業務委託契約とは?請負契約と雇用契約の違いや注意点を企業向けに解説 | フリーランスデザイナー・業務委託採用|クロスデザイナー

業務委託契約とは?請負契約と雇用契約の違いや注意点を企業向けに解説

INDEX

業務委託契約は、企業が外部の専門家や業者に業務を依頼する際に結ぶ契約で、請負契約・委任契約・準委任契約の3つの契約形態の総称です。

業務委託契約を締結する場合、雇用契約した労働者と同じ扱い方をすると、法律違反となる場合があります。そのため、それぞれの違いや注意点を理解しておくことが重要です。

そこで今回は、業務委託契約の詳細と、請負契約と雇用契約の違いや注意点を企業向けに解説します。ぜひ参考にしてください。

業務委託契約とは?種類と定義、特徴を解説

業務委託契約とは、企業や個人が他の企業や個人に対して業務の一部または全部を委託する契約のことで、「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3種類の契約形態の総称です。

それぞれの特徴を以下の表でまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

   

請負契約

委任契約

準委任契約

定義

業務の完成を目的とする契約

法律行為を委託する契約

事実行為(事務処理)を委託する契約

特徴

成果物の完成が求められる

業務の遂行自体が目的

業務の遂行自体が目的

報酬が発生するタイミング

成果物の完成(納品)時

業務の遂行時

業務の遂行時

再委託の可否

原則として可能

原則として不可

原則として不可

契約不適合責任※1

あり

なし

なし

善管注意義務

※2

なし

あり

あり

※1:契約不適合責任とは、契約で取り決めた内容に適合しない商品やサービスが提供された場合に、売主や提供者が負う責任のことです。契約不適合責任は、2020年4月1日から施行された改正民法により導入されました。従来は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、この改正により、名称と内容が変更されています。

※2:善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)とは、契約や業務を遂行する際に、社会通念上、一般的に求められる注意を払う義務のことです。

請負契約

請負契約は、業務の完成を目的とし、成果物の完成をもって報酬が支払われる契約です。請負契約では、成果物の品質や納期が重要で、原則として再委託が可能です。

また、契約不適合責任があり、成果物に欠陥があれば修補や損害賠償が求められます。

関連記事:【企業向け】請負契約とは? 準委任との違いやメリット・デメリットを解説

委任契約

委任契約は、法律行為を委託する契約で、業務の遂行自体が目的です。委任契約では、業務の遂行に対して報酬が発生し、再委託はできません。

また、善管注意義務があるため、受託者は業務遂行に細心の注意を払う必要があります。

関連記事:委任・準委任・請負契約の違い|選び方やメリット・デメリット、注意点も解説(10月分)

準委任契約

準委任契約は、事実行為(事務処理)を委託する契約で、業務の遂行自体が目的です。準委任契約は委任契約と似ていますが、法律行為ではなく事実行為を対象とする点が異なります。準委任契約では、原則として再委託はできず、受託者に善管注意義務があります。

関連記事:準委任契約とは? 請負契約との違いやメリット・デメリット、注意点を解説

請負契約と雇用契約との違いを比較

請負契約と雇用契約は、企業と労働者の関係を規定する異なる契約形態です。以下に、請負契約と雇用契約との違いを比較して解説します。

  

請負契約

雇用契約

指揮命令権

企業は指揮命令権を持たない

企業は指揮命令権を持つ

報酬の基準

成果物に対して支払う

労働時間や労働に対して支払う

適用される法律

民法

労働基準法

労働者の保護

なし

あり

契約解除

仕事が完成しない間で可能(ただし違約金発生の可能性がある)

企業側の一方的な解除は不可

メリット

成果に応じたコスト管理が可能で、比較的柔軟に調整できる

労働者の安定した労働力を確保できる

デメリット

契約に関するトラブル発生のリスクが高い

社会保険料や労働保険料の負担が大きい上に、解雇が難しい

請負契約と雇用契約の違い

雇用契約は、企業が労働者を直接雇用し、労働者が企業の指揮命令のもとで働く契約です。労働者は労働基準法などの法令によって保護され、企業は労働時間、賃金、福利厚生などの義務を負います。雇用契約では、企業は労働者に対して指揮命令権を持ち、労働者はその指示に従う義務があります。

