「プロのデザイナーにデザインを依頼すれば、こちらが言わなくてもわかってくれるだろう」「私たちが思っていた以上のものが上がってくるに違いない」デザインを依頼した経験がない企業ほど、こんなイメージを持ってしまいがちです。しかし、実際にはそんなことはありません。そしてしばしば、こんな考えがトラブルを起こす元となってしまいます。
社内でデザインのリソースが不足しているからこその外注ですが、デザインの知識や経験が不足している場合にはトラブルが起きてしまうこともあります。しかし、起きやすいトラブルの事例や原因を事前に知っておけば、対処しやすくなり、回避もしやすいでしょう。
そこで、本記事では、デザイン依頼時に起こりうるトラブル事例とその対処法などを解説します。トラブルがなく、期待通りのデザインが納品されるよう、発注側として気を付けておきたいことを紹介しますので、ぜひご参考ください。
発注側が知っておきたい!デザインにまつわるトラブル基礎知識
制作現場で何らかのトラブルが発生した、スタッフ間で問題が起きたなど、制作期間中は想定外の事態が起こってしまう可能性があります。場合によっては、発注側に責任が問われてしまうこともあります。
次の基礎知識は発注前に押さえておきましょう。
- トラブルの内容は契約・クオリティ・著作権の3種類
- 法律違反などのリスクがある基礎知識
詳しく解説していきます。
トラブルの内容は契約・クオリティ・著作権の3種類
トラブルの内容は、契約・デザインのクオリティ・著作権の3種類に分けられます。
特に、デザイン依頼業務においては契約まわりのトラブルが多いことが知られています。契約に際して押さえておくべきことは次の5点です。
- 納期
- 報酬
- 依頼内容
- 修正対応について
- 納品について
上記の5点について、発注側と受注側(デザイナー)の双方が納得したものであれば、トラブルが生じにくくなります。逆に何らかの問題が発生した場合であっても、双方が納得し合った当初の契約内容をもとに話し合いをすることもできるでしょう。
契約書を交わしてから、正式に発注しましょう。逆に言えば、こうした契約がない状態での依頼は応じてくれないこともあります。
契約書を交わさないといけないという義務はありません。実際には口約束、メールなどでも契約とすることができます。ただ、口頭でやり取りしたことは記録として残りにくく「言った」「言わない」の話になるので、トラブルのもととなってしまいます。
デザインのクオリティについては、デザイナーの選別をしっかりすることである程度クリアできるでしょう。特に初めて依頼するデザイナーには、ポートフォリオに書いてある以上のレベルを期待しないほうが無難です。
リスク回避のために押さえておきたい!法律の基礎知識
デザイナーとトラブルがあったときに避けておきたいことは、著作権法の違反です。先述したように、著作権は、基本的に制作したデザイナー本人にあります。著作権を譲渡されたり、快諾されたりしていないと、デザインを流用することは原則NGです。
契約時点で著作権を譲渡してもらう、あるいはデザイナーが制作したデザインを別のものに使うときは必ず相談しましょう。著作権法59条(著作者人格権の一身専属性)と著作権法61条(著作権の譲渡)をご確認ください。
参考:e-Gov法令検索「昭和四十五年法律第四十八号著作権法」
このほか、「納品されたデザインが気に入らない」として契約を解除することが厳しい場合があります。発注側が「デザインをお任せ」で依頼している場合、デザイナーは納品しているため、その分の報酬を支払わなければいけない可能性があります。
請負契約とその解除については、民法632条(請負)と民法641条(注文者による契約の解除)をご確認ください。
参考:e-Gov法令検索「明治二十九年法律第八十九号民法」
▼下記の資料では、業務委託人材の労務管理の注意点やポイントを、正社員とも比較しながら解説します。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
デザイン依頼時に起こりうるトラブル事例
ここからは実際の依頼現場で起こりうるトラブル事例を取り上げて紹介します。
- 思った通りのデザインが上がってこない
- 期待通りに納品してくれない
- 企業の内容を理解したデザインじゃない
- 修正対応してくれない
- デザインのクオリティが低い
- データ納品のみでコーディングしてくれない
- サイト公開後の対応をしてくれない
- デザインを他の商品などに使ったら訴えられた
- デザイン制作費が高い
- デザイン制作費が見積もりよりも膨らむ
- 修正を続けているのに完成イメージ通りにならない
- プロジェクトがいつまでも終わらない
いかがでしょうか?読んでいる今、該当する部分も、こんな悩みを聞いたことがあるという方も、まずは簡単な解決策とともに紹介するのでご一読ください。
1. 思った通りのデザインが上がってこない
「思った通りのデザインが上がってこない」これはたとえ、実績のある優秀なデザイナーに依頼したとしても出てくる声なのかもしれません。
「期待通りじゃない」「なんか違う」「でもそれをどう伝えたらいいかわからない」などと考えていませんか。そんなときは、デザイナーにお任せしてしまっているもしくは共有しているイメージが漠然としている可能性が高いです。
対処法としては、
- 目的やゴールを明確に伝える
- Webサイトに期待することを伝える
などがあります。
こちらの記事に解決方法をまとめておりますので、ご参考ください。
関連記事:イメージ通りのデザインにする伝え方のポイント6個|おすすめツールも紹介
2. 期待通りに納品してくれない
デザインイメージを伝え、修正してもらったのに、「あれ、期待通りのデザインじゃない」「これで納品なの?ちょっと待って」ということもあるかもしれません。
そんなときに思い出してほしいです。何をもって「納品」とするか、共有していましたか?
