チラシ(フライヤー)やパンフレットなど印刷物に必要なのがDTPです。デザインまでは社内で行い、入稿用のデータ作成を外注することも可能です。
ただ、外注に当たっては費用の相場をあらかじめ押さえておくことが重要です。また、昨今はDTP外注が可能なフリーランスも多く、優秀なデザイナーに依頼したいものですよね。
そこで本記事では、失敗しないDTP外注の基本とともに、優秀なDTPデザイナーの見つけ方についても解説します。
DTP外注する前に知っておきたいポイント
DTPを外注したい場合、発注側においてもある程度知っておくと依頼しやすくなる基礎知識をお伝えします。どういった手順を踏まえて印刷物が実際にできていくのかを知っておけば、外注先選びや何をどう依頼するかにおいて、失敗をより回避しやすくなります。
DTPとは?
DTPとは「DeskTop Publishing(デスクトップ・パブリッシング)」の略で、直訳すると「机上出版」「卓上出版」となります。パソコン1台で、印刷に必要な工程を行うことを意味しています。広義のDTPは、印刷にかかわる全工程を指すこともあります。
一般的に使われる「DTP」は、印刷物を制作する工程の中でも、版下の制作や製版の部分を指します。
ちなみに、印刷物(出版物)ができあがる流れはおおむね、次のようになっており、DTPはデザイン決定後の印刷前の段階に必要な工程です。
- 企画・ディレクション
- デザイン決定
- DTP作成
- 印刷(製本)
印刷物制作の流れとして、まずは印刷するものを企画します。どんな目的で誰に届けるのか、印刷物のテーマやコンセプトを決め、全体的な制作工程を決めます。
テーマに合わせたデザインを決め、画像の配置や出版物に合わせた体裁を決めます。ライティングや撮影写真が必要であれば、それらの素材を落とし込みます。
こうした文字や画像などの素材をデータ化して、印刷に必要なフォーマットに埋め込み、入稿できる状態にするための調整作業が「DTP」です。
DTPが普及する以前は、こうした画像の配置、写真の埋め込みなどがすべて手作業で行われており、それぞれの工程で専門家を配置していました。DTP普及後は、印刷の工程は大幅に削減され、速く手軽に印刷できるようになりました。
DTPデザイナーはなぜ必要?
このように、DTP普及により、それまでと比べれば速く手軽に印刷できるようになったものの、実際には誰でも印刷物を企画・制作し、印刷までできるというわけではありません。
ソフトをインストールするなどして誰もが手軽に印刷物を手掛けることはできますが、それには手間が掛かり、見やすさや読みやすさなどに難が出てくることがあります。
DTP制作に必要なソフトを使いこなし、DTPデザインのルールに則って正確に制作することが必要とされているからです。
こうした作業を行う人たちは、「DTPデザイナー」や「DTPオペレーター」と言われています。ただ、実際には印刷物にかかわるデザイナーがDTPまで担当することも多く、「デザイナー」の中にはDTPが可能な人も多くいます。
ちなみに、DTPデザインのルールは、印刷物としての視認性・可読性を担保するためデータの線幅や文字のサイズ、文字間・行間のスペースなどの体裁が決められています。
例えば、線幅は0.1mm(0.3pt)と定められており、これよりも小さくなると印刷上、かすれなどが生じてしまい、見にくくなります。
こうしたルールに精通し、後述するソフトを使いこなすスキルが必要となってくるため、専門家に依頼するほうがより速く、正確に制作することができます。
DTPに必要なソフト4つ
DTPデザインのルールに則って、体裁を調整するために使われる主要なソフトが次の4つです。
Illustratorがデザイナーの中で最も一般的なソフトとして、広く使われています。Illustratorでは、イラストの作成や画像の加工・配置などが可能。ロゴやポスター・チラシのデザイン、地図やグラフの作成などさまざまなDTPデザインのツールになっています。
こうしたことから、Illustratorで作ったデータは、印刷業界の標準形式となっています。デザイナーに依頼する際、「(AI)データ納品」とする場合はIllustratorによるデータで提出されます。
InDesignは、書籍や雑誌、パンフレットなど紙の印刷物に使われているソフトです。文章の行間・字間・文字送りなどを的確に調整することができます。複数ページにまたがる長文の配置、ルビの追加などが可能です。
Photoshopは、写真の加工ができるソフトです。色の明暗を変えたり、色味を自由に変えることができるので、写真を使う際には非常に便利です。
