ポートフォリオはデザイナーを採用するときに、技術力やデザインセンスなどを判断するための大切な要素です。
しかし、採用担当者にとっては「ポートフォリオから何を判断するか」や「どこを重視すれば良いか」などについて、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ポートフォリオの採用基準について解説します。必要な人材を効率的に採用するための6つの評価ポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ポートフォリオとは?役割と重要性も解説
デザイナーが就職・転職活動をする際に企業の提出する、これまでに制作してきた作品集を「ポートフォリオ」と呼びます。
そもそもポートフォリオの語源は、イタリア語で「二つ折りの札入れ」の意味をもつ「Portafoglio(ポルタフォリオ)」です。英語では「書類入れ」の意味をもつ「Portfolio(ポートフォリオ)」と書きます。
どちらも何かを入れて持ち運べるアイテムです。しかし、デザイナーが使用するポートフォリオは作品を入れるアイテム単体を指しているのではなく、なかに入れる作品も含まれています。作品は提示する相手によって差し替える特徴があります。
クリエイティブな職種で用いられているイメージがありますが、金融用語や教育用語としてもポートフォリオは使われています。
ポートフォリオの役割
ポートフォリオは、自社の制作物との相性やセンスなど、応募書類や採用面接ではわからない応募者のスキルを把握するための役割をもっています。
応募者がこれまで制作してきた作品や技術力をはじめ、世界観やスタイルなど人柄の把握も可能です。読み手を意識した資料として、作品の見せ方など読みやすさなど工夫がされていれば即戦力として活躍する姿もイメージできます。
ポートフォリオの重要性6つ
ポートフォリオが採用企業に重要な理由には、主に次の6つが挙げられます。
1.応募者の実力の把握できる
ポートフォリオを通じて、応募者の具体的なスキルや成果を直接確認することができます。これにより、履歴書や職務経歴書だけでは伝わらない応募者の実際の能力を評価することが可能になります。
2.適切な人材を選定できる
ポートフォリオは、応募者が過去にどのような作業を行い、どのような成果を出してきたかを示すため、企業はその情報を基に応募者が求める職種に適しているかを判断できます。
3.創造性と革新性を評価できる
特にクリエイティブな職種において、ポートフォリオは応募者の創造性や革新性を評価するための重要な指標となります。企業はポートフォリオを見ることで、応募者が新しいアイデアやアプローチを持っているかを判断できます。
4.企業文化への適合性を判断できる
ポートフォリオには応募者の個性や価値観が反映されるため、企業はそれを通じて応募者が自社の文化やチームにフィットするかどうかを見極めることができます。
5.コミュニケーション能力を確認できる
ポートフォリオは、応募者が自分のアイデアや成果をどのように表現し、伝えるかを示すものです。これにより、応募者のコミュニケーション能力やプレゼンテーションスキルを企業が確認することができます。
6.長期的な成長や学習を確認できる
ポートフォリオを確認することで、応募者が時間をかけてどのようにスキルを磨き、成長してきたかを判断できます。これにより、企業は応募者が将来的にも成長し続ける可能性を持っているかを評価することが可能です。
以上のように、ポートフォリオは採用企業にとって、応募者の能力や適性を多角的に評価するための重要なツールです。企業が適切な人材を見極め、企業の成長に貢献できる人材を採用するために、ポートフォリオの活用は非常に有効な手段と言えるでしょう。
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ポートフォリオには2つのスタイルがある
ポートフォリオは紙で制作するのが一般的です。しかし、インターネットの普及にともなって個人のWebサイトやPDF形式のポートフォリオも出てきました。紙とWeb・データのポートフォリオの特徴を紹介します。
Webのポートフォリオ
WebデザイナーやUI/UXデザイナーなどWeb媒体が中心の職種では、デザイナーが自身で制作したWebサイトをポートフォリオとするケースが多くあります。Webサイト以外では、PDFデータをフォルダにまとめてダウンロード可能なURLを提示する方法もあります。
作品をジャンル別に分けて情報整理がされているか、読み手を意識した工夫などの確認が可能です。解説文が少ないときや掲載されている制作物が少ないなど、気になる点があるときは採用面接で確認します。
また、Web媒体中心のデザイナーだから、必ずWebのポートフォリオでなければならないというルールはありません。なかにはPDFデータを印刷して紙のポートフォリオを提出するケースもあるため、Webのポートフォリオの提出を希望するときは募集要項に記載しましょう。
紙のポートフォリオ
