AIを活用した3Dデザインでは、テキストや画像から誰でも簡単に3DCGモデルを作成できます。そのため、3Dデザインの一部を内製化でき、外注費を抑えたり、迅速な開発につながったりします。
とはいえ、どのようなAIツールを選べばいいかわからない方や外注との使いわけについて悩む方も多いのではないでしょうか?
本記事では、3Dデザイン制作のAIツールやその選び方、外注との使い分けについて紹介します。
AIと3Dデザイン
3Dデザインとは3DCGの技術を用いて奥行きや立体感のある静止画や動画を作成することを指します。縦と横だけで表現される2Dデザインと比べて、複雑なデザインとなる傾向があります。
3Dデザインの制作は以下の5つのプロセスに分解可能です。
- モデリング
- テクスチャリング
- リギング
- アニメーション
- レンダリング
モデリングやテクスチャリングは制作プロセスの中でも特に時間がかかるといわれています。そのためAIを使って画像やテキストから3Dデザインを生成し、それらの時間を大幅に削減する動きが重要です。
そもそもデザインにAIは活用できる?
以下の表のように各デザインでAIデザインツールやAIを活用した機能が登場しています。
活用シーン | ツール |
画像生成 | ・Midjourney |
Web/UIデザイン | ・Figma |
ロゴデザイン | ・Looka |
田島デザインの調査によると、デザイナーの中で毎日AIデザインツールを利用している割合は20.4%であり、月数回利用している人を含めると53.1%がそれを利用しています。デザイナーが利用するシーンとしては上記以外にもリサーチやアイデア出しにも使われています。
AIデザインツールはプロンプトと呼ばれる指示文を入れることで誰でも簡単に画像作成やロゴデザインをすることが可能。
しかし、AIデザインツールを最大限活用するためにはそのデザインの知識や経験が必要不可欠です。
デザイナーがいない状態でAIデザインツールを導入すると、修正やデザインの良し悪しが判断できないため、避けた方が良いでしょう。
参考:合同会社 田島デザイン
3DデザインとAIの相性
画像生成やWebデザインと同じように、3DデザインにもAIデザインツールが登場しています。それによって時間がかかるモデリングやテクスチャリングを効率化できます。
その他にも、AIデザインツールを使うことによって少ないリソースでも3Dデザインに取り組めるようになりました。
以前は自然に近い動きをゲームのキャラクターや映画の登場人物に反映させるため、高額な費用を払い専用の機材を使用。しかしAIデザインツールによって、それを使わずとも動画からモーションキャプチャーができるようになりました。
また膨大なデータを学習してデザインを生成するメリットを活かし、デザイナーが思いつかなかったデザインを制作することにも貢献しています。
このように3Dデザイナーが担っていた仕事の一部をAIデザインツールが代替することで、細かい修正や調整に時間をさけるようになりました。
3DデザインができるAIツールの選び方
3DデザインができるAIツールの選び方は以下の2つです。
- ツールが日本語に対応しているか
- ツールの使い方に関する情報が多いか
ツールが日本語に対応しているか
AIデザインツールを選ぶ際、日本語対応の有無は重要な判断基準の一つです。
日本語に対応しているツールを選ぶことで以下のメリットがあります。
- 学習の容易さ
- サポートの充実
- プロンプトの最適化
日本語に対応しているツールを選ぶことにより英語でプロンプトを作成する必要がなくなり、誰でも運用することが可能になります。
ただし日本語に対応しているAIデザインツールでも英語の方が精度の高いデザインが生成できる場合もあるので注意しましょう。
また3Dデザインに関するAIデザインツールのほとんどが日本語に対応していないのが現状です。そのため、必要に応じて翻訳ソフトを活用しながら英語のプロンプトを作成して利用しましょう。
ツールの使い方に関する情報が多いか
海外のAIデザインツールを選ぶ場合は、ツールの使い方に関する情報が多いかも確認しましょう。
海外のツールでも日本語でアップデート情報が公開されていたり、活用方法がWebページに載っていたりするものもあります。ツールに関する情報が多いことにより問題発生時に解決方法を即座に見つけられます。
その他にもコミュニティが活発に動いているツールもおすすめです。なぜならSNSなどを通じてユーザー同士が情報交換を行っており、最新の活用テクニックやtipsを手に入れられやすいからです。
海外のツールを検討する際は公式サイトやWeb、SNSなどで情報が豊富にあるかどうかを確認しましょう。
おすすめのAI3Dデザインツール5選
おすすめのAI3Dデザインツールは以下の5つです。
- Adobe Substance 3D
- Luma AI
- Meshy
- Ponzu
- KAEDIM
- Wonder studio
Adobe Substance 3D