雇用契約のメリットは、企業は労働者に対して継続的な指導や教育を行うことができ、社内にノウハウを蓄積することができる点です。しかし、企業側が労働者の福利厚生や社会保険料を負担しなければならないため、固定費が高くなるのがデメリットです。

一方、請負契約は、企業が特定の業務や成果物の完成を外部の業者に依頼する契約です。請負契約では、受託者(請負人)が独立して業務を遂行するため、委託者が指揮命令を行うことができません。請負人は成果物の完成に対して報酬を受け取る契約であるため、業務の過程ではなく結果を重視します。

企業側のメリットとして、請負契約では社会保険料や福利厚生費用を負担する必要がないために、固定費を抑えることができます。また、業務の必要に応じて柔軟に契約を結ぶことができるため、コスト管理がしやすいのもメリットです。しかし、請負契約では業務の質や進捗管理が難しく、成果物の品質を請負人の能力に依存するため、信頼できる業者に委託することが重要です。

関連記事:業務委託と契約社員の雇用形態や報酬の違い、選び方のポイントを解説

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企業が請負契約を締結する際の注意点6つ

企業が請負契約を締結する際の注意点として、次の5つが挙げられます。

  1. 業務内容を明確にする
  2. 納期の設定
  3. 報酬の支払い方法
  4. 契約不適合責任
  5. 再委託の可否 
  6. 秘密保持義務

それぞれ解説します。

1.業務内容を明確にする

請負契約では、業務内容や成果物の基準を明確に定めることが重要です。具体的な仕様や品質基準を契約書に記載し、双方の認識のズレを防ぎます。例えば、納品する製品の詳細な仕様や完成基準を明確にすることで、後々のトラブルを避けることができます。

関連記事:業務委託契約書の重要性と作成方法、記載すべき項目や注意点を解説【テンプレ付き】

2.納期の設定

納期は請負契約の重要な要素です。納期を明確に設定し、納期が守られなかった場合の対応策も契約書に記載します。例えば、遅延が発生した場合のペナルティや、納期延長の条件などを明確に定めることで、納期遵守を促します。

3.報酬の支払い方法

報酬の支払い方法も重要なポイントです。支払いのタイミングや成果物の検収基準を明確に定め、双方が納得できる形で契約書に記載します。例えば、検収が完了した時点で支払いを行うといった具体的な条件を設定することで、支払いトラブルを防ぎます。

4.契約不適合責任

契約不適合責任についても明確に定める必要があります。受託側が提供した成果物に不具合があった場合の修補義務や、損害賠償の範囲を契約書に記載しましょう。契約書に明記することで、万が一のトラブルが発生しても迅速に対応できます。

関連記事:業務委託の契約不適合責任とは?善管注意義務との違いや法的性質を解説

5.再委託の可否

再委託の可否についても明確に定めることが重要です。受託者が業務の一部または全部を第三者に再委託することが許されるかどうかを契約書に記載しましょう。再委託を許可する場合は、その条件や責任範囲も明確に定める必要があります。

上記の注意点を踏まえて請負契約を締結することで、企業はリスクを最小限に抑え、円滑な業務遂行を実現することが可能です。

関連記事:再委託とは?禁止される契約形態と発注前にできるリスク対策

6.秘密保持義務(情報漏洩に関する具体的な措置を含む)

企業が請負契約を締結する際は、秘密保持義務の項目も非常に重要です。まず、秘密情報の定義と範囲を明確にし、情報の取り扱い方法を具体的に定めましょう。また、目的外使用の禁止や第三者への開示制限も必要です。そこで、情報漏洩時の対応策や契約終了後の秘密保持義務も契約書に明記し、情報保護を徹底して行う必要があります。

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企業が雇用契約を選ぶ際の注意点6つ

企業が雇用契約を選ぶ際の注意点としては、次の6つが挙げられます。

  1. 労働条件を明確にする 
  2. 労働契約の期間を明確にする
  3. 就業場所と業務内容
  4. 賃金の支払い方法
  5. 退職・解雇の条件 
  6. 試用期間の設定

それぞれ解説します。

1.労働条件を明確にする

労働条件を明確にすることは、労働者とのトラブルを防ぐために重要です。労働時間、休憩時間、休日、賃金、福利厚生など、具体的な条件を契約書に記載し、労働者に説明します。

