検証し、課題を洗い出す

・プロトタイプの作成
・ユーザーテスト
・ユーザビリティテスト

4.実装

プロトタイプを本番環境で実装し、生産体制や運用体制を整備する

・運用体制の構築
・サービスブループリント
・フィードバックループ

このように4つの段階がありますが、必ずしもリサーチから順に行う必要はありません。プロセスを往復しながらサービス全体の設計をしましょう。

リサーチ

リサーチとはユーザーの生の声や行動データを収集し、そのインサイトを見つけることです。

ユーザーの価値観やニーズを把握し、新しい仮説を見つけたり、アイディエーションで生まれた仮説の立証が目的となります。

具体的には以下のような施策があります。

  • グループインタビュー
  • ユーザーの体験や行動をその場で観察するシャドーイング
  • ペルソナ分析
  • カスタマージャーニーマップの作成

収集したデータはアイディエーションで仮説を立てる際やプロトタイプを作る際に、ユーザーニーズを反映する上で役立ちます。

さらにリサーチを行うことで需要の有無が測れるため、事業の失敗を未然に防ぐことにもつながるでしょう。

より詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:UXデザインに欠かせないペルソナ設計の方法は? 注意点や活用方法も解説
カスタマージャーニーマップの作り方4ステップ|作成するメリットや注意点、成功事例も紹介

アイディエーション

アイディエーションとはリサーチで収集したデータを基に、ユーザーのニーズに合致した新しい価値や解決策を生み出す工程です。

アイディアの質よりも量を重視し、出たアイディアを分類したり、統合したりすることがポイントとなります。

アイディエーションに使える取り組みには、以下のようなものがあります。

施策名

概要

ブレインストーミング

複数人で付箋を使いながら、アイディアを自由に出し合う

クレイジー8

1つのアイディアから8つの新しい案を出し、匿名で批評・検討する

SCAMPER法

1つのアイディアの代替・修正案を出したり、他のアイディアに統合・応用できたりしないか考える方法。また、発想を逆転させ、新しいアイディアにならないか検討すること。

こうした施策を実施する際は顧客視点だけでなく、サービスを運用・管理する視点も重要です。

そのため社内の人だけでなく、社外のステークホルダーと一緒に取り組みましょう。

また、アイディエーションで新規事業の仮説が定まったら、もう一度リサーチに戻り需要の有無を確認しましょう。

プロトタイピング

プロトタイピングとは試作品を作成し、実装前にアイディアを検証したり、ユーザーからのフィードバックを得たりするフェーズです。

開発の初期段階で課題を見つけられるため、コスト削減にもつながりやすくなります。

具体的には、ユーザーがプロダクトを必要としているか確かめるユーザーテストや、プロダクトが使いやすいか検証するユーザビリティテストを行います。

その結果を踏まえて、実装に移るか、リサーチやアイディエーションに戻るのか判断しましょう。試作品を作成するためには時間やコストがかかるため、必ずリサーチやアイディエーションを経てからプロトタイピングに移ることが重要です。

より詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:サービスデザインとは?目的や重要性、手法と事例も解説

実装

実装するためには生産や運用の体制を整備する必要があるため、サービスの開発の段階で携わっていない部署とも連携することになります。

その際、リサーチからプロトタイピングで得た顧客のインサイトやニーズをそれらの部署にも伝えるようにしましょう。

また、一度リリースしたら終わりではなく、修正を繰り返して顧客満足度を高めていきましょう。

消費者向け/toCサービスのデザイン事例

消費者向けのデザイン事例は以下の2つです。

  • 株式会社セブン銀行
  • 株式会社ダスキン

株式会社セブン銀行

出典:新型ATM(第4世代ATM)

消費者向けサービスの一つ目のデザイン事例は株式会社セブン銀行です。

株式会社セブン銀行は、地域のサービスプラットフォームとして生まれ変わらせることを目指し、利用者にとって安心・安全で使いやすいATMを開発しました。

開発に取り組むにあたって、開発パートナー、決済・運用などのプロジェクトマネージャーを中心とした社内チーム、調査会社の3社による体制を作り、女性だけのデザインチームも設置しました。

それにより、利用中に背後の様子が確認できるミラーや荷物置きなど、男性の視点では気づきにくい女性視点のアイディアを盛り込むことに成功。

さらに、アイディエーションの段階で警備会社など社外のステークホルダーも参画し、ATMの保守・運用に携わる人の使いやすさや利用価値も反映されました。

社内外の多様なステークホルダーを巻き込むことで、顧客もサービスを運営する人も使いやすいATMの開発につながったと言えます。

株式会社ダスキン

出典:モップ&モップクリーナーMuKu - ダスキン

消費者向けサービスの二つ目のデザイン事例は株式会社ダスキンのモップMuKuです。

MuKuとは気負わず楽しく掃除ができるように設計され、インテリアに馴染むデザインのモップです。

MuKuを開発する以前の課題は、掃除用モップやマットのレンタル事業を続けていたものの30代と40代の利用率が上がらないことでした。そこで、調査会社、商品開発チーム、販売チャネルによる新商品の開発体制を構築。