納品に対する基準や認識が発注側とデザイナーとでズレていたのかもしれません。 納品基準については契約時に共有しておきましょう。
3. 企業の内容を理解したデザインじゃない
「あれ、自社の内容とズレている」「自社の事業内容や理念をちゃんとわかってくれていない」ということはありませんか?基本的には、デザイナー側が調べたり、勉強したりしてもらう必要はありますが、公開していない事実については知りようがない場合もあります。
打ち合わせ時に、自社の事業内容や理念についてしっかり伝えておきましょう。こうした内容は、Webサイトやデザインに掲載しなくても、後々デザインや制作物に生きてきます。
多少熱く語っても大丈夫です。熱意を持ったデザイナーであれば、あなたの情熱をしっかりと受け止めてくれるでしょう。また、可能な限り資料は共有しておきましょう。
4. 修正対応してくれない
「え、修正対応してくれないの?」「修正回数にも限りがあるの?」初めてデザインを依頼するときは修正についての確認をしておらず、制作を開始してから、修正対応についての認識のズレが生じることがあります。
修正対応の可否や修正対応の回数については、デザイナーによって異なります。発注前に契約書を交わすなどして、修正対応について認識をすり合わせておきましょう。
5. デザインのクオリティが低い
「明るいイメージでお願いしたのに、黒系カラーでまとめている」などデザインが注文通りじゃない、あるいはそもそもデザインのクオリティが低いということがあります。
打ち合わせを重ねてもそのような事態が続く場合は、デザイナーの選定ミスととらえましょう。デザイナーと話し合い、制作してもらった分の報酬は支払ったうえで、別のデザイナーに依頼するほうが無難です。
デザイナーのスキルをチェックする方法については、こちらで解説していますので、ぜひご参考ください。
関連記事:Webデザイナーのスキルをチェックする方法は?スキルシートの概要や見方を解説
6. データ納品のみでコーディングしてくれない
Webデザイナーは必ずしもコーディングまでできるとは限りません。Wordpressなど簡易的なCMSを使ってWebサイト制作をするデザイナーも多くいます。
また、コーディングについてある程度知識を持っていたとしても、どこまでコーディングができるかはデザイナーそれぞれ。コーディング対応の可否については、契約時に確認することが重要です。
関連記事:Webデザイナーはコーディングもできる?依頼できる業務を解説
7. Webサイト公開後の対応をしてくれない
Webサイトの制作・更新を依頼後、サイト公開後に何らかのエラーが発生した、あるいは運営について相談したいということもあります。しかし、サイト公開後の対応について、デザイナー側に明らかなミスがあったケース以外は、別途依頼を持ち掛けなければ話を濁されることもあるかもしれません。
基本的には、サイト公開後の対応とサイト制作とは別の業務になります。そのため、改めて依頼するか、発注時に公開後の対応も含めての依頼にするなどの契約を交わしておきましょう。
8. デザインを他の商品などに使ったら訴えられた
デザイナーが制作したデザインを勝手に別のグッズにも使って販売したなど、依頼とは別のものにデザインを使うと著作権の侵害となります。企業が依頼し、制作に対する報酬を支払ったとしても著作権は制作したデザイナー側にあります。
ロゴをデザインしてもらった際には特に注意が必要です。対処法としては、契約時に著作権を譲渡してもらう、著作権譲渡の契約を交わす、あるいはデザインを流用する場合はデザイナーの快諾を得るなどが必要です。
著作権については、デザイナーへの依頼業務が発生した時点で確認しておき、発注時には契約書に盛り込んでおくことでトラブルを回避できます。
著作権については、こちらから確認ができます。
9. デザイン制作費が高い
デザイナーに見積もりを取ってみると、想像以上にデザイン制作費が高いということがあります。そのため、デザイナーに依頼する前に、あらかじめデザイン制作費の相場を知っておくことが重要です。
関連記事:デザイナー業務委託の料金相場を徹底解説!採用方法や依頼方法についても紹介
10. デザイン制作費が見積もりよりも膨らむ
修正回数が増えた、あるいはデザイナーだけでなく、コピーライターやカメラマン、モデルなど素材の制作においてもさまざまなスタッフが加わる場合、当初想定した予算を大きく上回ることがあります。
