デジタル化の進展やサービス・商品の大衆化などを受けて、近年デザインをめぐる環境は大きく変化しています。企業側でもデザインを重視する傾向は強まり、デザイナーの採用やデザイン組織の構築に取り組むケースは少なくありません。
一方働き手のデザイナーでも、どのような環境でキャリアを形成すべきか迷っている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回、デジタルテクノロジーを活用してインターネットの多様なエンターテイメントを提供する株式会社ドワンゴと株式会社GIGで「デザイナーが活躍できる組織」をテーマにウェビナーを開催しました。
本セミナーでは、ドワンゴ・KADOKAWAのデザイナー統括を務める木村様と、株式会社GIG クロスデザイナー事業部でデザイン部門のマネージャーを務める小林がデザイナーの役職やキャリア、デザイン品質の管理、今後求められるスキルなどについてパネルディスカッションを行いました。
※この記事はオンラインイベント「ドワンゴ・GIGのデザイン責任者が語る「デザイナーが活躍できる組織って?」」より、ディスカッション内容を一部抜粋したダイジェスト版レポートとなります。
木村 雅幸(ジェイ)
株式会社ドワンゴ デザインセンター センター長 株式会社KADOKAWA デジタル戦略局 デザインセンター 部長
1982年生。インドネシア出身。獨協大学を卒業後、バンダイ、LIGを経て2013年ドワンゴに入社。ドワンゴにてデザイナー横断組織を立ち上げ、20名弱から60名まで組織を拡大。現在、KADOKAWAに出向し、デジタル戦略局 デザインセンター 部長を兼務し、デザイナーがKADOKAWA Groupで活躍できる組織を設計中。
小林 新 (こばやし あらた)
株式会社GIG XDesigner事業部 エキスパート/マネージャー。1985年生。埼玉県出身。武蔵野美術大学を卒業後、デザイン会社数社を経て2017年GIGに入社。クリエイティブ事業部長を務めるなどのマネジメント業務と並行し、デジタル領域におけるコミュニケーションデザインやサービスデザインまで様々な顧客のプロジェクトに、デザイナー・アートディレクターで参画。
デザイナーの役職とキャリアパスについて
木村:ドワンゴで言うと、デザイナーの役職ではチームをマネジメントするマネージャーと、デザイン組織をどう回していくかという大きな部門の部長がいます。ですので、ここが役職と呼ばれる部分になりますね。
キャリアパスについては、昔なら目標を決めて階段を上っていけば、キャリアを重ねていけたと思います。ただ、ここ最近のデザイナーの必要なスキルセットだったり、AIの登場だったりを受けて、世の中にあふれているものを考えると、キャリアパスの設計ってめちゃくちゃ難しいですね。
GIGさんは会社の制度的に、役職以外にキャリアパスを設計できる仕組みなどはあるんですか?
小林:そうですね、大きく分けると、マネジメントラインに行くか・スペシャリストラインに行くかというキャリアパスがあります。
ただデザイナーとしての定義については、非常に難しいかなと思っています。
例えばWebデザイナーという言葉を一つとっても、その人はUIデザイナーと言えるのだろうか...とか、昔から使われている職種名を現代に照らし合わせたとき、何ができる人なのか非常にわかりにくくなってきていると感じますね。
一旦、シンプルにUIデザイナー・UXデザイナー・アートディレクター・サービスデザイナーなどの職種があるかなと考えていまして、キャリアパスや役職としてはUIデザイナーからスタート、その後アートディレクターになるというイメージでしょうか。
アートディレクターは基本的にはデザイナーを育成する立場になってくるので、当然デザインスキルもそうですし、KPIなどの管理だけでなく、人としての育成も求められてきますね。
木村:そうですよね。割と数字に直接アプローチできる人や、UXの設計とか、制作における上流工程って言われる部分を担える人たちは、数字に直接手が届くところにいるので、数字に対する結果は出やすいイメージがあります。
ただし、Webページの制作やバナーみたいな、実際の制作を行う人たちの価値が低いかっていうと、そうではないと僕は思います。もちろん数字にアプローチできる人は素晴らしいと思いますし、バナーの制作であれば「この人にお願いしすると明らかにいいものが出てくる」みたいな形も一つのキャリアパスというか、自分の価値の確立の一つになっていくんじゃないかなと。