2.労働契約の期間を明確にする

労働契約の期間を明確に定めることも重要です。無期契約か有期契約かを明示し、有期契約の場合は契約期間と更新の有無、更新条件を明記しましょう。契約期間を明確にすることで、労働者の不安を軽減し、契約期間中の安定を図ることができます。

3.就業場所と業務内容

就業場所と業務内容を明確にし、転勤や異動の有無も契約書に記載しましょう。就業場所や業務内容を明確にすることで、労働者を解消し、安心して働ける環境を整えます。

4.賃金の支払い方法

賃金の支払い方法についても明確に定めましょう。基本給、手当、賞与の支払い時期や方法を契約書に記載し、労働者に説明します。賃金に関する項目を明確にすることで、賃金に関するトラブルを低減できます。

5.退職・解雇の条件

退職や解雇の条件を明確に定めることも重要です。退職金の有無や支給条件、解雇の理由や手続きについて契約書に記載し、労働者に説明しましょう。退職や解雇の条件を明確化することで、退職や解雇に関するトラブルが発生するリスクを軽減できます。

6.試用期間の設定

試用期間を設定する場合は、試用期間の有無や評価基準を明確に定めましょう。試用期間中の労働条件や評価基準を契約書に記載し、労働者に説明します。労働条件や評価基準を明確化することで、試用期間中の労働者の不安を軽減し、適切な評価を行うことができます。

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業務委託契約の締結ポイント|契約書の作成と重要性

以下では、業務委託契約を締結する際のポイントとして、契約書の作成と重要性について解説します。

業務委託契約を結ぶ際には、以下のようなメリットから契約書を作成することが重要です。

法的リスクを回避できる

契約書を作成することで、双方の権利と義務が明確になります。これにより、万が一のトラブルが発生した際に、法的に保護されます。そこで契約書には、業務内容、報酬、納期、秘密保持などの重要な事項を明記して、法的リスクを最小限に抑えることが重要です。

トラブルを回避できる

契約書は、業務の進行中に発生する可能性のある誤解やトラブルを未然に防ぐための重要なツールです。例えば、業務の範囲や納期、報酬の支払い条件などを明確にしておくことで、後々のトラブルを避けることが可能です。契約書があることで、双方が同じ認識を持ち、スムーズに業務を進めることができるでしょう。

信頼関係を構築できる

契約書を作成することは、双方の信頼関係を構築するためにも重要です。契約書があることで、相手方に対して誠実であることを示すことができ、信頼を得ることが可能です。また、契約書に基づいて業務を遂行することで、信頼関係を強固にできます。

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業務委託契約書に記載すべき項目と作り方

業務委託契約書に記載すべき基本項目には、次の10項目が挙げられます。

項目

内容

契約当事者の情報

契約を締結する双方の氏名、住所、連絡先などの基本情報を記載します

契約の目的

契約を結ぶ理由や背景、達成したい目標を明確に記載します

業務内容

委託する具体的な業務の範囲や内容、作業の詳細を明示します

報酬と支払い条件

報酬の金額、支払いのタイミング、方法、条件などを具体的に記載します

納期

業務の完了期限や納品日、遅延時の対応について明記します

権利と義務

双方の権利(著作権など)や義務(業務遂行の責任など)を明記します

契約の解除条件

契約を解除する場合の条件や手続き、違約金などについて記載します

秘密保持条項

契約に関連する情報の秘密保持義務、情報漏洩時の対応などを明記します

紛争解決方法

紛争が発生した場合の解決手段(仲裁、裁判など)や管轄裁判所を記載します

契約の変更方法

契約内容を変更する場合の手続きや条件について明記します

上記の項目を網羅し、契約書に明記することで、不要なトラブルを回避することが可能です。なお、各項目の詳しい内容や契約書の作成方法については、以下の記事をご参照ください。

関連記事:業務委託契約書の重要性と作成方法、記載すべき項目や注意点を解説【テンプレ付き】

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ようすけ
記事を書いた人
ようすけ

Workship MAGAZINE編集部。フリーランス、マーケティング、会計経理、経営分野が専門。個人事業主としてスポーツインストラクター、飲食店経営、飲食コンサルを経て、現在はコンテンツ制作会社を経営中。