この記事では、グラフィックデザインとCGの違いを説明したうえで、グラフィックデザイナーとCGデザイナーについて仕事内容から給料まで詳細に解説します。
デザインを内製するか外注するかを迷ったときの判断基準も紹介するので、デザイナー採用の際に参考にしてください。
グラフィックデザインとCGの違い
「グラフィック(graphic)」とは、特定の目的や方針に基づいて、写真やイラスト、図表、グラフ、記号、タイポグラフィといった視覚的な要素を組み合わせて、平面上に構成された表現を指します。
広告・マーケティング業界、Web業界、出版業界のDTPやデジタルメディアから、製造業のパッケージデザインまで幅広く活用されています。
「CG」は「コンピューターグラフィックス(Computer Graphics)」の略で、コンピューターを用いて作成・編集された視覚的な要素のデザインを指します。
CGには、2Dで描かれたイメージをもとに立体的なキャラクターやオブジェクトを作成する「3DCGモデリング」、オブジェクトやキャラクターにプログラムによって動きをつける「3Dアニメーション」、リアルなエフェクトを作成する「VFX」などが含まれます。
それぞれの言葉の意味や、デザインの領域・媒体・業界などの違いは以下のとおりです。
|
グラフィックデザイン |
CGデザイン |
---|---|---|
意味 |
・特定の目的や方針に基づいて、写真やイラスト、図表、グラフ、記号、タイポグラフィといった視覚的な要素を組み合わせて、平面上に表現すること。 |
・コンピューター上で作成・編集されたグラフィックの総称。 |
分野・領域 |
・DTP ・デジタルメディア ・ブランディング |
・デジタルメディア |
業界・媒体 |
・広告・マーケティング業界(ロゴ、パンフレット、ポスター、Web広告(バナーなど)) ・Web業界(Webページのレイアウト、アイコン、ボタンなどのデザイン) |
・映画・アニメ・ゲーム業界(2DCG・3DCG・3Dアニメーション・VFX) ・建築・自動車・医療業界(3Dモデリング) など |
グラフィックデザイナーとCGデザイナーのどちらの職種を採用したらよいか迷ったときは、プロジェクトの目的やデザイナーへの依頼内容を明確にしたうえで、上記を判断材料の一つとして参考にしてください。
次章ではグラフィックデザイナーについて詳しく解説します。
グラフィックデザイナーの仕事内容
グラフィックデザイナーの仕事は、大きく分けると以下の3つになります。
- クライアントとのコミュニケーション
- デザインの提案と制作
- デザイン修正と納品
仕事は単独で行うケースと、イラストレーターやコピーライターといったスタッフとチームで制作するケースがあります。以下の表では、後者のケースにおけるグラフィックデザイナーの仕事内容や役割を、8つのステップでまとめました。
グラフィックデザイナーの仕事の流れ |
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1.依頼主の目的、依頼内容、予算、媒体、納品期日などを確認する。 |
2.依頼内容に基づいてアイデアを練り、ラフを制作する |
3.見積もりとスケジュール、ラフをクライアントにプレゼンテーションし、企画を決定する。 |
4.制作に必要なスタッフを選定し、制作費やスケジュールなどを調整する。 |
5.イラスト、写真、原稿などのレイアウトを行い、初校を作成する。 |
6.クライアントに初校を提出し、校了まで校正(確認・修正・提出)を繰り返す。 |
7.印刷物の場合は、校了後に書体や色を指定して印刷会社に入稿する。 |
8.色校正を確認して修正を加えて、最終確認後に下版する。 |
参考:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag:グラフィックデザイナー」
必要なスキルと能力
グラフィックデザイナーの仕事内容は専門性が高く、制作物のクオリティを左右する重要な役割を担うため、さまざまなスキルや能力が求められます。
即戦力として活躍できるデザイナーに必要なスキルと能力は、主に以下の6つです。
- デザイン全般に関する知識
- デザインツールを活用するスキル
- マーケティング全般に関する知識
- 情報収集力・データ分析力・論理的思考力
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーション能力
上記に挙げたスキルや能力を持つ人材であれば、制作物の品質を向上させるだけでなく、制作にかかる工数やコストを抑制できる可能性があります。
そのため、採用する際にはデザイナーのスキルや能力と、自社のニーズがマッチしているかを見極めることが重要です。
使用ツール
グラフィックデザイナーには、以下のようなデザインツールを使用して視覚的な要素を表現するスキルが必要不可欠です。
- Illustrator
- Photoshop
- InDesign
- Figma
- Sketch
- Adobe Express
- Affinity Photo
- Canva
- GIMP
- Inkscape
- PaintShop Pro
Illustrator、Photoshop、InDesignといった定番のAdobe系ソフトのほか、CanvaやInkscapeなどのグラフィックデザインアプリも使いこなせるデザイナーであれば、作業効率を向上することができます。
また、スキルの高いデザイナーを採用してFigmaやSketchといったUIデザインツールも導入できれば、新規事業の開拓やプロダクトの改善に役立つでしょう。
関連記事:デザインツールの種類とは?最新トレンドや案件獲得におすすめのツールを紹介
グラフィックデザインの制作方法は?流れから必要なスキルやソフトまで解説!
