採用ペルソナとは、「採用したい具体的な人物像」を指します。
ペルソナを具体的に定めることで、希望の人材から応募してもらう確率を高めたり、採用後も早期離職を防ぐことができたりとメリットが大きいです。
しかし一方で、
「どうやってペルソナを設定するか方法がわからない」
「設定したペルソナを採用活動にどう活かしたら良いかわからない」
と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ペルソナ設定はやり方を間違えると、他社との差別化が行えず、理想的な人材から応募されることは少なくなります。
本記事では、今日から実践できる採用ペルソナの設計方法7ステップを解説します。
記事の最後には5つの注意点まで解説するため、ぜひ最後までご覧ください。
採用活動におけるペルソナ設定とその重要性
「ペルソナ」とはマーケティングにおいて、「商品やサービスを購入する具体的な人物像」を意味する言葉です。年齢や性別、学歴、職業、趣味、住所、家族構成など、仮想の人物として具体的な一人をイメージして作りあげます。
採用活動におけるペルソナとは、「自社が採用したい具体的な人物像」のことです。これは、年齢・職歴・価値観・趣味など、採用案件では書かれない内容までを具体的に作り上げたものです。
採用したい人物像が明確になることで、社内での認識のすり合わせがしやすくなります。また、採用活動では求職者にとってメリットがなければ応募してもらえません。自社が求める人物像がわかることで、訴求するポイントがわかるようになるでしょう。
ペルソナを設定することによって、自社が求める人物像が明確になり、結果的に採用のミスマッチを防ぐことにつながります。
ペルソナとターゲットの違いは?
「ペルソナ」に似ている言葉に「ターゲット」があります。
両方ともマーケティング用語ではありますが、大きな違いは人物像の設定の具体性です。
「ペルソナ」は架空の人物を想定し、具体的な人物像を作り上げていきます。
たとえば、以下がペルソナの設計になります。
・36歳
・男性
・既婚者
・年収550万円(賞与込み)
・転職経験1回
・趣味は映画鑑賞、新作は必ずチェック
・休日の過ごし方は近所の公園をランニングする
・転職活動ツール:Wantedly、リクナビネクスト
それに対し、「ターゲット」は属性で作成します。
・30代後半
・年収500〜600万円
・管理職経験者
・デザイナー
このように、ターゲットは採用要件に近く、スキルや能力などを幅を持たせながら設定します。一方でペルソナは、パーソナリティを持たせて設定します。
ペルソナ設定の重要性
ペルソナを設定の重要性は、ペルソナ設定をしなければ、採用に失敗する可能性が高くなるからです。
ペルソナ設定をしなければ採用に失敗する理由は2つあります。その1つ目は、応募して欲しい人材に魅力的な発信ができないからです。求める人物像が明確にならなければ、「求職者が求める情報」を発信できず、ありがちな情報しか発信できなくなります。他社の情報と差別化できず、自社にマッチしない人材が流入してしまう恐れもあります。
そして2つ目は、社内の認識のズレを生んでしまうからです。たとえば「デザイナーが欲しい」と現場から要望があったとき、デザイナーのなかでも得意分野や、デザイナー歴を明確にしておかないと、社内でスキルを発揮できない人材を採用してしまう恐れがあります。
以上のことから、採用を進めるときはペルソナを具体的に設定して、社内で「どんな人物を採用するのか」共有しておく必要があります。
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採用ペルソナを設定するメリット5つ
採用活動でペルソナ設定するメリットは、主に次の5つが挙げられます。
- 求める人材を採用できる
- 社内で共通認識を持てる
- 採用ミスマッチを防げる
- 採用活動を効率化できる
- 採用マーケティングを戦略的に行える
以下で順番に解説します。
1.求める人材を採用できる
採用ペルソナを明確にすることで、企業が必要とする特定のスキルや経験を持つ候補者を引き寄せることができます。
2.社内で共通認識を持てる
採用ペルソナを設定することで、採用チーム内で求める候補者像についての共通理解が得られ、効率的な採用活動が可能となります。
3.採用ミスマッチを防げる
ペルソナに基づいて採用活動を行うことで、企業と候補者の間の期待のズレを減らし、採用後のミスマッチを防ぐことができます。
4.採用活動を効率化できる
採用ペルソナに基づいた求人広告やスカウト活動を行うことで、不適切な応募が減り、選考プロセスの工数削減につながります。
5.採用マーケティングを戦略的に行える
採用ペルソナを用いることで、ターゲットとする候補者のニーズに合わせたマーケティング活動が可能となり、より効果的な採用が実現します。
これらのメリットを活かして採用ペルソナを設定し、効果的な採用戦略を展開することは、企業にとって大きな利点です。
