広告を制作するにあたりデザイナーへの依頼を検討している方の中には、「広告デザイナーとグラフィックデザイナーの仕事内容の違いは何か?」「グラフィックデザイナーが広告を制作することはあるのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。
この記事では、広告デザイナーの仕事内容などの概要を説明したうえで、違いのわかりにくいグラフィックデザイナーと異なる点についても解説します。働き方や雇用形態別の給料の違いについても紹介するので、デザイナーを採用する際はぜひ参考にしてください。
広告デザイナーとは
まずは、広告デザイナーとはどのような仕事かを理解しておきましょう。ここでは、採用側が把握しておきたい以下の4つのポイントに絞って解説します。
- 主な仕事内容
- 必要なスキルと知識
- スキルを証明する資格
- キャリアパス
1.主な仕事内容
広告デザイナーの仕事内容とは、広告を出稿するクライアントの意向と、商品・サービスの特性を理解したうえで、消費者にアピールするためのビジュアルをデザインすることです。ブランドイメージやデザイントレンド、ターゲットユーザーなど多くの要素を考慮して、柔軟に対応することが求められます。
2.必要なスキルと知識
広告デザイナーには、主に以下に挙げたスキルと知識が必要です。
- コミュニケーション能力
- 広告業界のトレンドの理解
- 企画・マーケティングの基礎知識
- 広告媒体の特性や入稿形式の基礎知識
- デザインソフトウェアを使用するスキル
- 広告媒体の特性や入稿形式の基礎知識
- UI・UXデザインやSEOの理解
まず、クライアントへヒアリングや提案をする際に、相手の意図をくみ、適切なコミュニケーションを取る能力が求められます。また、チームで関わるケースが多いため、メンバーと協力して円滑に進める大切さとコツを理解していることも重要です。
制作するうえでは、広告業界のトレンドを理解し、広告の効果を最大化させる企画・マーケティングのスキルと、PhotoshopやIllustratorをはじめとするデザイン系のソフトウェアを使いこなすスキルは必須です。
また、広告出稿は、新聞・雑誌、屋外広告、CM、Webメディア、SNSなどさまざまな媒体で展開されるため、媒体の特性や入稿形式に関する知識が必要です。Web広告に関わる場合は、UI/UXやSEOの知識も求められます。
3.スキルを証明する資格
広告デザイナーになるために資格取得は必須ではありません。しかし、資格を保有していることでスキルの高さはもちろん、自己成長への意識の高さや行動力の証明にもなります。
採用候補者を評価する際はこれらの資格の有無をチェックし、面談で取得過程などについて質問してみましょう。
- Photoshop®クリエイター能力認定試験
- Illustrator®クリエイター能力認定試験
- アドビ認定プロフェッショナル
- DTPエキスパート認証試験
- 色彩検定®
- POP広告デザイナー資格検定
上記のうち、広告デザインの資格として特徴的なものが「POP広告デザイナー資格検定」です。POP広告に関する知識と表現力があり、状況に合わせて視覚的に訴求力のあるデザインができることの証明になります。
4.キャリアパス
広告デザイナーになるには、広告代理店や制作会社などに就職してキャリアをスタートさせ、デザイナーとしてのスキルを磨いて経験を積みます。
広告デザイナーとして実績を積んでからのキャリアパスは、企業でアートディレクターやクリエイティブディレクターへとステップアップするパターンと、独立・開業してフリーランスとして働くパターンの主に2つに分かれます。
ここで、広告デザイナーの上位職であるクリエイティブディレクターとアートディレクターの仕事内容も簡単に説明しておきましょう。
クリエイティブディレクターは、テレビCM、雑誌広告、交通広告、チラシ、Webサイト、SNSなど多様な媒体の広告制作を統括する責任者です。広告ディレクターとも呼ばれます。
一方、アートディレクターは広告ディレクターのもとで、広告デザイナー、ライター、プランナーといった制作メンバーと連携して、ビジュアルデザインを作り上げる役割を担います。
これらの職種について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:クリエイティブディレクターとは?役割・仕事内容・スキルについて解説
