ECサイトの運営ではよく用いられるバナー。しかし、設置しても思ったようにクリックされないということも少なくないかもしれません。
そこで本記事では、ECサイト向けのバナーを種類別に紹介しながら、目を引くためのポイントを解説します。
ECサイトのバナーの目的9つ
ECサイトで使われるバナーは購入や会員登録、定期購入などを促す際に設置して、目的のページへの誘導をする目的があります。
バナーには次の9つの種類があり、それらは顧客の興味・関心、比較・検討、購入、リピート購入といったそれぞれのフェーズを達成するために設置されます。
達成したいフェーズ | 興味・関心 | 比較・検討 | 購入 | リピート購入 |
訴求する内容 |
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いきなり購入してもらおうと思っても宣伝として煩わしくさせてしまうだけです。また、さまざまなユーザーに向けて、顧客のフェーズを興味・関心をはじめとした4つのフェーズでとらえることで、ターゲット別に訴求の内容を分けることができます。
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1. セール・キャンペーンの訴求
セール・キャンペーンは、「お得感」が出やすく、価格コストへのハードルが下がるためにユーザーに興味を持ってもらいやすくなります。トップページのファーストビューに設置することが多いですが、商品ページに直接アクセスした場合に実施中のキャンペーンに気付いてもらえないことがあるため、フローティングバナーをページのサイドや下部に表示させるなどの対策が必要です。
2. 会員登録への訴求
興味・関心を寄せ始めているユーザーに対して、購入を比較・検討してもらうフェーズへ移行してもらうため、会員登録を促すことが効果的です。
3. 目玉商品訴求
▲出典:興味を持ってもらったユーザーに、季節の限定商品や人気商品などの「目玉商品」を提示して、商品を比較検討してもらうことを誘導するためのバナーです。
4. 新製品訴求
ユーザーに興味関心を引いてもらうことや期間限定などにより購入を促すことを目的にしたバナーです。新製品はページにきた広い層にアピールすることができます。
5. 送料無料訴求
送料は商品価格とは別に発生するため、送料が掛かることが購入の障壁となることもあります。そのため、購入を考えているユーザーに送料無料をアピールすることで、購入を促すためのバナーです。
商品ページの購入・決済ボタンの近くや、固定・フローティングバナー、サイドバナーに設置するなどしてユーザーの目につきやすく、送料負担への心理を軽減するように働きかけます。
6. ポイント・クーポン訴求
ポイントやクーポンがもらえることをアピールすることによって、購入を促すためのバナーです。ただし、いつでももらえるとユーザーは有用性を感じなくなるため、期間限定にしたり、「毎月10日(水曜日)はポイントが当たる」などの日や曜日で固定にしたりすると、活用してもらいやすくなります。
7. 定期購入訴求
単発の購入ではなく、定期購入をしてもらうことで売上の安定につながります。ユーザー側にとっても購入のたびに入力の手間が省けるため、リピーターにつながってもらいやすくなるでしょう。
定期購入の可能性があるユーザーは、ある程度興味を持ってもらっている人が多いため、ファーストビューではなく、一定程度スクロールした場所に配置していることが多いです。初回20%OFFなど定期購入のメリットをアピールすることで、より興味を持ってもらいやすくなります。
8. Amazon Pay・楽天ペイ訴求
ユーザー数が多いAmazon Payや楽天ペイが使えることで購入しやすくなることを訴求するバナーです。
Amazonや楽天のユーザーに向けてアピールすることで、会員登録や住所などの個人情報入力、決済入力の手間なども省けます。新規顧客の取り込みとして効果的とも言えるでしょう。
ECサイト向けの効果的なバナーデザインのポイント5つ
ECサイトで効果的なバナーデザインを制作するうえで重要なポイントは次の5つです。
- デザインにこだわりすぎない
- ユーザーがクリックしたくなる導線に配置する
- デバイスによって異なる表示に注意する
- 表示の頻度に注意する
- 客観的な視点を持つ
1. デザインにこだわりすぎない
バナー制作では目を引くものをと、デザイン性の高いものを目指しがちなこともありますが、デザインにこだわりすぎないことが重要です。
