グラフィックデザインとWebデザイン。同じ「デザイン」という名称を持ちますが、その違いを詳細には理解しきれないという方も多いのではないでしょうか。
多くの企業が、デザインの力を借りてブランド力を強化し、競争力を高めることを目指しています。本記事では、グラフィックデザインとWebデザインの違いを10個のポイントに分けて徹底解説します。デザインを外注する際の参考にして、自社のビジネスに活かしてください。
グラフィックデザインとWebデザイン
グラフィックデザインは印刷物を対象にしたデザインのことです。ポスターや雑誌、新聞広告など多岐にわたります。近年はデジタルメディアが発達したことで、Webサイトやアプリなどのデザインも手がけるグラフィックデザイナーも増えてきました。
しかし、グラフィックデザインとWebデザインはそれぞれ目的や特徴が大きく異なります。両方のデザインの違いをしっかりと理解することで、自社のニーズにあったデザインを選ぶことが可能です。
グラフィックデザインとWebデザインの違い10選
グラフィックデザインとWebデザインの違いを理解することで、目的にあった依頼ができるようになります。ここでは以下の5つの工程にわけて、グラフィックデザインとWebデザインの違いを10選紹介します。
- 成果物と目的の違い
- スキルとツールの違い
- サイズ・解像度の違い
- 表現と解像度の違い
- 納品後の活用方法の違い
1. 成果物と目的の違い
グラフィックデザインとWebデザインの成果物と目的の違いを解説します。
成果物の種類の違い
グラフィックデザインは、ポスターやチラシなど印刷物のデザインを指し、視覚的なインパクトで情報を伝えるための役割を担っています。紙や加工を見据えて制作するのが一般的です。
Webデザインは、パソコンやスマートフォンなどのブラウザ上で表示されるコンテンツのデザインを指します。Webサイトやアプリ、バナー広告、LPなどがあり、デジタル環境に適したデザインが求められます。
目的の違い
グラフィックデザインは、視覚的なコミュニケーションを通じて情報を伝えることが目的です。ユーザーがデザインを見てすぐに情報を理解し、メッセージを受け取れるように、シンプルでわかりやすく情報を伝えることが求められます。
Webデザインでは、ユーザーエクスペリエンス(UX)を重視し、直感的に操作できるデザインの設計が重視されます。メニューやボタンの配置、レスポンシブデザインなどを工夫して異なるデバイスでも、快適に利用できるデザインを制作します。
ユーザーが目的の情報に素早くアクセスできるように利便性を考慮してデザインすることが大切です。
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2. スキルとツールの違い
グラフィックデザインとWebデザインはそれぞれ制作するために求められるスキルとソフト・ツールにも違いがあります。
スキルの違い
グラフィックデザインは、プロダクトを魅力的に見せ、売れるデザインを制作することが求められます。視覚的なスキルやデザインツールの活用にくわえて、紙の特性や印刷技術の知識が重要です。制作にあたって消費者心理を理解するスキルや、 周りの広告やポスターを見て流行を押さえ、最新のデザイントレンドに対応することも重要です。
Webデザインは、Webサイトやアプリを魅力的に仕上げるデザインスキルが必要です。UI/UXデザインやレスポンシブ対応、HTML/CSSなどのコーディングスキルがあるデザイナーは重宝されます。SEOに関する知識も必要です。
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ソフト・ツールの違い
グラフィックデザインを制作する代表的なソフト・ツールは以下のとおりです。
- Adobe Illustrator
- Adobe Photoshop
- Adobe InDesign
『Adobe Illustrator』はベクタ形式で、解像度の影響を受けないため、ポスターやチラシなどの大判印刷物やロゴデザインに適しています。
ラスタ形式の『Adobe Photoshop』は解像度の影響を受けるため、グラフィックデザインを制作するときは高解像度で制作する必要があります。
Webデザインはおもに以下のソフトとツールを使用して制作します。
- Adobe Photoshop
- Adobe XD
- Adobe Dreamweaver
- Figma