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採用ペルソナの設計方法7ステップ
採用活動のためのペルソナの設計方法について解説していきます。
ペルソナを作る際は、以下の7ステップで進めていきます。
- 経営層/現場にヒアリングをし、ニーズを洗い出す
- 採用する目的を明確にする
- 求める人物像の要件を決定する
- 要件の優先順位を決める
- ペルソナを設定する
- 設定したペルソナで募集と選考をおこなう
- 採用活動をしながらペルソナを見直す
順に解説します。
1. 経営層・現場にヒアリングをし、ニーズを洗い出す
最初のステップは、経営層と現場それぞれが求める人材の要件を思いつく限り書き出すことです。自社の経営戦略に基づいて「どこの部署に、どういう人材が、何名必要か」と採用計画を立てるためにも、必要とされる職種や部署によって人物像は異なります。
また、スペック面だけでなく、性格や価値観なども書き出していく必要があります。イメージしにくい場合は、自社で活躍している社員をモデルにするとペルソナが設定しやすくなります。
「このスキルを持っている人が欲しい」「できる人材がほしい」となっても、人によって感覚が異なります。経営層や現場に「どのような人材ができる人材なのか」細かくヒアリングしましょう。スキルに関しては、クリエイター職の場合、どのソフトが使えるのか、何年の経験があるのか、なども細かくヒアリングすることをおすすめします。認識を整理することで、ニーズが固まってきます
2. 採用する目的を明確にする
「なぜこの人材が必要なのか」採用目的を明確にしましょう。
「欠員を補充する」が目的だと、同じ業界での経験やスキルなどがペルソナ設計に関わってくるでしょう。しかし「新規事業立ち上げ」が目的だと、プロジェクトに必要な能力などからペルソナを設計する必要があります。
このように、採用の意図によってペルソナは大きく変わります。採用目的を明確にしたうえで、ペルソナを組み立てることが重要です。
3. 求める人物像の要件を決定する
採用の目的が明確になれば、求める人物像の条件を全部書き出していきましょう。ここはペルソナ設計の土台の部分になります。
書き出した条件が「デザイナー」「5年以上の経験」「ソフトを使いこなせる」とあれば、求める人物像をそこに肉付けしていきます。
「デザイナーで5年以上の経験があり、デザイン制作会社を2社経験。PhotoshopやAdobe XDなどのソフトを使いこなしてホームページ制作を行ってきた34歳の男性」などです。さらに家族構成や趣味、休日の過ごし方を加えて、具体的な人物像をイメージできるように持っていきます。
実際に活躍している社員に入社理由や転職を決めた理由を聞くことで、イメージが湧きやすくなります。まずは質よりも量を重視して、たくさんの要件を書き出し、イメージを膨らませていきましょう。
4. 要件の優先順位を決める
書き出したペルソナの要件を経営層や現場のヒアリングと照らし合わせ、ズレがないかを確認した後は、優先順位を決めます。
採用要件は理想が高くなりやすいです。
理想的なペルソナが完成しても、要件全てを満たす人物を確保することは難しいです。優先順位がないと、「どれが重要か分からないため誰も採用できない」ということにもなりかねません。
優先順位は、次の観点で考えていくと良いでしょう。
・年齢、男女、学歴、年収などの属性
・経験、スキル
・価値観や人柄
上記で挙げた要件を「MUST(欠かせない)要件」「WANT(あると望ましい)要件」「NEGATIVE(望ましくない)要件」に分け、優先順位を付けます。
MUST要件は、デザイナーなら使用ソフト、プログラマーなら使用言語、営業ならコミュニケーション能力など募集職種の業務範囲から必須の項目を設定します。
経験や必要な知識によって業務の遂行に大きな差が出ます。また、年収の設定にも大きく関わってくるので、何を欠かせない要件とするかはじっくり見極めましょう。
WANT要件では、あると望ましい条件になります。たとえば、経験年数5年以上が好ましい、などが該当します。入社後に経験や研修で習得可能であるものもWANT要件に振り分けましょう。
NEGATIVE要件では、評価しない点や避けたい点になります。「このような知識やスキルは不要」「こういう価値観の人には入社してほしくない」など具体的に書き出しましょう。
5. ペルソナを設定する
ここまでのステップでペルソナを設計する要素が揃ったので、具体的な一人の人物像が浮かぶようにしていきます。
たとえば、以下のようなイメージになります。
性別 | 男性 |
年齢 | 36歳 |
住居 | 東京都中野区 |
学歴 | A大学情報処理学科卒業 |
家族構成 | 妻・2歳の娘 |
現在の仕事内容 | デザイナー歴10年。デザイン制作会社を2社経験。 |
年収 | 600万円(賞与込み) |
仕事の悩み | ホームページの更新などの仕事がメインとなっており、大きなプロジェクトに関わる機会が減ってきた |
重視する転職条件 | ・プロジェクトメンバーとして関わりたい ・土日祝は休める会社が良い |
