準委任契約の成果完成型とは?請負契約との違いまで紹介 | フリーランスデザイナー・業務委託採用|クロスデザイナー

準委任契約の成果完成型とは?請負契約との違いまで紹介

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2020年4月1日より、準委任契約に「成果完成型」の契約形態が加わりました。

これにより、成果物の完成と納品を義務付けられるようになりました。従来の提供された労働に対する報酬の支払いが中心となる「履行割合型」に加え、準委任契約をより柔軟に活用できるようになった重要な変更です。

本記事では、準委任契約の成果完成型に焦点を当て、履行割合型や請負契約との違い、メリット・デメリットについて解説します。自社のニーズに合った契約を選ぶ際の参考にしてください。

準委任契約とは

準委任契約とは、発注者が自社業務の一部を外注する際に締結する、業務委託契約の一種です。

準委任契約には、「履行割合型」と「成果完成型」の2種類があります。元々は「履行割合型のみでしたが、2020年4月1日の法律の改正を受けて「成果完成型」が追加されました。

成果物の完成義務がない準委任契約ですが、近年はシステム開発やWebサイトの運営の委託もあり、技術力を提供する業務とともに「成果物を納品する」必要性が出てきました。この場合、「履行割合型」の準委任契約では、成果物が納品がされなかったとしても、報酬を満額で支払わなければならないリスクが発注者側に存在します。しかし、「成果完成型」準委任契約では、「成果物の納品」を報酬の対象とすることができます。

準委任契約の特徴

準委任契約の特徴は、委託する企業の業務を受任者が「依頼された業務を契約期間内に行う」ことによって報酬が支払われる点です。

「履行割合型」の契約では、委託した行為の遂行にかかった工数や作業時間を基準として報酬が支払われます。委託した仕事が成功したかどうかは考慮しません。

一方、「成果完成型」は発注者が委託した行為の得られた結果に対して報酬が支払われます。受注者がどれだけの工数や作業時間をかけていたかは考慮されません。成果物の納品が完了するまで報酬が支払われないため、発注者側にリスクが少ないのも特徴です。

準委任契約の種類

準委任契約には「履行割合型」と「成果完成型」の2種類があります。   

契約形態履行割合型成果完成型
報酬の対象
工数や作業時間
成果物の納品
業務の完了義務
なしなし

「成果物の納品」が報酬の対象なら、請負契約を締結すれば良いのではないか」という疑問を持つ方もいるでしょう。業務の完了に対して報酬が支払われる点は「成果完成型の準委任契約」と「請負契約」は同じです。

しかし、成果完成型の準委任契約は「成果物の納品をもって報酬を支払う」約束をするだけであり、請負契約のような「仕事を完成させる義務」はありません。

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準委任契約の特徴と有効活用のポイント

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請負契約とは

請負契約とは、発注者が委託した仕事を受注者が完成させることを約束し、成果物の納品によって報酬が発生する業務委託契約です。

受注者は契約内容のとおりの仕様・品質の成果物を期日までに納品する義務があります。そのため、成果物の内容について契約前に詳細を明確にしておくことが重要です。

準委任契約と請負契約の6つの違い

以下にて、準委任契約と請負契約の6つの違いを解説します。

  • 報酬が発生する基準
  • 報酬が発生するタイミング
  • 受注者が負う義務
  • 契約不適合責任の有無
  • 契約解除のタイミング
  • 再委託の可否

1.報酬が発生する基準

請負契約では、「納品された成果物」に対して報酬が発生します。一方、準委任契約の履行割合型の場合は、仕事を遂行する「工数や時間が基準」となって報酬が発生します。また成果完成型では、仕事を履行したあとの「成果物が基準」となって報酬が発生します。

契約を締結してから「成果物に対する仕様が変更になる」ケースがあります。この場合、請負契約の場合は「契約内容を変更して再度契約する」必要がありますが、準委任契約であれば、再契約の必要はなく、委託先と協議しながらの柔軟な対応が可能です。

2.報酬が発生するタイミング

請負契約の場合は、「仕事の目的物が引き渡されるタイミング」で報酬が発生します。

準委任契約は履行割合型の場合、「業務の遂行が完了したタイミング」で報酬が発生します。また、成果完成型の場合には、「成果物が引き渡されるタイミング」で報酬が発生します。

3.受注者が負う義務

請負契約の場合、受注者には成果物を納品する義務が生じます。受注者が契約期間内に成果物を納品できなかった場合は契約不履行となり、発注者が受注者に対して損害賠償請求を行うことも可能です。

一方、準委任契約の場合は、受注者に仕事の完成義務はありませんが、善管注意義務を負います。善管注意義務とは、社会通念上あるいは客観的に見て、一般的に払わなければならない注意をもって行為を遂行する義務です。この義務が果たされていない場合には、発注者が受注者に損害賠償請求できます。

なお、「成果完成型の準委任契約」でも、受注者が負う義務はあくまで善管注意義務となり、成果物の完成義務はありません。

4.契約不適合責任の有無

請負契約には、契約不適合責任が存在します。これは「納品された成果物の種類や数量、品質に不備があった場合に、受注者が発注者に対して負うべき責任」を指します。

契約通りの成果物が納品されなかった場合には、発注者が受注者に対して、成果物に対する修正や足りない部分の納品、報酬の減額要求、損害賠償請求などを求めることが可能です。また、成果物に不備があった場合は、発注者は不適合を知ったときから1年以内に受注者に通知をすることで、これらの対応ができます。

一方、準委任契約では、報酬を支払う対象が成果物ではなく作業であることが前提となるため、契約不適合責任を問うことができません。ただし、受注者が発注者に対して「善管注意義務」を負うため、受注者が負う責任は同等のものであると考えることができます。