デザイナーでもDTPデザイナー、グラフィックデザイナーなど紙媒体が中心となるデザイナーは紙のポートフォリオで提出する傾向があります。サイズ規定はなく、手軽に持ち運べるA4またはA3サイズで作られる方が多いです。
レイアウトやフォントなど、デザインに対する個人のこだわりを詰め込めるため、世界観やスタイルを把握できます。印刷された作品のクオリティを細部までチェックしやすいのが特徴です。
作品の解説など文章による説明が多くなる傾向があるため、読みやすくまとめられているかでロジカルな思考力を判断できます。
紙媒体が中心のデザイナーでも、個人のWebサイトをもっている人も多くいます。どちらも確認しておきたいときは、募集要項などに記載しておきましょう。
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ポートフォリオには3つの見方がある
ポートフォリオをどうとらえるのかは、採用担当者によって異なります。おもに経歴を把握する「職務経歴書」や作品をまとめた「作品集」、自身のスキルをアピールする「プレゼン資料」といった見方が可能です。
1. 職務経歴書
ポートフォリオを職務経歴書としてみるときは、作品よりもまとめられた情報に着目します。応募者がどのような経験を積み、スキルを発揮してきたのか、実務につながる経験があるのかといった観点で掲載された情報をチェックします。
- プロジェクトの概要
- 参画した期間
- 自身の役割
- デザインの意図
- 使用したツールやソフト
これらの情報をもとに自社の求めるスキルを備えているのか判断してください。
2. 作品集
ポートフォリオをひとつの作品集としてみると、作品の完成度が採用の判断材料となります。適度に解説文を入れたり、レイアウトを工夫したりと視認性を高めているかも判断のポイントです。
ポートフォリオには実務で制作した作品以外に、自主制作の作品も掲載できます。募集職種とは異なる職種の応募者の場合、ポートフォリオに自主制作したWebデザインがあるか、未経験の分野にも挑戦していれば意欲を図ることができます。
3. プレゼン資料
ポートフォリオは、デザイナーが自身を売り込むためのプレゼン資料といった見方もできます。デザイナーの世界観やこだわりなど人柄も把握できる資料のため、募集要項の求める人物像に合致しているか判断が可能です。プレゼン資料としてみるときは、以下の項目をチェックしてみましょう。
- 制作に使用したツールの記載
- 読み手を意識した構成
- 自分にできること
- 得意分野
上記はほんの一例ですが、応募者が自身のスキルをしっかりとアピールしているか一歩ふみこんでチェックしてみてください。
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ポートフォリオ審査時に評価する6つのポイント
ポートフォリオは作品のクオリティ以外に、以下の6つの要素を評価できます。
- 個性やこだわり
- デザイナーとしてのスキル・テイスト
- デザイン思考力
- 自社への志望度
- コミュニケーション力
- UI/UXデザインのスキル
それぞれかんたんに解説します。
1. 個性やこだわり
デザイナーのもつ個性やこだわりは、他者との差別化において大切な要素です。しかし、作品自体はすばらしいけども、自社のクライアントにはあわないデザインなら、自社では活躍できない可能性もあります。採用後の活躍をイメージできるような、自社の仕事内容にあった作品があるかを確認することがポイントです。
また、デザイナーは職種上、新しいことへの挑戦や創造性の豊かな人材が多いため、それぞれ自身の作品に強いこだわりをもって制作している人もいます。ポートフォリオから強いこだわりが見えるときは、採用面接時にコミュニケーションをとり確認してみてください。
2. デザイナーとしてのスキル・テイスト
ポートフォリオはデザイナーとしてのこれまでの経験した業務やポジションなど、自己紹介から始まります。
ポートフォリオでは作品のクオリティだけではなく、使用したソフトやツールも記載されているか確認してください。作品とあわせて見ることで、デザイナーのスキルを判断できます。名称だけではなく、使用歴やスキルレベルが図解されていれば読み手を意識した工夫として評価できます。
参画してきたプロジェクトからもどの程度アウトプットできるのか判断しやすいポートフォリオとして評価できます。
3. デザイン思考力
近年、ビジネスシーンではデザイナーなどクリエイターが作品を作るうえで使う思考プロセス「デザイン思考力」をもつ人材がさまざまな業界で必要とされています。
デザイナーのポートフォリオ審査では、作品の解説においてどのような考えでこの作品を作ったのか思考プロセスが解説されているかがポイントです。長くダラダラと書かれておらず、端的にわかりやすくまとめられているかも評価してください。
4. 自社への志望度
ポートフォリオを見て自社が扱う制作物を意識した構成で作られていれば、自社への志望度の高さを評価できます。自社の業務にあわせた内容が掲載されていれば、募集要項をしっかり読んでいることがわかります。
ポートフォリオに自社への志望動機やチームにもたらすメリットなども記載されていれば、自社への貢献も大きく期待できます。