Acrobatは、ドキュメントをデジタル化することができます。
DTP外注の6ステップ
DTP外注の流れは次のようになります。
- DTPが必要なものを確認
- DTPが可能なデザイナーを見つける
- DTPデザイナーに相談し、見積を取ってもらう
- 制作期間と費用の承認
- DTPデザイナーに制作を依頼する
- 納品してもらい、検品する
1. DTPが必要なものを確認する
印刷したいものを確認します。名刺やチラシ、パンフレット、会社や商品のカタログ、商品のパッケージなど印刷物にはさまざまなタイプがあり、その目的もさまざまです。
その印刷物をどんな目的で、誰に届けたいのかといったコンセプトやテーマを明確にします。
さらに、
・デザインから印刷までを外注するのか|
・デザインは社内のデザイナーに依頼し、DTPのみを外注するのか
を決めます。名刺やチラシなど印刷ページが少ないものは、デザインまでを社内で行い、DTPのみを外注することも可能です。
商品のパッケージなどは、テーマやコンセプトを決める初期段階からデザイナーがかかわることも多く、その分費用は大きくかかります。
また、外注する前に、予算と制作期間も決めておきましょう。
2. DTPが可能なデザイナーを見つける
DTPデザインが可能な外注先を選びます。
DTPデザインが可能な外注先は、デザイナーを社内に持つ制作会社(企業・法人)かフリーランス(個人)です。外注先について詳しくは後述します。
依頼したい内容が可能かどうかは、実績を見て判断しましょう。ホームページなどで公開している実績を見ていくと、その会社や個人の得意分野も見えてきます。これまでに制作した業種が自社と近い場合は、よりスムーズに制作を依頼できるでしょう。
3. DTPデザイナーに相談し、見積を取ってもらう
DTPデザイナーが在籍する企業もしくは、直接個人に依頼したい内容を相談します。打合せ後に、デザイナーから見積書が提示されるので、項目を確認します。
デザインから印刷まで全体の制作工程を依頼する場合、見積の項目はおおむね以下の通りです。
- 企画制作費(ディレクション費)
- デザイン費
- DTPデザイン費
- 印刷費
- その他追加費用(撮影費や画像素材の購入費など)
企業に依頼する場合は、企画やデザインから印刷までを一貫して引き受けてくれるケースが多いです。裏を返すとDTPのみの外注が難しい場合があります。
一方、フリーランスに依頼する場合は、デザインや印刷は自社で行い、DTPのみを依頼するという部分外注も可能で、費用を大きく抑えることができます。
4. 制作期間と費用の承認
受注側から見積が提示されたうえで、発注側と受注側の双方で制作期間と費用について取り決めます。お互いに承認ができたら、契約を結ぶなどをします。
5. DTPデザイナーに制作を依頼する
制作期間と費用の承認ができたら、実際に制作を依頼します。
6. 納品してもらい、検品する
制作開始後、デザイナーから納品してもらいます。印刷まで依頼している場合は、印刷前に確認します。「版下」や「ゲラ」と言われるもので、印刷用に製版されてしまうとテキストや画像の差し替えができない上に、修正に追加費用がかかるため、ミスや漏れなどがないか確認しましょう。
印刷を自社側でする場合は「Aiデータ納品」の形で、Illustratorで作成した入稿用のデータを納品をしてもらいます。データを確認して、問題がなければ印刷に回します。
DTPをフリーランスに外注する場合の費用相場
DTP外注費用は、名刺やチラシ・ポスターなどの印刷ページが少ないものほど、相場価格は低く抑えることができ、カタログや商品パッケージなどは比較的費用が高額になります。
外注先によって、費用は変わりますが、ここではデザイン費も含めたフリーランスに依頼した際の一般的な相場価格を記載します。企業に依頼する場合は、記載した価格よりも多くかかる傾向にあります。
依頼内容 | 外注費用の相場 |
名刺 | 15,000円~20,000円前後/100枚当たり |
チラシ・ポスター | 30,000円~80,000円程度/1ページ当たり |
パンフレット・カタログ | 20,000円~100,000円程度/1ページ当たり |
商品パッケージ | 企画料込で2,000,000円~ |
書籍 | 500円~5,000円前後/1ページ当たり※ |
※雑誌の場合は、価格が高くなることがあります。
名刺
