ユーザーの目に触れ、成果に大きく影響するのがアプリデザインです。アプリデザインの基本をしっかりと押さえることで、売上や成果といったCVR向上にもつながります。
そこで本記事では、アプリデザインの基本原則と重要なポイントを中心に、アプリデザインが改善する仕組みづくりなどについても解説していきます。ぜひ参考にしてください。
アプリデザインの基本はUI/UXデザイン
アプリデザインとは、アプリの見た目や操作感、機能をユーザーにとって魅力的で使いやすい形にデザインすることです。これにはUI(ユーザーインターフェース)デザインとUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインの二つの要素が含まれます。
アプリのデザインでは、一般的なグラフィックデザインとは異なり、見た目の美しさやインパクト以上に「使いやすい・わかりやすい・操作がしやすい」というのが重要なポイントとなります。
その基本は、「UI/UXデザイン」です。使いやすさ・操作性という概念からUI/UXデザインの向上がアプリデザインの世界では求められています。では、UI/UXデザインとはなんでしょうか。詳しく解説していきます。
UIとは?
UIとは、「User Interface(ユーザー・インターフェース)」の略で、ユーザーに直接触れる部分のことです。
スマートフォンの画面を想像してみてください。アプリ画面に入って操作をするとき、わざわざ説明をしなくても直感的にこうすればいい、このボタンを押していけば進む、という経験をした方も多いのではないでしょうか。逆に、操作がしにくい場合、画面を閉じるなどして途中でやめてしまったということもあるでしょう。
こうした画面上でのわかりやすさ、直感的な操作のしやすさなどユーザーが目で見て直接触れる部分がUIです。
UXとは?
UXとは、「User Experience(ユーザー・エクスペリエンス)」の略で、ユーザーが製品やサービスを体験して得られるものの総称をさします。
アプリデザインに関しては、ユーザーがアプリ内において操作をするという過程がUIとなり、実際に製品を購入した、サービスを体験したという過程がUXになります。
たとえば、Amazonで商品を購入するための操作がUIとするなら、実際に商品を購入してから、自宅に届いて商品を使用することなどがUXとなります。
Amazonプライムで映画を鑑賞することもUXです。映画を鑑賞するにあたって、音声や文字の調整をすることもUXにかかわってきます。
UXは、操作性・使いやすさといったUIを実現したうえで、さらに機能性や製品・サービスへの満足度が求められます。
UI/UXとビジュアルデザインとの違い
アプリデザインのUI/UXでは、ビジュアルデザインとは違って、見た目の良さだけでなく、それ以上にわかりやすさ、直感的な操作性、使いやすさが求められます。
つまり、アプリデザインにおいては、美しさというよりも「きちんと機能するもの」をつくるという道具を設計する要素が強くなるのです。
アプリデザインが重要な理由は?CVR改善事例3選
アプリデザインが重要な理由は、アプリのUI/UXデザインを改善することが、売上や成果(CVR)に直結するからです。
以下では、実際にアプリのUI/UXデザインを改善することによって、CVRを改善した事例を3つ紹介します。
参考:優れたUIデザインとは?設計のポイントや改善事例、ツールまで
1. 申込完了率が131%改善した銀行
あとちょっとの操作で申込が完了するのに、「同意する」ボタンを押すまでの文章が長すぎて操作を途中でやめたしたという経験がある方も多いのではないでしょうか。
関西アーバン銀行(現関西みらい銀行)では、金融商品の申込の同意画面において「3〜4スクロールしなければ下部の申込ボタン(CTAボタン)まで到達できない」という課題がありました。
そこで、同意画面内を「任意確認事項」と「必須確認事項」に分類し、表示するのは後者の「必須確認事項」に限定しました。「任意確認事項」は、折りたたみ、任意で表示させるという設定にし、1スクロールでCTAに到達できるように表示。その結果、金融商品の申込完了率が131%改善したと報告しています。
2. ユーザーの離脱原因となる負担を排除しCVR120%の中古販売企業
「自動車査定の申込完了率を上げたい」という課題を抱えていた中古車販売店「ガリバー」では、ランディングページ(LP)と申込フォームを改善しました。
改善したのは次の4つ。これら改善策を実施したことで、施策前と比べてCVR120%向上したという結果が得られました。
1. LPのCTAボタンのコピーを「一括申込みスタート!」に変更
2. CTAボタンを固定からスクロールしても画面内に現れる「フローティングボタン」に変更
3. 画面のファーストビューに動画を配置
4. 申込フォームをLPに埋め込む