5. コミュニケーション力
デザイナーとして採用するなら、スキルや技術力の高さだけではなく、コミュニケーション力も重視したいところです。コミュニケーション力を評価するときは、ポートフォリオ審査とあわせて採用面接を実施します。
「背景はなぜ黒なのか」「ここにテキストを入れたのはなぜ?」と、ポートフォリオをもとに気になることを質問してみましょう。あらかじめ評価する人の視点に立ち、ポートフォリオに工夫した点を記載しているかどうか、書かれていない場合でも聞かれた際に自身の作品についてきちんと自分の言葉で説明できるかでコミュニケーション力の評価が可能です。クライアントとのやり取りにおいても必要なスキルですし、チームコミュニケーションも取りやすくなるといったメリットもあります。
6. UI/UXデザインのスキル
作品の見やすさを意識して作られているということは、UIスキルも長けていると判断できます。UIデザインはユーザーが使いやすいように見た目を整えることです。
作品のどこに注目してほしいのか、制作プロセスをテキストでわかりやすくまとめられているかを判断します。作品を制作するうえで設定したペルソナやコンセプトもあると、実践的なスキルの判断が可能です。
さらに制作後の振り返りコメントからは、成長意欲を判断できます。業務内容にUIデザインがあるなら、必ずチェックしておきたいスキルです。
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採用基準は?職種別ポートフォリオのチェックポイント
デザイナーといってもWebデザイナーもいれば、CGデザイナーもいて、何を採用基準を設定すればよいのか悩む担当者も少なくありません。ここでは、職種別にポートフォリオのチェックポイントをかんたんに解説します。採用活動の参考になさってください。
なお、デザイナーの採用基準については下記の記事でも解説しています。あわせて読んでみてください。
関連記事:デザイナーの採用基準のポイントは7つ! 採用基準の設定方法も解説
Webデザイナーのポートフォリオ
Webデザイナーの採用基準は、Webデザイン力だけではなく「なぜこのデザインを制作したのか」といったデザインの意図をわかりやすく解説しているかをチェックしてください。
ほかにも、ABテストの実績があれば、どのような課題を解決するために取り組んだのかが書かれているか確認しましょう。Web媒体のポートフォリオが提出されたときは、コーディングまで自身でおこなったのかどうかも大切なチェックポイントです。
Web編集・Webライターのポートフォリオ
Webライターの仕事はライティング以外に、Webデザインを含むコンテンツ制作を請け負っていることもあります。ポートフォリオではアイキャッチ画像などの制作実績をチェックしましょう。
また、編集やライティングのスキルをアピールするため、自身のWebサイトをもっている人もいます。掲載記事以外に自主制作として、Webデザインに取り組んでいるケースもあります。ポートフォリオでWebサイトを提示されたときは、どこまで自身で制作したのかも確認してください。
CGデザイナー・イラストレーターのポートフォリオ
作品のクオリティだけではなく、作品の種類に応じてアピールしたいポイントが見やすいか、レイアウトをチェックしましょう。作品の近くに使用したツールや制作プロセスなどが書かれているかも確認してください。
CGデザイナーは3DCG作品の場合、1作品に対して複数のアングルが掲載されているなど読み手を意識した工夫がなされているかも大切なポイントです。
UI/UXデザイナーのポートフォリオ
基本的にUI/UXデザイナーの採用基準は作品のクオリティの高さよりも、論理的思考力を重視して審査します。
作品だけではなく、どのように考えてデザインしたのか、詳細に解説されているかを確認してください。作品を作るまでのプロセスから、顧客のニーズに対する対応力を判断できます。
UI/UXデザイナーはビジュアルよりも思考力が重視されることもあり、求める人材が探せないと悩む担当者も少なくありません。Webデザイナーから育成する方法もありますが、即戦力人材を求めるならUI/UXデザインを専門に活躍しているフリーランスのUI/UXデザイナーを採用する方法もあります。
フリーランスと業務委託契約を結ぶことを検討されている企業さまに向けた記事もご用意しておりますので、あわせてご覧ください。
関連記事: 個人事業主との業務委託契約について解説|手順と契約書の作成方法を紹介
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デザイナーを採用するならクロスデザイナーへ!
ポートフォリオはデザイナーの採用において重要な書類のひとつです。これまでの実績やスキルだけではなく、人柄までも判断できます。応募者が自社の求める人物像に合致するか、募集要項で示したニーズをくみ取っているか、独自の採用基準を作成しておくことが大切です。
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