プロジェクトの規模に応じて、ディレクターを配置するなどプロジェクト全体の指揮監督ができる役割を立てて、制作費・制作期間ともにコントロールしておくことが重要です。
11. 修正を続けているのに完成イメージ通りにならない
「修正を続けているのに、イメージ通りにならない」そんなときは、修正の目的や意図、コンセプトイメージを共有できていないことがあります。
関連記事:デザインの修正指示のコツは?伝え方の具体例や修正回数を減らすポイントを解説
関連記事:イメージ通りのデザインにする伝え方のポイント6個|おすすめツールも紹介
12. プロジェクトがいつまでも終わらない
修正が長引いて、あるいはそのほかのさまざまなトラブルが発生してプロジェクトがいつまでも終わらないということもあります。
制作工程別に必ずチェック期間を設けましょう。進捗に問題がないか、スタッフの業務が滞っていないか、トラブルが発生していないかなど定期的にスタッフと打ち合わせや連絡を取り合って、確認をしておくことが重要です。
▼下記の資料では、業務委託契約書を作成する際の重要なポイントを網羅的に解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
発注側の責任が問われるトラブル事例2つ
上記のトラブル事例があった際、必ずしも受注側の問題としてとらえられないこともあります。もちろん、納期が守られていない、発注した通りのデザインではないことが明らかなときは受注側の責任になります。
しかし、発注側のほうである程度知っておかなければ、受注側から訴えられ、場合によっては敗訴する可能性もあります。次の3つの事例については発注側の責任となることもあるので、気を付けましょう。
- 納品後に報酬を支払わない
- 制作に必要となる資料(素材)を渡していない
1. 納品後に報酬を支払わない
何をもって納品とするかは、発注側と受注側で認識のズレが生じることがあります。だからこそ発注前に納品基準について契約書を交わす必要があるのですが、誤字がある・ミスやエラー表示があるなど明らかな瑕疵が見られた場合以外は基本的に納品としてみなされることとなります。
お互いに契約を締結していなかった場合、受注側が「納品」したとして報酬を請求して支払わなかった場合は、発注側の問題として問われることがあります。「制作後にクオリティが低いから払えない」などの言い分はあるものの、発注後に制作がなされた以上、契約内容に応じた料金を支払うことが必要となります。
だからこそ、デザイナーの選別には細心の注意を持って行う必要があります。デザイナーの選び方については後述します。
2. 制作に必要となる資料(素材)を渡していない
デザインに必要な資料や素材(写真、テキストなど)を渡していない場合、デザイナーは制作に十分なリソースを割くことができません。打ち合わせでデザイナーやディレクターから求められた情報については、可能な限り共有しておきましょう。
デザイン依頼時に発生するトラブルの主な原因8つ
デザインを依頼した際のトラブルの要因として、次の8点が考えられます。
- デザイナーの選定ミス
- 丸投げ依頼で進捗を把握していなかった
- 完成デザインイメージの認識のズレ
- 「完成」(納品)基準の認識のズレ
- 修正対応してくれるかなど契約内容の認識のズレ
- スケジュールが明確に共有できていない
- 制作過程における修正可能なタイミングを逃した
- 制作期間をあまり準備していなかった
1. デザイナーの選定ミス
デザイナーの選定ミスは、期待通りのデザインが得られないだけでなく、デザイナーにとっても発注側にとってもあまりうれしくない状況を生みます。逆に依頼したい業務が得意な人に発注すれば、双方にとって良い結果をもたらすでしょう。
ひとえにWebデザイナーといっても、依頼したいと思う人がどんなデザインができるのか、どんなコーディングが可能なのかを発注前に確認しておくことが重要です。例えば、ECサイトの更新を依頼したい場合、必要な機能をコーディングできなければ、いくら素敵なデザインができても効力を持ちません。
デザイナーの選定については、次の2段階から確認しましょう。
1.どんなデザイナーに依頼するか