バナー制作の目的をしっかり踏まえ、目的に合致したデザインにしましょう。最初から成果の出るものを狙う必要はなく、ABテストを実施しながら、ユーザーがクリックしたくなるデザインに最適化していくことが重要なポイントです。
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2. ユーザーがクリックしたくなる導線に配置する
バナーは設置個所も重要なポイントの一つです。どんなにいいバナーができたとしても、ユーザーが求めるときにクリックできるものでなければいけません。
バナーの目的に合わせて、クリックしたくなる導線に配置しましょう。
3. デバイスによって異なる表示に注意する
PCやモバイル、タブレットなどデバイス端末によってどのように表示されるのか、表示が異なる箇所に注意してバナーを設置しましょう。
4. 表示の頻度に注意する
バナーの表示頻度にも注意が必要です。表示頻度が高すぎたり、サイト内で長期間多用したりすると、ユーザーからうっとうしいと感じられてしまうので、セール・キャンペーン・クーポンなどは特に期間を設定して表示させるようにしましょう。
5. 客観的な視点を持つ
バナー制作に携わるほど、ユーザー側の感性や視点から離れがちになってしまいます。
ときには、第三者の意見も取り入れながら客観的な視点で制作に生かすことが効果的なバナーにつながります。
ECサイト向けのバナー制作の7ステップ
ECサイト向けのバナーを制作する流れは、次の7つです。
- バナーの目的を明確化する
- 参考デザインを集める
- バナーを構成する要素を抽出し、項目ごとにラフ案を作成する
- 作成した要素をもとにデザインのアイデア出しをする
- バナーの配色を決める
- ラフスケッチをもとに、バナーのデジタル加工を行う
- 微調整をする
1. バナーの目的を明確化する
まず、バナーの目的を明確にしましょう。先述したように、バナーは興味・関心を引くためのもの(セール・キャンペーン訴求)、購入を促すためのもの(送料無料訴求など)などユーザーによって目的が異なります。
バナー作成の前に、どんなユーザーに対して、どんなことを訴求したいのかなどの目的を必ず決め、その目的に沿ったデザインを考えましょう。
2. 参考デザインを集める
デザイン考案の前に、参考となるデザインを集めます。バナーデザインの参考サイトがあり、業界や季節、テイストなどのカテゴリ別に検索することができるため、制作したいバナーに近いものを見つけ出すことができるでしょう。
参考サイトの詳細については後述していますので、ご参考にしてください。
3. バナーのテイストを決める
バナー作成に当たって商品・サービスに合うテイストを決めておくことも重要です。
たとえば、食品の場合は写真や動画などシズル感が伝わる写実的な要素のほうが効果的ですが、セールやバーゲンそのものを伝えたいときはイラストのほうが良いでしょう。
テイストに合わせて必要な素材が異なってくるため、あらかじめテイストを決めておくことで制作がスムーズになります。また、テイストを決めるためには商品・サービスの強みやコンセプトが明確でないと方向性が定まらないので、前提として必要です。
4. デザインのアイデア出しをする
内容によっては写真とイラストを組み合わせることで効果的なデザインとなる場合もあります。ユーザーの興味を引いたり、購買意欲を高めたりするようなデザインのアイデア出しをして、より効果的なデザインを目指しましょう。
5. バナーの配色を決める
ターゲットに合わせて、バナーの配色も決めましょう。カラーは一瞬でユーザーが興味を引く判断材料となる重要な要素なので、商品・サービス・ターゲットに合う配色を選んでください。
配色は、ベースカラー(75%)メインカラー(20%)アクセントカラー(5%)の3つで構成するのが基本とされています。色によって与える印象は異なり、たとえば青色は涼しさ、寂しさ、緑色は癒し、穏やかなイメージを与えることができます。
また、配色はトーン(色調)と統一します。色だけでなく、トーンの種類によっても与えるイメージは異なり、たとえば次の3つのトーンではこのようなイメージがあります。
- ペールトーン・・・薄い、軽い、あっさりした、弱い、女性的、若々しい、淡いなど
- ライトグレイッシュトーン・・・落ち着いた、渋い、おとなしいなど
- グレイッシュトーン・・・灰みの、濁った、地味など
6. ラフスケッチをもとに、バナーのデジタル加工を行う
