新規事業におけるデザイナーの役割とは?採用のためのポイントも解説 | フリーランスデザイナー・業務委託採用|クロスデザイナー

新規事業におけるデザイナーの役割とは?採用のためのポイントも解説

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ビジネス上の課題解決にデザイン思考が注目を集め、事業運営におけるデザインの重要性が高まっています。この記事では、ビジネスで高度なデザイン人材が必要な理由や、新規事業の立ち上げで活躍するデザイン人材像を解説します。

新規事業開発を担うデザイナーの職種や領域についても説明するので、採用や育成の参考にしてください。

ビジネスで高度なデザイン人材が必要な3つの理由

最初に、なぜ高度なデザイン人材が必要なのか、社会状況について理解しましょう。

ここからは、経済産業省などによる資料「⾼度デザイン⼈材育成ガイドライン」を基に解説します。ビジネスで高度なデザイン人材が必要な理由は以下の3つです。

  1. DX化によりデザインの対象と機会が拡⼤
  2. デザイン思考とSDLの普及
  3. グローバル化とVUCA時代の到来

それぞれ詳しく説明します。

出典:経済産業省「高度デザイン人材育成研究会 ガイドライン及び報告書」
   「高度デザイン人材育成ガイドライン 詳細版」(経済産業省)を加工して作成

1.DX化によりデザインの対象と機会が拡⼤

インターネットとモバイルデバイスの発展、SNSなどの普及により、デジタル上でのユーザーコミュニケーションは、リアルタイム性を持つ1対多の双⽅向でオープンな関係へと変化し、ビジネスに強い影響力を持つようになりました。

そのような社会的背景から、企業は多種多様なデータを活用して新たな価値を創出する視点が必要とされています。また、従来の発想ではなく、デジタル技術により既存のビジネスモデルやプロセスの改革が求められるようになりました。

これにより、DX推進及びそのためのUI/UXにおいて高度なデザインの重要性が増し、デザインの対象と機会が拡大したのです。

参考⽂献:WorldEconomicForum(2016),WorldEconomicForumWhitePaperDigitalTransformationofIndustries:IncollaborationwithAccenture.(世界経済フォーラム(2016),世界経済フォーラム⽩書業界のデジタル・トランスフォーメーション:アクセンチュアとの共同制作.)

2.SDLの普及とデザイン思考

2004年、アメリカのマーケティング研究者のスティーブン・バーゴとロバート・ルッシュは、市場の論理が「GDL(グッズ・ドミナント・ロジック)」から「SDL(サービス・ドミナント・ロジック)」へと変化していることを指摘しました。

GDLとは、製品を先に定義してそれ以外をサービスとして捉え、価値をつくる主体は企業であり、優れた製品の開発がユーザー体験の向上につながるという考え方です。

それに対してSDLとは、経済活動のすべてをサービスとして捉えます。ユーザーが製品やサービスを使うプロセスにおいて企業活動やユーザー行動が価値を生み続け、企業とユーザーが価値を共創するという考え方です。

このようにユーザー視点をビジネスに取り入れることが重要視されるようになってから、デザイナーの思考方法をビジネスに活用してイノベーションにつなげる「デザイン思考」が注目を集めるようになりました。

デザイン思考とは、アメリカのデザインコンサルティング会社のIDEOが提唱して世界に広まった思考法です。IDEOはスティーブ・ジョブズが初代マッキントッシュのマウスのデザインを依頼したことでも知られています。サムスンやP&Gといった世界的企業の成長を支えてきたことや、GAFAMで導入されて成果を上げたことにより、日本でもデザイン思考への注目度が高まりました。

参考⽂献:Lusch,R.andVargo,S.(2014),Service-DominantLogic:Premises,Perspectives,Possibilities,CambridgeUniversityPress.(ラッシュ,R.,ヴァーゴ,S.(2016)サービス・ドミナント・ロジックの応⽤と発想,井上崇通訳,同⽂舘出版.)Brown,T.(2009), ChangebyDesign:HowDesignThinkingTransformsOrganizationsandInspiresInnovation,HarperBusiness.(ブラウン,T.(2014),デザイン思考が世界を変える,千葉敏⽣訳,早川書房.)