「デザイナー」には、グラフィックデザイナーやWebデザイナーなど、プロダクトデザイナーなど多くの種類があります。自社に必要なデザイナーは、Webデザイナーか、DTPデザイナーかなど、必要なデザイナーの種類を把握しましょう。
2.何を得意とするデザイナーに依頼するか
例えば、ひとえにWebデザイナーと言っても、その得意分野はそれぞれ。自社に有用な得意分野を持つデザイナーを見つけましょう。
たとえば、Webサイトの更新をしたい、自社サイトのなかでは○○の機能が必要なので、○○の機能をコーディングできるWebデザイナーが必要だという具合に、必要なスキルを明確にしておくことで、条件に合ったデザイナーを見つけやすくなります。
関連記事:外注デザイナーを探す方法は?おすすめサービス10選と注意点を解説!
関連記事:Webデザイナーのスキルをチェックする方法は?スキルシートの概要や見方を解説
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2. 丸投げ依頼で進捗を把握していなかった
「デザインはお任せします」と依頼したものの、「納品されたデザインが気に入らない」「修正依頼をしても期待通りのものが返ってこない」ということもあるでしょう。最終的に契約を解除したいという場合、その分の損害賠償を支払わないとトラブルになることがあります。
デザイン業務を請け負ったデザイナーとしては、「お任せ」されたデザイン業務は完了しているため、債務不履行を理由に契約を解除することはできません。また「お任せします」のような「丸投げ依頼」の場合は、単純に「デザインのクオリティが低いから」などと却下することも難しいことがあるので気を付けましょう。
デザイナーとしては、全面的に任せられたとして、企業の業務内容などを踏まえたうえでデザインを納品したということになります。どのようなデザインを欲しているのか発注側が具体的に伝えなければ、債務不履行には当たりません。
デザインの要望について、例えば「おしゃれでかっこいいデザインにしてほしい」だけでは不十分なことがあります。
どんな目的があり、どんなターゲットを狙っていて、どんなサイズで、どんな展開で、PRする媒体はどんなSNSなのか、単に「おしゃれ」と言っても色味やフォントはどんなものかなど、さまざまな要素がデザイン制作に必要となります。依頼内容に応じてこうしたことを共有する必要があります。
3. 完成デザインイメージの認識のズレ
デザイナーに全てを任せてしまう、または依頼内容が漠然としたまま、制作を進めてしまい、制作過程の確認をしていない場合、発注者と受注者との間で大きなズレが生じやすくなります。制作過程の節目で必ず確認し、そのズレを埋め合わせるようにしましょう。
発注側とデザイナーとの完成デザインイメージの認識のズレが、イメージ通りのデザインが上がってこない原因となります。しかし、最初から認識が一緒だということはないでしょう。定期的に進捗を確認しながら、ズレを埋め合わせていくことでデザインの精度を高めていくことにもつながります。
4. 「完成」(納品基準)の認識のズレ
デザイナーは「これで納品だ」と思っているのに、発注側は「こんなの納品じゃない」という「完成」の認識のズレはしばしば起こり得ます。契約時に話し合っておくとともに、打ち合わせでコンセプトを共有し、ある程度ゴールを明確にしていきましょう。
5. 修正対応してくれるかなど契約内容の認識のズレ
「修正してくれるものと思っていたのに、対応してくれない」「何度も修正をお願いしているうちにもう対応できないと言われた」ということもあります。修正対応の回数やその可否については、デザイナーや制作会社によって異なります。契約時に確認しておきましょう。
6. スケジュールが明確に共有できていない
「デザインの進捗を確認したいのに、まだできないと言われた」「納期を守ってくれていない」などのトラブルが起きることもあります。プロジェクトの規模に応じて、全体の納期だけでなく、制作過程における期限を設定して共有しておきましょう。制作過程の期限に応じて、進捗状況を把握することでデザインイメージの認識のズレを防ぎ、軌道修正がしやすくなります。
7. 制作過程における修正可能なタイミングを逃した
