デザイナーの採用で失敗しないために、どのような視点で候補者に臨むべきかを知りたいといった人事・採用担当者は多いでしょう。
労働人口の減少などの要因により、多くの企業では従来型の採用手法に限界を感じ、さまざまな採用手法を取り入れて、ニーズに合った人材を確保しようと努めています。
そのうえ苦労して採用した候補者が、すぐにやめてしまう、職場に適応できないといった課題を持つ企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、デザイナーの面接における質問事項の設定方法や質問例、注意点などを紹介します。
自社にマッチした人材を獲得して、採用活動を成功させるために、ぜひ参考にしてください。
デザイナー面接の基本準備
デザイナーを面接するときは、応募者のスキルや適正を正しく判断するために事前準備が欠かせません。まずは、デザイナーの面接前に取り組んでおくべき基本的な準備について解説します。
目的を明確にする
デザイナーの面接で何を評価するのか目的を明確にしましょう。たとえば、Webデザイナーを採用する場合、デザインソフトやツールの使用経験、UI/UXデザインなどスキルを重視するのか、コミュニケーションスキルに重点を置くのかで変わってきます。
目的を決めたら、面接の関係者全員と共有してください。これにより評価がぶれず、統一された視点で応募者を評価することが可能です。
面接の事前準備をする
デザイナーの面接前に応募者から提出された書類を確認して、面接時に掘り下げて質問したい情報を洗い出しておきましょう。
履歴書や職務経歴書には志望動機や経歴が書いてあります。中途採用面接なら、キャリアについて深堀りして聞いてみたいことが出てくるはずです。
ポートフォリオを評価する
ポートフォリオから作品のアピールポイントや制作意図を把握しておきましょう。複数名が参画しているプロジェクトでは、応募者がどのような役割で、どのように貢献をしたのかを評価します。
もし、ポートフォリオに記載がなければ、面接で質問することで詳細を知ることが可能です。
こうした事前準備により、応募者のスキルや人柄を引き出すための土台づくりができます。
関連記事:ポートフォリオの採用基準とは?効率的に評価するためポイント6つを解説
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デザイナー面接の質問例
面接でデザイナーに聞く質問は、おもに以下の3つにわけられます。
- 技術スキル
- デザインプロセスの理解
- ソフトスキル
具体的にどのような質問で把握するのか、質問例を紹介します。
1. 技術スキルに関する質問例
応募者がどのようなツールや手法を使用して、実務に活かしてきたかを知ることが可能です。職種別の質問例は以下のとおりです。
職種 | 質問例 |
Webデザイナー | ・HTML/CSS、JavaScriptでどの程度コーディングができますか? |
UXデザイナー | ・ユーザーリサーチやペルソナ設計の経験を教えてください。 |
グラフィックデザイナー | ・印刷物のデザイン制作で注意するポイントを教えてください。 |
募集する職種にあわせた質問を用意しておくことが大切です。
関連記事:Webデザイナーのスキルマップとは?基本から上級スキルまで紹介
関連記事:UXデザイナーに必要なスキルとは?主な仕事内容や作業環境を解説
2. デザインプロセスに関する質問例
応募者がどのようなアプローチで課題に取り組み、デザインを制作してきたかを把握することが可能です。職種別の質問例は以下のようなものがあります。
職種 | 質問例 |
Webデザイナー | ・クライアントからの要件をどのようにデザインに反映しますか? |
UXデザイナー | ・デザインと開発チームとのコミュニケーションで工夫している点を教えてください。 |
グラフィックデザイナー | ・ラフスケッチから完成までのプロセスを説明してください。 |
これらの質問から、応募者がプロジェクトをどのように把握し、自身の役割を理解して対応しているかを評価できます。また、プロジェクト全体の成功に対する意識の高さも見極めることが可能です。
関連記事:Webデザイナーのスキルをチェックする方法は?スキルシートの概要や見方を解説
3. ソフトスキルに関する質問例
デザイン制作ツールにはさまざまな種類があります。自社で扱うツールに対応できるかどうかを質問で見極めることが可能です。
職種 | 質問例 |
Webデザイナー | ・短納期のプロジェクトではどのようにタスクを調整しましたか |
UXデザイナー | ・チーム内で意見が対立したときの調整方法を教えてください。 |
グラフィックデザイナー | ・何度も修正依頼がくる場合、どのように対応しますか? |
これらの質問から、応募者がチームプロジェクトでどのような動きをするのか、コミュニケーションスキルや対応力を評価することができます。
関連記事:即戦力人材を採用するコツ|優秀な人材の見極め方や効率的な採用方法を解説
デザイナー面接を成功させるコツ
面接では応募者の魅力を最大限に引き出すことが大切です。緊張状態ではふだんのスキルを発揮できず、適正な評価ができません。
応募者がリラックスして自身のスキルや意欲をアピールできるように、環境を整えましょう。優秀なデザイナーを採用するために、成功させるコツを紹介します。
応募者の魅力を引き出す環境を整える
面接のときに応募者が緊張していると、実力を十分に出せない可能性があります。そのため、応募者がリラックスして自然に話せる環境を整えることが大切です。
たとえば、最初にアイスブレイクで軽めの雑談を入れると面接の雰囲気をやわらげることができます。
・ここまでくるのに迷いませんでした?