名刺は、100枚当たり15,000円~20,000円前後が相場です。印刷は両面か片面か、あるいはカラーか白黒かによって、料金は異なります。
サイズが小さいため印刷ページが少なくなり、DTPデザインの手間も少なくなるため、印刷物の中でも費用は比較的安くなります。デザイナーにデータで納品してもらえば、名刺がなくなった際も印刷はこちらで発注するということも可能です。
チラシ、ポスター
チラシやポスターのデザインは、1ページ当たり30,000円〜80,000円程度が相場です。印刷サイズや両面か片面かによっても異なります。
デザインのもととなる画像や写真素材をこちらで準備しておけば、費用を抑えることができます。
パンフレット
パンフレットのデザインは、1ページ当たり20,000円〜100,000円程度が相場です。パンフレットに使用する紙の種類によっても印刷費用が異なってきます。
商品パッケージ
商品パッケージの場合は、商品のコンセプト・ターゲット層など企画立案から携わることが一般的です。そのため、企画料・ディレクション費用を含め2,000,000円〜が相場です。
パッケージの形状が立体的か平面的かなど、商品の形状によっても制作金額が大きく変わってきます。
書籍
書籍のDTPデザインは、1ページ当たり500円〜5,000円前後が相場です。雑誌の場合は、さらに費用が高くなることがあります。
その他
DTPデザインに関わるものとして、次の追加費用が掛かることがあります。
・写真素材
DTPに使用する写真にプロのカメラマンによる撮影が必要な場合、撮影のための人件費や交通費などが追加で必要となってくることがあります。
・ライティング
化粧品や美容のチラシの中で、コピー作成が必要な場合、メディカルライターを起用することがあり、その人件費やアサインのためのディレクション費用が掛かることがあります。
・デザインの修正費用
デザイナーによって修正費用が変わってきます。修正は何回までならデザイン費に含まれるのか、何回以上で修正費が追加で掛かってくるか、など依頼する前に確認しておきましょう。
DTPデザインの主な外注先
DTPデザインの主な外注先として、企業・法人か、フリーランス(個人)があります。
企業に依頼する場合、デザイナーを抱える印刷会社やWebデザインを受注する制作会社などに外注することができます。いずれの場合も、ホームページやWebサイトなどで受注できるかどうか、実績内容を確認しましょう。
フリーランスは、「DTPデザイナー」や「DTPオペレーター」、もしくはDTP経験のあるデザイナーに依頼することができます。
こうしたフリーランスのデザイナーは、知人に紹介して直接個人とやり取りするか、クラウドソーシングサイトやエージェントサービスから見つけることができます。
初めてフリーランスに外注する場合は、エージェントサービスなどを利用した方がデザイナーの選定や依頼に際して、失敗しにくいです。
DTP外注先は企業、フリーランスどちらにする?判断基準
どこまでを依頼したいかによって依頼先を決めましょう。
データでの納品にするか、あるいは印刷物として出力したものを納品してもらいたいかによって、費用は大きく変わってきます。前者であれば、フリーランスに依頼して費用を抑えることができますし、後者までをお願いしたい場合は企業に依頼したほうが比較的スムーズです。ただ、その分、費用は大きく掛かることがあります。
また、テーマやコンセプトなど商品の企画立案から携わってほしいと考える場合は、企業に依頼した方が無難です。ただし、優秀なフリーランスデザイナーが見つかれば、企業に依頼するよりも抑えた費用で依頼することもできるでしょう。
フリーランスの強みは柔軟性のある対応力です。スキルや経験、依頼内容によっては制作会社に依頼するのと遜色のない成果物を納品してくれるケースもあるため、信頼できるハイレベルなフリーランスを探してみるのもおすすめです。
DTP外注先の企業の選び方
企業にデザインや印刷までを依頼したいと考える場合、依頼内容に合わせて次の選定基準を参考にしてみるといいでしょう。
・印刷物について知識がある
・デザインに定評がある
・DTPについて知識がある
ただ、経験豊富で優秀なフリーランスデザイナーが見つかれば、印刷までを引き受けてくれることもあり、費用も大きく抑えられるので越したことはありません。
フリーランスのDTPデザイナーの選び方
優秀なフリーランスデザイナーの選び方として、DTPが可能かどうかはもちろん、次の項目を目安にすると良いでしょう。
・DTPデザインの実績
・デザインも依頼したい場合、デザインの実績
・これまで携わってきた業種
