を業務委託とは、自社業務の一部、または全部を外部の業者に委託する方法で、請負契約・委任契約・準委任契約の3種類があります。
企業が業務委託する際には、どの契約形態を選ぶべきかが重要なポイントとなります。なぜなら、委託する業務の内容によって、適切な契約を締結する必要があるからです。
特に、準委任契約は特定の成果物を求めるものではなく、業務の遂行そのものに対して報酬を支払う契約であるため、契約内容を明確にしておく必要があります。もし、契約内容が曖昧な場合には、後々のトラブルの原因となる可能性があるため、十分な注意が必要です。
そこで今回は、業務委託の準委任契約について、請負や委任契約との違い、メリットや注意点などを徹底解説します。これから準委任契約を締結しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
業務委託の準委任契約とは?基本的な概念を解説
準委任契約とは、業務委託契約の一種で、特定の業務を第三者に委託する際に用いられる契約形態です。以下に基本的な概念を解説します。
準委任契約の特徴
準委任契約は、法律行為以外の業務を委託する契約で、成果物の完成を目的としない契約形態です。この契約形態は、業務の遂行自体に対価が支払われるため、柔軟な対応が可能であり、業務の進行状況に応じて報酬が発生するのが特徴です。
例えば、ソフトウェアの保守やコンサルティング業務などが準委任契約に該当します。これらの業務では、特定の成果物の納品ではなく、継続的な業務遂行が求められます。
準委任契約は、業務の遂行に対して報酬が支払われるため、柔軟な対応が可能です。
下記の資料では、準委任契約と請負契約の比較や、実際に締結する際のポイントなどを網羅的に解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご参照ください。
他の業務委託契約との違い|請負契約と委任契約とはどう違う?
次に、請負契約と委任契約それぞれの特徴と、準委任契約との違いを解説します。
請負契約とは?
請負契約とは、特定の仕事を完成させることを目的とする契約です。この契約形態では、仕事の完成が契約の履行条件となり、成果物の納品が求められます。
例えば、Webデザインやソフトウェア開発などが請負契約に該当します。これらは、完成した成果物の納品が求められる業務です。
請負契約は、特定の仕事を完成させることを目的とした業務委託契約の一種です。
関連記事:【企業向け】請負契約とは? 準委任との違いやメリット・デメリットを解説
委任契約とは?
委任契約は、法律行為を委託する契約です。この契約形態では、法律行為の遂行が目的となり、特定の成果物の納品は求められません。
例えば、弁護士に裁判の代理を依頼する場合などが委任契約に該当します。この場合は、法律行為の遂行が求められる業務です。
委任契約は法律行為を委託する契約であるため、特定の成果物の納品を目的としないのが特徴です。
関連記事:はじめての業務委託 成功のポイントと注意点を徹底解説
請負契約と委任契約、準委任契約はどう違う?
以下では、請負契約、委任契約、準委任契約の違いを、特徴別の一覧表で比較します。
請負契約 |
委任契約 |
準委任契約 | |
目的 |
特定の仕事を完成させる |
法律行為を行う |
法律行為以外の業務を行う |
報酬 |
成果物に対して報酬を支払う |
業務の遂行自体に報酬を支払う |
業務の遂行自体に報酬支払う |
指揮命令権 |
委任者は具体的な指示を出せない |
委任者が具体的な指示を出せる |
委任者が具体的な指示を出せる |
業務事例 |
デザイン、ソフトウェア開発、建設工事 など |
弁護士の法的代理 など |
コンサルティング、システム保守 など |
準委任契約と請負契約の違いを比較
準委任契約と請負契約の主な違いは、仕事の「過程」に重点を置くか「成果」に重点を置くかです。
準委任契約は、依頼された業務を遂行すること自体に重点を置きます。つまり、受注者は善管注意義務を負い、依頼された業務を適切に遂行することが求められます。
一方、請負契約は、特定の成果物を完成させることに重点を置くのが特徴です。受注者は、指定された成果物を完成させる義務を負い、その成果物が契約に適合していることが求められます。
例えば、システム開発のプロジェクトを業務委託する場合、要件定義やコンサルティングなどの業務は準委任契約で行われることが多いです。なぜなら、これらの業務は特定の成果物を完成させることよりも、業務の遂行そのものが重要だからです。
一方、実際のシステムのプログラミングやテストは、請負契約を結びます。なぜなら、これらの業務は、完成したシステムという具体的な成果物が求められるからです。
上記のように、準委任契約は業務の遂行に重点を置き、請負契約は成果物の完成に重点を置くという違いがあります。
関連記事:準委任契約とは? 請負契約との違いやメリット・デメリット、注意点を解説
準委任契約と委任契約の違いを比較
準委任契約と委任契約の主な違いは、委託される業務が「法律行為」か「事実行為」かにあります。
委任契約は、法律行為を委託する契約です。法律行為とは、法的な効果を生じる行為を指し、例えば弁護士に訴訟代理を依頼する場合などが該当します。
一方、準委任契約は、法律行為以外の事実行為を委託する契約です。事実行為には、コンサルティング業務や調査業務などが例として挙げられるでしょう。
例えば、税理士に確定申告の手続きを依頼する場合は、法律行為を含むために委任契約が適用され、マーケティング調査を依頼する場合には、法律行為ではなく事実行為であるために準委任契約が適用されます。
上記のように、委任契約は法律行為を委託する契約であり、準委任契約は事実行為を委託する契約であるという点が異なります。
