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雇用契約と請負契約の違い6つ|適用される法律や労務管理の方法を解説

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雇用契約と請負契約は、企業と労働者の関係を規定する重要な契約形態です。これらの契約にはそれぞれ異なる法律が適用されるため、労務管理の方法も異なります。

例えば、雇用契約では労働基準法が適用され、労働時間や賃金、休暇などが厳密に規定されています。一方、請負契約では民法が適用され、成果物の完成が契約内容の中心です。

この違いを理解し、適切な契約形態を選ぶことで、トラブルを未然に防ぎ、健全な労働環境を築くことができます。

そこで今回は、雇用契約と請負契約の違い6つと、適用される法律や正しい労務管理の方法を解説します。ぜひ参考にしてください。

雇用契約と請負契約の基本的な概念の違い6つを解説

雇用契約と請負契約は、働き方や労働関係を定める契約形態として、主に6つの異なる特徴があります。そこで以下では、それぞれの基本的な概念と特徴を比較して解説します。

  

雇用契約

請負契約

指揮命令権

雇用主が労働者に対して指揮命令権を持つ

委託者は受託者(請負人)に対して指揮命令権を持たない

報酬の支払い

労働に対して報酬が支払われる(時給、日給、月給など)

成果物に対して報酬が支払われる

労働基準法の適用

労働者は労働基準法などの労働関係法令の保護を受ける

請負人は労働関係法令の保護を受けない

契約解除

雇用主側から一方的に契約解除はできない

仕事が完成しない間であれば損害を賠償して契約解除が可能

業務の遂行

雇用主の指示に従って業務を遂行する

請負人が自己の責任で業務を遂行する

必要な機材・資材

雇用主が提供する

請負人が自分で用意する

雇用契約の特徴

雇用契約の主な特徴は、安定した労働力を確保できることと、労働者の管理が容易である点です。

雇用契約では、企業が労働者に対して業務の指示や命令を行う権利を持つため、業務の遂行状況を直接管理できます。また、労働基準法の適用によって労働条件が明確に規定されているため、労働者とのトラブルを未然に防ぐことが可能です。

さらに、社会保険の加入義務があるため、労働者の健康や老後の保障が確保され、企業に対する信頼感が高まります。

請負契約の特徴

請負契約は、特定の業務の完成を目的とする契約形態です。請負契約の主な特徴として、業務の結果に焦点が当てられるため、委託側が業務の進行を詳細に管理する必要がなく、管理コストや手間を削減できます。

しかし、業務の結果に対する責任は請負人に委ねられるため、適切な請負人を選定することが重要です。また、業務の遂行方法や手段を請負人の裁量に任せるため、業務の質などが請負人の能力に左右される点も特徴です。

雇用契約に適用される主な法律5つ

以下で雇用契約に適用される主な法律を整理します。

 

法律名

内容説明

労働基準法

労働条件の最低基準を定める法律。労働時間、賃金、休暇、解雇などに関する規定が含まれます。

労働契約法

労働契約に関する基本的なルールを定める法律。労働者と使用者の権利と義務を明確にしています。

最低賃金法

労働者の最低賃金を保証する法律。地域ごとに定められた最低賃金を下回る賃金の支払いを禁止しています。

労働安全衛生法

労働者の安全と健康を保護するための基準を定める法律。職場環境の安全確保や健康診断の実施が義務付けられています。

労働者災害補償保険法

労働者が業務上の災害で被った損害を補償する保険制度を規定する法律。医療費や休業補償などが含まれます。

上記の他にも、育児・介護休業法やパワーハラスメント防止法など、いくつかの留意すべき法律があります。これらの法律は、労働者の権利を守り、労働環境を改善するために重要な役割を果たしています。

請負契約に適用される法律とポイント

次に、請負契約に適用される法律とポイントを整理します。

請負契約に適用される法律は、主に民法となります。ただし、請負契約における偽装請負を防止するために、労働者派遣法や職業安定法、労働基準法などに関する注意が必要です。以下で詳しく解説します。

請負契約に適用される民法について

以下に、請負契約に適用される民法の主要な条文を表で整理しましたので、ぜひ参考にしてください。

 

