DTPデザイナーは、印刷物やデジタル出版物のデザインを専門としています。デジタルコンテンツが主流となっている今でも、DTPデザイナーは強くその必要性が求められています。
本記事では、DTPデザイナーの仕事内容、必要なスキル、おすすめの資格から、デジタル時代における需要と市場動向まで徹底解説します。また、企業がDTPデザイナーを採用すべきか、外注すべきかの判断ポイントも紹介します。DTPデザインの依頼を検討している企業の方はぜひ参考にしてください。
DTPデザイナーとは
DTPソフトを使用して、雑誌や書籍から、チラシ、ポスター、カタログまで、さまざまな紙媒体の印刷物をデザインするのがDTPデザイナーです。見た目の美しさだけでなく、読者にとっての読みやすさや情報の伝わりやすさを考慮してデザインします。また、印刷技術や色管理など、印刷プロセスの知識も持ち合わせているのが特徴です。このようにDTPデザイナーは、デジタル時代においても紙媒体のコミュニケーションを支える重要な役割を担っています。
DTPデザイナーの仕事内容
仕事内容を5つに分けて解説します。
- デザインコンセプトの立案
- ラフデザインの作成
- デザイン制作
- 印刷用データの作成と試し刷り
- 校了
デザインコンセプトの立案
プロジェクトの基盤となるビジュアルやメッセージの方向性を定める重要なプロセスです。クライアントとの打ち合わせで、制作の目的・ビジョンを聞き出して方向性をまとめ、適切なコンセプトを立案します。このプロセスでデザインの軸が定まり、一貫性を保って作業を進めることが可能になります。
ラフデザインの作成
クライアントとの打ち合わせやヒアリングをもとに、デザインの大まかな方向性を形にしていきます。
手書きやDTPソフトを使い、文章やイラスト、キャッチコピーなどの素材を組み合わせ、全体のレイアウトや構成が伝わるようにデザインしていきます。この段階では、細かいディテールよりも、デザインの意図やコンセプトが伝わることが重視されます。クライアントの意見や修正点を反映しながら最終的なデザインの方向性を確定していきます。
デザイン制作
DTPソフトを用いて、印刷物としてのデータのデザインを作成していきます。企画書や提供された情報をもとに、文字や画像、グラフなどの要素を効果的に配置し、視覚的にわかりやすいデザインを構築します。情報に優先度をつけて、文字の大きさや配色、レイアウトを調整し、全体のバランスを整えます。また、文章では伝わりづらい複雑な情報は、グラフや図表を使って視覚的に分かりやすい表現にしていきます。
印刷用データの作成と試し刷り
DTPデザインが完成したら、印刷会社に入稿して「試し刷り」を依頼します。この試し刷り(校正刷り)を使って、デザインの色味やレイアウト、版ズレの有無を細かく確認します。特に、モニターで見た色と印刷された色が一致するかをチェックすることが重要です。イメージ通りとなるよう修正と校正を繰り返します。
校了
すべての修正が完了したら校正完了です。正式に印刷を依頼します。その後、裁断など指示通りの加工が行われ、制作物が納品されます。
DTPデザイナーに必要な5つのスキル
DTPデザイナーに必須の資格はありませんが、必要な知識やスキルはあります。
ここでは5つ紹介します。
- デザインソフトウェアの操作スキル
- 色彩理論の理解
- コミュニケーションスキル
- 印刷プロセスの知識
- 細部への注意力
1. デザインソフトウェアの操作スキル
DTPデザイナーには、Adobeの「InDesign」「Illustrator」「Photoshop」などのデザインソフトウェアの操作スキルが必須です。
その中でも印刷物のページレイアウトや文字組版を行うためのInDesignは重要度が高いです。雑誌やカタログなど多くの印刷物のデザイン制作に使われており、業界基準となっています。写真の加工や色調整に特化した「Photoshop」と、ロゴやイラストなどの精密なデザインを行う「Illustrator」の操作スキルもDTPデザインでは必須と言えるでしょう。
2. 色彩理論の理解
印刷物では、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色を使用して色を再現しますが、画面上のRGB(赤、緑、青)カラーモードとは異なるため、デザイン制作時に両者の違いを理解することが重要です。