「Webサイト実装後にデザインの修正依頼をしたが、できないと言われた」ということもあります。Webサイト制作では、いったん実装してしまうと容易には変えられません。デザインや機能を変えてしまうと、またその時点に戻ってやり直す必要が出てきます。
そうならないよう、制作過程における修正可能なタイミングを確認し、その時点で発注側が必ず確認し、修正するのか、進めるべきなのかを伝えましょう。
▼業務委託では委託先への指揮命令権がありませんが、連絡やマネジメントは必須です。そこで、下記の資料に効果的なコミュニケーションの取り方や注意点をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
8. 制作期間をあまり準備していなかった
制作過程における修正が長引いて制作期間が伸びてしまったことも起こり得ます。修正や、やり直しはないに超したことはありませんが、そうしたことが起こることも踏まえたスケジュール設定が重要です。
デザイナーとトラブルを起こしやすい発注者の共通点3つ
次の3点が該当する場合は、デザイナーとトラブルが起きやすいので注意しましょう。
デザイナーに全てを任せている
依頼内容が漠然としている
デザインや依頼内容について知識の差がある
社内にデザイナーがいない、あるいはデザイナーに初めて依頼する企業はほぼ全てが当てはまるのかもしれません。こうした状況が必ずしも悪いということではなく、トラブルが起きてしまう可能性が高いということです。
しかし、事前にトラブルを知って事前に対処する方法を知っておけば、ほとんどのトラブルは回避できるでしょう。まずはトラブルが発生する状況を把握しておきましょう。
1. デザイナーに全てを任せている
「デザインはお任せ」「○○さんだからこそ、お任せしたい」「私たちではわからないので、お願いしたい」など、デザイナーに全てを任せている状況は非常に危険です。
どんなデザインがいいのか、何を求めているのか、どんなデザインにすれば、企業のPRになるのか、そのアイデアの源はデザイナーではなく、発注した企業にあります。あるいは、企業のお客様からの声・要望・クレームなどユーザーからヒントを得られることもあるでしょう。
デザインのリソースが不足しているからこそ、デザイナーに依頼しているのですし、デザイナーにお任せしたい気持ちはわかります。しかし、そこはしっかりデザイナーと話し合って、どんなデザインにするのか、しっかりと方向性を決めていきましょう。
2. 依頼内容が漠然としている
「どんなデザインにしたいのか、正直わからない」「何を依頼すればいいのかわからないまま、上司に言われて打ち合わせに臨んでいる」そんな場合もあるかもしれません。
しかし、そんなときは要注意。デザイナーは依頼内容が漠然としているほど、何を求めているのかわかりません。先述したように、デザイナーのなかには、どんなデザインをするべきか、ある程度の提案はできたとしても、本質的なアイデアは発注側にしかありません。
当初は依頼内容が漠然としたものであっても、打ち合わせで具体的な要望を伝えながら、しっかりと明確なものにしていきましょう。
3. デザインや依頼内容について知識の差がある
発注側の企業と受注側のプロのデザイナーとでは、デザインの経験や知識に差があります。発注側として、業務を依頼し、指示していきたいものの、ときにはデザイナーから提案をもらったり、意見をもらったりすることもあるでしょう。
社内にデザイナーがいれば、互いに連携してこういうときにはどうすればいいのか、どう指示を出すといいのか、ある程度デザイン制作を踏まえた立場として、適切な指示を出せるかもしれません。しかし、デザイナーではない人が依頼する場合には、指示内容が的確ではないこともあります。
そうしたことを踏まえたうえで、発注側の要望はしっかり伝え、お互いに齟齬が生じないよう、密なコミュニケーションをとっていくことが重要です。
▼下記の資料では、自社に必要な業務を明確にする「ジョブディスクリプション」の作成ポイントをテンプレート付きで解説していますので、ぜひ貴社の採用活動にお役立てください。
今からでも間に合う!デザイントラブルへの対処法
こうした事態を避けるためにも、双方のズレが生じた時点で、下記項目のうち上記3点を実施してみてください。それでも難しい場合は、早めに打ち切りましょう。
デザイン制作の目的やターゲットを明確に伝える
制作の進捗状況を定期的に確認する
修正対応の回数を確認する