条文番号

内容説明

民法第623条

請負契約の定義。請負人がある仕事を完成する義務を負い、注文者が報酬を支払うことを定めています。

民法第624条

請負の目的物が完成するまでは、請負人が報酬を請求できないことを規定しています。

民法第625条

請負人が注文者の承諾を得ずに第三者に仕事を委託することを禁止しています。

民法第633条

請負の仕事の完成時期に関する規定。仕事の完成が遅れた場合、注文者は遅延損害金を請求できることを示しています。

民法第641条

請負の仕事に欠陥があった場合、注文者が修補請求できる権利を規定しています。

これらの条文は、請負契約における基本的なルールや義務を定めています。

関連記事:業務委託の契約不適合責任とは?善管注意義務との違いや法的性質を解説

請負契約に適用されるその他の法律について

請負契約におけるその他の法律として、労働者派遣法・職業安定法が挙げられます。これらは主に「偽装請負」を防止するために適用されます。

偽装請負とは、請負契約の形をとっているものの、実際には発注者が労働者に直接指示を出している場合です。偽装請負が違法とされるのは、労働者の権利が守られず、不当な搾取や不安定な雇用状況を生む可能性があるからです。

以下で、3つの法律を整理します。

 

法律名

内容説明

労働者派遣法

労働者派遣事業に関する規定を定める法律。労働者派遣契約の内容や派遣先企業の義務を明確にします。

職業安定法

労働市場の安定を図るための法律。職業紹介事業や労働者派遣事業の規制、求職者の保護に関する規定が含まれます。

労働基準法

労働条件の最低基準を定める法律。労働時間、賃金、休暇、解雇などに関する規定が含まれ、請負契約にも適用される場合があります。

これらの法律は、請負契約に関連するさまざまな側面を規制し、労働者の権利と安全を保護するものです。

関連記事:偽装請負とは?禁止事項や判断基準、問題点や罰則などを事例とともに解説

雇用契約の正しい労務管理の方法

雇用契約における正しい労務管理には、次の5つのポイントを押さえる必要があります。

  1. 雇用契約書の作成
  2. 労働条件の遵守
  3. 労働時間の管理
  4. 安全衛生管理
  5. 労働者とのコミュニケーション

それぞれ解説します。

1.雇用契約書の作成

雇用契約書は、労働者と使用者の間で取り交わされる重要な書類です。契約書には、労働条件や賃金、労働時間、業務内容などを明確に記載します。そして、双方が合意した内容を文書化することで、後々のトラブルを防ぐことが可能です。

2.労働条件の遵守

労働基準法や最低賃金法などの法令を遵守することは、適切な労務管理の基本です。賃金の支払い方法や労働時間、休憩時間、休日など、法令で定められた条件を守ることが重要です。

3.労働時間の管理

労働時間の管理は、労働者の健康と生産性を維持するために重要です。法定労働時間を超える場合は、適切な手続きを踏んで時間外労働や休日労働に関する協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

4.安全衛生管理

職場の安全衛生管理は、労働者の健康と安全を守るために欠かせません。労働安全衛生法に基づき、定期的な健康診断や安全教育を実施し、職場環境の改善に努めることが求められます。

5.労働者とのコミュニケーション

労働者との良好なコミュニケーションは、信頼関係を築き、労務管理を円滑に進めるために重要です。定期的なミーティングや意見交換の場を設け、労働者の意見や要望を積極的に取り入れることが大切です。

請負契約の正しい労務管理の方法

請負契約の正しい労務管理には、次の3つのポイントを押さえることが重要です。

  1. 契約書の作成
  2. 業務の遂行
  3. 報酬の支払い

それぞれ解説します。

1.契約書の作成

請負契約書は、業務の内容や報酬、納期などを明確に記載する重要な書類です。契約書には、業務の範囲や成果物の基準、納期、報酬の支払い条件などを詳細に記載し、双方が合意した内容を文書化することが大切です。

2.業務の遂行

請負契約では、受託者が独立して業務を遂行することが基本です。そのため、委託者が業務の進め方に対して具体的な指示を出すことはできません。ただし、業務の進捗状況や成果物の品質については、定期的に確認することが重要です。

