映画やゲーム、車など精密機器の設計、建築など幅広い分野で3dデザイナーの需要が、ここ近年で急増しています。
ゲームなどCG作品の見た目を左右する部分を担当する3dデザイナーに必要なスキルは技術面だけでなく多岐に渡ります。本記事では、3dデザイナーが習得しておくべきスキル、なり方、仕事内容、収入や将来性について幅広く解説します。
3dデザイナーとは
3dデザイナーとは、3dグラフィックスのデザインを行う人のことです。静止画だけでなく、動画やアニメーションも手がけ、リアルな視覚体験を創り出します。
3dデザインは、映画やゲーム、精密機械の設計、建築物やインテリア、映像制作など多岐に渡り求められています。創造性と技術力を兼ね揃えた3dデザイナーの仕事は、デジタル製品が当たり前になった今、エンターテイメントの世界から製品デザインまで、さまざまな形で私たちの生活に溶け込んでいます。
3dデザイナーに必要な4つの技術スキル
ここでは技術スキルを4つ紹介します。
- デッサン力
- 3dCGソフトの操作スキル
- 表現力
- 観察力
1. デッサン力
立体感を表現する3dデザイナーにはまず、デッサン力が求められます。物体の形状を正確に認識して描くことが必須であり、対象物の全体像を多角的に捉え、忠実に再現していきます。また、立体感や奥行きを演出するためには、光と影の効果的な描写が重要です。デッサン力の高いデザイナーは対象物のディテールや質感、陰影なども緻密に表現することができます。
2. 3dCGソフトの操作スキル
3dデザインには専用のソフトウェアを操作できるスキルが求められます。それぞれのソフトウェアには特徴があるため、あらかじめ複数のソフトウェアを操作できるスキルを身につけておくことが望ましいです。以下に代表的なソフトウェアを紹介します。
Maya:
3dアニメーション、モデリング、シミュレーション、レンダリング用CGソフトウェア。
パワフルな統合ツールセットによって、アニメーション、環境、モーション グラフィックス、バーチャルリアリティ、キャラクターの作成に活用できる。
3ds Max:
映画・テレビ番組・ゲームの制作や、設計のビジュアライゼーションに使用されるソフトウェア。3dモデリングおよびレンダリングに強みを持ち、広大なゲーム世界の創造や、バーチャルリアリティの体験の表現が得意。
Blender:
オープンソースの3Dグラフィック作成ソフト。モデリング、レンダリング、アニメーション、リギング、シミュレーション、合成、モーショントラッキングなど、高機能でありながら完全無料で利用できる。
ZBrush:
粘土を造形するように直感的にモデルをデザインできる、高い操作性を誇るソフトウェア。映画スタジオやゲーム開発者などでも使用されている。ラフ画像からの3D化がスピーディーに行える。
3. 表現力
平面の2dで表現された資料を元に、立体的な3dを作成していくため、表現力も求められます。デザイナーは対象物を正確に理解し、その構造や形状を把握する必要があります。これには、正面、側面、上面など、対象物を多角的に観察する力が欠かせません。物体がどのように見えるかを理解し、それを図面やスケッチとして正確に捉えていきます。
4. 観察力
キャラクターに動きをつける場合、リアリティのある動きをしているかが重要です。そのため、実際の人間の動きなどを読み取る「観察力」も必要です。常日頃から、人間の動き、現象などを観察する事を習慣化しておきましょう。
3dデザイナーに必要な3つのビジネススキル
技術スキルだけでなく、以下のビジネススキルも持っておくと非常に役に立ちます。
- コミュニケーション力
- 適応力
- 英語力
1. コミュニケーション力
業務の報告や進捗などの日々のやり取りなど、社内のメンバーやクライアントとやり取りをする機会が多くあるため、コミュニケーション力が必要です。
相手は3dCGの知識がある人ばかりではありません。現場以外の技術的知識の浅いスタッフに対しても、正しく理解できるように分かりやすい言葉で説明することも大切です。
2. 適応力
3dCGの制作には、簡単なものであれば30分から1時間程度の時間で制作できることもありますが、その一方で一つのキャラクター作りに数ヶ月かかるケースもあります。忍耐強く一つ一つの作業に向き合う必要があるだけでなく、制作の追加事項に対応したり、チームメンバーの進捗に合わせて変更するなど、適応力が必要だと言えるでしょう。
3. 英語力
3dCGのソフトウェアは海外で作られているものが多くあります。かつては英語版しかなかったものでも、今は日本語版のサポートも充実しており、普段使いでは英語ができなくても問題ありません。
ただし、海外の方が3dデザイナーの人口が多いため、英語で検索した方が圧倒的にたくさんの情報を得ることができます。日常的な会話レベルの英語の読み書きができると、海外のフォーラムやチャットでの質疑応答に参加することができ、最新の情報が得やすいというメリットがあります。
3dデザイナーの仕事内容
仕事内容は多岐に渡るため、代表的な5つを紹介します。
- モデリング
- テクスチャー
- リギング
- アニメーションデザイン
- ライティング・エフェクト設定
1. モデリング
モデリングはデッサンやイラストなどの2dデータを、3dで立体的に造形する仕事です。3dCG制作ソフトなどを使い、ポリゴン(3dオブジェクトを構成している面の)を調整してオブジェクトを作成していきます。3dモデルに色や動きをつけやすいように工夫しながら制作していくことが重要です。
2. テクスチャー
モデリングされた3dデータに立体感を与えるための作業です。色や質感を加えたりすることで、リアリティのある質感が表現できます。色を塗るというよりも、ポリゴンにシールを貼り付ける形で作業を行います。
3. リギング
リギングとは、モデリングされた3dデータに動きをつけるため、ボーンと呼ばれる骨組みを埋め込み、関節や動きの起点となる点を入れていく仕事です。リギングをすることで、キャラクターが自然な動きをするための基盤を整えることができます。