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準委任契約のメリット3つ
以下では、準委任契約のメリットを3つ紹介します。
- 柔軟性が高い
- 専門性を活用できる
- コスト効率が高い
それぞれ解説します。
1.柔軟性が高い
準委任契約は、業務の進行や内容に応じて柔軟に対応できる点が大きなメリットです。契約期間中に業務内容が変わったり、新たな課題が発生した場合でも、契約の範囲内で柔軟に対応することが可能です。
2.専門性を活用できる
準委任契約では、特定の専門知識やスキルを持ったプロフェッショナルを活用することができます。
クライアントは自社内にない専門性を外部から取り入れることができ、プロジェクトの質を高めることができます。専門家の知識や経験を活用することで、効率的かつ効果的に業務を進めることが可能です。
3.コスト効率が高い
準委任契約は、必要な業務に対して適切なリソースを投入するため、コスト効率が高いです。固定費用ではなく、実際に必要な業務量に応じて報酬が支払われるため、無駄なコストを削減できます。
また、専門家を一時的に雇用することで、長期的な人件費の負担を軽減し、コストパフォーマンスを向上させることができます。
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準委任契約のデメリット3つ
以下では、準委任契約のデメリットを3つ紹介します。
- 指揮命令権に制限がある
- 長期的な関係構築が難しい
- 契約解除のリスクがある
それぞれ解説します。
1.指揮命令権に制限がある
準委任契約では、発注者が受注者に対して具体的な指示や命令を出す権限が制限されるため、プロジェクトの進行状況や品質管理が難しくなります。特に、細かい調整や迅速な対応が求められる場面では、指揮命令権の制限が大きな障害となることがあるでしょう。結果として、期待通りの成果物が得られなくなるリスクが高まります。
2.長期的な関係構築が難しい
準委任契約は通常、特定のプロジェクトや期間に限定されるため、長期的な関係構築が難しいです。信頼関係や効率的なコミュニケーションが欠如すると、継続的な改善や成長が難しくなり、プロジェクト終了後のサポートやフォローアップも期待しにくくなります。
3.契約解除のリスクがある
準委任契約では、契約解除のリスクが常に存在します。契約期間中に発注者や受注者の状況が変わることで、契約が途中で解除される可能性があるからです。契約がプロジェクトの途中で解除されると、プロジェクトが中断されるリスクが高まり、計画通りに進行しない可能性があります。また、契約解除に伴うコストや時間のロスも発生するため、双方にとって不利益となることが多いです。
準委任契約を結ぶ際の注意点6つ
準委任契約を結ぶ際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを理解しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな契約管理と業務管理が可能となります。
- 契約内容を明確にすること
- 指揮命令権を確認すること
- 善管注意義務を理解すること
- 報酬の支払い条件を明確にすること
- 契約解除の条件を明記すること
- 知的財産権を管理すること
それぞれ解説します。
1.契約内容を明確にすること
契約内容を明確にすることは、双方の期待や責任を明確にし、後々のトラブルを防ぐために重要です。具体的な業務内容、納期、成果物の品質基準などを詳細に記載することで、誤解や不一致を避けることができます。また、契約書に記載されていない事項についても、口頭で確認し、必要に応じて書面に残すことが望ましいです。
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2.指揮命令権を確認すること
準委任契約では、受託者がどの程度の指揮命令権を持つかを明確にすることが重要です。受託者が独立して業務を遂行する場合と、委託者の指示に従う場合とでは、責任の範囲や業務の進め方が異なります。契約書に指揮命令権の範囲を明記し、双方の理解を一致させることが必要です。
3.善管注意義務を理解すること
善管注意義務とは、受託者が業務を遂行する際に、通常の注意を払う義務のことです。受託者は、専門知識や経験を活かし、最善の方法で業務を遂行する責任があります。この義務を理解し、契約書に明記することで、受託者の責任範囲を明確にし、トラブルを未然に防ぐことができます。
4.報酬の支払い条件を明確にすること
報酬の支払い条件を明確にすることは、契約の円滑な遂行に欠かせません。報酬の金額、支払い方法、支払い時期などを詳細に記載し、双方の合意を得ることが重要です。
また、成果物の納品後に支払う場合や、進捗に応じて分割払いする場合など、具体的な支払い条件を明確にすることで、トラブルを防ぐことができます。
5.契約解除の条件を明記すること
契約解除の条件を明記することは、契約期間中に問題が発生した場合の対応策を明確にするために重要です。契約解除の理由や手続き、解除後の対応などを詳細に記載し、双方の理解を一致させることが必要です。
6.知的財産権を管理すること
知的財産権の管理は、契約において重要なポイントです。業務の遂行中に生じた成果物やアイデアの知的財産権が誰に帰属するかを明確にすることで、後々の権利関係のトラブルを防げます。契約書に知的財産権の帰属や使用条件を詳細に記載し、双方の合意を得ることが重要です。
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準委任契約の具体的な事例と適用シーンとは?