CTAボタンのコピー変更に当たっては、「高額査定」「買取実績No.1」「満足度No.1」「最短●●秒で査定」「女性向け訴求」「一括申込みスタート!」の6種でABテストを実施しました。そのなかで最もクリック数が多かったのが、「一括申込みスタート!」だったのです。
また、CTAボタンをスクロールしても画面内に常に表示されるようにして、ユーザーがいつでも申し込みたいと思ったときにボタンを押せるようにしました。
さらに、離脱要因となるスクロールを排除するため、動画をファーストビューに配置してユーザーに伝えたい内容をスクロールなしで見せることを実現。
申込フォームを別のページに遷移することも離脱の原因となっていたことから、1つのLP内に中古車査定の申し込みに必要な情報を埋め込みました。
情報過多の現代では、別のページを遷移したことで読み込みに時間がかかったり、スクロールする手間を感じたりすることでユーザーが離脱するきっかけとなってしまいます。
これらの要素を1つひとつ洗い出し、排除して、操作しやすく、わかりやすくなるように改善していった結果、ユーザーが申込みを完了させるまで至ったのです。
3. チケット購入率が104%になったエンタメ企業
お笑い芸人を排出するエンタテインメント企業、吉本興業株式会社では「デジタル収益アップのために何から取り組んでいいかわからない」のが課題でした。
そこで、劇場チケット販売サイトのマイページ上で、関連チケット・ライブ配信・DVD・グッズなどを提案し、購入を検討してもらうクロスセルを画面上に表示。すると、施策前と比較してチケット購入率104%という結果が得られました。
アプリデザインの基本原則7つ
では、ユーザーが操作しやすく、使いやすくなおかつ、企業にとってもよりよい成果を得られるアプリのデザインに必要なことは、何でしょうか。
最も重要なことは、ユーザー視点で考えることです。そのうえで、次の7つが基本原則となります。
1. シンプルなデザインでゴールを明確化する
2. ユーザーがゴールにたどり着きやすい設計
3. 直感的な操作を可能にする
4. 入力の手間をなくし、ユーザーの負担を減らす
5. 読み込みを速くし、離脱を防ぐ
6. ブランドイメージの統一
7. 複数のデバイスからのアクセスを可能にする
ユーザーがアプリ画面に触れているとき、手間を感じたり、負担を感じたりすることがあれば、アプリを通じて達成したい目的にたどり着くことができず、離脱してしまう要因となります。まずはこれらを排除し、わかりやすく操作しやすいデザインと機能性のあるアプリに設計していくことが重要です。詳しく解説していきます。
1. シンプルなデザインでゴールを明確化する
ユーザーにアプリを使ってもらいたいときにストレスなく使ってもらえるよう、不要な情報や装飾などは極力排除します。
たとえば、飲食店で使うアプリの場合、支払いがスムーズにできるよう、支払いにかかわる画面は、スクロールしても必ず画面上に固定して現れる機能があります。
乗換案内のアプリでは、出発駅と到着駅を見やすく、入力しやすい場所に配置しています。 目的以外の装飾や宣伝・広告などは、ユーザーが操作する位置には入っていません。
もし、目的以外の情報が入ってくると、ユーザーは途中で忘れてしまうなどの離脱要因となります。離脱要因が増えるほど、ユーザーはアプリを使わなくなってしまいます。
ユーザーがアプリを使って目的を達成できるよう、不要な情報や装飾を排したシンプルなデザインで、ゴールを明確に示してあげることが重要です。
2. ユーザーがゴールにたどり着きやすい設計
アプリには、アプリを使って支払いをする、メッセージ(チャット)を送る、商品を探して購入する、などそれぞれのアプリ上で達成したいさまざまな目的(ゴール)があります。
ユーザーがそれぞれのアプリで達成したいゴールにたどり着けるよう、
・支払いの画面をスクロールしても常に見えるようにする
・過去のメッセージ履歴が見える、
・商品名を入力途中でも変換候補が出てきて最後まで入力しなくてもいいようになっている
などアプリにはさまざまな機能が付いています。
ユーザーがゴールにたどり着くまでに、途中であきらめてしまうことなく、むしろゴールにたどり着くことを助けるようなデザインと機能が付いた設計にしましょう。
3. 直感的な操作を可能にする
あなたは、アプリを使うとき、説明書を使ったことはあるでしょうか?まずないでしょう。特に何も考えず、なんとなく操作しているうちに、目的を達成できていたという方がほとんどではないでしょうか。説明書が必要であれば、ほとんどのユーザーが離脱してしまいます。
ユーザーが画面上を見ているだけでどうしたらいいか直感的にわかり、簡単に操作できるようなわかりやすさが重要です。難しいことや複雑なことは極力減らして、シンプルな画面でわかりやすくユーザーをゴールへ誘導しましょう。