さらに、簡単なデザイン(ラフスケッチ)を手書きで起こし、配色パターンをもとにバナーを制作します。
デザイン制作には「Figma」やAdobeの「Photoshop」がおすすめです。
関連記事:デザインツールの種類とは?最新トレンドや案件獲得におすすめのツールを紹介
このときは、手書きで起こしたアイデアをデジタル化することに重点を置きます。詳細な配置などについては、後から第三者の意見を参考に調整することで、効率的な作業を進めることができます。
7. 微調整をする
最後に、デザインのメリハリがつけられているか、色や配置などについて微調整します。強調したい部分がしっかりと強調できている配色になっているか、配置になっているかを核にしましょう。
ただし、バナーのデザインにこだわりすぎず、このときにいくつかのパターンを用意しておいて、ABテストを実施して最適化していくことをおすすめします。
関連記事:ABテストの成功事例をテストの種類別に紹介|正確な結果を得るためのポイントも
ECサイト向けのバナーデザイン参考サイト6選
ECサイト向けのバナーデザインの参考となるサイト6つを紹介します。
BANNER LIBRARY
季節のものやナチュラル系、おしゃれなバナーなどを集めたサイト。カテゴリーやテイスト、季節別、カラー、サイズ、SNSのメディア別、アクセス数の高いバナーといったさまざまな視点から質の高いバナーを検索することができます。
バナーデザインまとめ。
掲載バナー数は21,300本で、色別にバナー検索することができます。
バナーデザインアーカイブ
バナーデザインアーカイブでは、2,129件のバナーを閲覧することができます(2024年2月時点)。サイズ・色・業種とキーワード検索により、見たい条件のバナーを指定して探し出すことができます。
Pinterest(ピンタレスト)は、バナーを集めたサイトとは異なり、自分が閲覧したバナーに近いテイストのものを自動で表示するものとなっています。そのため、ピンタレストでは自身の検索に合わせて無数のバナーを見つけ出すことが可能です。
レトロバナー
レトロバナーでは、サイズや色、業種、テイストからバナー検索をすることができます。
banner gallery
banner galleryでは、キーワード・サイズの別に見たいバナーを検索することができます。
ECサイトのバナーデザインを依頼する方法
ECサイトのバナーデザインを依頼する方法は次の3つがあります。
- 内製する
- 制作会社に外注する
- フリーランスに外注する
1. 内製する
まず、社内のデザイナーに依頼する(内製)というのが一つです。一定のデザインリソースを確保したい場合、社員として採用し、社内で依頼する方法があります。
ただし、バナーの作成だけではそれほど時間がかからないことも多いため、採用までは不要と感じる場合も。そんなシーンでは、外注するのがおすすめです。外注先としては、制作会社・フリーランスの2つがあります。
2. 制作会社に外注する
外注の依頼先として、制作会社があります。
メリットとしては、一定のクオリティが担保されることや、依頼範囲が広く、サポートがしっかりしていること、納期遅延や廃業のリスクが比較的低いことが挙げられます。
一方、デメリットとしては、フリーランスと比較して価格が高額となることがあります。
また、バナー作成数本だけなど、依頼規模が小さいと受けてもらえない可能性もあるため、注意が必要です。
3. フリーランスに外注する
フリーランスに外注するという方法もあります。
メリットとしては、費用が抑えられること、稼働が早いことや、業務を絞って依頼できることが挙げられます。特にバナー作成など、依頼規模の小さいデザイン案件はフリーランスとの相性が良いです。
デメリットとしては、フリーランスによってスキルが異なることや、依頼できる業務内容が限られること、廃業や納期遅延のおそれがあることがあります。
以下の資料では、デザインを外注した場合とデザイナー採用した場合のコスト比較を詳しく解説しています。無料でダウンロードいただけますので、ぜひご覧ください。
ECサイトバナーデザイン費の相場
ECサイトバナーデザイン費の相場は、種類別に次のようになっています。
バナーの種類 | 費用の相場 |
静止画バナー 写真やイラスト、文字などの静止した素材で表示されるバナー | 3,000円~10,000円程度 |
ボタンリンクバナー 「申し込みはこちら」「詳細はこちらをクリック」などの文字によって、ユーザーを特定のサイトに誘導するバナー | 1,500円~ |