アートディレクターとは?デザイナーとの違いや向いている人の特徴、仕事内容や平均年収も解説
アートディレクターとクリエイティブディレクターの違いとは?比較解説
広告デザイナーの仕事の流れ
前章で説明したとおり、広告デザイナーの仕事は単独で行うケースもありますが、多くはクリエイティブディレクターやアートディレクターのもとで、ライターやプランナー、イラストレーター、カメラマンなどと連携して制作を進めます。
後者のケースにおける広告デザイナーの仕事内容や役割を、8つのステップに分けて以下の表にまとめました。
広告デザイナーの仕事の流れ |
---|
1.広告主と打ち合わせを行い、発注意図や依頼内容などについてヒアリングする。 |
2.広告主の要望依頼内容に基づいてアイデアを練り、ラフスケッチを制作する。 |
3.ラフ案をクライアントにプレゼンテーションし、企画を決定する。 |
4.広告に必要なイラストや写真を収集したり、イラストレーターやカメラマンに発注して素材を制作したりして、デザインに必要な加工を行う。 |
5.イラストや写真を、ライターから上がってきたコピーとともにレイアウトし、デザインを完成させる。 |
6.広告主にデザインを提出してチェックを受け、必要に応じて修正する。 |
7.データ納品の場合は、広告主が指定した形式で納品する。 |
8.印刷物の場合は、校了後に書体や色を指定して印刷会社に入稿する。色校正を確認して修正を加えて、最終確認後に下版する。 |
参考:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag:広告デザイナー」
広告デザイナーとグラフィックデザイナーの仕事内容の違い
広告デザイナーとグラフィックデザイナーは、共にデザインの分野で活躍していますが、以下のような点で異なります。ただし、それぞれの職種の領域が幅広くなってきていることから、境界線が曖昧になっています。
|
広告デザイナー |
グラフィックデザイナー |
---|---|---|
仕事内容 |
・広告主が出稿するさまざまな媒体で展開される広告のデザインを行う。 |
・主に平面の上に表示される文字、画像、イラスト、色彩を使ってメッセージを伝えるデザインを行う。 |
媒体・領域 |
・新聞・雑誌、屋外広告、CM、Webメディア、SNSなど |
・DTP、デジタルメディア、ブランディングなど |
必要な知識とスキル |
・コミュニケーション能力 ・広告業界のトレンドの理解 ・企画・マーケティングの基礎知識 ・広告媒体の特性や入稿形式の基礎知識 ・デザインソフトウェアのスキル ・広告媒体の特性や入稿形式の基礎知識 ・UI・UXデザインやSEOの理解 |
・デザイン全般に関する知識 ・デザインツールを活用するスキル ・マーケティング全般に関する知識 ・情報収集力・データ分析力・論理的思考力 ・コミュニケーション能力 ・プレゼンテーション能力 |
関連記事:グラフィックデザインとは?仕事内容や役割を含めて解説
広告デザイナーとグラフィックデザイナーの採用準備4ステップ
ここからは、広告デザイナーとグラフィックデザイナーを選考するにあたって、採用側が事前に準備しておきたいことを以下の4つのステップで解説していきます。
- 働き方を理解する
- 評価基準を設定する
- 面接の質問項目を設定する
- 採用手法を選ぶ
1.働き方を理解する
採用活動において人材の要件定義は必要不可欠です。しかし要件を固める前に、どのような人材を求めているのかを明確化することを目的として、具体的な人物像を描くことが重要です。そのためには、採用したい職種の人材がそもそもどのような働き方をしているのか、理解を深めることが必要です。
次章では、広告デザイナーとグラフィックデザイナーの働き方について、さまざまな調査や統計結果をもとに解説します。こちらもぜひご覧ください。
また、以下の資料では、採用活動におけるペルソナ設計について解説しています。無料でダウンロードできますのでご活用ください。
2.評価基準を設定する
デザイナーの評価制度を設定しておかないと、人事担当や採用面接者によって評価基準が異なり、優秀な人材の採用を逃したり、不公平感が生じて人材が流出したりする可能性があります。そのため、デザイナーが適切に評価される仕組みをつくることが重要です。
人材を募集する際は、ポジションや職務内容のほか、期待する目標や成果、責任や権限の範囲などを明記したジョブディスクリプションを作成すると良いでしょう。
