タレントプールとは?メリットや優秀な人材を採用するための活用手法を解説 | フリーランスデザイナー・業務委託採用|クロスデザイナー

タレントプールとは?メリットや優秀な人材を採用するための活用手法を解説

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労働人口削減や働き方の多様化により、多くの企業が人材確保に頭を悩ませています。

そこで今、注目を集めているのがタレントプールです。タレントプールとは、中長期的に採用候補者を蓄えるデータベースを意味します。従来の「一度不採用になったら終了」といった採用スタイルではなく、候補者との関係をキープして適切なタイミングでアプローチしていきます。

本記事では、タレントプールとは何か、メリット、具体的な活用手法などを解説します。

タレントプールとは

タレントプールとは、将来の採用候補者の情報を管理するためのデータベースです。「才能」を意味する「タレント」と、「蓄え」を意味する「プール」を組み合わせた言葉で、人材プールと呼ばれることもあります。

従来の採用スタイルでは、優れた人材を見逃してしまったり、候補者の転職時期が企業の採用時期と合わず、採用を見送ることが多々ありました。しかし、社内にタレントプールを構築することで、候補者との関係を中長期的に維持することが可能になります。そのため、タイミングがあった時に入社してもらえるよう働きかけることもでき、効率的な採用活動が可能となります。

タレントプールが今の時代に必要とされる理由

その理由を3つの視点から見ていきましょう。

  1. 労働人口の減少
  2. 労働者の働き方の多様化
  3. 採用のミスマッチ

1. 労働人口の減少

日本では労働人口減少が問題視されています。少子高齢化もあり、若年層の労働層はさらに低下し続けることが予想されます。労働人口が減ることで、人材獲得競争が激化することにつながります。

エン・ジャパンの調査「2022年人材不足の状況について」によると、「現在、貴社では人材が不足している部門はありますか?」の質問に対し、82%が「ある」と回答しています。コロナ前(2019年)に実施した同調査と比較し、7ポイント減少しましたが、高い数値となっています。

また人材が不足している原因として、43%の企業が「中途採用で人員を確保できなかった」と回答しています。このように、労働人口の減少によって採用難易度は上がっていると言えます。

2. 労働者の働き方の多様化

年功序列や終身雇用といった従来の働き方が変わり、契約社員、派遣社員、副業、フリーランスなど働き方が多様化しています。

育児、介護、病気治療などさまざまな理由から、仕事と両立させるために正社員というスタイルではない働き方を選ぶ人も増えました。また、フリーランスは増加傾向にあり、スキルを持った人材がフリーランスや副業として働く流れが今後も増えていくと予想されます。

内閣府の「令和元年度 年次経済財政報告」における「第2章 労働市場の多様化とその課題 第2節 働き方の多様化に向けて求められる変革」でも、多様な働き方を踏まえた雇用へ見直す必要があると言及されている通り、従来の雇用慣行では人材確保が困難であることが分かります。

3. 採用のミスマッチ

従来の採用スタイルは短期的に決定する必要があるため、必要とされる能力重視とならざるをえません。しかし、タレントプールでは、中長期的に候補者に向けて自社の魅力や風土、業務文化を伝えることができます。時間をかけてお互いをじっくり知ってから選考に進むことができるので、入社前後のギャップも埋まり、採用後のミスマッチを防ぐことが期待できます。

タレントプールの3つのメリット

ここでは3つのメリットについて解説します。

  1. 採用活動のコスト削減
  2. 優秀な人材への再アプローチ
  3. ミスマッチの解消

1. 採用活動のコスト削減

求人媒体に広告を出しても、希望通りの人材を確保できるとは限りません。しかし、タレントプールを構築していれば、自社にマッチしていると判断した人材が登録されているため、タイミングさえ合えば希望の人材をすぐに採用することができます。

求人媒体を通すことなく優秀な人材が確保できるだけでなく、募集から選考までのプロセスもカットできるため、採用活動のコストを大きく低減できます。

2. 優秀な人材への再アプローチ

採用は、企業と候補者の条件をすり合わせてマッチングが成立します。しかし、「優秀な人材だけれど、現時点で社内に募集ポジションがない」といった状況もあるでしょう。

従来の採用スタイルでは、一度不採用となると再度応募してもらう必要があります。しかしタレントプールならタイミングが合わずに採用できなかった優秀な人材とも、関係性を保つことができます。いずれ新たな求人が発生したときに再アプローチすることもできます。

3. ミスマッチの解消

タレントプールを活用することで、候補者と交流することができ、企業のカルチャーなどの情報を伝えることもできます。また、企業側は候補者のスキルや人柄を把握することもできます。お互いを深く理解することもできるため、ミスマッチの解消が期待できます。