関連記事:デザイン思考とは?概要から活用方法をわかりやすく解説|導入するメリットやフレームワークも紹介

3.グローバル化とVUCA時代の到来

通信技術や移動⼿段の発達による経済の発展が、グローバル化を急速に進展させ、個⼈や組織を取り巻く環境は常に変化しています。このような不確実性が著しく高まっている時代を「VUCA(ブーカ)」と言います。

VUCAとは、

  • 「Volatility(変動性)」
  • 「Uncertainty(不確実性)」
  • 「 Complexity(複雑性)」 
  • 「Ambiguity(曖昧性)」

の頭文字を取ってつなげた略語です。

「VUCA(ブーカ)」は企業の経営環境や個⼈のキャリアに関するキーワードとしても重要視されています。このような先行きが不透明で予測が困難な状態においては、環境の変化を感知して機会を捉えて企業にイノベーションを起こす力や、課題を探索して解決するスキルやマインドセットが求められており、デザインの考え方をベースとするアプローチをビジネスに活用する局面が増加しているのです。

関連記事:デザイン思考がDXの現場で重要視される理由|推進させるコツも

デザイン組織の重要性

デザイン思考を採用しているAppleが世界的な企業となったこともあり、ビジネスの中心にデザインを据えてイノベーションを創出する組織開発への注⽬度が高まっています。デザインを企業のデザイン部⾨の担当業務ではなく、組織全体として取り組み、経営資源として活⽤していくべきであるという考え方にシフトしているのです。

企業に所属するデザイナーは、他部⾨や経営層を巻き込んでイノベーションを創出する能力が求められるように変化してきています。そのため、新規事業や事業イノベーションで活躍するデザイナーを採用したい場合は、デザイン能⼒に加えてビジネススキルとリーダーシップを重視する必要があります。

▼下記の資料では、デザイナーを取り巻く環境や採用のポイントを、わかりやすく簡潔にまとめました。無料でダウンロードできますので、ぜひ貴社の採用活動にお役立てください。


【お役立ち資料】
3分でわかるデザイナー採用

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新規事業や事業イノベーションで活躍するデザイン人材像とは

経済産業省の資料によると、高度なデザイン人材に求められる能力やスキルは以下の5点です。

  1. 今⽇の社会的状況に即した解決策を作るデザインスキル
  2. デザインアプローチの意義を伝えるためのデザイン哲学の理解
  3. イノベーティブな独⾃の視点を持つためのアートの感性
  4. 望ましいゴールへとチームを導くリーダーシップ
  5. 多様な⼈々と有効な解決策を作っていくビジネススキル

新規事業や事業イノベーションで活躍するデザイナーを採用する際は、この5点を参考に、採用の選定ポイントを設定すると良いでしょう。それぞれ詳しく説明します。

1.今⽇の社会的状況に即した解決策を作るデザインスキル

ビジネスで求められるデザインスキルは、従来のプロダクトデザインやグラフィックデザインという領域から拡張し変化を遂げています。

事業運営ではユーザーのUXの品質を向上させることが重要であり、UXデザインが競争⼒を⾼めるためのポイントとなっています。そのため、UXデザインやUXリサーチといったデザインスキルが高い価値を見出される傾向があります。

また、ソフトウェアやアプリ、Webサイトといったデジタルプロダクトのデザインでは、インターフェース研究の分野であるHCI(Human Computer Interaction) とビジュアライゼーションの両方のスキルが求められます。

さらに今後は、AIやIoTなどデータサイエンスと連動したデザインや、バイオやマテリアルなどの分野でテクノロジーを活用したデザインが求められるでしょう。

2.デザインアプローチの意義を伝えるためのデザイン哲学の理解

UXデザインやデザイン思考の背景となっている人間中心設計(HCD)のアプローチは、ビジネスに応用するために、デザイナーが理解したうえで対外的に説明する能力が求められます。

このようなデザイン哲学は、今後デザインの役割が大きくなるにつれてより重要になるでしょう。

関連記事:人間中心設計とは? 具体的な設計方法と事例を解説

3.イノベーティブな独⾃の視点を持つためのアートの感性

人間中心設計(HCD)やデザイン思考のアプローチは、「アウトサイド・イン(Outside-in)」 型のプロセスと呼ばれ、組織の外部に目を向けて問題を探求し、解決の糸口を探ります。