- InVision Studio
Webデザインは、画面上で映えるデザインを制作するため、ラスタ形式が主流です。デザインの目的や用途に応じて選ぶソフトやツールが変わるため、操作方法の理解が求められます。
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3. サイズ・解像度の違い
グラフィックデザインとWebデザインでは、それぞれ制作するサイズが異なります。
サイズの違い
グラフィックデザインのサイズは、紙媒体の用途に応じてサイズが決められています。以下のように、媒体ごとにサイズ規格があります。
媒体 | サイズ |
ポスター | B1:1030×728mm |
パンフレット | A4:210×297mm |
名刺 | 91×55mm |
限られたスペースで情報を整理し、バランスを取る必要があります。用途ごとに配置を変えるため、サイズ変更もたいへんです。テキストが多いときは、フォントサイズや行間、空白などを工夫し、トンボや余白も考慮しなければなりません。
Webデザインはこうした規格はなく、端末にあわせたレスポンシブデザインへの対応が必要です。HTML/CSSを活用することで、同じ情報の見せ方を変えることができます。これにより制作の負担も軽減することが可能です。
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解像度の違い
解像度は「dpi(dot per inch)」や「ppi(pixel per inch)」で表現され、1cmあたりのドット(ピクセル)の密度を示します。数値が高いほど鮮明に表現でき、低いと粗い仕上がりになります。
グラフィックデザインでは、300〜350dpiが推奨されています。印刷物に使うデザイン制作を依頼するときは、解像度が不足していると品質を損ねてしまうため、あらかじめ指定しておくことが大切です。
Webデザインでは、解像度よりも「px(ピクセル)」が重視されます。72ppiの解像度が推奨されていましたが、近年ではデバイスの多様化により、解像度はあまり意味をなさなくなりました。
「px」には以下のような規格があります。
種類 | px(ピクセル) |
アイキャッチ画像 | 1,200×630px |
ディスプレイ広告 | 200×200px |
ボタン | 48×48px |
環境が変わっても快適な閲覧体験を提供できるように、レスポンシブデザインの適用を忘れないようにしましょう。
これにより、データの軽量化につながり、Webサイトの読み込み速度も早くなります。
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4. 表現方法の違い
グラフィックデザインとWebデザインでは、表現方法にも違いがあります。
表現の自由度の違い
グラフィックデザインは静的表現で高い自由度をもち、レイアウトやフォント選びに制限がありません。
ただし、色の規格を守ること、印刷物のサイズや解像度には注意が必要など、印刷に関する制限を理解しておく必要があります。
Webデザインは、コーディングで表現できないデザインを除いてすべての表現が可能です。ただし、以下を考慮する必要があります。
- 各ブラウザの対応CSS
- 使用できるフォントの種類
- 最小フォントサイズ10px
- アクセシビリティとSEO
細かい制約がありますが、動画や音楽を使用したり、JavaScriptを使って背景を動かしたり、画像を切り替えたりなど、ユーザーの操作に応じて変化するインタラクティブなデザインを取り入れることもできます。
色の規格の違い
グラフィックデザインでは、印刷用にCMYK(シーエムワイケー)と呼ばれる規格が使われます。
- Cyan(シアン):水色系
- Magenta(マゼンタ):ピンク色系
- Yellow(イエロー):黄色
- Key plate:黒
金色、銀色や蛍光色は再現するときは特色インク(DIC)を使用します。
Webデザインは、RGBの規格が使われます。
- Red(レッド):赤
- Green(グリーン):緑
- Blue(ブルー):青
光の三原色をもとにした明るく鮮やかな表現が可能です。デジタル端末上での表現に適しているため、RGBで制作したものを印刷すると色がくすんでしまいます。用途に応じた規格の使い分けが大切です。
5. 納品後の活用方法の違い
グラフィックデザインとWebデザインの納品形式とデータ形式も指定があります。