行動観察を用いたリサーチの結果、「時間に追われている」や「決められた時間にモップを手にして掃除することにハードルを感じる」といったユーザーの声が集まりました。

また訪問販売の際に、顧客ニーズを把握するために、ユーザーの価値発見や観察手法に関する社内教育を実施。さらに一般の主婦や子供と一緒にワークショップを行い、生活者起点のアイディアを盛り込むことに成功しました。

こうした取り組みにより、東京の蔦屋家電+で販売・展示され、約12,000人のユーザーの目に触れる商品になりました。

自社の企業文化に磨きをかけることや生活者視点を取り入れる場を設けることで、ユーザーのインサイトを捉えた商品開発に成功したといえるでしょう。

法人向け/toB向けサービスのデザイン事例

法人向けのデザイン事例は以下の2つです。

  • 株式会社セントラルユニ
  • 株式会社Culture Generation Japan

株式会社セントラルユニ

出典:Showroomショールーム

法人向けサービスの一つ目のデザイン事例は、手術室や一般病棟の設計・施工管理を行う株式会社セントラルユニのmashup studioです。

mashup studioとは3Dシミュレーションや実機により、建設関係者や医療従事者と共に医療施設の運用をイメージできるショールーム。

株式会社セントラルユニでは以前から、お客さんとさらに強い関係を築き、社員のモチベーションやスキルを向上させたいという思いを抱えていました。また、エンドユーザーである医療従事者自らが施術する環境を選べないという課題もありました。

そこでmashup studioでは、建設会社、自社、設計事務所で構成されていたプロジェクトチームに医療従事者を招聘。建設会社や設計会社とユーザー視点を共有し、事業パートナーとして良好な関係を築くことに成功しました。

さらに従業員もユーザー視点を理解できたことで、商品案内を通して顧客の意見を積極的に引き出せるようになりました。

エンドユーザーを巻き込むことで、競争優位の構築や従業員の意識改革につながった事例といえるでしょう。

株式会社Culture Generation Japan

出典:CRAFTAL

法人向けサービスの二つ目のデザイン事例は、伝統工芸品の食器のサブスクリプションサービスCRAFTALを運営する株式会社Culture Generation Japanです。

伝統工芸品は単価が高いのが特徴。品質は良いものの、生産者としては高くて売れない、消費者としては購入のハードルが高いものでした。

こうした課題を解決するため、事業開発者、マーケター、バイヤーの3人でCRAFTALを開発。

3ヶ月を費やしたリサーチではニーズを検証するため、レストランオーナーやシェフに対し、サブスクリプションサービスの印象や適切な価格についてヒアリングしました。

結果として、サービス開始から半年でレストラン10店舗、窯元15社と契約しています。

生産者と購入者に直接ヒアリングし、丁寧にリサーチしたことで、双方のニーズを満たすサービスが開発できた事例といえるでしょう。

自治体が提供するサービスのデザイン事例

自治体が提供するサービスのデザイン事例は以下の2つです。

  • 東京都
  • 湯沢市

東京都

自治体が提供するサービスの一つ目のデザイン事例は東京都です。

東京都では、新型コロナウイルスの感染者数を表示するダッシュボードの開発に、市民参加型のシビックテックを活用。

シビックテックとは市民がテクノロジーを活用し、地域の課題解決を目指す取り組みです。

ダッシュボードのシステムはオープンソースとして公開されており、多くの開発者がボランティアでプロジェクトに参画しました。

出典:COVID-19 Japan 新型コロナウイルス対策ダッシュボード

シビックテックやオープンソースを活用したことで、開発は非常に早いスピードで進行。結果としてダッシュボードは他の自治体にも波及し、上記の図のように感染者状況を表示する標準的な仕組みになりました。

ソフトウェア開発に精通した職員を雇い、組織内に適切なリーダーを配置したことで、公共のサービスデザインとして成功したと言えるでしょう。

湯沢市

自治体が提供するサービスの二つ目のデザイン事例は秋田県湯沢市です。

自治体の事務処理は個人情報を取り扱う業務が多く、デジタル化が難航。無理にデジタル化を進めると、かえって事務処理に時間がかかり、不安を感じた住民からのお問い合わせが増えるリスクもありました。