スキルの証明になる資格
グラフィックデザイナーになるために資格取得は必須ではありませんが、以下に挙げた6つの資格はスキルの証明となります。
- グラフィックデザイン検定
- Photoshop®クリエイター能力認定試験
- Illustrator®クリエイター能力認定試験
- DTPエキスパート認証試験
- アドビ認定プロフェッショナル
- 色彩検定
資格取得者は、自己成長への意識の高さや目標達成に向けた行動力といった点でも高く評価でき、向上心がある人は採用後も業務に前向きに取り組んで活躍することが期待できます。
採用候補者を評価する際はこれらの資格の有無をチェックし、面談で取得過程などについて質問してみましょう。
関連記事:グラフィックデザインとは?仕事内容や役割を含めて解説
CGデザイナーの仕事内容
続いては、CGデザイナーの仕事内容、必要なスキルと能力、使用ツール、スキルの証明になる資格について解説します。
CGデザイナーの仕事内容は、表現技法や造形作業の種類によって異なります。主な職種別に以下の表にまとめました。
主な職種 | 仕事内容 |
---|---|
2DCGデザイナー |
・ゲーム制作などにおいて、キャラクターデザインや背景制作、UIデザインといった重要な役割を担う。 ・イラストのほか、アニメーションやWebバナー、ロゴの制作を担当することもある。 |
3DCGデザイナー |
・3DCG制作ソフトを使って画像や映像を作成する。 ・エフェクトの作成やカメラの設定、照明や視点の調整など、シーン全体の設定も行う。 |
3Dモデラー |
・2Dで描かれたイメージをもとに、立体的なキャラクターやオブジェクトをデジタル空間で作成する。 |
3Dアニメーター |
・オブジェクトやキャラクターに、キーフレームアニメーションやモーションキャプチャといった技法を使って、リアルな動きを表現する。 |
VFXデザイナー |
・3DCG制作ソフトを使って視覚的な効果を加え、迫力のある映像を作り出す。 |
必要なスキルと能力
CGデザイナーを採用する際は、以下の4つのスキルと能力について見極める必要があります。
- 発想力
- デッサン力
- グラフィックソフトや3DCG制作ソフトを使うスキル
- コミュニケーション力
現実に存在しないものをリアルに表現するためには、発想力とデッサン力が重要です。
そして作り上げたイメージを具現化するためには、グラフィックソフトや3DCG制作ソフトを使いこなすスキルも求められます。
また、CGデザイナーが関わる仕事は、チームを構成しメンバーで役割を分担して行うケースが多いため、協調性も重要です。コミュニケーション能力が高い人材であれば、プロジェクトをスムーズに進められるでしょう。
使用ツール
CGデザイナーが使用するソフトウェアは多岐にわたりますが、制作の現場で取り入れられているツールの中から代表的なものを以下に挙げました。
- Photoshop
- Illustrator
- After Effects
- Unity
- MAYA
- 3ds Max
- Blender
- ZBrush
- Cinema 4D
- Houdini
これらのソフトウェアを使いこなせるデザイナーは、アイデアを自由自在に表現し、CGデザインのリアリティを高めることが可能です。また、スムーズなワークフローで効率的に作業を進めることができるでしょう。
関連記事:CGを制作する際に必要なソフトや手順、外注先の種類と失敗しない選び方を解説
スキルの証明になる資格
CGデザイナーになるために必要な特定の資格はありません。しかし、スキルの証明となる資格は、企業側が評価する際に役立つため知っておくとよいでしょう。
CGデザイナーのスキルの証明となる資格は、主に以下の6つです。
- CGクリエイター検定
- CGエンジニア検定
- Photoshop®クリエイター能力認定試験
- Illustrator®クリエイター能力認定試験
- 画像処理エンジニア検定
- 色彩検定
採用候補者を評価する際はこれらの資格の有無をチェックし、面談で取得過程などについて質問してみましょう。
関連記事:CGデザイナーを採用するには?仕事内容や探し方を解説
グラフィックデザイナーやCGデザイナーの働き方
採用活動で人材の要件定義は必要不可欠です。しかし要件を固める前に、どのような人材を求めているのか具体的な人物像を描くことが重要です。そのためにまずは、採用したい職種の平均給料や就業形態の傾向など、働き方について理解を深めましょう。