デザインの品質管理と評価について
小林:GIGでは基本的にはデザイナーに対して、アートディレクターやリードデザイナーがついてデザインをレビューをする形をとっています。
プラスして、そのデザイナー以外の評価もなるべく入れることを大事にしてますね。例えばプロジェクトマネージャーが最終的にそのデザインが顧客に提案しうるものかをジャッジするなど、特に受託事業では顧客にどれだけ価値を提供できるかが大事なので、必ずしもデザイナーだけが品質管理ができるものではないと思っています。
木村:デザインは品質をチェックしてもらうために関わる人がいるので、主観にならないようにリードするのってすごく大事だなと思います。
レビューで言いたい放題言われるとサウンドバック状態になってしまうので、同じ目線にまず立って、前提条件をきちんと共有することを各プロジェクトチームにはお願いしています。カスタマージャーニーなど、ユーザーがどういう動きを前提にデザインが含まれているかという認識を合わせることは重要ですよね。
ドワンゴでは、チームによってレビューのノウハウを持ってないこともあるので、横断的にデザインチェックができるレビュー機構も用意しています。
それからスキル的な話にはなりますが、デザイナーとしてレビューできるのは大きな能力の一つなので、評価軸をきちんと設定して、価値があることを伝えていくことにも取り組んでいますね。
デザイナーのキャリアパスと求められるスキルについて
木村:活躍するデザイナーという目線で言うと、やはりプロジェクトを自分ごとに置いていることは大前提かなと思ってます。
他人事にしないのはすごく大事で、このサービスがどうやったら成長するのかを考えて、そこから分解することで細かいところのデザインに気づけるようになるんですね。プロダクトへの愛とかプロダクトが好きっていうところはモチベーションにも繋がるので、そこは大前提になるかと思います。
その上でデザイナーって専門職なので、プロのスポーツ選手に結構近いかなと。
やっぱりサッカー選手がサッカーの本を読んだだけでめちゃくちゃサッカーが上手くなることはないですし、野球の大谷選手もルールブックを読んで、プロ野球の世界にいたわけではないですよね。ある程度デザインに身を置いたり、接する時間が長いっていうのは結構大事なことだと思いますね。
小林:GIGの場合、デザインが好きな人はやっぱり伸びている印象があります。
シンプルにデザイン自体が好きでも、UIやグラフィックが好きでも何でもいいんですけど、「デザインが好き」っていう人は自然と残って頑張ってたりもしますよね。自分の中でのデザインへの優先度が高い人って、仕事以外でも何かとプライベートをデザインのところに投資してたり、紐付けて考える癖がついてたりするので、好きであればあるほど、結果的には伸びて活躍していると感じます。
デザイナーの将来像と必要なスキルについて
木村:デザインの基礎をきちんと持っている人は、今後も求められていくだろうなと思います。例えば最近だとAIが流行ってきていますし、調べものもGoogleに聞けば分かってしまうので、表層的な浅いところや、少し調べれば得られるものをアウトプットしてるだけの人は厳しいかもしれませんね。
小林:まさに私も同じことを言おうと思っていたんですけど、今だからこそデザインの基礎のキがすごい大事な気がしています。僕の時代はPhotoshopやillustratorとかで、1ピクセル単位でデザイン詰めるとかが当たり前の世界だったんですけど、今ってFigmaとかでUIUX重視の世界になって、例えば文字詰めなどもやることが少なくなっている印象があります。
こういう美しさを出すための技術っていうのがだんだん伝わらなくなってきている気がしているので、逆にこうしたことをできる人は強いと思います。
木村:あとは、健康でいられることも大事だなと思いますね。
デザイナーって結構所々でハードワークを仕方なくするところもあると思うんですけど、鬱にならないとか、自分の体調やメンタルをコントロールできるスキルも実は非常に大事になってきます。
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