この記事では、業務委託のメリット・デメリット、業務委託契約の流れ、業務委託契約書の作成方法、よくあるトラブル事例と注意点など、企業側が業務委託で仕事を依頼する際の基礎知識を解説します。
違いがわかりにくい派遣や請負契約についても説明するので、契約形態を検討する際にぜひ参考にしてください。
企業側の視点から見る業務委託
近年の働き方の変化から、業務委託への注目度が高まっています。一方で、「そもそも業務委託とは何か?」「アルバイトとはどう違うのか?」といった疑問をお持ちの方もいるでしょう。
まずはそのような疑問を解消するために、企業側の視点に立って業務委託についてわかりやすく解説し、アルバイトなど雇用契約との違いなどについても簡単に説明します。
業務委託とは外注方法の1つで、自社の業務を外部の企業やフリーランスに委託する方法です。業務を依頼したいときの契約方法としては、業務委託契約以外にも雇用契約があり、アルバイトは雇用契約に含まれます。
発注者/雇用主である企業側から見たときの、業務委託と雇用契約における性質の違いを表にまとめると以下のようになります。
契約形態 | 業務委託契約 | 雇用契約 | |
正社員 | アルバイト | ||
雇用主 | なし | 就業企業 | |
指揮命令権 | なし | 雇用主にあり | |
業務に関する指示 | 不可 | 可 | |
期間の制限 | 期間の制限はなく契約に基づく | 無期雇用の場合が多い | 有期雇用の場合が多い |
働く場所や時間の指定 | 不可 | 可 | |
提供されるもの | ・業務の遂行(委任・準委任契約) ・納品物(請負契約) | 労働力 | |
会計上の処理 | 外注費 | 給与 | |
社会保険 | ・加入する義務はない ・社会保険料を負担する必要がない | ・加入義務が発生する ・社会保険料の種類によって定められた事業主割合を負担する必要がある | 一定の条件を満たした場合は加入義務が発生する ・加入した場合は社会保険料の種類によって定められた事業主割合を負担する必要がある |
所得税 | ・原則として源泉徴収を行う義務はない ・例外として、所得税法第204条第1項に当てはまる報酬・料金には源泉徴収を行う必要がある | ・源泉徴収を行う義務がある | |
消費税 | ・消費税の課税対象 ・消費税の仕入税額控除が適用される | ・消費税の対象外 |
このように、業務委託契約における発注者と受注者、雇用契約における雇用主と労働者では、関係性だけでなく法的な保護や義務などさまざまな面で異なります。この違いについて理解をしたうえで、業務委託契約を活用すべきかを検討することが重要です。
業務委託を活用する理由
総務省統計局の調査結果によると、フリーランスの数は257.4万人で、そのうち本業がフリーランスの数は209万人にのぼります。
本業としてフリーランスを選んだ理由をみると、「専門的な技能を活かせるから(32.5%)」と回答した人が最も多くなっています。このことから、専門性が高くスキルや実績のある優秀な人材が、フリーランスとして活躍していることがうかがえます。
<本業としてフリーランスを選んだ理由>
理由 | 人数 | 割合 |
自分の都合のよい時間に働きたいから | 570,900人 | 29.5% |
家計の補助・学費等を得たいから | 109,400人 | 5.7% |
家事・育児・介護と両立しやすいから | 109.300人 | 5.6% |
通勤時間が短いから | 15,600人 | 0.8% |
専門的な技能等を生かせるから | 628,000人 | 32.5% |
正規の職員・従業員の仕事がないから | 68,500人 | 3.5% |
その他 | 433,700人 | 22.4% |
一方、副業をしている人の数は304.9万人で、2017年と比較して+59.8万人と大幅に増加しています。そのため社員採用が難しい場合は、フリーランスと業務委託契約を結ぶのも一つの手です。
「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方~令和4年就業構造基本調査の結果から~」
関連記事:デザイナーのリソース不足を解決するには?対策とおすすめサービスを紹介
業務委託のメリット・デメリット