3.報酬の支払い

報酬は、契約書に記載された条件に基づいて支払われます。請負契約では、成果物の納品が完了した後に報酬が支払われるのが一般的です。報酬の支払い方法やタイミングについては、契約書で明確にしておくことが重要です。

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雇用契約でよくあるトラブルの事例と対策

雇用契約に関するトラブルは多岐にわたりますが、次のような事例がよく見られます。

  1. 労働条件が不明確な場合
  2. ハラスメント問題
  3. 解雇時のトラブル

以下で、それぞれの対策についても解説します。

1.労働条件が不明確な場合

労働条件が曖昧で、実際の労働時間や賃金が契約書と異なる場合があります。例えば、契約書には週40時間と記載されているのに、実際にはそれを超える労働を強いられることがあります。

このような場合には、労働条件を明確に記載した雇用契約書を作成し、労働者に説明することが重要です。契約書には、労働時間、賃金、休暇などの詳細を具体的に記載し、労働者が理解しやすいように説明します。また、労働条件通知書を交付し、労働者がいつでも確認できるようにしておくことが大切です。

2.ハラスメント問題

職場でのパワーハラスメントやセクシャルハラスメントが発生し、労働者が精神的・身体的に苦痛を受けることがあります。

このようなケースを防止するために、ハラスメント防止のためのポリシーを明確にし、全従業員に周知徹底することが重要です。また、定期的な研修や教育を実施し、ハラスメントの兆候を早期に発見できるようにしましょう。

ハラスメントが発生した場合の相談窓口を設置し、迅速かつ適切に対応する体制を整えることも重要です。

3.解雇時のトラブル

労働者を解雇する際に、解雇理由が不明確であったり、解雇手続きが適切に行われなかったりした場合には、トラブルに発展する可能性があります。そこで、解雇に関する規定を就業規則に明記し、労働者に周知することが大切です。

解雇を行う際には、事前に労働者に対して解雇理由を明確に伝え、適切な手続きを踏む必要があります。また、解雇に関するトラブルを未然に防ぐために、労働者とのコミュニケーションを密にし、問題が発生した場合には早期に対処しましょう。

請負契約でよくあるトラブルの事例と対策

請負契約におけるよくあるトラブルとしては、次のようなものが挙げられます。

  1. 成果物の品質問題
  2. 納期の遅延問題
  3. 著作権の帰属に関するトラブル

以下で、それぞれの対策を含めて解説します。

1.成果物の品質問題

納品されたデザインが契約で定めた品質基準を満たしていない場合があります。例えば、ロゴデザインが指定された色やフォントを使用していないなどです。

このような事態を避けるために、契約書に品質基準を明確に記載し、納品前にデザインの確認を行うことが重要です。定期的な進捗確認や中間レビューを実施し、品質に問題がないかを確認します。

また、品質に問題があった場合の対応方法(修正、再納品、賠償など)を契約書に明記しておくと良いでしょう。

2.納期の遅延問題

納期が守られなかった場合には、プロジェクト全体のスケジュールに影響が出ることがあります。例えば、ウェブサイトのデザインが予定していた納期に間に合わず、サイトの公開が遅れるなどです。

このようなトラブルを回避するために、契約書に納期を明確に記載し、遅延が発生した場合のペナルティや対応策を定めておきましょう。

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3.著作権の帰属に関するトラブル

請負契約における著作権の帰属に関するトラブルは、契約書に著作権の帰属や使用範囲が明記されていない場合に発生しやすい問題です。

対策としては、契約書に著作権の帰属を明確に記載し、使用範囲や改変権についても詳細に取り決めを行いましょう。また、対象となるデザインなどを制作した個人や法人と事前に十分な合意を形成し、必要に応じて専門の弁護士に相談することも有効です。

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ようすけ
記事を書いた人
ようすけ

Workship MAGAZINE編集部。フリーランス、マーケティング、会計経理、経営分野が専門。個人事業主としてスポーツインストラクター、飲食店経営、飲食コンサルを経て、現在はコンテンツ制作会社を経営中。