・ふだんはどんな交通機関を使いますか?
・オフィスの雰囲気はいかがですか?
こうした質問なら、年齢や性別を問わず気軽に聞くことができます。応募者の表情が和んだら、頃合いを見て面接をスタートさせましょう。
プレゼンテーションを観察する
面接時にポートフォリオなどのプレゼンテーションを依頼するときは、応募者の話し方や説明の論理性、説得力をチェックしましょう。コミュニケーションスキルやチームへの適応力を見極めることが可能です。
また、なぜそのデザインにしたのか、どのような課題を解決しようとしたのかをしっかり自分の言葉で伝えられる応募者は、課題解決力にすぐれているためです。また、デザインプロセスやソフトスキルなどデザイナーに必要なスキルを知ることができます。
面接は相互理解の場ととらえる
面接は、デザイナーのスキルや適性を確認するだけではなく、応募者との相互理解を深めるための大切なプロセスです。そもそも面接は英語で「interview(インタビュー)」といいます。そのため、面接官は応募者の話をしっかりと聞く姿勢をもつことが大切です。
ただし、自分の考えばかり話すような応募者は行動がともなわないことも少なくありません。実際に行動に移しているかどうかを確認することが大切です。
バイアスを意識して公平に評価する
書類や応募者の服装など、目にした情報から、無意識の先入観(アンコンシャス・バイアス)をもってしまうと公平な判断が難しくなってしまいます。
公平な評価ができないと、ポテンシャルのある人材を逃してしまうかもしれません。面接官として応募者を評価する立場であるなら、自分の判断がバイアスに影響されていないかをつねに意識することが大切です。
事前に評価基準を作成しておくと、バイアスの影響を受けずに誰でも公平に評価できます。評価ツールなどの導入も検討してみましょう。
未経験者の面接で押さえておくべきポイント
デザイナーの面接では実務未経験者が応募してくるケースも少なくありません。オンラインスクールの増加により、デザイナー人口は増えつつあります。実務未経験でもポテンシャルのある人材を採用できれば、即戦力へ成長させることも可能です。
ここでは、未経験者の面接で押さえておくべきポイントを紹介します。
ポテンシャルを見極める質問例
未経験者を面接するときは、成長性や将来性などを重視することが大切です。質問では、応募者がどのような努力を重ねてきたのか、どのようなスキルを身につけたいのかを探りましょう。
・最近勉強しているデザイン分野やツールについて教えてください。
・これまで取り組んだ課題で学んだことはなんですか?
こうした質問から、応募者の経験とそこから得た成長具合、つぎの目標を知ることができます。
関連記事:中途採用で即戦力は無理?優秀な人材の探し方と確保するコツを解説
成長意欲と学習能力の見極め方
未経験者の成長意欲を評価するには、応募者が積極的に新しいスキルを学んでいるか、成長の機会を作り出しているかを確認することが大切です。オンラインスクールの卒業生なら、受講履歴や学習成果などを訊ねてみましょう。
ほかにも、これまでの経験で直面した課題をどのように乗り越えたのか聞くことでも把握できます。こうした質問から、未経験者でも高いポテンシャルをもつ人材の採用につなげることが可能です。
関連記事:即戦力人材を採用するコツ|優秀な人材の見極め方や効率的な採用方法を解説
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逆質問からくみ取る評価ポイント
面接の最後に「何か質問はありますか?」と問いかけたときに「大丈夫です」「とくにありません」とシンプルに回答する人もいれば、積極的に質問をしてくる応募者もいます。
こうした応募者の逆質問から以下の3つの項目をチェックできます。
- 企業理解の深さ
- 働くうえでの価値観
- 問題解決力
それぞれ簡単に解説します。
1. 企業理解の深さ
逆質問の内容から、応募者がどれだけ自社について調べているかを把握することが可能です。たとえば、以下のような質問が該当します。
・御社のデザインプロセスについてくわしく教えていただけますか
・御社のデザインチームの方向性や挑戦してみたい分野について教えてください。
企業の制作体制を理解し、長期的な視点をもって、企業の成長に関心をもっていることがわかります。
2. 働くうえでの価値観
応募者からの逆質問は、その人が働くうえで重視しているポイントを知る手がかりになります。
・働くうえで大切にしている考え方や姿勢について教えてください。
・将来的にフルリモートでも働くことはできますか?