保有スキル | Photoshop、Illustrator、figma、Adobe XD |
趣味 | 映画鑑賞 |
性格 | 明るく誰とでも話す。常に周りにも気を配れるタイプ |
ペルソナ設計に一人で取り組むと、無意識にバイアスがかかってしまうおそれがあります。できれば複数人で意見を出し合いながら進めましょう。
6. 設定したペルソナで募集と選考をおこなう
設定したペルソナを募集要件や面接の質問に落とし込んでいきます。ペルソナが明確になることで、求人票に載せるメッセージも魅力度が高く訴求できるでしょう。
また、選考基準が明確になるため、面接官による評価のズレが発生しにくくなります。チェックリストにして事前に決めておくと、スムーズな選考を実現することができます。
7. 採用活動をしながらペルソナを見直す
ペルソナを設定して採用活動を開始しても、思ったような応募が集まらないこともあります。その場合は、理想ばかり追い求めてハードルが高くなっていないかなど、ペルソナの見直しがおすすめです。改めて経営層や現場からヒアリングをするところから始め、ペルソナを設定し直しましょう。
このように一度では上手くはまらないことも多いため、柔軟に調整や修正を行うことが重要です。徐々に精度を高めていきましょう。
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効果が出る採用ペルソナを設定するための5つの注意点
ペルソナを設計するための5つの注意点を解説していきます。
- 自社の魅力を洗い出す
- 社内にペルソナを共有する
- 複数パターンのペルソナを準備する
- ペルソナを細かく設定しすぎない
- ペルソナを状況に応じて修正する
それぞれ解説します。
1. 自社の魅力を洗い出す
自社の強みや魅力を理解せずにペルソナを設計してしまっては、どのような情報を発信して良いか分からず、自社にマッチする人材がわからないまま募集をすることになります。
他社にはない自社の魅力は何なのか、客観的に理解してからペルソナを設計しましょう。
入社したばかりの社員にインタビューをすれば、自社にしかない文化や一緒に働く人の魅力を再発見することにもつながるでしょう。
2. 社内にペルソナを共有する
採用担当者の頭の中だけでペルソナをイメージしていては、「採用した人が現場の求めていた人物と違った」ということになりかねません。
経営層や現場の意見をヒアリングし、社内で共通の認識を持ったうえで採用活動を行いましょう。
3. 複数パターンのペルソナを準備する
ペルソナは一つだけでなく、複数パターン準備しましょう。
一人の人物像を作り上げることがペルソナ設計ではありますが、一人だけの人物像に絞ることで、応募数が減り、機会損失してしまうリスクもあります。
たとえば営業でも、「主力事業を支える人材」「新規事業を担当する人材」など、活躍してほしい分野によってペルソナは異なります。多すぎても混乱してしまうため、募集職種につき2つほどペルソナを用意すると良いでしょう。
4. ペルソナを細かく設定しすぎない
ペルソナには具体性を持たせることが重要ですが、細かく設定しすぎないように注意しましょう。細かくしすぎたあまりに、対象となる人物が限定されてしまうからです。
設定したペルソナを見て、当てはまる人物は実際にどれくらいいるかを考えましょう。あまりにも限定されすぎていて、応募の母集団形成が難しそうな場合は条件を広げてみることも重要です。
たとえば、「転職経験者」ではなく、「3社転職経験」にすると細かくなってしまいます。多くの会社で視野や経験を養ってきたことを重視するのであって、転職の数を重視するのではありません。
大切なのは人物像をイメージすることであって、ペルソナの設計自体が目的ではありません。自社に必要な人物像を作り上げるにあたり、最低限必要な条件は何なのか、しっかり検討しましょう。
5. ペルソナを状況に応じて修正する
ペルソナは一度作って終了ではありません。応募者が集まらなかったり、書類選考や面接において思うような人材が応募していなかったりする場合は、ペルソナの設計を見直しましょう。自社に合うペルソナを一発で決める、というのは難しいからです。
経営層や現場の意見を常にヒアリングし、柔軟に内容をブラッシュアップしていきましょう。
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採用におけるペルソナの重要性についてお伝えしてきました。自社が求める人物像に沿ったペルソナを設定し、そのペルソナに近い人を採用することで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
ペルソナ設計は、社内の認識のズレをなくして円滑に採用活動を進めるためには欠かせません。そして自社が目指す経営戦略を実現することにもつながります。
ぜひ今回紹介した内容を参考にし、自社が求める人材へアプローチしていきましょう。
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