これに対して「デザイン・ドリブン・イノベーション(意味のイノベーション)」や「アート思考」は「インサイド・アウト(Inside-out)」型のプロセスと呼ばれます。デザイナーの主観的視点や感覚を元に、製品やサービスを新しく解釈するアプローチです。

デザイン・ドリブン・イノベーションとは、表面的ではないイノベーションを起こしたいのであれば、解決手段ではなく既存の意味を再定義すべきであり、答えは「どのように(How)」ではなく「なぜ(Why)」の中にあるとしています。

アート思考とは、アーティストが自己の内部から湧き上がる感情や感覚をもとに作品を生み出すように、既成概念にとらわれずに、思考する側の独自性によってオリジナリティのある発想や答えを導く自由な思考法です。

アート思考をビジネスに活用した例として、スティーブ・ジョブズが文字のアートと呼ばれるカリグラフィーを学び、プロダクトに活かした結果、美しいフォントを持つMacが誕生したエピソードなどが有名です。

既成概念を超える新たな製品やサービスを生み出すために、デザイナーには独自の視点を持つためのアートの感性と、これらの思考法を活用するスキルが求められます。

関連記事:デザイン思考とアート思考の違いは?ビジネスで必要とされる理由も

4.望ましいゴールへとチームを導くリーダーシップ

事業運営においてデザインの役割が大きくなるにしたがって、デザイナーがプロジェクトを推進するケースが増えています。そのような状況では、プロジェクトの課題に対して主体性を発揮してビジョンを提示し、⼈々を巻き込んでいくリーダーシップがデザイナーに求められます。

5.多様な⼈々と有効な解決策を作っていくビジネススキル

従来のデザイナーが連携する組織は製品やサービスに関わる部署が主でしたが、製品だけでなくそのUI/UXまでが競争力に直結する現代においては、さまざまな事業部や部門、⾃治体といった多様な関係者をリードしてコラボレーションするためのビジネススキルが必要です。

さらに新規事業や事業イノベーションで活躍するデザイナーには、事業運営において有効な解決策を作っていくために、ビジネスモデルや事業戦略についての知識、マーケティングやブランディングへの理解といったスキルも求められます。

関連記事:デザイナー評価項目・方法は?定性的になりがちな人事制度の見直し方

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新規事業開発を担うデザイナーの職種と役割

デザイナーにはさまざまな職種があるため、新規事業開発でデザイナーを採用したりデザインを依頼したりする場合は、どのような職種の人材を選んだら良いのか、また、どういった役割を果たしてくれるのか、悩む人も多いでしょう。

ここで、新規事業開発を担うデザイナーの4つの職種と役割を紹介します。

  • ビジネスデザイナー
  • デザインストラテジスト
  • プロジェクトデザイナー
  • エクスペリエンスデザイナー

それぞれ詳しく説明します。

ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、製品やサービスをビジネスとして成立させるために、企画を立案し、アイデアを実現するプロセスや仕組みを構築します。例えば、事業推進計画書を作成したり、新規事業を構築したり、アイデアをプレゼンしたりといったスキルを備えています。

デザインストラテジスト

デザインストラテジストは、デザインの視点からビジネスの戦略を立案・設計し、プロジェクトを推進します。ビジネスやマーケティングに関する知識のほか、人間中心設計(HCD)やデザイン思考といった手法を活用し、戦略を分析・策定するスキルを備えています。

プロジェクトデザイナー

プロジェクトデザインの多くは計画段階で実施され、プロジェクトの基本構造を策定し組織の認識をそろえることなどを目的としています。

プロジェクトデザイナーの役割は、メンバーの調和を図るほか、プロジェクトやアイデアの評価や新規事業の優先順位を決定するための判断材料を提示することなどです。チームビルディング、ビジョンデザイン、ファシリテーションといったスキルを備えています。

エクスペリエンスデザイナー

エクスペリエンスデザイナーは、ユーザーニーズを分析し、デザインによって優れたユーザー体験を創造するために、デジタルプロダクトの企画・設計・開発を行います。UI/UXに関する知識のほか、リサーチやマーケティングに関するスキル、人間中心設計(HCD)やデザイン思考といった手法を活用するスキルなどを備えています。

▼下記の資料では、デザイン業務の外注とデザイナー採用について、コストを中心に比較し、双方のメリット・デメリットを解説します。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。


