業務委託契約を締結する際に、時給制で報酬を支払うことは、違法となるケースがあります。なぜなら、業務委託契約は一般的な雇用契約とは異なり、業務を委託する側に「指揮命令権」がないため、「偽装請負」と呼ばれる「労働者派遣法」や「職業安定法」に違反する可能性があるからです。
一般的な業務委託契約では、成果物に対する報酬が基本となりますが、時給制を導入する場合には特定の条件を満たす必要があります。また、適法な契約方法を選ぶことで、法的なトラブルを未然に防ぐことが重要です。
そこで今回は、業務委託の時給制が違法かどうかや、適法となる契約方法や職種、注意点などを徹底解説します。これから業務委託をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
業務委託の時給制は違法か?基本的な考え方を解説
業務委託の時給制については、状況によって合法か違法かが異なります。そこで、基本的な考え方を以下にまとめて解説します。
業務委託の時給制の合法性
業務委託契約において、時給制は基本的に合法と言えるでしょう。なぜなら、業務委託契約は業務の遂行に対して報酬を支払う契約であり、報酬の計算方法として時給制を採用することも可能だからです。ただし、労働法の適用外であるため、雇用契約とは異なる点に注意が必要です。
例えば、クラウドソーシングのプラットフォームでは、特定の業務に対して「月○時間、××業務に従事する」という条件で時給制の業務委託契約が結ばれることがあります。
このように、業務委託契約でも時給制を採用することが可能であり、適切に契約内容を明示することで合法的な運用が可能です。
業務委託の時給制が違法と判断されるケース
ただし、業務委託で時給制を採用する際に「違法」と判断されるケースもあります。それは、実質的に雇用契約とみなされる場合です。
原則として、業務委託契約は労働者が企業の指揮命令を受けず、独立して業務を遂行することが前提です。そのため、実質的に「雇用している」とみなされる場合には、時給制だけでなく、業務委託契約そのものが違法と判断される可能性があります。
具体的には、時給制で業務を行う際に、以下のような条件が満たされると雇用契約とみなされる可能性があります。
- 企業からの指揮命令を受けている場合
- 勤務時間や勤務場所が指定されている場合
- 業務の遂行方法について具体的な指示を受けている場合
例えば、フリーランスのデザイナーが企業と業務委託契約を結び、時給制で働いているとしましょう。このデザイナーが企業のオフィスで決まった時間に勤務し、企業の指示に従って業務を行っている場合、これは実質的に雇用契約とみなされる可能性があります。このようなケースでは労働基準法が適用され、最低賃金や労働時間の規制が適用されます。
上記のように、業務委託の時給制が違法となるのは、実質的に雇用契約とみなされる場合です。そこで、業務委託契約を結ぶ際には、指揮命令や勤務時間の拘束がないことを確認することが重要です。
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業務委託で時給制を採用する際の注意点3つ
業務委託で時給制を採用する際は、以下の3つの点に注意しましょう。
- 契約内容の明確化
- 使用従属性の確認
- 報酬の妥当性
それぞれ解説します。
1.契約内容の明確化
業務委託で時給制を採用する際には、契約内容を明確にすることが重要です。業務の範囲、作業時間、報酬の計算方法、支払い条件などを詳細に記載する必要があります。
また、契約書には、業務の変更や追加が発生した場合の対応方法も明記しておくと良いでしょう。
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2.使用従属性の確認
時給制を採用する場合、使用従属性の確認が重要です。使用従属性とは、業務委託者が委託先の指示や管理下で働く状態を指します。これが強い場合、労働者としての扱いとなり、労働基準法などの適用を受ける可能性があります。
そのため、業務委託契約であっても、独立性を保ち、指示や管理が過度にならないように注意しなければなりません。
3.報酬の妥当性
時給制での報酬設定は、業務の内容や市場の相場を考慮して妥当な金額に設定することが重要です。報酬が低すぎると、質の高い人材を確保することが難しくなり、逆に高すぎるとコストが増大します。