納品形式の違い
グラフィックデザインのデータ形式は、以下のとおりです。
.ai | Adobe Illustratorの拡張子 |
.psd | Adobe Photoshopの拡張子 |
.eps/.tiff | 高画質画像や印刷用形式 |
納品してもらうデータでフォントのアウトライン化と画像のラスタライズ化をしてもらうことで、どのような環境でも扱えるデータとなります。
Webデザインでは以下のデータ形式が使われます。
.jpg | バナー広告 |
.png | アイコン |
.gif | 簡易アニメーション |
透過処理が必要なデザインは「.gif」や「.png」での納品が一般的です。データ納品は、サーバーに直接アップロードやzipファイルで納品してもらうのが一般的です。
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完成後の工程の違い
グラフィックデザインが完成したら、印刷前に誤字脱字やデザインの不備を徹底的にチェックします。印刷後は設置や配布をして、どの程度の効果があったのかを、来場者アンケートなどで効果を測定します。この結果は次回のデザイン制作に役立てるのです。
Webデザインは完成後、コーディングが必要です。機能が正しく動作するかを確認するため、テストとデバッグも実施します。
また、アクセス解析ツールを用いて、クリック率やLPのCV率を調査し継続的に改善を行います。
グラフィックデザインとWebデザインの共通点
グラフィックデザインとWebデザインにはさまざまな違いがありますが、UX(ユーザー体験)を重視しています。
ユーザーに魅力的な体験を提供し、メッセージや情報を効果的にデザインで伝えなければなりません。たとえばグラフィックデザインでは、ポスターやチラシで視線を誘導して、届けたい情報を伝えます。Webデザインでは情報を整理して、ユーザーが迷いなく目的の情報へたどりつけるように設計します。
こうしたデザインで成果を上げるには、マーケティング戦略を立てて制作する必要があります。もしリソースがないときは、専門的なノウハウをもつ制作会社やフリーランスへの外注も検討しましょう。
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デザインを外注するときの依頼先
デザインを外注するときは、おもに制作会社とフリーランスの2つの依頼先があります。それぞれの特徴を解説します。
1. 制作会社
制作会社には、専門知識をもつデザイナーが多数在籍しています。グラフィックデザインだけでなく、ブランディング、Webデザイン、モーショングラフィックスなど、幅広いニーズに対応でき、高品質なデザインを期待できるでしょう。
とくに大規模プロジェクトは、制作会社への依頼がおすすめです。プロジェクトマネージャーが全体を統括し、ヒアリングから納品まで一貫してサポートしてくれます。スムーズにプロジェクトを進めることができるため、高い信頼性と安定したサービスを提供してくれます。
プロジェクトに関わる人材が多いため、費用相場は高めです。ある程度予算を確保しておく必要があります。
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2. フリーランス
予算が大きく取れない場合や、小規模のプロジェクトの場合は柔軟性のあるフリーランスデザイナーがおすすめです。制作会社よりもコストが抑えられ、予算に合わせて柔軟に依頼できるメリットがあります。
特定のスキルに特化したデザイナーへスポット依頼も可能です。ロゴだけ、アイキャッチだけといった部分的な依頼もできるので、予算が限られているときも柔軟にプロスキルを使うことができます。
また、急な変更や短納期のプロジェクトにも迅速に対応してもらえるメリットもあります。制作するデザイナーと直接コミュニケーションが取れるため、スムーズな修正やフィードバックが期待できます。
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即戦力を求めるならフリーランスデザイナーへ依頼しよう
デザイナーは制作会社などで勤務してから、フリーランスとして独立する人が多い職種です。しかし、そのスキルには個人差があります。
もし、即戦力を求めているなら、グラフィックデザインの経験があるフリーランスデザイナーを選ぶのもひとつの方法です。なぜなら、Webデザインよりもグラフィックデザインのほうが歴史が長く、デザイン業界で実績を積んでいるベテランデザイナーが多いためです。