タレントプールの2つのデメリット

2つのデメリットについて解説します。

  1. データベース運用ルールの構築
  2. 候補者への密接なコミュニケーション

1. データベース運用ルールの構築

タレントプールの運用には、データベースの運用ルールを確立することが不可欠です。タレントプールはすぐに成果が出るものではないため、常に求める人材情報が蓄積されるようにデータの管理をしなくてはなりません。候補者の情報は状況や時間とともに変化するため、適宜コンタクトを取りながらデータを更新することも必要です。

人材データが増えると管理に時間がかかり、かえって採用コストが増大するおそれもあります。このような事態を避けるためにも、求める人材の定義も忘れずに更新しましょう。

2. 候補者への密接なコミュニケーション

タレントプールの成功には、候補者とのつながりを保つことが重要です。企業は定期的な情報発信やコンタクトを通じて、関係性を保つ努力をする必要があります。

タレントプールに登録している候補者は、潜在的に転職のニーズを持っているものの、すぐの転職は考えていません。そのため、企業側から定期的なコンタクトをしない限り、採用を進めたい段階になったときに連絡が取れなくなるおそれがあります。継続的なアプローチを通じて、密接なコミュニケーションを心がけましょう。

タレントプールの導入/活用手法5ステップ

タレントプールは導入さえすれば採用コストが削減できたり、採用活動が効率化するものではありません。

導入/運用で必ず押さえておきたいのは以下の5ステップです。

  1. 人材の要件定義
  2. SNSの活用
  3. タレントプール専用の自社サイトの公開
  4. 定期的な情報発信によるコミュニケーション
  5. 適切なタイミングでスカウト

1. 人材の要件定義

最初に自社に必要な人材を洗い出します。社内のニーズを把握して、部署やポジション毎に求める能力など必要な条件を定義します。

ターゲット設定にはペルソナの設定が有効です。年齢や職業や家族構成だけでなく、趣味やライフスタイル、休日の過ごし方や価値観などの心理的特性や行動特性も含めて作成することで、具体的な人物像が見えてきます。

2. SNSの活用

データベース構築のひとつとしてSNSは非常に有効です。自社の魅力的なコンテンツやお役立ち情報の発信を行うことで、拡散などが見込め、より多くの人材へ自社の情報が届けられる可能性があります。

また、SNS上で優秀な人材をフォローすることで、フォローリストがそのままデータベースとなります。直接メッセージを送れるため、コミュニケーションツールとしての活用もできます。

TwitterやInstagramなど多くのSNSがありますが、ビジネスに特化したSNSであれば以下の3つが適しています。

  1. LinkedIn
  2. Wantedly
  3. YOUTRUST

特にLinkedInは世界No.1のビジネスSNSです。日本での利用者はまだ少ないですが、ビジネス目的で利用している人が多いため、チェックしておくことをおすすめします。

3. タレントプール専用の自社サイトの公開

自社で応募や管理機能などが備わった専用サイトを持つことで、応募者をそのままデータベース化して管理することが可能となります。

個人の基本情報、職歴、保有スキル、資格などを登録しておくことで、自社の中でグループ分けすることもできます。「最終面接で不採用になった」「内定辞退」「スキルマッチしている」「求める人柄に近い」などチェックしておくことで、適した方法で再アプローチもしやすくなります。

自社サイトは候補者へ直接アプローチしてコミュニケーションを取ることもできるため、中長期的な関係性構築にも役立ちます。

4. 定期的な情報発信によるコミュニケーション

データベースに登録した候補者には、定期的にコンタクトを取りましょう。時間が経てば候補者の興味も薄れていきます。自社への関心度を高めるためにも、自社の情報を発信したり、交流会などのイベントを開催して直接交流する機会を作ることで、候補者との関係を維持していくことが大切です。

メールや電話で直接近況を聞くことも有効ですが、あまり回数を増やすと迷惑に感じられることもあるため、「2ヶ月に1回アプローチをする」など運用ルールを決めて接しましょう。

5. 適切なタイミングでスカウト 

採用のタイミングが合わなかった人物でも、長期的に交流を続けていくことで相互理解が深まり、再アプローチがしやすくなります。

また、メルマガの開封率やイベントへの参加回数を把握することで、転職の意思を分析することができます。そうすることで、適切なタイミングでスカウトすることができ、採用のプロセスの負荷を減らすことが期待できます。

タレントプールの活用事例4選

ここでは事例を紹介します。

1. デル・テクノロジーズ株式会社

▲出典:デル・テクノロジーズ株式会社

デル・テクノロジーズ株式会社は、求人情報を受け取るための登録フォームを設置しています。履歴書などの個人情報を登録することで、タレントプールに登録され、自身の要件にあった採用情報が配信されます。