適切な報酬設定は、業務の効率化やモチベーションの向上にもつながります。また、報酬の見直しや調整を定期的に行うことで、長期的な関係を築くことが可能です。
業務委託の時給制は必ずしも違法ではありませんが、契約内容や実際の業務形態によっては違法性が疑われる場合があります。そのため、契約を結ぶ際には詳細な取り決めや使用従属性の確認を行い、トラブルを避けるための対策を講じることが重要です。
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時給制の業務委託が適法となる条件
時給制の業務委託が適法となるためには、いくつかの重要な条件があります。そこで、以下に主なポイントをまとめて解説します。
- 偽装請負でないこと
- 報酬額が最低賃金を下回らないこと
- 契約内容を明確にすること
それぞれ解説します。
1.偽装請負でないこと
時給制の業務委託が適法であるためには、偽装請負でないことが重要です。偽装請負とは、実際には労働者としての指揮命令を受けて働いているにもかかわらず、業務委託契約として扱われる状態を指します。偽装請負が発覚すると、労働基準法違反となり、罰則が科される可能性があります。
適法な業務委託契約を結ぶためには、業務の独立性を保ち、委託先からの指示や管理が過度にならないようにすることが必要です。
2.報酬額が最低賃金を下回らないこと
時給制の業務委託においても、報酬額が最低賃金を下回らないことが求められます。最低賃金法は、労働者の生活を保障するために定められており、業務委託契約であっても適用される場合があるため注意が必要です。
報酬が最低賃金を下回ると、法的な問題が生じるだけでなく、質の高い人材を確保することが難しくなります。適正な報酬設定は、業務の効率化やモチベーションの向上にも寄与する重要な要素です。
3.契約内容を明確にすること
時給制の業務委託が適法であるためには、契約内容を明確にすることが不可欠です。具体的には、業務の範囲、作業時間、報酬の計算方法、支払い条件などを詳細に記載する必要があります。
また、契約書には、業務の変更や追加が発生した場合の対応方法も明記しておくと良いでしょう。明確な契約内容は、信頼関係の構築にもつながります。
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業務委託の時給相場と職種別の報酬事例
業務委託の時給額は職種や経験、地域によって大きく異なります。そこで以下では、職種別の報酬事例の大まかな相場を紹介します。
ITエンジニアに業務委託する際の時給相場
ITエンジニアに業務委託する際の時給相場は、約3,000円〜8,000円程度です。
例えば、フリーランスのITエンジニアにシステム開発やプログラミングの業務を委託する場合は、経験やスキルに応じて、上記の範囲で時給を設定すると良いでしょう。
デザイナーに業務委託する際の時給相場
デザイナーに業務委託する際の時給相場は、約2,000円〜5,000円程度です。
グラフィックデザインやウェブデザインの業務を行うデザイナーは、プロジェクトの規模や複雑さに応じて報酬が変動するため、上記を参考にして時給を設定しましょう。
マーケターに業務委託する際の時給相場
マーケターに業務委託する際の時給相場は、約2,500円〜6,000円程度です。
デジタルマーケティングやSEO対策などを業務委託する際は、成果に基づく報酬が設定されることが多いのが特徴です。そこで、上記の時給相場を参考にして、さらにインセンティブを設定すると良いでしょう。
Webライターに業務委託する際の時給相場
Webライターに業務委託する際の時給相場は、約1,500円〜4,000円程度です。
コンテンツ作成や記事執筆を行うライターは、専門知識や執筆スキルに応じて時給が決まります。コンテンツの内容や質によって、時給を設定すると良いでしょう。
ただし、上記の相場はあくまで参考値であり、具体的な報酬は案件の内容や契約条件によって異なります。業務委託契約を結ぶ際には、契約内容を詳細に確認し、適正な報酬を設定することが重要です。
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業務委託の時給制に関するよくある質問Q&A5選
以下では、業務委託の時給制に関するよくある質問とその回答を5つ紹介します。
Q.1:業務委託の時給制は違法ですか?
A.1:業務委託契約では、時給制というだけで違法にはなりません。
Q.2:業務委託の時給相場はどのくらいですか?