例えば、広告デザイナーとグラフィックデザイナーの境界線について曖昧に感じる方も多いかもしれませんが、前章で説明した通り、仕事内容や領域・媒体、必要なスキルといった点で異なります。
このような違いを把握したうえでジョブディスクリプションを作成することによって、応募者に対して求める人物像を具体的に示すことができるため、採用時のミスマッチ防止につながります。
以下の資料は、初めてジョブディスクリプションを作成する方でも安心のテンプレート付となっています。こちらも無料でダウンロードできますので、自社で必要な人材の採用活動にぜひお役立てください。
関連記事:デザイナー採用に必要なジョブディスクリプションとは?作成のポイントも紹介
デザイナー評価項目・方法は?定性的になりがちな人事制度の見直し方
3.面接の質問項目を設定する
面接では候補者と実際に会話ができるため、書類では測れない資質を見極めることが重要です。職種別のスキルを確認するために、事前に質問項目を設定しておきましょう。
広告デザイナーとグラフィックデザイナーへの質問例を以下の表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
広告デザイナー | グラフィックデザイナー |
---|---|
・広告デザインでの得意な領域・媒体は何ですか? ・広告デザインに関するトレンドを把握するためにどのような情報収集を行っていますか? ・クライアントがデザインに不満を持ち、批判されたときはどのように対応しますか? |
・撮影や画像加工はできますか? ・クライアントワークと事業会社のどちらが希望ですか? ・デザインの効果測定のために用いる指標は何ですか? ・使用経験のあるデザインツールと、業務でどの程度活用していたかを具体的に教えてください。 |
関連記事:デザイナーと面接する際のポイントは?人材紹介利用のメリットも紹介
4.採用手法を選ぶ
近年労働人口の減少、売り手市場の加速、労働力流動化といったさまざま要因により、企業のニーズに合った人材を確保することが困難になっています。特に広告デザイナーやグラフィックデザイナーでスキルが高く優秀な人材を採用するのは、より一層難しいでしょう。
そのため採用を成功させるには、採用市場の動向や採用手法のトレンドを把握しておくことも重要です。
マイナビの調査によると、企業が中途採用で利用したサービス、応募者が出たサービス、採用に繋がったサービスは以下のとおりです。
応募者が出た・採用につながったサービスでは、転職サイトに次いで人材紹介会社が多くなっています。
またマイナビ「転職動向調査2024年版(2023年実績)」の調査では、広告デザイナーやグラフィックデザイナーを含むクリエイターやエンジニアは、転職についての相談をして進路決定の参考になった相手として、「家族(40.6%)」より「人材紹介会社・転職エージェント(44.4%)」と回答した人が多いことが明らかになりました。
この結果から、「人材紹介会社・転職エージェント」はクリエイターやエンジニアからの信頼を寄せられ、選ばれていることがうかがえます。
出典:マイナビ「転職動向調査2024年版(2023年実績)」「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」
広告デザイナーとグラフィックデザイナーの働き方
続いて、さまざまな調査や統計結果をもとに、採用する企業側が把握しておきたい広告デザイナーとグラフィックデザイナーの働き方の実態について解説します。
就業形態の違い
厚生労働省の統計データをみると、広告デザイナーとグラフィックデザイナーは就業形態の傾向が異なります。広告デザイナーは正社員として働く人の割合が最も多いのに対して、グラフィックデザイナーはフリーランスの割合が最も多くなっています。
【広告デザイナー】出典:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag:広告デザイナー」
【グラフィックデザイナー】出典:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag:グラフィックデザイナー」
そのため、グラフィックデザイナーは社員を雇用するよりもフリーランスと契約する方が、早期に人材不足を解消できる可能性があります。
関連記事:グラフィックデザインを外注した場合の料金相場は?項目別・制作物別に解説!