企業側から見た業務委託のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・専門性の高い業務をすぐに任せられる ・人材育成のコストを抑えられる ・社内人材を基幹業務に充てられる ・プロジェクトに柔軟に対応できる | ・コストが割高になる場合がある ・業務管理が難しい ・社内に知見やノウハウが蓄積されにくい ・情報漏洩のリスクがある |
業務委託で活躍するフリーランスのなかには、企業に属さずとも案件が受注できる優秀な人材が多くいます。専門性が高く社内のリソースではカバーできない業務もすぐに任せられ、即戦力として活躍できるのが最大のメリットです。
そのうえ制作会社に外注する場合とは異なり、直接コミュニケーションを取れるため、やりとりがスムーズで柔軟な対応を期待できます。
また、プロジェクト単位で必要なスキルを持った人に委託することが可能なため、社員採用や人材育成にかかる手間やコストをカットでき、それらの業務に割いていたリソースをコア業務に集中させることが可能になります。
一方、スキルや専門性が高いほど、報酬が割高になる傾向がある点がデメリットです。また、受注者との間に雇用契約がない業務委託では、原則として発注者に指揮命令は認められていないため、業務管理や成果物の質に問題が生じるおそれがあります。
そのほかのデメリットとしては、業務委託に頼りすぎると社内に知見やノウハウが蓄積されにくい点や、社内の情報を外部に共有する必要があるため、情報漏洩のリスクが伴う点が挙げられます。
関連記事:業務委託のメリットとデメリットを企業と労働者の視点から徹底解説
業務委託契約の種類と特徴
実務では広く業務委託契約という名称が使用されていますが、民法上は以下の3つに分類されます。
- 請負契約
- 委任契約
- 準委任契約
この3つの契約形態の違いを表にまとめると以下のようになります。
契約形態 | 請負契約 | 委任・準委任契約 |
目的 | ・仕事を完成させる | ・委任された業務を適切に行う |
報酬 | ・仕事の結果に対して報酬を支払う | ・業務の遂行に対して報酬を支払う |
義務 | ・債務不履行責任 ・契約不適合責任 | ・善管注意義務 |
それぞれ詳しく説明します。
請負契約
請負契約とは仕事の完成を目的とした契約形態で、受注者は仕事の完成を約束し、発注者は成果物の納品と引き換えに報酬の支払いを約束します。受注者が仕事を完成させることができなかったり、成果物に欠陥があったりした場合、発注者は損害賠償請求をすることが可能です。
ただし、発注者は受注者に対して、仕事を完成させるまでの工程に指示を出すことや、かかった時間を問うことはできない点に注意が必要です。
関連記事:【企業向け】請負契約とは? 準委任との違いやメリット・デメリットを解説
業務委託で請負契約するメリットと注意点、委任・準委任契約との違いも解説
委任契約
委任契約とは業務の遂行を目的とした契約形態で、請負とは異なり完遂義務はなく、依頼した時間に応じて報酬が発生します。民法では法律行為を委託する契約として委任契約を規定しており、例えば弁護士に裁判の代理を依頼する場合などが該当します。
準委任契約
民法では委任契約を準用する契約として準委任契約が設けられており、法律行為以外の業務を依頼するときに使います。
準委任契約には履行割合型と成果完成型の2種類があり、それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
契約形態 | 履行割合型 | 成果完成型 |
特徴 | ・依頼された業務を行った工数などに応じて報酬が支払われる | ・成果物の納品に対して報酬が支払われる |
報酬の支払いタイミング | ・業務を履行した後 | ・成果の引渡しと同時 |
業務の履行や成果物の納品ができなくなった場合の報酬請求 | ・受注者の責任の有無にかかわらず、すでに履行した業務の割合に応じて報酬を請求できる | ・成果が分割可能で、完成した部分によって発注者が受ける利益の割合に応じた報酬を請求できる |
準委任契約でも履行割合型と成果完成型では、報酬の対価や支払いタイミング、業務の履行や成果物の納品ができなくなった場合の報酬請求などに違いがあります。業務委託の活用を検討している方は、ぜひ理解しておきましょう。
関連記事:準委任契約とは? 請負契約との違いやメリット、デメリットを解説
業務委託の準委任契約とは?請負や委任契約との違い、メリットや注意点を解説
業務委託と派遣の違い
ここで、業務委託との違いがわかりにくい派遣契約について説明します。