5.契約解除のタイミング

請負契約では、発注者が依頼した仕事が完成するまでの間に、いつでも契約を解除できます。ただし、発注者の一方的な都合によって契約を解除する場合には、受注者に対して損害賠償の支払いをしなければなりません。

一方、準委任契約では、発注者と受注者の双方がいつでも契約を解除することができます。準委任契約は双方の信頼関係に基づいた契約であり、この信頼関係が崩れた場合には、いつでも契約解除が可能です。ただし、準委任契約でも相手方に一方的な不利益を与える契約解除となる場合には、契約を解除する側が損害賠償責任を負わなければならないケースもあります。

6.再委託の可否

再委託とは、発注者が委託した業務を、受注者が別の個人や業者に再び委託することを言います。

請負契約では、原則として再委託が可能です。請負契約はあくまで成果物の完成が目的のため、誰が行うかは重要でありません。ただし、発注者の秘密事項の情報漏洩などのリスクがあるため、発注側の合意の上で再委託する必要があります。

準委任契約は、発注者と受注者の信頼関係に基づく契約のため、原則として再委託は認められていません。ただし、双方で合意がとれている場合は、準委任契約においても再委託は可能です。

業務委託の契約形態について、以下の資料では比較して解説しています。無料でダウンロード頂けますので、ぜひご活用ください。


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業務委託の契約形態 比較表

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準委任契約の成果完成型とは

準委任契約の成果完成型は、成果物の納品が契約の要件となります。そのため、成果物の内容や品質基準などを明確に契約書に定める必要があります。成果物の納品に対して報酬を支払うことが特徴です。

履行割合型との違い

履行割合型は、工数や作業時間などの業務量に応じて報酬が支払われる形式です。成果物の納品は問われません。

請負契約との違い

準委任契約と請負契約の違いは、仕事の完成義務にあります。請負契約は業務の完成が目的であり、成果物に対しての完成の義務を負います。一方、準委任契約は業務の遂行が目的であり、成果物に対して完成の義務は負いません。

準委任契約の成果完成型のメリットとデメリット

ここでは委託者側から見たメリットとデメリットについて解説します。

メリット

成果完成型契約では、発注者は、専門的なスキルを持っている人材に実際の成果物作成を依頼できるため、具体的な物を受け取れる点がメリットとして挙げられます。履行割合型と異なり、成果物の納品に対して報酬が発生するため、外注の成果が明確になるほか、契約の更新や切り替えの判断も行いやすいと言えるでしょう。

デメリット:契約内容を明確にする必要がある

成果完成型契約では、納品する成果物が契約内容の中心となるため、契約書に成果物の内容や納期、品質基準を明確に定める必要があります。契約内容が曖昧だと納品後のトラブルの原因になるおそれがあります。成果物が確定しているため、途中での仕様変更などの要求に応じることが難しいケースもあります。変更が起こった際の対応についても、契約書で明確にしておくことが重要です。

準委任契約が適しているケース

準委任契約は、柔軟性を必要とする依頼のケースに適しています。

小~中規模のプロジェクト

小〜中規模の開発プロジェクトの場合、初期に多額の費用投資をすることが難しく、途中で仕様変更が起こりやすい傾向にあります。一般的に、多額に費用を投資する大手企業の大規模プロジェクトは請負契約のほうが選ばれますが、仕様変更に柔軟に対応できる小〜中規模のプロジェクトは準委任契約が適していると言えます。成果物を定めないからこそ、仕様変更が起きても契約で定めた業務内で対応してもらいやすいと言えるでしょう。

準委任契約書の作成時の注意点

以下2つの注意点について解説します。

  • 準委任契約の作成時に必要な項目
  • 成果物の内容や納期、品質基準などを詳細に定めることが成功のポイント

準委任契約の作成時に必要な項目

契約書には、成果物の詳細な仕様や品質、納期、報酬の支払い条件などを明確に記述する必要があります。

以下が必要項目です。

  • 契約日
  • 委任者と受任者の氏名、住所、連絡先
  • 業務の内容、範囲、期間、場所
  • 報酬の額、支払い方法、支払い時期
  • 再委託の可否
  • 契約の解除条件
  • 損害賠償の責任
  • 秘密保持義務
  • 紛争解決の方法

成果物の内容や納期、品質基準などを詳細に定めることが成功のポイント

契約締結時に、内容を細かくすり合わせ、発注側が依頼する内容を確実に伝えることが大切です。内容が曖昧になると、発注側は「想定していた成果が得られなかった」、受注側では「対応すべき業務の内容がよく分からない」といったトラブルが発生するおそれがあります。

業務を円滑に進めるためには、業務の内容や範囲、業務の遂行状況や求める成果物のクオリティなどについて双方、認識齟齬がないようにしっかり確認しましょう。

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【ポイント解説付き】
業務委託に必要な4つの契約書テンプレート

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フリーランスへの準委任契約にはクロスデザイナーがおすすめ!

準委任契約の成果完成型についてお伝えしてきました。請負契約か、準委任契約の成果完成型か、履行割合型か、どの形態を選ぶかについて、まずは何を依頼したいのかを整理して見積もりを取ることから始めましょう。

制作会社とフリーランス、どちらに依頼するかは自社の状況と照らし合わせて判断することをおすすめします。

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西原 小晴
記事を書いた人
西原 小晴

セールスライター/コンテンツディレクター。合同会社ウォンバット。京都府立大学農学部卒。印刷会社・マーケティング会社・デザイン会社にて知見を深め、累計8億以上の売上をサポートする。化学・製造DX・Webデザイン・ライティング・マーケティング分野が専門。