登録者は Facebook メッセンジャーでデルの採用担当者とつながることができます。さらに、友達に募集を紹介することもでき、SNSを有効活用しています。TwitterやLinkedInとの連携機能も搭載しており、情報の共有や拡散を通じてタレントプールを効率的に拡大していける仕組みを構築しています。

2. トリバゴ(Trivago)

▲出典:トリバゴ

宿泊の料金比較サービスで有名なTrivagoもタレントプールを活用しています。

LinkedInのURLを入力する欄や、働き方の希望(フルタイム、パートタイム、アルバイトなど)、PCのスキルなどの質問欄が充実しています。このように自社サイトをフル活用することで、自社への志望度が高い人材を集めやすいというメリットが生まれます。

3. 日本ミシュラン

▲出典:日本ミシュラン

日本ミシュラン株式会社は、フォーム登録をした方にのみ採用情報を公開しています。これにより、転職に意欲を示した人のみが登録されるため、有効なデーターベースとなるでしょう。フォームに入力することでタレントプールへの登録も完了し、要件に合わせた情報が配信されます。候補者も自分のやりたい業務の情報が得られることで、入社に関して前向きになるメリットがあります。

4. ゼネラルモーターズ

▲出典:ゼネラルモーターズ

ゼネラルモーターズは自社のキャリアサイト内にタレントプールの登録ページを設けています。職務経歴書など、資料を直接アップロードできるようになっており、抜群の使いやすさとなっています。LinkedInとのアカウントとの連携が可能なため、企業は候補者の人柄やスキルを把握しやすく、直接コンタクトもしやすくなっています。

タレントプールの活用ツール5選

ここでは、採用候補者のデータベースとなる「タレントプール」を構築し、採用活動に役立つツールを5つ紹介します。

1. TalentCloud

▲出典:TalentCloud

TalentCloudは人材リストをデータ化し、メール配信やアクセストラッキングにより興味関心度をスコアリングし、タレントプールからの採用を一元管理できる採用マーケティングシステムです。

チャット機能やイベント告知機能で、コミュニケーションを継続することができ、お互いに良いタイミングでのオファーが可能となります。タレントプール採用の専門のチームがサポートしてくれるのも魅力的です。

2. Talentio Hire

▲出典:Talentio Hire

Talentio Hireは、採用活動業務をサポートする採用管理システムです。Talentioに蓄積された応募状況や通過率のデータを可視化しており、採用活動の進捗状況をいつでも把握できます。また、予実分析機能や求人チャネルごとの通過率をデータ化し、コストコントロールを意識した採用活動もサポートします。タレントプールのデータを一括で管理・把握できる機能も備わっています。

3. Calin

▲出典:Calin

Calin(キャリン)はタレントプール採用を手軽に実現するWebサービスです。

新卒、中途、インターンや業務委託など、職種や雇用形態を問わず利用することができます。

タレントプールへの導線は、採用ページにCalinのリンク(つながるボタン)を設置するだけで完了します。タレントプールの運用で大変なのが、候補者情報のメンテナンスですが、Calinは候補者データの削除や連絡停止などの手間がありません。つながっている候補者への個別メッセージや一括メッセージも送れるため、効率の良い採用活動の実現が見込めます。

4. HRMOS採用

▲出典:HRMOS採用

HRMOS(ハーモス)採用は、株式会社ビズリーチが提供している、企業を『採用成功へと導く』採用管理システムです。

リクナビNEXTやdodaなどの求人媒体やビズリーチやキャリトレなどの転職サイトと連携することも可能です。応募者情報を自動で連携して一元管理できるため、応募者の情報をそのままデータベース化できます。手間をかけずにタレントプールを作成できるのが魅力です。

5. HITO-Link CRM

▲出典:HITO-Link CRM

HITO-Link CRM(ヒトリンク シーアールエム)はパーソルグループが提供するタレントプールシステムです。

SNSのフォロワーやイベント参加者、リファラル紹介や過去応募者等の様々なチャネルで接点を持ったタレントをプールすることが可能です。アンケートやメール開封履歴を自動で蓄積することで、簡単に情報を最新状態にアップデートすることができます。また、候補者の行動に応じてナーチャリングをしていくことも可能です。

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タレントプールについてお伝えしてきました。採用市場が激化している現代において、企業の成長のためには優秀な人材の確保と定着は欠かせません。そこでタレントプールは非常に有効と言えますが、綿密なコミュニケーションで関係構築が求められるため、すぐの採用は難しいのが現状です。

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西原 小晴
記事を書いた人
西原 小晴

セールスライター/コンテンツディレクター。合同会社ウォンバット。京都府立大学農学部卒。印刷会社・マーケティング会社・デザイン会社にて知見を深め、累計8億以上の売上をサポートする。化学・製造DX・Webデザイン・ライティング・マーケティング分野が専門。