派遣契約とは、派遣元と派遣先の企業が結ぶ契約で、業務委託契約と派遣契約の違いは、大きく2つあります。
1つ目は、指揮命令権の有無です。先述のとおり、業務委託契約は指揮命令が認められていませんが、派遣契約は指揮命令が認められています。
2つ目は、3年ルールの有無です。派遣法により「派遣社員が同一事業所や部署で働くことが3年まで」と定められており、派遣社員には3年ルールを考慮したうえで業務を依頼することが多くなっています。
一方、業務委託契約には期間の制限がありません。スキルや報酬面において互いに問題がなければ、継続的に契約することが可能です。
以下の表に業務委託と派遣契約の特徴をまとめました。どちらの契約形態が自社に適しているかを判断する際の参考にしてください。
業務委託契約 | 派遣契約 | |
雇用主 | なし | 派遣元 |
指揮命令権 | なし | 雇用主にあり |
業務に関する指示 | 不可 | 可 |
働く場所や時間の指定 | 不可 | 可 |
提供されるもの | ・業務の遂行(委任・準委任契約) ・納品物(請負契約) | ・労働力 |
会計上の処理 | 外注費 | 人材派遣費 |
社会保険 | ・加入する義務はない | ・派遣社員が条件を満たした場合、派遣元が対応する |
所得税 | ・原則として源泉徴収を行う義務はない ・例外として、所得税法第204条第1項に当てはまる報酬・料金には源泉徴収を行う必要がある | ・原則として派遣元が源泉徴収を行う |
消費税 | ・消費税の課税対象 ・消費税の仕入税額控除が適用される | |
3年ルール | なし | あり |
以下の資料では、外部人材を獲得するチャネルとしてよく挙げられる「業務委託」「派遣」「クラウドソーシング」に着目し、活用プロセスの違いや、メリット・デメリットを解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひお役立てください。
関連記事:業務委託とは?簡単に、ほかの契約との違いやメリット・デメリットを解説
業務委託契約に必要な知識
次に企業側がおさえておきたい基礎知識として、業務委託契約の流れと契約書の作成方法について説明していきます。
業務委託契約の流れ
実際に業務を委託する際の流れは以下のとおりです。
1.委託する業務を明確にする | 委託する業務の目的や内容を明確にします。業務の遂行に必要なスキルや能力なども洗い出しておきましょう。 |
2.納期や報酬などの依頼条件を設定する | どの契約形態で依頼するかを決定し、納期や報酬、成果物の納品形態などの依頼条件を設定します。 |
3.案件掲載先を選び掲載を依頼する | クラウドソーシングや人材サービスの中から案件の掲載先を選び、掲載期間を設定して依頼します。 |
4.委託先を選定する | 1で洗い出したスキルや能力を評価するための項目や面接の質問などを設定し、応募者の中から人材を選定します。 |
5,業務委託契約を締結する | 業務を依頼する人材に業務委託内容の説明を行い、合意の上で業務委託契約と秘密保持契約を締結します。 |
6.成果物が納品されたら検収を行う | 納品物が検収によって合格した場合は納品完了です。不合格となった場合は不備がある点を明確にして指摘し、修正作業と再度納品を依頼します。 |
7,契約内容に即して報酬を支払う | 納品後は、報酬の支払方法や支払時期など、契約内容に即して報酬を支払いましょう。 |
関連記事:業務委託契約を進める流れとは?稼働開始後の注意点と合わせて解説
個人事業主との業務委託契約について解説|手順と契約書の作成方法を紹介
業務委託契約書の作成方法
業務委託では口頭でも契約は有効で、契約書は必須ではなく、契約書の内容も法律で定められていません。
しかし、口頭などで契約して内容を記録に残さず業務を開始すると、トラブルになって法的手段をとる場合に証拠となるものがなく、不利になるおそれがあります。
業務を開始する前に必ず契約書を作成し、双方で署名捺印したものを保管しておきましょう。
業務委託契約書の作成方法は以下のとおりです。
1.契約書の基本情報を記載する | 契約書の冒頭に、契約の基本情報を記載します。具体的には、契約のタイトル、契約日、契約当事者の名称と住所などです。 |
2.業務内容を具体的に記載する | できるだけ具体的に業務の範囲や作業内容を明記しましょう。使用するツールや技術的な要件も記載すると、より具体的な指針となります。 |