Adobe Substance 3Dはテクスチャリングと背景生成を効率化させる機能を搭載しています。使い方としては「テキストからテクスチャ生成」や「生成背景」でプロンプトを入力するだけです。
テクスチャや背景は複数のデザイン案を同時に提案してくれるため、何度もプロンプトを入力する手間を省けます。
また普段からSubstance 3Dを使っている人にとっては、新しくツールの使い方を覚えたり、それを使い分けたりする必要もありません。
Luma AI
プロンプト例が豊富で以下のようにテキストや画像から3Dモデルを作成できるLuma AIもおすすめです。
- GENIE:プロンプトから3Dモデルを作成する
- Interactive scene:動画から3Dモデルを作成する
GENIEでは下記の図のように背景の画像をクリックすることでオブジェクトを作成したプロンプトを確認することができます。
そのプロンプトをコピーして使うこともできるので、完成イメージを持ちながら英語のプロンプトを使えます。
ただし複数のオブジェクトや背景は作成できないのでその場合は他のツールを選びましょう。
Meshy
Meshyは画像やテキストから3Dモデルを作成するだけでなく、テクスチャリングだけ行う機能も搭載したAIデザインツールです。それによりモデリングだけ外注し、テクスチャリングを内製化するといった運用方法も可能。
また使い方に関してはチュートリアル動画が公開されていたり、最新情報をブログから確認できたりします。
Ponzu
Ponzuは無料で3Dデザインのテクスチャを加工・編集できるツールです。
他のデザインツールとは異なり、誰でも思い通りのデザインが作れるように以下のようなデザインのスタイルが選べるようになっています。
- フォトリアリスティック
- サイバーパンク
- 線画
その他にも浮世絵や印象派、水彩画といったデザイナー自身では思いつかないようなデザインも選択できます。そのためデザインのバリエーションを増やしたい時や複数のテクスチャを試したいときにおすすめです。
KAEDIM
AIデザインツールとデザイナーによる修正のハイブリッドな機能を持つのがKAEDIMです。
KAEDIMでは画像から3Dモデルを作成するだけでなく、ツールを提供する会社のデザイナーが修正してくれます。そのため社内に3Dデザイナーが不足している場合におすすめです。
ツールを利用する料金は他と比べると高いですが、より高品質な3Dモデルを作成できます。
Wonder studio
Wonder studioとは映像制作に特化したAIデザインツールです。
そのデザインツールを使用することで以下のような映像制作のフローを効率化できます。
- 専門機材を使ったモーションキャプチャー
- 複数のソフトを使った映像編集
Wonder studioを使うことでモーションキャプチャーから実写合成までワンストップで作成可能。そのためコストを抑えてモーションキャプチャーを使うことができ、専門のソフトを使い分けて映像編集する手間も省けます。
また実写動画に写っている人物を任意のキャラクターに置き換えることもできます。
AIデザインツールを活用する際のポイント
AIデザインツールを活用する際のポイントは以下の3つです。
- 背景情報も含めた具体的な指示を出す
- 参考となるデザインを示す
- 対話形式で何度も修正する
背景情報を含めた具体的な指示を出す
意図したデザインをAIに生成してもらうためにも指示文となるプロンプトに背景情報など具体的な内容を入れるのがおすすめです。具体的には以下の表の項目をプロンプトに入れてみましょう。
プロンプトに入れる内容 | 具体例 |
制作物の目的 | ・ゲームのキャラクターデザイン |
デザインのスタイル | ・フォトリアリスティック |
技術的な要件 | ・ポリゴン数の制限 |
デザインの雰囲気 | ・親しみやすい |
上記の項目を盛り込んだプロンプトの例としては、
「30代の女性科学者のキャラクターデザイン。スマートで知的な印象を与え、ハイテクな作業服を着用している。髪型は短めで、サイバーパンク的な要素を取り入れたアクセサリーを身につけている。全体的に青と銀色を使用し、ホログラフィックな要素を含める。」
などです。
このように具体的な指示を出すことによって精度の高い3Dデザインを生成できます。
参考となるデザインを示す
より精度の高いデザインを生成するために、背景情報を含む具体的な指示文とセットで参考となるデザインを示しましょう。これによりAIがプロンプトよりも正確にデザインのイメージを認識でき、修正回数を減らすことにもつながります。
また、同じゲームのキャラクターデザインを行う際、参考となるデザインがあることでデザインのスタイルやトーンを統一可能。
参考となるデザイン例を示したプロンプト例は以下のとおりです。
「添付した画像1のようなSF的な装甲デザインをベースに、画像2の有機的な曲線を取り入れたキャラクターを作成してください。色彩は画像3のような寒色系で統一し、画像4のようなホログラフィック効果を装甲の一部に適用してください。全体的な雰囲気は画像5のライティングを参考にし、やや暗めで神秘的な印象を与えるようにしてください。」