これらの逆質問から、職場の雰囲気や文化、働き方などを重視していることがわかります。待遇面に近い逆質問を不快に感じる担当者もいるかもしれませんが、ワークライフバランスを重視する傾向は年々増えつつあります。
現状が応募者の期待に添えないかもしれませんが、採用ミスマッチの防止にもつながるため、正直に説明することが大切です。
3. 問題解決力
応募者の意欲や問題解決力を評価することも可能です。問題解決力が高い人は、現状や課題に対して積極的に関心をもち、深く考える傾向があります。
・プロジェクトで最近解決された課題について教えてください。
・トラブルが起きたときの解決方法や意思決定の進め方について教えてください。
こうした質問をする人は、論理的思考力や創造的思考力が豊かな人です。自分の考えをしっかりともっているため、入社後も主体的に取り組んでくれる可能性が高いです。
優れたデザイナーを採用する方法
デザイナーを採用するには、社内体制の構築やプロセスの簡略化、エージェントの活用があげられます。それぞれ簡単に解説します。
採用体制を構築する
デザイナーのスキルを評価するのは簡単ではありません。そのため、採用活動をするときは担当者や面接官だけではなく、デザイン部署の責任者やリーダーを含めた採用体制をつくることが大切です。
合否を決める評価基準もこのメンバーで決めましょう。現場で必要なスキルや経歴が明確になるため、求める人材を評価することが可能になります。
必要なスキルや資格、経歴など職務に必要な内容を詳細に記したものを「ジョブディスクリプション」と呼びます。デザイナーのように、特定のスキルをもつ人材を採用するときに役立つものです。
以下でジョブディスクリプションの作成ガイドを無料でダウンロードいただけます。デザイナーの採用にぜひお役立てください。
採用プロセスを効率化する
優秀なデザイナーは引く手あまたです。そのため、応募から内定まで採用プロセスを効率化することが採用成功のカギとなります。
面接にはオンラインツールを導入し、事前に課題を提出してもらうなど採用活動のスピードを上げることで、優秀な人材を確保しやすくなります。応募者からの満足度も向上することでしょう。
求める人材を採用するには、事前の計画立案が欠かせません。以下の資料で、採用計画の立て方についてまとめています。無料でダウンロードが可能です。
中途採用の採用計画の立て方は、以下より無料でダウンロード可能です。
エージェントを活用する
採用活動にリソースをさけない場合、デザイナー専門のエージェントサービスの活用がおすすめです。デザイン業界やデザイナーの採用市場について理解があり、企業のニーズにあった候補者を提案してくれます。
人材の提案から契約までサポートを受けられるため、企業の採用活動の負担を大きく削減することが可能です。
関連記事:【企業向け】フリーランスデザイナーと契約できるエージェントは?比較表付きで解説
デザイナーを採用するならクロスデザイナーがおすすめ
本記事では、デザイナーの面接における質問事項の設定方法や質問例、注意点などを詳細に解説しました。
デザイナーの採用で失敗しないためには、求める人材像を明確にしたうえで、面接で何のためにその質問をするのか、目的意識をもって質問し、回答を評価することが重要です。
これまでに説明したスキルセットとマインドセットの2つの評価軸を意識し、質問例を参考にして質問事項を設定してみてください。
クロスデザイナーはフリーランスデザイナー専門のエージェントサービスとして、面談日程の調整や同席でのサポートなど、募集時から採用まで伴走サポートいたします。
また双方の合意があれば、アサイン後に正社員への契約形態の変更も可能。WebデザイナーやUI/UXデザイナー、アプリデザイナーなど多数在籍しているため、あらゆるクリエイティブにも対応できます。
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