3.報酬と支払い条件を明示する | 報酬の金額、支払い方法、支払い期限を明確に記載しましょう。追加報酬やボーナスの条件も明示すると、モチベーションの向上につながります。 |
4.納期を設定する | 具体的な納期を設定し、各段階のマイルストーンを明記しましょう。納期に遅れた場合のペナルティや対応策も記載すると、より確実な業務遂行を期待できます。 |
5.権利と義務を明確にする | 業務の円滑な進行のために、発注者と受注者の権利と義務を記載して明確化します。知的財産権や機密保持義務なども記載することで、法的なトラブルの防止につながります。 |
6.契約の解除条件を記載する | 契約違反が発生した場合の解除条件や、双方の合意による解除手続きなどを具体的に明記します。 |
7.契約の解除条件を記載する | その他の条項には、契約の細部に関する事項を記載します。例えば、契約の変更手続き、紛争解決方法、適用法令などを明示しましょう。 |
以下の資料では、正しく安心できる契約を結ぶために、業務委託契約の契約書を作成する上で必要な事柄を解説しています。フリーランスや副業者など、外部の人材を活用する際に、ぜひお役立てください。
関連記事:業務委託契約書の重要性と作成方法、記載すべき項目や注意点を解説【テンプレ付き】
デザイナーとの業務委託契約書で注意すべき点とは? 必須の記載事項も解説
業務委託契約でよくあるトラブル事例と注意点
業務委託は、リソース不足の企業にとっては強い味方となる一方で、契約や法律に関する知識がないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
ここからは、業務委託で発生しがちな6つのトラブルについて、事例と注意点を交えて説明していきます。
- 偽装請負
- 二重派遣
- 中途解約
- 報酬未払い
- 機密情報漏洩
- 再委託
1.偽装請負
繰り返しになりますが、発注者は業務委託契約を結んだ受注者と雇用関係にないため、原則として指揮命令は認められていません。もし業務の進め方や働く場所などについて指示を行った場合、偽装請負と判断されると、労働者派遣法と職業安定法など複数の法令の罰則が科せられます。
東京労働局によると、偽装請負と判断される代表的なパターンは以下の4つです。
代表型 | 請負と言いながら、発注者が業務の細かい指示を労働者に出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりしています。偽装請負によく見られるパターンです。 |
形式だけ責任者型 | 現場には形式的に責任者を置いていますが、その責任者は、発注者の指示を個々の労働者に伝えるだけで、発注者が指示をしているのと実態は同じです。単純な業務に多いパターンです。 |
使用者不明型 | 業者Aが業者Bに仕事を発注し、Bは別の業者Cに請けた仕事をそのまま出します。Cに雇用されている労働者がAの現場に行って、AやBの指示によって仕事をします。一体誰に雇われているのかよく分からないというパターンです。 |
一人請負型 | 発注者と受託者の関係を請負契約と偽装した上、更に受託者と労働者の雇用契約も個人事業主という請負契約で偽装し、実態としては、発注者の指示を受けて働いているというパターンです。 |
引用:東京労働局「あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?」
受注者を自社に常駐させていたり、契約期間が長くなったりすると、ついうっかり、ほかの社員と同じように扱ってしまうケースもあります。業務委託を行う際は、自社で行われている契約で当てはまるものはないか定期的に確認しましょう。
関連記事:偽装請負とは?禁止事項や判断基準、問題点や罰則などを事例とともに解説
どこまでの指示が偽装請負になる?業務委託契約との関係性まで解説
2.二重派遣
二重派遣とは派遣労働者が派遣先の企業とは別の会社で働くことであり、業務委託契約で懸念されるケースとしては、SES契約(システムエンジニアリング契約)が挙げられます。
SES契約とは、ベンダーがクライアントから仕事を請け負い、雇用契約や労働契約を締結している技術者を派遣して、業務を遂行させる契約形態です。指揮命令権はベンダーにあるため、常駐先のクライアントから指揮命令を受けると二重派遣になり、職業安定法や労働基準法に抵触します。