Webデザインの編集ソフトやツールに大きな差がなくなっていることから、Webデザイナーとして活躍している人でも、もともとはグラフィックデザイナーだったという人もいるわけです。多くのプロジェクトに参画してきた経験から、より良いアイデアで高品質なデザインを制作してくれる可能性があります。
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フリーランスデザイナーへ依頼するときのポイント
フリーランスデザイナーへ依頼するときに押さえてほしいポイントを紹介します。
スキルの評価基準を決める
フリーランスデザイナーのスキルには個人差があります。求めているデザインを制作してもらえるのかを依頼前に見極めるには、スキルの評価基準を明確にすることが大切です。
デザインスキルや使えるソフトやツール、過去のプロジェクト経験など、自社が求めるデザインの制作に必要なスキルを洗い出しましょう。評価基準を決めておくと、ポートフォリオなどのチェックもしやすくなります。
求めるスキルを明確にまとめたものを「ジョブディスクリプション」と呼びます。以下の無料で配布している資料のなかでジョブディスクリプションの作成方法を解説しています。
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関連記事:ポートフォリオの採用基準とは?効率的に評価するためポイント6つを解説
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業務委託契約書を作成する
フリーランスデザイナーへデザインを依頼するときは原則、業務委託契約となります。契約書の作成は義務ではありませんが、依頼内容を書類にまとめておくことで、お互いの認識を一致させておくことが可能です。トラブルを未然に防ぐことができるので作成しておくことをおすすめします。
以下の資料で業務委託契約書の作成方法をまとめています。テンプレート付きなのですぐにお使いいただけます。無料でダウンロードが可能です。
まずは、業務委託契約について理解したいという方は以下の資料が役立ちます。
マネジメント体制を作る
スムーズにプロジェクトを進められるように、マネジメント体制を作っておきましょう。フリーランスデザイナーとの業務委託契約の場合、契約の性質上、指揮命令ができないため事前にマネジメント体制をつくることが大切です。
進捗管理にはタスク管理ツールなどを使用し、チャットツールでこまめにコミュニケーションをとることで進捗を把握できます。
具体的にどのようにコミュニケーションをとったらよいのかわからないときは、下記の資料をお役立てください。外部人材とのコミュニケーションの取り方について解説しています。ダウンロードは無料です。
関連記事:どこまでの指示が偽装請負になる?業務委託契約との関係性まで解説
関連記事:偽装請負とは?禁止事項や判断基準、問題点や罰則などを事例とともに解説
優秀なフリーランスデザイナーに依頼するならクロスデザイナーがおすすめ
グラフィックデザインとWebデザインの違いについて、お伝えしてきました。明確な違いがあるため、依頼するときはそれぞれの違いを理解しておくことが大切です。
制作会社とフリーランス、どちらに依頼するかは自社の状況と照らし合わせて判断することをおすすめします。もし、フリーランスデザイナーへ依頼するなら、クロスデザイナーにおまかせください。
クロスデザイナーは、国内最大規模のデザイナー登録者から、厳正したデザイナーを最適なタイミングでご提案するフリーランスデザイナー専門のエージェントサービスです。現在、7,000人以上のデザイナーが在籍しています。
登録しているデザイナーとの合意があれば正社員採用も可能です。また、スカウトや人材紹介機能もあるため、採用難易度の高い、即戦力デザイナーの採用機会を最大限サポートしています。
以下では、クロスデザイナーのサービス資料を無料でダウンロードできます。即戦力デザイナーをお探しの方は、【お問い合わせ】ください。平均1営業日以内にご提案します。
- クロスデザイナーの特徴
- クロスデザイナーに登録しているデザイナー参考例
- 各サービスプラン概要
- 支援実績・お客様の声
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