グラフィックデザイナーとCGデザイナーの働き方に大きな違いはありませんが、さまざまな調査や統計結果をもとに、採用側が把握しておきたい働き方の実態について解説します。
働いている人の人数や年齢、労働時間
厚生労働省の調査によると、グラフィックデザイナーとCGデザイナーを含むデザイナーとして働いている人の人数は201,100人、年齢は平均38.8歳、労働時間は平均171時間/月です。職場はデザインの需要が高い東京など都市部近郊が多くなっています。
以下の資料では、採用活動におけるペルソナ設計について解説しています。無料でダウンロードできますのでご活用ください。
グラフィックデザイナーとCGデザイナーの給料の違い
求人ボックスの調査によると、グラフィックデザイナーとCGデザイナーの給料は以下のような結果になっており、CGデザイナーはグラフィックデザイナーより約50万円も高いことが明らかになりました。
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グラフィックデザイナー | CGデザイナー |
---|---|---|
正社員の平均年収
|
449万円 | 497万円 |
また、東京労働局 東京ハローワークが発表している職業別求人・求職賃金状況(令和6年6月分)をみると、グラフィックデザイナーやCGデザイナーを含む職種「美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者」の求人賃金は、上限が342,635円、下限が235,565円と幅広くなっています。このことから、給料はスキルや実績、所属する企業規模などによって大きな差があると予想されます。
参考:求人ボックス「グラフィックデザイナーの仕事の年収・時給・給料」「CGデザイナーの求人情報」東京労働局 東京ハローワーク「【東京】職業別求人・求職賃金状況(令和6年6月分)」
就業形態はフリーランスの割合が高い
厚生労働省の調査結果で、グラフィックデザイナーやCGデザイナーは、正社員よりフリーランスで活躍している人が多いことがわかっています。
【グラフィックデザイナー】出典:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag:グラフィックデザイナー」
【CGデザイナー】出典:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag:CG制作」
また、グラフィックデザイナーやCGデザイナーは、近年副業解禁が進んだことにより、企業で働きながら副業案件を獲得してダブルワークをする人が増えています。
そのため、いずれの職種でも社員を雇用するよりもフリーランスと契約する方が、早期に人材不足を解消できる可能性があります。
人材を募集する際は、ポジションや職務内容のほか、期待する目標や成果、責任や権限の範囲などを明記したジョブディスクリプションを作成すると良いでしょう。
以下の資料は、初めてジョブディスクリプションを作成する方でも安心のテンプレート付となっています。こちらも無料でダウンロードできますので、自社で必要な人材の採用活動にぜひお役立てください。
関連記事:デザイナー採用に必要なジョブディスクリプションとは?作成のポイントも紹介
デザイン内製化と外注の判断基準
社員を雇用して内製すべきか、制作会社やフリーランスに外注するか迷ったときの判断のポイントは以下の3つです。
- コスト
- 納期
- デザイン案件の数
結論から言うと、スポットや依頼回数が少ない場合は外注、継続して依頼をする場合は内製をおすすめします。
一般的に継続的に案件がある場合、内製したほうが社内にノウハウや知見がたまり、制作の効率化も期待できるため、長期的な視点でコストを削減できる可能性があります。
しかし、定期的な案件がなく、社内でデザイナーを雇用・育成したり設備投資費を負担したりする余裕がない場合は、外注をおすすめします。外注であれば案件ごとに支払う報酬のみで済むため、結果的にコスト削減につながります。
また、短納期の案件や急な修正依頼に対しては、内製の方が即時に対応できてスムーズに進められるのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、社内の人材にスキルがないとクライアントの要望に対応できず、進行が滞る場合があります。そのため、グラフィックデザインやCGデザインのような専門性の高い領域は、スキルの高い人材に外注し、社内の人材はコア業務に集中した方が、効率良く進められるでしょう。