ただし参考となるデザインを持ってくる際は著作権に配慮し、使用許諾を得た画像やフリー素材を使うようにしましょう。
対話形式で何度も修正をする
AIデザインツールでは一回の出力では期待していたデザインとは異なるものが出来上がることも珍しくありません。そのため、初回の生成結果をベースに何度も対話形式で修正することで期待通りのデザインが完成します。
効果的な対話形式での修正プロセスとその例は以下の通りです。
- 全体的な修正:以下の箇所がプロンプトと違うので修正してください
- 部分的な修正指示:頭部のデザインを小さくしてください
- 細部の調整:目の周りにホログラフィック効果を追加してください
- カラーバリエーションの追加:デザインの色調を暖色にしてください
- 角度やポーズの変更:キャラクターを45度回転させてください
使用者側もAIの反応を観察することで修正回数の少ないプロンプトを開発できます。
AIツールと外注の関係性
AIツールと外注は二項対立の関係ではなく以下のように場面に応じて使い分けたり、併用したりするのがおすすめです。
- 3Dデザインの効率化ならAIツールの活用がおすすめ
- 社内に3Dデザイナーがいない場合は外注を
- 3D画像・動画を量産するなら併用
3Dデザインの効率化ならAIツールの活用がおすすめ
社内に3Dデザイナーがいて3Dデザインを効率よく作成した場合はAIツールの活用がおすすめです。なぜならAIツールと3Dデザイナーそれぞれの強みを活かし、デザインの質を維持したまま大幅な時間の短縮やコスト削減につながるからです。
AIツールの活用方法としては以下のような役割分担がおすすめです。
- AIデザインツール:大まかなデザインの効率よく生成
- 3Dデザイナー:生成されたデザインの微調整や修正を実施
例えばゲームのキャラクターデザインの場合、時間のかかるモデリングをAIに任せデザイナーはその修正だけを行うといった使い方ができます。そうすることで少ないリソースでも効率よく3Dデザインを作成できるでしょう。
社内に3Dデザイナーがいない場合は外注を
社内に3Dデザイナーがいない場合はフリーランスデザイナーや制作会社に外注しましょう。AIデザインツールは、3Dデザインの知識や経験がないと使いこなせず、無駄になってしまいます。
外注する際は以下の表を確認して依頼先を選ぶようにしましょう。
依頼先 | 制作会社 | フリーランスデザイナー |
活用のシーン | ・大規模な案件 | ・小~中規模な案件 |
メリット | ・デザイン作成やその後のサポートが充実している | ・契約期間や条件を調整しやすい |
デメリット | 費用が高くなることがある | スキルや経験に差があり、選定が難しい |
制作会社は各会社によって得意分野や依頼できる内容は異なりますが、長期的なサポートや修正対応にも対応している場合が多いです。
しかし複数人が3Dデザインに携わるため小規模な案件は断られることもあり、最低費用は数百万円になることもあります。
一方でフリーランスデザイナーは契約形態や期間など自社のリソースや予算に合わせて柔軟に依頼できます。費用も制作会社よりも抑えて依頼でき、3Dデザイナーを時給3,000円で週3日8時間依頼すると月25万円程度。
また直接デザイナーとやりとりできるため、急な修正や細かな要望にも迅速に対応可能です。ただしスキルや経験に差があるため制作会社よりも慎重な選定が必要です。
関連記事:3Dデザイナーは業務委託できる?探し方と合わせて解説
3D画像・動画を量産するなら併用する
3D画像や動画を量産する場合はAIデザインツールと外注の併用がおすすめです。そうすることで制作物の質を担保しながら効率的に作成できます。
併用することによって生産性の向上だけでなく、プロジェクトの規模や緊急度によって最適なリソースを配分することができます。3Dデザインのプロセス別の併用例は以下の表のとおりです。
3Dデザインのプロセス | AIデザインツールと外注先の併用例 |
モデリング | AIデザインツールを使ってモデルを生成し、外注先がその修正を担当 |
テクスチャリング | AIが複数のテクスチャを生成し、外注先がそれを調整して質感を決定 |
ただしAIデザインツールと外注を併用する際は役割分担を明確にし、プロジェクト全体を統括するマネジメントも欠かせません。
AIツールを使いこなせる3Dデザイナーをお探しならクロスデザイナーにご相談を
今回は3DデザインにおけるAIデザインツールの選び方やおすすめのツールについて紹介しました。それを使いこなすことによってモデリングやテクスチャリングなどを効率化することができます。
とはいえAIデザインツールが3Dデザイナーを代替するわけではありません。そのためデザインの知識や経験を持つデザイナーがいない場合、外注も検討してみましょう。
社内にAIツールを使いこなせる人材がいないとお困りの企業様、フリーランスに依頼したい企業様は、ぜひクロスデザイナーを活用ください。
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