また、色の組み合わせによって視覚効果が変わり、色相、彩度、明度をバランスよく配置することが、デザインの質を左右します。色補正の技術も求められ、特に印刷時に想定どおりの色が出るよう調整するスキルが必要です。
3. コミュニケーションスキル
デザイン制作を進めていく中で、クライアントやライター、DTPオペレーター、イラストレーターなど、多くの関係者と連携するため、コミュニケーションスキルは欠かせません。
また、デザインの意図を把握するだけでなく、相手の意図を正確に汲み取り、時には隠れたニーズを引き出し、期待を超える成果を提供することも重要です。
4. 印刷プロセスの知識
DTPデザイナーには雑誌やポスター、パッケージなど、紙媒体の特性を理解し、デザインを適切に調整するスキルが求められます。
デジタルで美しく見えるデザインでも、紙に印刷されると色味や質感が異なることが多いため、紙の種類やインクの特性を考慮しなくてはなりません。また、媒体によって印刷の仕様が異なり、チラシやポスター、雑誌などそれぞれに適切なデザイン設定が必要です。印刷の仕上がりを予測し、色補正やデータ作成を行う知識と対応力も必須といえるでしょう。
5. 細部への注意力
印刷物では、文字や写真の配置を1ミリ単位で調整することが求められるため、デザインの細部にまで正確に目を配る必要があります。
特に、文字の行間や余白、画像の配置が微妙にズレるだけでも、全体のバランスが崩れることがあります。また、校正作業では誤字脱字や色の不具合を見逃さずにチェックする力も欠かせません。このような緻密な作業を続けるためにも、集中力と根気強さを持つことが求められます。
DTPデザイナーのスキル証明となる資格3選
DTPデザイナーのスキル証明となる資格を紹介します。
- DTP検定
- DTPエキスパート
- 色彩検定
1. DTP検定
DTP検定は、DTPに関するセンスと幅広い知識を認定する資格制度です。印刷物のデザインや制作に携わるプロフェッショナル向けに、DTPの基本的な技術や理論、印刷工程、使用するソフトウェアの操作スキルなどを評価します。
DTP検定は職種別にディレクションとビジネスの2つのコースに分かれています。出版・印刷などDTP業界でのスキル証明となり、専門知識の確認や業務の効率化にも役立ちます。
参考:DTP検定
2. DTPエキスパート
DTPエキスパートは、日本印刷技術協会(JAGAT)が主催する認証試験です。DTP、色、印刷技術、情報システム、コミュニケーションに関連する知識を習得した人材を認証します。DTPエキスパートとDTPエキスパート・マイスターの2つのレベルに分かれており、資格取得後は2年ごとの更新制となります。
3. 色彩検定
色彩検定は、色彩検定協会が主催する文部科学省後援の民間資格です。色に関する幅広い知識や技能を問う検定で、試験では、デザインに欠かせない色に関する幅広い知識や技能が問われます。3〜1級と、ユニバーサルデザインに関するUC級があります。受験資格はなく、誰でも受験できます。
参考:色彩検定
DTPデザイナーの需要と市場動向
紙媒体のデザインが減る昨今、DTPデザイナーの需要と市場はどう動くのでしょうか。ここではデジタル化時代におけるDTPの位置づけと、DTPスキルの応用範囲について解説します。
デジタル化時代におけるDTPの位置づけ
デジタル化が進む時代において、DTPの役割も変化しています。紙媒体の縮小が見られる一方で、高品質な印刷物の分野で大きな役割を果たしています。
特に高級ブランドやアート、文化的なプロジェクトでは、紙の質感や物理的な存在感が求められます。デジタルとは異なる独自の質感や魅力を持ち、ブランドのブランディングや高級感を伝える手段として活用されています。
DTPスキルの応用範囲の拡大
デジタルメディアの台頭により、デジタルコンテンツやクロスメディアデザインの分野で新たな価値を発揮することができます。そのため、DTPデザイナーは紙とデジタルの両方をカバーする多様性が必要とされ、従来の印刷物に加え、デジタル配信や電子出版の分野でもそのスキルが応用されています。
市場動向としては、紙媒体の縮小が見られる一方で、高度なDTPスキルを持つデザイナーの需要は変わらず高いといえます。特に、紙とデジタルの境界をシームレスに行き来できる人材は今後さらに重宝されるでしょう。
DTPデザイナーは採用?外注?どちらにすべき?