関連記事:デザイン外注と内製のメリット/デメリットは? 判断すべきポイントも解説
グラフィックデザインの制作が早い依頼先は?コストを抑える方法も紹介
CG制作を外注するには?依頼先の種類とメリット・デメリット
デザインの外注とデザイナー採用については、コストについて以下の資料で比較解説しています。無料でダウンロードできますので、お気軽にダウンロードください。
デザインを外注するならフリーランスをおすすめする3つの理由
これまでに説明した通り、グラフィックデザイナーやCGデザイナーはフリーランスが多く、企業で働きながら副業をしている人もいるため、制作会社ではなくフリーランスに依頼をするのも一つの手です。
ここでは、フリーランスデザイナーへの依頼をおすすめする3つの理由について説明します。
- コストが抑えられる
- 迅速で柔軟な対応が可能
- 専門性・クオリティが高い
1.コストが抑えられる
一般的に制作会社よりもフリーランスデザイナーに外注するほうが、費用を抑えられることが多い傾向があります。そのため予算が少ない企業でも依頼することが可能です。
2.迅速で柔軟な対応が可能
制作会社に外注した場合、担当部署が多いとコミュニケーションコストが高くなるおそれがあります。一方、フリーランスデザイナーであれば直接コミュニケーションを取ることが可能です。そのため情報伝達がスムーズで、問題が発生した際も連絡を取りやすく、迅速で柔軟な対応が期待できます。
3.専門性・クオリティが高い
フリーランスデザイナーの多くは、制作会社やデザイン事務所で経験を積んでから独立・開業しています。グラフィックデザインやCGデザインのように専門性が高い領域は、スキルや実績のあるデザイナーに依頼すれば、クオリティの高い制作物を期待できます。
以下の資料は、フリーランスデザイナー専門のエージェントサービス『クロスデザイナー』に登録している一部の注目デザイナーのリストです。無料でダウンロードできるのでぜひご覧ください。
関連記事:グラフィックデザインの外注依頼にフリーランスがおすすめな理由と人材サービス8選を解説
CG制作を成功させるためのフリーランス選びのポイント
フリーランスのデザイナーを探すならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、グラフィックデザインとCGデザインの違いを説明したうえで、グラフィックデザイナーとCGデザイナーの「仕事内容」「必要なスキルと能力」「使用するツール」「スキルの証明になる資格」について解説しました。
働き方や就業形態の傾向、給料についても紹介しているので、デザイナー採用の際は参考にしてください。
社員を雇用して内製すべきか、制作会社やフリーランスに外注するか迷ったときの判断のポイントは「コスト」「納期」「デザイン案件の数」ですが、スポットや依頼回数が少ない場合は外注がおすすめです。
その際、グラフィックデザイナーやCGデザイナーはフリーランスが多く、企業で働きながら副業をしている人もいるため、制作会社ではなくフリーランスに外注するのも一つの手です。
スキルと実績のあるフリーランスデザイナーに依頼すれば、制作会社よりコストを抑えてクオリティの高い制作物を完成させることができるうえ、進行中は直接コミュニケーションを取れるため迅速で柔軟な対応が期待できます。
フリーランスデザイナーへの依頼に慣れていない企業は、デザインの知識やスキル、費用相場について熟知した、実績と信頼のあるデザイナー専門のエージェントサービスに依頼すれば、業界に詳しく安心して任せられるでしょう。
デザイナー専門の国内最大級エージェントサービス『クロスデザイナー』なら、厳正な審査を通過した即戦力デザイナーが7,000人以上在籍。採用コンサルタントが、自社に必要なデザイナーのスキルや要件をヒアリングして最適な人材を紹介します。
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- クロスデザイナーの特徴
- クロスデザイナーに登録しているデザイナー参考例
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