3.中途解約
請負契約の場合、受注者が成果物を納品するまでの間であれば、いつでも契約を解除できますが、受注者に落ち度がなく発注者の一方的な都合による場合は、賠償の範囲は契約解除に関係するすべての損害に及ぶ可能性があります。
また、成果物に欠陥があり契約の目的を達成できない場合も解除できます。しかし、仕事を完成できなかった理由が受注者にあっても、報酬請求権が認められており、すでに行われた仕事の結果によって発注者が利益を受けた場合は、受注者は利益の割合に応じた報酬を請求できる点に注意が必要です。
一方、委任・準委任契約の場合は、発注者と受注者の双方がいつでも解除可能です。
ただし、民法の「相手方に不利な時期に委任を解除したとき」や「委託者が受託者の利益をも目的とする委任を解除したとき」に該当する場合、損害賠償が発生するおそれがあります。
関連記事:【企業向け】業務委託契約を解除したい場合の手順や注意点を解説
4.報酬未払い
受注者から報酬の未払いを指摘されたときは、以下の3点について早急に確認してください。
- 事務処理にミスがないか
- 納品後の工程が長引いていないか
- 請求書は正しく受理されているか
確認後はすぐに原因と対応を受注者へ報告しましょう。
上記に該当せず資金繰りが原因の場合でも、内容証明書や裁判所からの支払督促を受けてから対応するよりも、信頼関係の悪化を防げる可能性があります。
下請法が適用される場合、支払いが遅れている期間分の遅延損害金が発生します。契約書で定めていない場合、法廷利率の年3%が適用された額を受託者へ支払わなければなりません。
関連記事:【フリーランス向け】業務委託の報酬未払いはどう対処すべき?予防策も解説
5.機密情報漏洩
委託する業務内容によっては、社内の機密情報が含まれるケースもあるでしょう。
業務を遂行するにあたり、受注者に落ち度があり機密情報が漏えいした場合、自社の信頼が損なわれてしまいます。
機密情報を扱う業務を委託するときは、情報管理について明記した業務委託契約書を作成するか、業務で知り得た情報を漏えいさせないことを約束するNDA(機密保持契約書)を締結しておきましょう。
6.再委託
受注者が委託された業務を第三者へ委託することを、再委託といいます。
準委任契約は、受注者が業務を遂行する契約のため、原則として再委託は禁止です。発注者が認めている場合や、受注者がやむを得ない事情で業務が遂行できなくなった場合に限り、再委託が認められます。しかし、理由がなく再委託が行われて発注者が損害を被った場合は、損害賠償の請求を行うことが可能です。
一方、請負契約は、完成した成果物を納品することが目的のため、再委託が問題になることはありません。ただし内容によっては、第三者に丸投げができない業務もあるため注意が必要です。
関連記事:業務委託契約を締結する際に起こりがちなトラブル事例6つと対処法を解説
業務委託契約のリスク対策
上記のようなトラブルを避けるための主な対策方法は、以下の6つです。
- 業務内容・報酬・納期・支払方法を明確にする
- 雇用契約の違いを理解する
- 業務委託契約書を作成・締結する
- 定期的に勤務実態を把握する
- 雇用契約に移行する
- 信頼できる人材紹介会社を選ぶ
それぞれ詳しく説明します。
1.業務内容・報酬・納期・支払方法を明確にする
まずは対応してほしい業務範囲、委託料、検収期間や納品期限、支払い条件、支払い方法などを明確にしましょう。特に業務範囲が曖昧で双方で認識違いがあると、後々トラブルに発展しかねないため注意が必要です。
2.雇用契約の違いを理解する
これまでに説明した業務委託契約の特徴と、雇用契約や派遣契約との違いを理解したうえで契約を締結しましょう。発注者側は業務に関わる関係者に、受注者の契約形態や業務内容、注意事項などを周知しておくことも重要です。
3.業務委託契約書を作成・締結する
トラブルを未然に防ぐためには業務委託契約書を作成して、業務を開始する前に締結しましょう。1で明確にした重要項目のほか、契約解除規定や禁止事項なども併せて明記し、抜け漏れがないように記載します。
以下の資料では、業務委託に必要な契約書の作成方法を解説しています。無料でダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。
4.定期的に勤務実態を把握する
定期的に受注者と面談を行い、指揮命令を受けていないか、勤務実態を確認することが大切です。