動画広告バナー | 30,000円~1000,000円 |
GIFアニメーションバナー 複数の静止画を繋ぎ合わせることで動きを出すアニメーションバナー | 7,000~20,000円程度 |
HTML5アニメーションバナー | 20,000円~ |
関連記事:バナー作成の外注費用や依頼方法は?メリットとデメリットも解説
関連記事:2023年バナー制作費用の相場は?サイズ・種類別一覧表付き
制作会社
制作会社では、上記に挙げた費用相場よりさらに高くなる可能性があります。
ただ、メリットとして、一定のクオリティが担保されることやサポートがしっかりしていること、納期遅延や廃業のリスクが比較的低いことがあります。バナー制作の量が多いとき、依頼したい範囲が広いときなどの外注先として、制作会社がおすすめです。
フリーランス
フリーランスでは、制作会社より大きく費用を抑えることができます。費用はデザイナーによりますが、制作会社の半分〜3分の1程度に抑えることも期待できるでしょう。
また、納期を柔軟に対応してくれたり、直接やりとりしながら依頼を進めることで費用対効果の高いバナーを制作してもらえる可能性が高くなります。
ただ、優秀なフリーランスでなければ、いくら費用を抑えることができてもクオリティの担保が難しくなります。優秀なフリーランスを紹介してもらう方法として、エージェントサービスを活用することが挙げられます。
ECサイトのバナーデザインをフリーランスに外注する方法
ECサイトのバナーデザインをフリーランスに外注する方法は、次の3つがあります。
- エージェントサービス
- クラウドソーシングサービス
- 個人に直接依頼する
エージェントサービス
エージェントを通してデザイナーに依頼することができるサービスを活用することで、フリーランスに外注することができます。
エージェントサービスでは、担当者が付いてクライアントの要件を整理し、要件に合ったデザイナーを紹介してもらうことが可能です。デザイナーが登録する専門のエージェントサービスを活用することで、より質の高い納品を期待できます。
クラウドソーシングサービス
クラウドソーシングサービスは、発注したい企業と受注が可能な個人が登録し、依頼したい仕事を掲載すると、仕事を受けたい人が応募する仕組みとなっています。
比較的安価な費用で発注できることやインターネット上で固定フォームを使って手軽に募集し、やり取りできることがメリットです。特にバナー制作のような短期案件では利用するケースも多くなります。
個人に直接依頼する
もし、すでに依頼したいフリーランスのデザイナーがいれば、直接外注することも一つの方法です。また、つながりなどから紹介してもらえることもあります。
中間手数料が発生しないことがメリットとしてあるものの、依頼したい業務の要件に合うデザイナーがなかなか見つからない場合も少なくありません。
ECサイトのバナーデザインを依頼するならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、ECサイトのバナーデザインの種類やポイント、バナー制作の流れなどについて紹介してきました。
バナーの制作依頼は、制作会社とフリーランスのデザイナーに外注することができますが、フリーランスのほうがより安く依頼でき、そして柔軟に対応してもらうことが期待できます。
ただ、フリーランスに依頼する際はクオリティの担保が難しいため、優秀なデザイナーを紹介してくれるエージェントサイトの活用がおすすめです。国内最大級のデザイナーを登録する「クロスデザイナー」なら、厳正な審査を通過した7,000人以上のデザイナーが在籍しているため、自社に合った最適なデザイナーを紹介してもらうことができます。
初めてのフリーランスへの依頼でも、エージェントが業務委託方法や連絡方法、契約などをサポートするため、安心して依頼できます。
また採用難易度の高いWebデザイナーに依頼できるため、他者とは差別化したデザインが期待できます。
以下より、サービス資料を無料でダウンロードいただけます。また、クロスデザイナーで紹介できる一部のデザイナーリストも無料でダウンロードいただけますので、お気軽にご覧ください。
- クロスデザイナーの特徴
- クロスデザイナーに登録しているデザイナー参考例
- 各サービスプラン概要
- 支援実績・お客様の声
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