そのため、湯沢市では個人情報を取り扱わない住民への通知やお問い合わせ対応だけの給付金対応システムを開発。

出典:特別定額給付金受付確認LINE Bot作成

図のように、住民と職員両方が利用しやすいLINEやスプレッドシートを活用。3日でプロトタイピングを終え、1週間でサービスを開始しました。

湯沢市の給付金対応システムは、デジタル化できる業務を見つけ、住民や職員が普段使っているサービスを利用したことが成功の要因といえるでしょう。

参考:行政機関におけるサービスデザインの利活用と 優良事例|政府CIOポータル

従業員向けサービスのデザイン事例

従業員向けサービスのデザイン事例は以下の2つです。

  • 鶴巻温泉元湯陣屋
  • Tesco Bank

鶴巻温泉元湯陣屋

出典:陣屋コネクト

従業員向けサービスの一つ目のデザイン事例は、「陣屋コネクト」を開発した鶴巻温泉元湯陣屋です。

鶴巻温泉元湯陣屋は従業員が高齢化しており、業務オペレーションの細分化や顧客管理に課題を抱えていました。

そこで、現場スタッフ、温泉旅館の経営陣、デザイン会社による組織を編成し、課題を解決できるシステムの作成に着手します。

リサーチ段階で、サービスブループリントを活用し、普段のスタッフの端末使用状況やオペレーションを可視化。それを基に顧客情報やスタッフ間での情報共有を一元管理出来るクラウド型ホテル管理システム「陣屋コネクト」を開発。

その結果、きめ細やかなサービスの提供に繋がり、顧客単価の向上や、業務効率化で週休3日制が導入されました。現状や課題を把握している温泉旅館自体が取り組むことで、現場目線のサービス開発につながったといえるでしょう。

Tesco Bank

出典:Tesco Bank

従業員向けサービスの二つ目のデザイン事例は、イギリスの金融サービス企業Tesco Bankです。

年々増えていた顧客からのクレームに対応するため、サービスデザインの専門家も加えた対策プロジェクトチームを発足させました。

まず初めに、クレームの経緯と背景を理解するため、400件の苦情電話の分析や顧客インタビュー、社内のクレーム対応担当者などにヒアリング調査を実施。その後、異なる部署のスタッフとクレーム対応を検討するワークショップを開催し、クレーム管理システムの更新やスタッフの教育プログラムの開発を決定しました。

これらの解決策により、クレーム解決にかかる時間を63%短縮することに成功。

サービスデザインの専門家を中心に、異なる部署を巻き込みながら解決策を導いたことが成功の要因といえるでしょう。

サービスデザインを成功に導くポイント

サービスデザインを成功に導くポサービス全体を俯瞰する

  • PDCAによるブラッシュアップ
  • 経験豊富な制作会社・デザイナーに依頼する

サービス全体を俯瞰する

サービスデザインを成功に導く1つ目のポイントはサービス全体を俯瞰することです。

商品やサービスを設計するうえでは顧客体験だけでなく、サービスの運営側にも焦点をあてる必要があります。

サービス利用者全員のニーズを把握するために、社内の異なる部署や社外のステークホルダーと一緒にアイディエーションを行いましょう。

PDCAによるブラッシュアップ

サービスデザインを成功に導く2つ目のポイントはPDCAによるブラッシュアップです。

商品やサービスはサービスデザインの段階を一回踏めば完成するわけではなく、そのプロセスを往復し、顧客ニーズに合致した商品やサービスに改善する必要があります。

アイディエーションやプロトタイピングの段階で、リサーチを繰り返すなど商品やサービスを開発する段階だけでなく、完成してからも利用者の視点に立って改善していく必要があるでしょう。

経験豊富な制作会社・デザイナーに依頼する

サービスデザインを成功に導く3つ目のポイントは経験豊富な制作会社やデザイナーに依頼することです。特に社内にリソースがない場合、サービスデザインに強みを持った制作会社に依頼するのもおすすめです。

一方で、制作会社に依頼する場合、数十万から数百万の費用がかかります。

コストが気になる場合には、必要な期間だけフリーランスデザイナーに依頼するのもおすすめです。サービスデザインの設計を制作会社よりも少ないコストで任せられます。

ただし、経験やスキルに差があるため、信頼できるフリーランスを見つけるためには慎重な選定が必要です。

サービスデザインの設計ならフリーランスデザイナーを活用しよう

サービスデザインには、リサーチ、アイディエーション、プロトタイピング、実装という4つの段階があります。

4つの段階を往復することで、利用する人のニーズを捉えた商品やサービスを生み出せるでしょう。

成功事例の中には、自社だけでなく社外のステークホルダーや専門家と共同で取り組んだ事例も多くあります。

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クロスデザイナー編集部
記事を書いた人
クロスデザイナー編集部

日本最大級のデザイナー専門エージェントサービス『クロスデザイナー』の編集チーム。複数の現役デザイナーや編集者で構成されている。