4. アニメーションデザイン
アニメーションとは、モデリングやリギングを終えた3dモデルに動きを加える仕事です。歩く・走るなどの動作に加えて、表情や背景の微妙な動きなど、全ての動きが含まれます。活き活きと動く映像となることで、見ている人に臨場感を与えることができる工程とも言えます。
5. ライティング・エフェクト設定
ライティングとは、3dCGの光に関する設定を行う仕事です。ライトの位置や光の強度などの要素を調整することで、リアリティある映像となります。
エフェクトとは、炎や水、魔法、爆破シーンなどの効果を作り上げていく仕事です。エフェクトによって、より臨場感のある状況を表現できるようになります。その世界にいるような没入感を高め、リアルな演出を作り上げていきます。
3dデザイナーになる方法
3dデザイナーになるには、一般的には、以下の3つの方法があります。
- スクールや専門学校、大学に通う
- 制作会社にアルバイトとして携わり現場で学ぶ
- 質の高い3d作品を作り公開する
3dデザイナーになるには、特に資格は必要ありません。
しかし、高い技術が必要な職種のため、未経験者を募集している企業は少ないのが現状です。
応募条件に専門学校や大学で学べる制作ソフトの操作スキルやデッサン力などが必要条件とされていることがほとんど。そのため、3dデザイナーは、専門学校などで基礎技術を学んだ人が採用されやすくなります。
1. スクールや専門学校、大学に通う
3dデザイナーはスクールや専門学校、美術系の大学で基礎を学んだ後に就職する人が大半です。基礎から教えてくれる企業は稀なため、社員として働くには、基礎を身につけた方が面接で有利に働きます。
学校ではデザインの基礎知識から学べるほか、分からないことがあれば質問もできるため、一人でやり続けるモチベーションに自信がない方におすすめです。
ただし、美術系の大学は入試の難易度が高く、試験のためにデッサンなどの技術を事前に身につけておく必要があります。また、私立の美術大学は学費が高く、入学するための予備校の学費もあり、経済的な負担は大きくなるでしょう。
スクールや専門学校は、美術大学と比べて入試の難易度は低く、学費も低く設定されています。3dCGに特化して学べるため、最短ルートで3dデザイナーを目指せる道と言えるでしょう。
2. 制作会社にアルバイトとして携わり現場で学ぶ
3dCGの制作会社にアルバイトとして応募することで、現場の技術を身近で学べながら下積み期間を経験できます。
ただし、全くの未経験者が採用されることは少なく、3dCGソフトやデッサン力などの基礎スキルは必要です。また、募集時にポートフォリオが必要な企業もあるため、3dCGスキルが証明できる資料をまとめておきましょう。
3. 質の高い3d作品を作り公開する
参考書やネットの解説サイトも豊富に存在するため、独学での習得も可能です。SNSで自身の作品をアップしていけば、制作会社や3dデザイナーの目に留まることもあるでしょう。
どんなソフトが使えるかなどのプロフィールや、3dCG作品をまとめておくことで、制作会社のアルバイトではなく正社員として働けることもあります。
3dデザイナーの収入と将来性
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、CGクリエイター(3dデザイナー、2dデザイナー)の平均収入は、480.6万円です。ただし、収入は会社の規模や、経験値、スキルによって大きく異なります。
3dデザイナーの場合、最新の技術を習得していたり、より複雑で精密な描写が求められる案件での開発経験の有無によっても収入は異なります。企業勤めなのか、フリーランスなのかによっても収入は変わるため、企業で下積みを積んでからフリーランスとして独立して活躍しているスペシャリストも多数います。
将来性の観点では、近年3dデザイナーの需要が高まりつつあります。ゲームなどのエンターテイメント業界に加えて、建築物や家電、医療の分野でも3dで表現することが多くなりました。バーチャルリアリティを筆頭に、あらゆる業界で今後も伸び続けることが予想されるため、将来性は充分にある仕事と言えるでしょう。
3dデザイナーとして働く際の注意点
働く際は、以下の2つに注意が必要です。
- 質の高いポートフォリオの準備
- トレンドの継続的なフォロー
1. 質の高いポートフォリオの準備
自身のスキルを証明する、質の高いポートフォリオが面接時には必須です。企業によって求める質の高さは異なりますが、デッサン力などの基礎スキルが低い場合は、面接に合格するのは難しいと言えるでしょう。
ポートフォリオは複数のカットを用意し、動きが分かるシーンやアングルを変えたシーンも加えましょう。ただの作品集とならないように、見やすさを意識しつつ、デザインセンスや個性をアピールするものを作成します。作成した工程を細かく記載することで、自分の作業領域やスキルを明確に伝えられるでしょう。
2. トレンドの継続的なフォロー
3dCGはトレンドの移り変わりが早く、ソフトウェアなどのツールの進化も激しい業界です。一つのツールだけにこだわってしまうと、トレンドに残されていく可能性があります。日頃からエンターテイメントやビジネスの最新情報に触れ、新しい技術の学習もしておくようにしましょう。
3dデザイナーの仕事を探すならクロスデザイナーがおすすめ!
3dデザイナーの仕事や必要なスキルについて解説してきました。最近ではゲームや映画などのエンターテイメントの業界だけではなく、さまざまな業界からの需要が増えています。
スキルの習得は簡単にはいきませんが、3dCGが社会的にも多用されるようになる今、働き先が多い職業とも言えます。
3dデザイナーの仕事を探している場合は、ぜひクロスデザイナーに相談ください。クライアント選びも働くうえで重要な項目です。悪質なクライアントを防ぐためにも、エージェントの活用をおすすめします。
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