A.2:業種や経験によって異なりますが、ITエンジニアやデザイナーなどの専門職では高めの時給が設定されることが多いです。例えば、ITエンジニアの場合は、時給3,000円以上が一般的です。
Q.3:業務委託の時給制で注意すべき点は何ですか?
A.3:契約内容を詳細に確認し、時給のカウント方法や業務範囲を明確にすることが重要です。また、報酬が消費税込みかどうかも確認しましょう。
Q.4:業務委託の時給に最低賃金は適用されますか?
A.4:業務委託契約には労働法が適用されないため、原則として最低賃金の規定は適用されません。ただし、専門性の高い業者やフリーランスに業務委託する際は、最低賃金よりも高く設定されるのが一般的です。
Q.5:業務委託の時給制でトラブルを避けるにはどうすればいいですか?
A.5:契約書に詳細な取り決めを記載し、双方が理解・同意していることを確認することが重要です。また、偽装請負や使用従属性に注意し、適切な契約を結ぶことが求められます。
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デザインの外注は、フリーランス専門のエージェント「クロスデザイナー」におまかせ!
クロスデザイナー(XDesigner)は、フリーランスのデザイナーを専門に取り扱うエージェントサービスです。クロスデザイナーが柔軟なフリーランスデザイナーの採用に適している理由には、以下のようなものが挙げられます。
- デザイナーの登録数が豊富だから
- スピーディな提案とアサインが可能だから
- 柔軟な稼働体制が可能だから
- 採用コンサルタントのサポートが受けられるから
- 高い審査基準でデザイナーを厳選しているから
それぞれ解説します。
1.デザイナーの登録数が豊富だから
クロスデザイナーは、多くのデザイナーが登録しているため、クライアントの多様なニーズに対応できます。各デザイナーが異なる専門分野やスタイルを持っているため、プロジェクトに最適なデザイナーを見つけることが容易です。
2.スピーディな提案とアサインが可能だから
クロスデザイナーは、業界最速級の提案スピードを誇ります。クライアントからの依頼を受けてから、迅速にデザイナーをアサインし、短期間で高品質な提案を提供します。
3.柔軟な稼働体制が可能だから
クロスデザイナーでは、プロジェクトの内容や進行状況に応じて、柔軟にデザイナーをアサインすることができます。例えば、プロジェクトの途中で新たなスキルが必要になった場合でも、適切なデザイナーを迅速に追加することが可能です。
4.採用コンサルタントのサポートが受けられるから
クロスデザイナーでは、デザインの専門知識を持った採用コンサルタントがクライアントを支援します。プロジェクトの初期段階から完了まで、専門的なアドバイスやフィードバックを提供し、クライアントのビジョンを実現するためのサポートを行います。
5.高い審査基準でデザイナーを厳選しているから
クロスデザイナーは、高い審査基準を設けてデザイナーを厳選しています。依頼段階で条件を設定いただくことで、ハイスキルなデザイナーの中から選定してご提案します。
下記の資料からは、実際に登録しているデザイナーのスキルや得意分野などをご確認いただけます。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
国内最大級のデザイナー専門のエージェントサービスである、クロスデザイナーには、厳正な審査を通過したハイスキルなデザイナー7000人以上が在籍しており、自社に合うデザイナーを見つけることができます。また、制作開始後も担当のコンサルタントがさまざまなトラブルや困りごとにも間に入って対応してくれるため、安心です。
さらに、登録しているデザイナーと合意があれば正社員採用もできます。スカウトや人材紹介機能もあるため、採用難易度の高い、即戦力デザイナーの採用機会を最大限サポートしています。
エージェントに相談いただければ、最短3営業日でのアサインも可能です。また、週2〜3日の柔軟な依頼も可能なので、自社の作業量に応じて効率的に外注することが可能です。
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- クロスデザイナーの特徴
- クロスデザイナーに登録しているデザイナー参考例
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Workship MAGAZINE編集部。フリーランス、マーケティング、会計経理、経営分野が専門。個人事業主としてスポーツインストラクター、飲食店経営、飲食コンサルを経て、現在はコンテンツ制作会社を経営中。
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