デザイナーの実績を見ていくと、何ができるのか、スキルがある程度把握できます。依頼したい内容ができるかどうか、実績を見て判断しましょう。
▼下記の資料では、デザイン業務の外注とデザイナー採用について、コストを中心に比較し、双方のメリット・デメリットを解説します。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
優秀なDTPデザイナーの見つけ方
では、優秀なDTPデザイナーはどうやって見つけたらいいでしょうか?知人などを介して紹介してもらえればいいのですが、必ずしもそうできるとは限りません。
そうした知人などのつてがない場合は、インターネットから探すと、そこに多くの人材が登録されています。かといって、クラウドソーシングサイトではあまりにも多くのデザイナーが登録されており、上記に挙げた選定基準を満たすかどうか、見つけ出すのは非常に困難です。
すでに厳選されたデザイナーが登録されているエージェントサービスを利用すれば、実績や経験、品質においてある程度の期待ができます。実績を確認すれば、あとは信用ができる人かどうか、コミュニケーションが取りやすいかどうかといった相性がいいかどうかを判断すればいいのです。
優秀なDTPデザイナーは、次の手順で探してみましょう。
- エージェントサービスでデザイナーを探す
- 実績を確認する
- 見積書を確認する
- 信用できそうかどうかを確認する
1. エージェントサービスでデザイナーを探す
出典:クラウドテック
フリーランスのDTPデザイナーは、エージェントサービスに登録していることがあります。
その場合、必ずしも「DTPデザイナー」や「DTPオペレーター」と名乗っているとは限りません。ただ、実績において印刷物(出版物)を経験したことのあるデザイナーであれば、入稿データの作成まで可能であることがほとんどでしょう。経験豊富なデザイナーなら、印刷(出力)まで引き受けてくれることもあります。必ず実績を確認しましょう。
エージェントサービスには、レバテックやクラウドテック、クロスデザイナーなどがあります。
各社のサイトでは、このようにDTPデザイナーの求人募集の案件概要が掲載されています。
こうした記載内容をもとに、自社で依頼したいDTPデザインの予算や職務内容を整理しておくと、実際に依頼するときもスムーズです。
2. 実績を確認する
デザイナーの実績や可能なスキルとして、印刷物の入稿データ作成を挙げているかどうかを確認しましょう。これまで多くの出版物に携わっていたり、印刷会社に在籍したりしたことのあるデザイナーであれば、DTPについてある程度の知識を持っていることが期待できます。
実績を確認し、依頼内容に対して可能かどうか実際にコンタクトを取って相談してみましょう。打合せでは、今回の依頼内容や目的、予算など必要事項を伝えます。
3. 見積書を確認する
打合せ後に、デザイナーから見積が提示されます。見積書では、費用だけでなく項目を必ず確認します。もし、企画やデザインから依頼したい場合、「一式」など不明瞭な項目があれば、問い合わせておくことで不明点を依頼前に払拭しておきましょう。
4. 信用できそうかどうかを確認する
デザイナーへのコンタクトから打合せ、見積提示後のやり取りにおいて、信用できそうかどうかを確認しましょう。
▼下記の資料では、採用活動で必要となるペルソナの作成方法を、すぐに使えるフォーマット付きで解説しています。ぜに、貴社の採用活動にお役立てください。
優秀なDTPデザイナーに依頼するならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、DTPデザインを外注する際の基本として、押さえておくべき知識や必要事項、さらにDTPデザインの相場から実際にデザイナーに外注するまでのステップなどについて詳しく解説してきました。
DTPデザインを外注する際には、優秀なデザイナーを選ぶことが重要です。DTPについての知識や経験が豊富なデザイナーであれば、企画から出力まで一貫して依頼することも、部分的な外注であっても一定のクオリティが期待できます。
優秀なフリーランスに依頼すれば、企業に依頼するよりも費用を低く抑えることができます。さらにフリーランスなので、部分的な外注や修正・変更に対しても、柔軟な対応が期待できます。
優秀なフリーランスDTPデザイナーに依頼したいなら、クロスデザイナーがおすすめです。
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