給料の違い
求人ボックスの調査によると、グラフィックデザイナーとWebデザイナーの給料は以下のような結果になっています。
|
広告デザイナー | グラフィックデザイナー |
---|---|---|
正社員の平均年収
|
398万円
|
449万円
|
派遣社員の平均時給
|
1,998円
|
1,798円 |
パート・アルバイトの平均時給
|
1,145円
|
1,200円
|
参考:求人ボックス「広告デザイナーの仕事の年収・時給・給料」
「グラフィックデザイナーの仕事の年収・時給・給料」
正社員の平均年収は広告デザイナーよりグラフィックデザイナーの方が高くなっていますが、そのほかの雇用形態ではそれほど差はありません。
しかしいずれの職種も給与幅が広いことが明らかになっており、スキルや実績によって差が生じていることが予想されます。
広告デザイナーやグラフィックデザイナーの採用手法5選
では、優秀な広告デザイナーやグラフィックデザイナーを採用するためにはどのような手法が適しているのでしょうか。
前述の成果を上げている「人材紹介会社」を含めて、おすすめの手法は以下の5つです。
- 人材紹介
- ダイレクトリクルーティング
- 求人広告
- リファラル採用
- ソーシャルリクルーティング
1. 人材紹介会社
人材紹介会社を利用すると、企業ごとに担当者が付き、エージェントに必要なスキルや稼働日数など条件を伝えれば、データベースの中から自社のニーズに合った優秀な人材を紹介してもらえます。
最大のメリットは、自社で人材を探す手間が省けるうえ、採用ミスマッチが起きにくい点です。また、応募者の確保や面接日程の調整もしてもらえるので、採用担当者の負荷を低減できます。
ただし、他の手法と比べて費用が高くなる傾向にあるため、予算や採用人数を事前に決めてから活用しましょう。
有名なサービスとしては、クロスデザイナーやレバテック、マイナビクリエイターなどがあります。
以下の資料は、フリーランスデザイナー専門のエージェントサービス『クロスデザイナー』に登録いただいている一部の注目デザイナーのリストです。無料でダウンロードできるのでぜひご覧ください。
関連記事:デザイナーを採用する企業におすすめの転職エージェント11選と選び方のコツを解説
2. ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、求職者が個人の経歴やスキルを公開し、企業側が採用したい人材に向けて直接アプローチする採用手法です。
採用コストを抑えて自社のニーズに合った人材にアプローチできる点がメリットで、ハイクラスな人材から関心を持ってもらえる可能性もあります。
ただし、登録内容だけではスキルの判断が難しく、メッセージのやり取りなどコミュニケーションが増えると、採用担当者の時間と手間がかかる点がデメリットです。また、スカウトの文面の創意工夫が必要であり、効果が出るまでには時間がかかるかもしれません。
3. 求人広告
求人広告とは、求人サイトに広告費用を支払い、求人広告を掲載して応募を待つ手法です。
多くの求職者が求人サイトに登録するため、リーチ数の多さが最大のメリットです。しかし、掲載企業数が多く他社との差別化がしにくい点がデメリットで、雇用条件で比較されて応募者数が非常に少なくなる可能性もあります。また、掲載内容が限られるためミスマッチが発生するリスクも高まります。
4. リファラル採用
リファラル採用とは、企業のニーズに合う人材を、在籍している社員から紹介してもらう手法です。知人・友人から事前に社風や仕事内容を伝えたうえで、従来の縁故採用とは異なり採用基準を満たしているかを重視して選考するため、採用ミスマッチが起きにくくなります。また、早期から社内に馴染んで活躍できる傾向があり、入社後の高い定着率も期待できます。
ただし、リファラル制度を設定して在籍する社員に制度の運用と募集状況について周知し、紹介してもらうまでに時間がかかる点がデメリットです。そもそも社員の会社に対する理解度・共感度・愛着心が低いと、採用活動への協力が得られず、募集をかけても人材を紹介してもらえません。
5. ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、TwitterやFacebook、YouTubeといったSNSを利用する採用手法で、ダイレクトリクルーティングとの違いはSNSに特化している点です。
SNSでスキルの高い人材に直接アプローチすることで、投稿がシェアされれば自社の認知向上・応募獲得も期待できる点がメリットです。ハッシュタグや検索などで、これまでアプローチできなかった新たな層にリーチすることも可能です。SNSを通じて企業と気軽にコミュニケーションがとれる点は、求職者にとっても大きな魅力でしょう。
デメリットは短期的に成果を出すのが難しく、定期的な情報発信が必要な点が挙げられます。また、配慮に欠けた発言をしてしまうと炎上するリスクがあるため注意が必要です。
関連記事:デザイナーの採用手法5選 おすすめのサービスまでご紹介
フリーランスのデザイナーを探すならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、広告デザイナーの仕事内容などの概要を説明したうえで、違いのわかりにくいグラフィックデザイナーと異なる点についても詳細に解説しました。また、それぞれの職種の就業形態の傾向や雇用形態別の給料の違いについても紹介しています。
優秀な広告デザイナーやグラフィックデザイナーを採用するためには、「ダイレクトリクルーティング」「求人広告」「リファラル採用」「ソーシャルリクルーティング」といった手法がありますが、いずれの方法もスキルと実績のある人材を見つけるには、結果的に時間とコストがかかる可能性があります。
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