DTPデザイナーは社内で社員として採用すべきか、外注として適宜依頼すべきか迷うこともあるでしょう。ここでは以下の3つのポイントにおける判断ポイントをお伝えします。
- 採用と外注のメリット・デメリット比較
- 企業のニーズに合わせた判断ポイント
- 必要に応じて依頼できるフリーランスがおすすめ
採用と外注のメリット・デメリット比較
まず採用のメリットは、長期的な人材育成が可能で、企業文化や業務フローに対する理解が深まることが挙げられます。これにより、チーム内でのコミュニケーションがスムーズとなり、機密情報の管理もしやすくなるでしょう。
しかし、採用には人件費や福利厚生などのコストがかかり、採用や教育にかかる時間や労力も無視できません。また、業務量の変動に対して柔軟に対応することが難しい点もデメリットです。
一方、外注のメリットは、必要な時だけ依頼できるためコスト効率が良く、特定のスキルがすぐに活用できることです。さらに、業務量の変動にも柔軟に対応でき、新しい視点やアイデアを取り入れやすいことも挙げられるでしょう。
ただし、外注のデメリットとして、企業文化や業務フローを理解するまでに時間がかかることがあり、品質管理や納期管理が難しいこともあります。また、機密情報の取り扱いに注意が必要で、コミュニケーションコストが高くなるおそれもあります。
以下の資料では、デザインのリソースを確保する2つの方法、採用と外注について、コスト面を比較しながら解説しています。無料でダウンロードできますのでぜひお役立てください。
企業のニーズに合わせた判断ポイント
企業が採用か外注を選ぶ際の判断ポイントは、ニーズに応じていくつかの要素を考慮する必要があります。
まず、業務量と安定性です。長期的かつ継続的なプロジェクトにより、大量の業務が長期にわたって続く場合は、採用することで安定的な人材を確保でき、チームの一貫性を保つことが可能です。一方、業務量に変動があり、短期的であったり、単発のプロジェクトなど仕事量が大きく変わる場合は、即戦力の外注の方が柔軟に対応できます。
次にコストです。長期的に人材育成や福利厚生を含めた投資ができる場合は採用が適していますが、短期的にコスト削減が必要な場合は、必要なときにだけリソースを使える外注がコスト効率が良いでしょう。
また、社内で成長させたい分野や継続的に必要なスキルがある場合は採用が理想的です。逆に、特殊なスキルや即戦力が必要な場合には、外注で経験豊富なプロを採用する方が効果的です。ただし、セキュリティ面にも考慮が必要です。高度な機密保持が求められる場合は、社内で管理できる採用が信頼性を高めますが、一般的な案件であれば外注も可能です。
必要に応じて依頼できるフリーランスがおすすめ
結論として、DTPデザイナーの採用か外注かの判断は、企業の状況や目的によって異なります。必要に応じてフリーランスを活用しつつ、柔軟な組織作りを検討してみてはいかがでしょうか。
フリーランスのDTPデザイナーを活用するメリットは、必要な時に必要なスキルを持つ人材を確保できる、正社員雇用よりもコスト効率が良い、多様な経験を持つデザイナーの知見を活用できる、業務量の変動に柔軟に対応できることが挙げられます。
ただし、優秀なフリーランスの確保は難しく、確保できたとしてもプロジェクトの管理者が社内に必要です。また、長期的なノウハウの蓄積には不向きのため、情報共有の場を定期的に設けるなど工夫しましょう。
DTPデザインを依頼したいのなら、優秀なフリーランスデザイナーが豊富なクロスデザイナーがおすすめ
DTPデザイナーについてお伝えしてきました。紙媒体の需要は少なくなっていますが、DTPデザイナーの需要が少なくなっているわけではありません。むしろ、紙もデジタルも両方できるデザイナーの需要は高まっていると言えるでしょう。
しかし社員への採用はハードルが高いのも現状です。そのため、コスト面や柔軟性からフリーランスデザイナーへの外注を考えているのなら、経験豊富な人材が揃っているクロスデザイナーがおすすめです。
クロスデザイナーは、国内最大規模のデザイナー登録者から、厳正したデザイナーを最適なタイミングでご提案するフリーランスデザイナー専門のエージェントサービスです。現在、7,000人以上のデザイナーが在籍しています。
登録しているデザイナーとの合意があれば正社員採用も可能です。また、スカウトや人材紹介機能もあるため、採用難易度の高い、即戦力デザイナーの採用機会を最大限サポートしています。
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