相性が悪い・クオリティが低い場合は早めに打ち切る
1. デザイン制作の目的やターゲットを明確に伝える
期待通りのデザインが上がってこない場合、どんなデザインにしてほしいかだけでなく、デザインコンセプトへの共有が不十分であることが考えられます。デザイン制作の目的やターゲットを明確に伝えておきましょう。
2. 制作の進捗状況を定期的に確認する
制作の進捗状況を定期的に確認することも重要です。確認するタイミングとしては、制作過程のさまざまな節目です。
デザイン案の確認、修正からの返し、Webサイトへの実装前など確実に必要なタイミングだけでなく、デザイナーと相談しながら業務内容に応じて確認するようにしましょう。
3. 修正対応の回数を確認する
修正対応の回数を確認しておきましょう。デザイナーによっては、修正対応に上限を設けていない場合もあれば、修正対応自体を受け付けていないケースもあります。
4. 相性が悪い・クオリティが低い場合は早めに打ち切る
デザイン制作の目的やターゲットを明確に伝え、定期的に確認してコミュニケーションをとっていても、デザインが良くならないという場合は、相性が悪いのかもしれません。相性とは、人間的なものだけでなく、その人の得意分野・不得意分野といった業務との相性もあります。発注内容と大きく異なるデザインを上げてくる場合には、制作してもらった分の報酬は支払ったうえで、早めに打ち切りましょう。
発注前に気を付けたい!デザインのトラブルを起こさない対策
実はデザインのトラブルの多くは、発注前に防ぐことができます。次の9点を確認してみてください。
- デザイナーの実績・スキルを確認する
- 打ち合わせをしてお互いの相性を確認する
- 契約書を交わしてから制作を開始する
- デザインディレクションをしっかりと行う
- デザイン制作費の相場をある程度把握しておく
- デザインは「目的」ではなく「手段」としてとらえる
- 納期(制作期間)に余裕を持つ
- まずは一緒に仕事をしてみてお互いの相性を確認する
- エージェントサービスを利用する
こうした対策を踏まえることで、トラブルを回避できます。
1. デザイナーの実績・スキルを確認する
デザイナーは誰を選ぶかが非常に重要です。デザイナーのポートフォリオから実績・スキルを確認してその人の得意分野を見極め、自社と相性の良いデザイナーを見つけましょう。
関連記事:Webデザイナーのスキルをチェックする方法は?スキルシートの概要や見方を解説
2. 打ち合わせをしてお互いの相性を確認する
デザイナーのスキルはもちろんのこと、制作においてコミュニケーションは非常に重要な要素となってくるため、お互いの相性も大事です。やり取りを重ねるなかで、コミュニケーションをとりやすいかどうかも確認しましょう。
3. 契約書を交わしてから制作を開始する
デザイナーが契約したいと思う案件の特徴として「契約回りがしっかりしている」ということがあります。
関連記事:調査レポート:フリーランスデザイナーが契約したいと思うのは「契約・担当者・納期・単価・働き方」が適切な案件。そして根強い“長期案件志向”
デザイナー(受注)側から見ても、契約にまつわるトラブルは最も気になるところです。だからこそ、制作開始前にしっかりと契約書を交わしておきましょう。
契約の種類には、業務委託契約もしくは請負契約があります。発注前には必ず契約内容を共有しておきましょう。
関連記事:個人事業主との業務委託契約について解説|手順と契約書の作成方法を紹介
契約書の作成方法については、こちらをご参考ください。
関連記事:デザイナーとの業務委託契約書で注意すべき点とは? 必須の記載事項も解説
必要に応じて、打ち合わせの議事録などを作成し、仕様書などを書類に残しておけば、万が一トラブルが起きたときにも確認ができます。
4. デザインディレクションをしっかりと行う
デザインの目的やターゲット、コンセプト設定などディレクションをしっかりと行ってから、制作を開始しましょう。
関連記事:デザインディレクションの方法は? 期待通りのデザインを納品してもらうコツ
5. デザイン制作費の相場をある程度把握しておく
デザイン制作費の相場をある程度把握しておけば、予算組みもしやすくなり、制作費の増大を防ぎやすくなります。
関連記事:【種類別】デザイン依頼にかかる費用/料金相場は? 費用を抑えるコツも解説!