4. 入力の手間をなくし、ユーザーの負担を減らす
電話番号を入力するとき、文字から数字の入力に変えるとき手間だなと感じたことはありませんか?数字のみを入れたい場合は、最初から数値入力しかできないようにしておけばスムーズです。
また、入力の途中でも変換候補を提案してあげることで、最後まで入力しなくても変換候補を選んで入力できれば、非常に楽でしょう。
ユーザーが入力の手間を省けるような機能を付けてあげることで、ユーザーの負担が減り、離脱要素が少なくなります。
5. 読み込みを速くし、離脱を防ぐ
スマートフォンの画面を見ていて、インターネットの読み込みに時間がかかって見たいページが見られないとき、画面から目を離して操作をやめてしまったことがある方も多いでしょう。
こうした離脱を防ぐために、ページの読み込みを速くし、離脱を防ぐ対策が必要です。
6. ブランドイメージの統一
商品や企業について、私たちは特に考えることなく、共通したイメージを持っています。それぞれの商品・企業にはイメージカラーがあり、ロゴがあり、統一したデザインがあります。
もし、このようなイメージカラーやロゴなどがなければ、商品名や企業名をいちいち確認したり、間違えたりしてしまうことでしょう。
ユーザーが利用したい商品やサービスを迷いなく、間違えることがないようにするためにブランドイメージを統一しておきましょう。
7. 複数のデバイスからのアクセスを可能にする
ユーザーは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からアクセスすることもあれば、パソコンからアクセスすることもあります。
それぞれのプラットフォームからアクセスし、操作ができるよう、モバイル用・PC用に画面を切り替えておくことが重要です。
アプリデザインを考えるうえで重要なポイント3つ
アプリデザインを考えるうえで重要なポイントは次の3つです。
1. ターゲットユーザーの明確化
2. アプリの目的とユーザーのゴールを明確にする
3. ユーザビリティの改善向上を常に考える
1. ターゲットユーザーの明確化
アプリデザインを考えるうえで最も重要なことはユーザー視点に立つことだと先述しましたが、まずはターゲットとなるユーザーを明確にすることです。
アプリを使ってもらいたいターゲットは、どんな属性でしょうか?
・性別
・年代
・地域
・職業
ターゲットの属性によって、どんなデザインや機能にするかは変わってきます。これらを明らかにしたうえで、ターゲットに合わせたアプリを考えていきましょう。
2. アプリの目的とユーザーのゴールを明確にする
ターゲットを明確にしたら、アプリで達成したい目的とユーザーのゴールを明確にしましょう。
アプリの目的は何でしょうか?ユーザーにアプリ上で商品を購入してもらうことであれば、ユーザーのゴールはスムーズに決済できることです。
たとえば、購入した電子書籍をアプリ上で読んでもらうことが目的であれば、ユーザーのゴールは最後のページまで実際の本のように読めることです。前後のページを読み返したり、目次に戻ったりすることができるような機能が必要となります。
3. ユーザビリティの改善向上を常に考える
ユーザビリティとは、使いやすさを示す言葉です。
アプリは作って終わりではなく、サービスとして長期間提供していくことが多いため、運用しやすいように環境を整備し続けていくことも重要です。
ユーザーが実際にアプリを使いやすいと感じているのか、操作に問題はないのか、フィードバックをもらえるような仕組みづくりを整備しましょう。
たとえば、ユーザーがアプリ使用後に問題なく操作できるか、簡単に評価できるアンケートができるようにすることも重要です。
また、ユーザーは必ずしもアンケートに応じてくれるとは限りません。ユーザーの行動を解析する次のようなツールがあり、状況に応じて活用できます。
・ユーザーのサイト訪問から離脱までの情報を解析した「アクセス解析ツール」
・サイト内のユーザーの行動を色付けして評価する「ヒートマップツール」
・サイト分析結果のレポートを自動で作成する「レポート自動作成ツール」
・比較対象を用意して、どれが良かったかを測定する「A/Bテストツール」
ユーザーのフィードバックやツールを活用しながら、ユーザビリティの改善向上を常に考えていきましょう。
UI/UXデザイナーに依頼するならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、アプリデザインの基本である「UI/UXデザイン」の概念から、実際に改善したことで成果に直結した事例やどう改善すべきかについて基本原則7つをもとに紹介しました。
アプリデザインは、基本原則をもとに制作し、改善・向上を続ければ成果に直結する重要な工程です。
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