準委任契約は、法律行為以外の事務を委託する際に適した契約です。以下では、具体的な事例と適用シーンをいくつか紹介します。
- コンサルティング業務
- マーケティング業務
- ITサポート
- プロジェクトマネジメント
- 研究開発
- 教育・研修
それぞれ解説します。
1.コンサルティング業務
コンサルティング業務は、企業の課題解決や戦略立案を支援するため、具体的な成果物の完成よりもプロセスやアドバイスの提供が重視されます。コンサルティング業務の場合、コンサルタントが提供する知識や経験に対して報酬を支払う、準委任契約が適しています。
2.マーケティング業務
マーケティング業務では、データ分析や市場調査、キャンペーンの効果測定など、継続的な活動が求められます。準委任契約は、これらの業務の遂行に対して報酬を支払う形式です。
3.ITサポート
ITサポートとは、企業がシステムの保守・運用やトラブルシューティングなどの業務を外部のIT専門家に依頼することです。準委任契約は、これらの業務の遂行時間に基づいて報酬を支払うため、定期的なサポート業務にも適しています。
4.プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントとは、特定のプロジェクトの進行などを管理する仕事で、特定のスキルや知識が必要です。そのため、プロジェクトマネジメント業務を外部のプロジェクトマネージャーに依頼することがあります。プロジェクトマネジメントの仕事も、特定の成果物を求めるものではなく、業務の遂行を求める準委任契約が適しています。
5.研究開発
研究開発業務では、企業が新技術の開発や製品の改良を、外部の研究機関や専門家に依頼することがあります。研究開発では、期間を決めて業務にあたることが難しいため、独自の方法で研究を進めて成果を提供するという準委任契約が適しています。
6.教育・研修
教育や研修に関する業務は、講師が研修や勉強会などを実施して、社員のスキル向上や知識習得を促すものです。教育や研修にも具体的な成果物はなく、研修の実施に対して報酬を支払う準委任契約が適しています。
上記のように、準委任契約は特定の成果物の納品を目的とせず、業務の遂行自体を目的とする点が特徴です。これにより、柔軟な業務委託が可能となります。
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準委任契約に関するよくある質問Q&A5選
次に、準委任契約に関するよくある質問5つとその回答を紹介します。
Q.1:準委任契約とは何ですか?
A.1:準委任契約は、法律行為以外の事務を委託する契約です。例えば、コンサルティング業務やITサポートなどが該当します。委任者は受任者に対して業務の遂行を依頼し、受任者はその業務を遂行する義務を負います。
Q.2:準委任契約と請負契約の違いは何ですか?
A.2:準委任契約では、業務の遂行自体が目的であり、特定の成果物の納品は求められません。一方、請負契約では、特定の成果物を完成させることが目的となります。
Q.3:準委任契約の報酬はどのように決まりますか?
A.3:報酬は、業務の遂行に対して支払われます。具体的には、業務の量や時間に応じて報酬が決まることが多いです。そこで、契約書に報酬の計算方法や支払い条件を明記することが重要です。
Q.4:準委任契約でトラブルが発生しやすい理由は何ですか?
A.4:準委任契約では、業務内容や報酬の支払い条件が曖昧な場合、トラブルが発生しやすいです。また、指揮命令権がないため、業務の進行方法についての認識の違いが原因となることもあります。そのため、詳細な内容を記載した契約書の作成が重要です。
Q.5:準委任契約を結ぶ際の注意点は何ですか?
A.5:契約書に業務内容、報酬、契約期間、解約条件などを明確に記載することが重要です。また、業務の進行方法や報告義務についても具体的に取り決めておくことで、トラブルを予防できます。
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- 業界最速級の提案スピード
- 柔軟なアサインが可能
- 専門的なサポートが受けられる
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それぞれ解説します。
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Workship MAGAZINE編集部。フリーランス、マーケティング、会計経理、経営分野が専門。個人事業主としてスポーツインストラクター、飲食店経営、飲食コンサルを経て、現在はコンテンツ制作会社を経営中。
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