とくにトラブルのなかでも多い偽装請負は、委託者も故意に行ったのではないケースも多いため、定期的に確認することが防止につながります。
5.雇用契約に移行する
業務委託で人材を確保するには、法律に則った契約書の作成にくわえて、偽装請負などのリスクもふまえた活用方法を検討しなければいけません。
そのため雇用契約に移行してリスクを抑えるのも一つの手です。直接雇用であれば指揮命令が出せるうえに進捗を把握しやすくなります。
6.信頼できる人材紹介会社を選ぶ
人材紹介会社を利用すれば、企業が応募者と直接条件交渉を行ったり社内で契約書を作成したりする必要はなく、エージェントを介してスムーズに契約を締結できます。
また、契約を適切に運用するためのサポートを受けられ、偽装請負などのトラブルを回避するための具体的なアドバイスやガイドラインを提供してくれることもあります。
例えばフリーランスのデザイナーに業務委託する場合は、デザインの知識やスキル、費用相場について熟知した、実績と信頼のあるデザイナー専門のエージェントサービスに依頼すれば、業界に詳しく安心して任せられるでしょう。
関連記事:フリーランスに業務委託するメリットと契約方法、注意点を企業向けに解説
デザイナー採用で人材紹介会社を利用するメリット
業務委託契約に不安がある場合はもちろん、デザイナーのように専門性が高い人材を業務委託で採用する際も、人材紹介会社を利用するとさまざまなメリットがあります。
特に以下のような点で、前述の業務委託に関するトラブルを回避するための対策としても有効です。
- 自社のニーズに合った人材を紹介してくれる
- 面倒な条件交渉や契約手続きを代行してくれる
- 契約を適切に運用できるようフォローしてくれる
- 採用におけるトラブルが発生した際に仲介してくれる
それぞれ詳しく説明します。
1.自社のニーズに合った人材を紹介してくれる
エージェントサービスに登録する多数のフリーランス人材のなかから、企業のニーズに合った優秀な人材を紹介してくるため、即戦力となるフリーランスを迅速に採用できます。
2.面倒な条件交渉や契約手続きを代行してくれる
通常は企業とフリーランスの間で行う条件交渉や契約手続きを、エージェントが代行してくれます。そのためフリーランスとの契約に関わる業務の負担が削減でき、効率良く採用活動を行うことができます。
3.契約を適切に運用できるようフォローしてくれる
企業とフリーランスの双方が契約内容を正しく理解して適切に運用できるよう、エージェントがフォローしてくれます。例えば、契約書に重要項目がもれなく記載されているか、契約内容と労働の実態に相違はないか、禁止事項や注意事項は遵守しているかといったさまざまな面でサポートを受けられます。
4.採用におけるトラブルが発生した際に仲介してくれる
企業とフリーランスの間で採用におけるトラブルが発生した場合、専門的な知識を持つエージェントが仲介し、解決に向けて尽力してくれます。そのため、万が一の場合のリスクヘッジにもなります。
関連記事:デザイナーを採用する企業におすすめの転職エージェント11選と選び方のコツを解説
【企業向け】フリーランスデザイナーと契約できるエージェントは?比較表付きで解説
フリーランスのデザイナーを探すならクロスデザイナーがおすすめ
この記事では、業務委託のメリット・デメリット、業務委託契約の流れ、業務委託契約書の作成方法、よくあるトラブル事例と注意点など、企業側が業務委託で仕事を依頼する際の基礎知識を解説しました。
違いがわかりにくい派遣や請負契約についても説明しているので、契約形態を検討する際にぜひ参考にしてください。
業務委託で人材を確保するには、法律に則った契約書の作成にくわえて、偽装請負などのトラブルが発生するリスクもふまえて、活用方法を検討する必要があります。
そのため、業務委託契約に不安がある場合や、デザイナーのように専門性が高い人材を業務委託で採用する際は、人材紹介会社を活用することをおすすめします。
人材紹介会社を活用することで、自社のニーズに合った優秀な人材を迅速に紹介してくれるうえ、契約に関するサポートを受けられるため、業務委託採用を効率良く進められます。また、業務委託契約を適切に運用するための具体的なアドバイスやガイドラインを提供してくれる場合もあります。
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