【お役立ち資料】
デザイン外注とデザイナー採用 コスト比較表

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新規事業でデザインを外注する方法は主に4つ

デザイン経営宣言によってデザインを経営資源として活用するニーズは高まる一方、どのように実践するのかという知見は少ないのが現状です。また、高度なデザイン人材の採用や育成を強化するには、時間やコストがかかります。人件費や設備費がかかるのはもちろんのこと、育成に関わるメンバーのタスクと工数が変わるため、他の業務やプロジェクトに影響する可能性もあります。

そのためリソースに余裕がない場合は、外注してノウハウを蓄積するのも1つの手です。新規事業でデザインを外注する方法は、主に以下の4つが挙げられます。

  • デザインコンサルティング会社に依頼する
  • デザイン会社に依頼する
  • クラウドソーシングで依頼する
  • フリーランスに依頼する

それぞれ詳しく説明します。

デザインコンサルティング会社に依頼する

デザインコンサルティング会社は、企業やブランドの問題を解決するために、デザイン思考などを用いて、ブランディングやマーケティング、ビジネス戦略の策定、製品開発の支援などを行います。UI/UXや新規事業開発に特化したデザインコンサルティング会社もあり、専門性が高い外部からの知識や視点を得られる点や、本質的な課題を抽出して論理的かつ合理的に解決できる点がメリットです。

一方で、デザインやコンサルティングにかかる費用が増加する可能性がある点や、期待ほどの成果が見られない場合がある点がデメリットです。

デザイン会社に依頼する

デザイン会社に依頼するメリットは、知識と経験が豊富なプロの集団であり、高い技術と確かな成果が期待できる点です。

ただし、得意分野が明確な制作会社もあるため、デザイン費用をかけても依頼先によっては期待した成果が得られない場合がある点がデメリットです。依頼先を選定する際は実績をチェックしましょう。

クラウドソーシングで依頼する

クラウドソーシングのメリットは、内製は難しいがデザインコンサルティング会社やデザイン会社に依頼するほどではない、またコストパフォーマンス良く仕上げたい場合などに、気軽に発注できる点です。

ポートフォリオをチェックして気に入ったデザイナーが見つかれば、直接依頼することもでき、交渉次第で急を要する案件にも柔軟に対応してもらえる可能性が高いでしょう。

デメリットは、在籍しているデザイナーは新人から実績のあるベテランまでさまざまでクオリティが担保できない点と、秘密保持や情報管理に関する懸念が挙げられます。

フリーランスに依頼する

上記のクラウドソーシングのほか、SNSやブログなどを通してフリーランスに依頼することも可能ですが、いずれの方法もニーズに合ったデザイナーを見つける手間がかかります。そのため、フリーランスデザイナーをお探しの方は、デザイナー専門のマッチングサービスを利用するのがおすすめです。

関連記事:外注デザイナーを探す方法は?おすすめサービス10選と注意点を解説!

▼自社業務をはじめて外注する際は不安を感じる方も多いはず。そこで下記の資料では、外注の流れとポイントをステップ別に解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。


【お役立ち資料】
はじめての外注マニュアル

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新規事業のデザインをフリーランスに依頼するならクロスデザイナーがおすすめ!

本記事では、ビジネスで高度なデザイン人材が必要な理由や人材像を詳細に解説しました。新規事業の立ち上げで活躍するデザイナーの具体的な職種や領域についても説明しているので、採用や育成の参考にしてください。

ただし、新規事業の立ち上げで活躍する高度なデザイン人材の採用や育成を強化するには、時間やコストがかかります。そのためリソースに余裕がない場合は、デザインコンサルティング会社やデザイン会社、クラウドソーシングなどを活用して外注し、社内にノウハウを蓄積するのも1つの手です。

フリーランスのデザイナーに依頼する場合は、デザインの知識やスキル、費用相場について熟知した、実績と信頼のあるデザイナー専門のエージェントサービスに依頼すれば、業界に詳しく安心して任せられるでしょう。対象となる企業に必要なリソースを選んでマッチングしてくれるため、ミスマッチのリスクを軽減できます。

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曄道 うるは
記事を書いた人
曄道 うるは

Webディレクター&SEOライター。出版業界、広告代理店、IT業界を経てパラレルワーカーに。執筆した記事は500を超える。得意ジャンルはIT、ヘルスケア、金融。座右の銘は「好きを仕事に」。