6. デザインは「目的」ではなく「手段」としてとらえる
デザインのクオリティを重視するあまり、修正がいつまでも終わらなかったり、満足のいくデザインが上がってこなかったりすることがあります。これはデザインを制作すること自体が目的となってしまうことが要因でしょう。
デザインを目的ではなく、改善や問題解決の手段としてとらえることで、制作進行がスムーズになることがあります。まずは世に出して、どんなものが受け入れられるのかをテストしていく姿勢も大事です。
7. 納期(制作期間)に余裕を持つ
納期に余裕を持ちましょう。修正の回数が増えれば、期間はよりタイトになってしまいます。起こりうる修正やトラブルを事前に把握し、発注側・デザイナー側双方に余裕のあるスケジュールを立てましょう。
8. まずは一緒に仕事をしてみてお互いの相性を確認する
メールのやり取りだけでは、お互いの相性はわかりません。実際に仕事してみれば、どのように依頼するとより効果的なのか、実績には書かれていなかったスキルもみえてきます。自社に必要なデザイナーが見つかったら、まずは小さな仕事から依頼してみましょう。
9. エージェントサービスを利用する
エージェントサービスを活用すれば、デザイナーの選定から納品までコンサルタントが間に入ってサポートしてくれるため、スムーズです。何かがあったときにも、相談ができるため安心してデザイナーに依頼ができます。
▼下記からは、業務委託に必要な4種類の契約書を、すぐに使えるテンプレート付きで解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
トラブルを避ける!エージェントサービス活用のメリット3つ
エージェントサービスを活用すると、次の3点のメリットがあります。
- 自社に合ったデザイナー選びがしやすい
- 第三者としてエージェントが入るので客観性が保てる
- トラブルが起きたときにも対処しやすい
エージェントサービスは、デザイナーに特化したものを選ぶのがおすすめです。デザイナー専用のエージェントサービスとしては、クラウドテックやレバテック、クロスデザイナーなどがあります。
関連記事:Webデザイナー採用の転職エージェント12選!メリット・デメリットも解説
1. 自社に合ったデザイナー選びがしやすい
まず、専任のコンサルタントが企業にとって必要なデザイナーの要件をヒアリングして、明確化していきます。その要件に合わせた経験豊富なデザイナーを選びだし、紹介してくれます。
2. 第三者としてエージェントが入るので客観性が保てる
企業とデザイナーの間に、エージェントのコンサルタントが入ってサポートするため、客観性を保ちやすくなります。何かがあったときにも、お互いを把握するコンサルタントを通じて事実関係を確認しやすくなります。
3. トラブルが起きたときにも対処しやすい
トラブルが起きた場合にも、コンサルタントが間に入って対処するため、トラブルの悪化を防ぎやすくなります。
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トラブルを避けてスムーズなデザイナー外注ならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、デザイン制作に起こりやすいトラブル事例とその対処法、回避するための対策を解説してきました。基本的には、契約時にあらかじめ重要なポイントを抑えておけば、ほとんどのトラブルを回避できます。
逆に言えば、デザイナーへの依頼には、トラブルを回避するための契約をしっかり抑えておけば、発注から納品まで非常にスムーズです。著作権法や民法の請負契約に関する法律上の問題を抑えておけば、こうした煩雑な問題に悩まされることなく、制作管理に集中できます。
しかし、デザイナーへの外注に慣れていない場合には、こうしたポイントを抑えてトラブルなくスムーズに納品してもらうことは難しいこともあるでしょう。デザイナーの選定から契約、発注、修正指示と納品してもらうまでには、工程時にはさまざまなトラブルが起きる可能性がはらんでいます。
前述したように、選定から納品までサポートがつくエージェントサービスを活用すれば、トラブルを回避しやすくなります。
デザイナー7,000人以上が登録するクロスデザイナーなら、厳正な審査を通過した優秀なデザイナーの中から、自社に合ったスキルや実績を持つデザイナーを探し出して紹介するため、重要な選定時から安心です。
法律などが絡む煩雑な契約においても、ノウハウを蓄積したコンサルタントがサポートするため、特に初めてのデザイナー外注においては、より安心でしょう。「デザイナーが見つからない」という方こそ、ぜひご活用ください。
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- クロスデザイナーの特徴
- クロスデザイナーに登録しているデザイナー参考例
- 各サービスプラン概要
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